中村蒼、“宮さま”から一転 平気で人も殺す“悪のカリスマ”に『HiGH&LOW2』で新境地【インタビュー】

2017.08.19
映画

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

2015年、ドラマシリーズに端を発し、コミック、LIVE、そして映画へと規格外のプロジェクトとして躍進を遂げる「HiGH&LOW」シリーズの最新作『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』(以下、『HiGH&LOW2』)。観客動員数160万人、興行収入21億円を突破した『HiGH&LOW THE MOVIE』の待望の続編となる本作において、新キャストとして発表直後から熱視線を浴びたのが、中村蒼だ。

新作にも続投するAKIRATAKAHIRO登坂広臣岩田剛典鈴木伸之ら「EXILE TRIBE」メンバーのほか、窪田正孝林遣都山田裕貴など若手実力派俳優がしのぎを削るなか、中村はスカウト集団「DOUBT」のリーダー・林蘭丸の怪演で新境地を見せた。昨年、連続ドラマ「せいせいするほど、愛してる」の“宮さま”役で“火曜日のヒーロー”と異名がつくほどの当たり役となった爽やかイケメンから一転、悪のカリスマで狂気をはらんだ表情は、泣く子も黙る仕上がり。オフスクリーンでは狂人じみた役とは無縁な、菩薩のような笑みを広げる中村に、ヒールを演じた心境を語ってもらった。

中村蒼

HiGH&LOW2_町田啓太

“Filmarksユーザー”町田啓太の映画愛が止まらない 『HiGH&LOW2』への想いと煌めきのワケ【インタビュー】

――「HiGH&LOW」シリーズに中村さんが参戦という第一報を聞いたとき、驚きで飛びあがりました。

本当に、僕も人生って何が起こるか分からないなあ……って思いました(笑)。お話をいただいて、「HiGH&LOW」の過去作も観て世界観を把握した後、さらに、「林蘭丸」というキャラクターの内容を聞いて、「まさか! え、僕で大丈夫なのかな? 本当にいいんですか?」と思いました。

――蘭丸は、ものすごい悪役でしたね。

もう、はい。皆さんに観てもらうまでは正直、「大丈夫かな?」という、まだ不安な気持ちが残っています。

――どういうふうに役を作っていかれたんですか?

難しかったです。ほかのレギュラーの方々はドラマからやられていて、背景を描きながら今の役にたどり着いていると思うんですけれど、蘭丸はポンと出てくるような人間だったので。お金と力しか信じていないという性格でしたが、僕はそこに人間らしさや、悲しい部分を感じたので、それをヒントにやっていきました。共感なんて全然することのないような人間でしたけど、それではあまりにかわいそうというか……。せっかくやるんだったら、自分ぐらいは蘭丸を好きでいたかったのはありました。

中村蒼

――初日から順調に入っていけましたか?

僕にとっての初日が、本当に、ど頭のシーンだったんです。「いきなりあそこ!?」という感じで(笑)。でも初日に登場シーンをやれたのは、すごく助かりました。

――演じるときは、どのようなことを考えていたんでしょうか?

シーン、シーンによって違うのですが、何百人っていう部下がいる設定なので、常に余裕を持ってお芝居することは意識しました。蘭丸は、抗争シーン以外は割と冷静なんです。お金で人を動かすような人間なので、ある種、すごく賢い面もあるから、お金のやり取りをするときは冷静に、余裕を持ってやる感じでした。争ったりするときは、楽しむかのように、相手を傷めつけるような人間なので、はっちゃけるというか、リミッターを外してやっていった感じです。

中村蒼

――普段の中村さんとは正反対と言っていいですか?

そうですね。全然ひとつも似ていないです。人様を殴ったらいけないって、親から教わってきたので(笑)。

――今回、初の本格的なアクションに挑戦もしました。

最初、大丈夫かなと思いましたけれど、リハーサル期間もきちんとあったので、すごくいい環境で初めてのアクションに挑戦できたかなと思います。アクション監督やスタントの方々が、「こういったほうが蘭丸としての性格が出るんじゃないか」といろいろ細かく考えてくださって。おかげで、アクションシーンは万全で挑めたのではないかと思います。

中村蒼

――実際、やってみての難しさ&面白さはありましたか?

初めてだったので、アクションのことで頭がいっぱいになっちゃっていました。その中で感情を込めたりしないといけなかったので、バランス感覚が難しかったです。

――何か特別な指導はありましたか?

蘭丸は喧嘩というよりは、相手を殺してしまいかねない人物設定だったので、首を絞めるというアクションが、蘭丸としての一番分かりやすい特徴になりました。首を絞めて、余計そういう抗争を楽しんで興奮したりする、というか。力を込めて、本当に倒そうとするというパターンですけど、どれだけ思いっきりやれるかという感じでした。僕の場合は、どうしても「かわいそうだな、痛そうだな」と思ってしまうので、いかにその気持ちを本番のときだけはなくすかっていうのが大変でした。

――殴ったりするアクションが、本当に「当たってしまった」的なことはあり得るんですか?

もちろん顔とかには当たらないですけど、お腹とかは(ちょっと当たる)。ただ、そういうのは、本当に皆さん、プロの方々なんで。

――おお、当たっても大丈夫なんですね。

所詮、僕のパンチなんて(笑)、蹴りも、効かないぐらい鍛えあげられた方々がやってくださったので、すごく信頼関係がありました。全力でやれる環境を作ってくださったおかげで、思い切ってやれました。

――深紅のコートが印象的で、かなり重そうな感じがするんですけれど、体の動きは大変ではなかったですか?

あれは重かったです! 肩が凝りそうなぐらい重くて。でも、コートだったので、動いたら自分の動きを大きく見せてくれるようになって、助かりました。でも、真っ赤で……最後まで全然着慣れなかったですけれど、あのコート(笑)。

中村蒼

――蘭丸を経て、役者としての幅が広がった印象はありますか?

どうですかね? 一応、何とか乗り越えられたという気持ちはあります。こういう役に対する、今までの自分で勝手に作っていた壁みたいなものは、なくなったかなとは思います。

――すごくストレートに聞きますが、楽しかったですか?

はい、楽しかったです。今回アーティストの方々とお芝居をして思ったのは、皆さん、すごく明るいんです。根明っていうか。例えば、同年代の役者だけの作品だと、最初は探り合いというか割と人見知りの人達が多いから、静かなところからスタートしていって、少しずつほぐれていって仲良くなる、みたいなパターンが多いんです。けど、『HiGH&LOW2』の皆さんは仲良くなるというか、醸し出している雰囲気がすごく明るくて。やっぱり何千人、何万人っていう人の前で歌ったり、踊ったり、パフォーマンスをされている方々は、こういうオーラを出すんだなって思いました。

――新しい人種に出会えた、という感じでしょうか?

そうですね。なかなかアーティストの方々とお芝居をする機会がなかったので。挨拶ひとつで、そういうのが分かるんですよ。こっちも自然とパワーを貰えるぐらい明るいオーラを放たれていたので、現場はすごく楽しかったです。

――中でも、仲良くなった方はいますか?

黒木(啓司)さん。あとはNAOTOさんや(関口)メンディーさんのチームと僕は繋がっている設定だったので、その方々とお話をすることはありました。メンディーさんは、僕と同い年だったんです。普段は年下キャラみたいで、皆さんからすごく可愛がられている感じがあって。楽屋では穏やかだし、楽しい感じでした。やっぱり醸し出すオーラとかは、いいなあって。ご一緒していて楽しいですし、自分もそういう人間になれたらなと思います。……まぁ、なれないでしょうけど(笑)。

中村蒼

――俳優として刺激を受けた部分があったんですね。

歌ったり踊ったりもできるけれど、お芝居も皆さんが真剣にやっていて。もちろん真剣にお芝居をやることについては、僕も同じくらい熱量を持ってやりますけれど、歌って踊ったりはできないですし……強敵ですよね。そんなお芝居もすごい真剣にやられたら、困ってしまう。

――困ってしまう(笑)。

NAOTOさんと台本読みをやったんです。僕は台本読みの段階ではまだ全然固まっていないまま行ったりするんですけれど、NAOTOさんはもう役が完成されて参加していました。準備もばっちりやっていたりして、やっぱりストイックというイメージは今回、役者をやることに対しても通じるんだなって思いました。

中村蒼

――となると、完成作を観るのがますます楽しみですね。(※取材日時点で未完成)

そうですね。

――「すごい楽しみ」ではないんですか?

HiGH&LOW2』に限らず、僕は、自分の作品を観るのはあまり得意ではなくて。もちろん観るんですけど。

――客観的に観られないということですね。

完成した作品を皆で観る試写があるじゃないですか? 皆で観ていると、手に汗を握っちゃって、緊張して余計視界が狭くなるような感じがするんです。DVDをもらって家でひとりで観たいなって(笑)。家のほうがじっくり「こうなったんだな」、「やりたいことが伝わっているな」と冷静に観られるので。

――今回お話を聞いていて、中村さんは全然ガツガツされていない印象なのですが、野心みたいなものを実は持っていたりしますか?

野心のような気持ちよりも、「いい作品に出たい」という気持ちが大きいかもしれません。『HiGH&LOW2』のように、「僕がやれるのかな、大丈夫かな? やったことがないし、どうしよう」という、やったことがないような作品にも、ちゃんと挑戦したいという気持ちがあります。比較的チャレンジした役のほうが、皆さんからのリアクションが大きかったりするんです。それは俳優として、すごく嬉しいことなので。(取材・文:赤山恭子/撮影:市川沙希)

中村蒼

映画『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』は8月19日より全国ロードショー。

HiGH&LOW2

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  • jonajona
    3.6
    鈴木伸之くんが英語しゃべるテクニック野郎と戦うときに、言葉よくわからないけど売り言葉になにか返さなきゃってなって、 『あ!?……おうッッ!!!』 って雄叫び上げるのなんかめちゃくちゃツボだった笑。しかも天丼で重ねてくる。絶対なに言ってるかわかっとらんやん! アクションのクオリティは前作以上にパワーアップ。アキラさんがCD争奪戦繰り広げる辺り、ほんまに邦画であんまり見たことないレベルの車の上での戦闘シーンが繰り広げられてテンション爆上がり。 音楽もかっこいいし、いいね! 達磨の登場シーンの曲すき
  • hass
    3.5
    だんだんロッキーが怖くなっちゃったらんまるくん
  • にょろ
    3.9
    USB!
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    SWORD協定じゃああああい!ロッキーちゃんをいじめる者は許さない!キャラ増えすぎて大混乱の映画第2弾。
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    俺の知る限り、映画史上最も「USB」という言葉が無駄に飛び交う作品。たまには「データ」とか言えや。それはともかく。 EXILEグループ総帥・HIROさんが持つ純粋さと言う名の狂気が爆裂した劇場版二作目(レッドレインも含めれば三作目)。続編「ファイナルミッション」も続けて観たが、結果的に二作目の本作がシリーズ中最高傑作だったと思われる。奇しくもスタッフが被っている「るろ剣」と同じように。 前作よりも更に増えたアクションシーンの引き出しには感服。アバンタイトルにおけるGoProを活用したらしき工場屋外でのパルクール、西部警察のスタッフが作り上げたカークラッシュが特に見事。この二箇所は洋画アクションにも負けていない。 そしてラストバトルの大乱闘に至りテンションは最高潮。舞台となる廃駅・廃車の美術面における造り込みが素晴らしいし、タイ映画の影響を思わせる横スクロール格闘や長回しも圧巻だった。 シリーズもの映画の幕間は次回への引きが残念になりがちだが、その味付けも美味い。「コマンドー」におけるシュワちゃんの名言「オッケーイ!」、或いは「300」で敵国の使者を井戸に突き落とすレオニダス王を彷彿とさせる潔さ・爽快感には震え上らざるをえない。 「とにかく役者を格好良く撮ろう!」という努力が、結果として格闘のバリエーション・楽しさ・見やすさに繋がったのかな? 是非監督には劇場版仮面ライダーに関わってほしい。坂本浩一監督あたりのノウハウを貰えば、世界に打ち出せるアクションヒーロー映画が作れるはず。 まあ、相変わらず突っ込み所は多い。そもそも製作陣にストーリーの穴を埋める気がさらさら感じられないので、その点は置いておくとして... (この世にはまともなストーリーが存在せずとも成立しうる映画がある。てらさわホーク氏の「シュワルツェネッガー主義」から俺は学んだ) 本作は紛れも無いキャラ推し映画でもあるが、その点においては第一作の方が優っていた。 飽和気味のキャラの中で一番目立っていたRockyが、よりによって特に残念。「女を守る云々〜」って何度言えば気が済むんじゃ!一度言えば伝わるわ! スモーキーの無言空見上げ天丼もシュールすぎて笑うしかない(続編を観た後だと笑えないが)。窪田正孝のスケジュール合わなかったのかな? 大人気キャラ・琥珀さんも髪型チェンジ+正気に戻ったことで個性を失ってしまった気が。でもカーアクションの際に頑張っていたので許そう。パソコンに弱くてUSBの使い方がわからなかった疑惑も無視する。
「HiGH&LOW THE MOVIE2 / END OF SKY」
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