【終戦70周年記念】戦争反対!死ぬのはイヤだ!第二次大戦不マジメ映画傑作選

Why So Serious ?

侍功夫

2015年、第二次世界大戦終結から70年が経過しました。日本では不戦の誓いを記した憲法9条を踏みにじる安保法案が強行採決されてしまいました。

しかし、戦争とは考えれば考えるほど理不尽なものです。国益を守るために国民の命を危険にさらすという発想自体が本末転倒で全く理解できないし、その国益ですら一部の資産家がバスタブに札束入れてウホウホ言うためだけで「トリクル・ダウン」なんてしやしません。バカバカしいとしか言い様の無い「戦争」なんてマジメに向き合ってやるほどの価値もありません。

ということで、戦争になってもマジメに向き合わないため、参考になる映画を選びました。

実践編 ~戦場での不マジメ作法~

『戦略大作戦』軍資金なんて盗んじゃえ!

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ナチ将校から軍資金の隠し場所を聞き出したケリー二等兵は、所属部隊上官のビックジョー曹長と戦車隊を率いるオッドボール軍曹を引きこみ、ナチ資金強奪ネコババ作戦を決行します。捨て駒のように使い捨てられる末端の兵士たちがうっぷんを晴らすべく、上官のいない隙をついて最前線を突破し、敵地奥深くに潜入するのです。

ヨコシマな目的でコッソリ抜けだしている彼らは敵軍にはもちろん、味方にも見つかってはいけないという過酷な状況下にあります。そんなスリルとサスペンスが、かる~いコメディタッチで描かれるのです。

本作の白眉はオッドボールと彼の戦車隊です。ドラッグでフラフラしつつ、戦闘となると戦車に括りつけたスピーカーからハンク・ウィリアムスを大音量でかけて敵部隊に銃弾を浴びせます。その情景は『地獄の黙示録』キルゴア中佐に多大な影響を与えているとみて良いでしょう。

『地上最大の脱出作戦』戦争なんかフリして誤魔化せ!

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キャッシュ大尉率いるアメリカ軍中隊にイタリア、バレルノ村占領の命令が下ります。臨戦態勢で村へ突入した中隊を迎えたのは、あっさり全面降伏を宣言したイタリア軍でした。ただし降伏の条件としてお祭りをすると言って聞きません。しかたなく開催した祭りにアメリカ軍中隊も戦意などすっかりなくなり両軍入り混じって大パーティとなります。そんな幸せな最前線にアメリカ軍将校の視察や、ドイツ軍中隊の進軍というピンチが訪れます。

敵対する国家同士が争うと言っても、個人々々にとっては何の恨みも無い相手です。だいいち戦争状況下であっても人殺しなんかしたくありません。ならば、しなければ良いのです。話して通じない相手はいません。いいワインがあればなおのこと。戦争なんて、やりたい奴同士が殴り合いでもしてりゃいい話なんです。

『兵隊やくざ』階級なんて無視して殴れ!

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中国、ソビエトとの国境近く、満州の「孫呉の丘」日本軍駐屯地にヤクザの大宮が配属されます。持ち前の傲慢さを発揮して、兵舎の“先輩”たちにアッと言う間に嫌われるとリンチを受けるのです。すんでのところで教育係の有田に助けられ、大宮はその恩義に報いようとしますが、彼らの部隊は激化する南方戦線への移動を命じられてしまいます。

勝新太郎の人気シリーズです。ケンカっ早いが義理に篤く悪知恵も回る大宮は、勝新という稀代の怪優を得て、活き活きとスクリーンを暴れまわることとなります。戦争状況下においても、酒を飲んで芸者遊びをして、気に入らなければ上官でもブン殴るのです。ニュー・シネマを思わせるようなロマンティックな終わり方も楽しい作品になっています。

『メル・ブルックスの大脱走』まずは逃げよう! なるべく相手をバカにして!

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エンルスト・ルビッチ『生きるべきか死ぬべきか』のリメイク作です。ポーランドでヒトラーをコケにした舞台劇を上演し好評を得ている劇団の団長は、ひょんなことからレジスタンスメンバーのリストがゲシュタポの手に渡ろうとしていることを知ります。そんな折、ポーランドはナチス・ドイツ軍により占領されてしまうのです。団長はリストの奪還と、劇団員やポーランドに残されたユダヤ人たちの脱出を企てます。

ポーランド系ユダヤ人を父に持つメル・ブルックスは使命のように、執拗に、何度もヒトラーをバカにし続けています。近年リメイクもされた『プロデューサーズ』では科を作ったヒトラーがファビュラスに舞い踊る場面まであります。バカにし続け、語り継ぐという文化は見習うべきものだと言えるでしょう。

心得編 ~戦争はファンタジーに限る~

『イルザ ナチ女収容所 悪魔の生体実験』使い減りしない便利な悪役!

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ナチの医療収容所の女鬼所長イルザは、収監された囚人を極悪非道な人体実験の材料としていました。さらに、男は夜な夜なイルザの性奴隷として奉仕させられ、気に入られなければ去勢され、重労働を課されます。そんな、正に地獄と呼べる場所に謎の男ウォルフが入所したことで、変革の兆しが見え始めるのですが……

実在のナチ強制収容所の女鬼看守イルゼ・コッホをモデルとしながら、飛躍的な想像力と主演女優ダイアン・ソーンの巨大な胸により、大人気を博した拷問SMポルノ「イルザ」シリーズ第1弾です。本作の大ヒットにより「ナチの収容所でSMプレイまがいの拷問が行われる」という映画群「ナチスプロイテーション」が誕生します。

ハーケンクロイツやSSのドクロマークなど、禍々しいイメージに溢れたナチスは「やられ栄えする悪役」として、スクリーン上ではいまだに八面六臂の大活躍を見せています。

『意志の勝利』バカバカしいまでの壮大さは評価しよう!

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レニ・リーフェンシュタールによるナチス党集会などの様子を納めたドキュメンタリー映画です。本作がナチス党プロパガンダとして重用されたことから、ドイツ国内では未だに一般上映は禁止されているそうです。

ただ、そういった政治的意味や資料的な価値とは別の注目ポイントがあります。ナチス党が主催するハイキングの場面で、若い党員たちが連なって尾根を歩いていく様子や彼らを捉えるカメラアングルが『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』の、グンガン族の進軍場面と全く同じなのです。また、党大会で中央の通路を挟んで整列する党員たちは、デス・スターの発着ドックで整列してダース・ベイダーを待つストーム・トゥルーパーたちに酷似しています。

本作はジョージ・ルーカスにとって想像の源泉になっているのです。

『ドラゴン 怒りの鉄拳』と抗日映画 日本軍もオモシロ悪役だ!

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大日本帝国時代の中国に実在した武道家である霍元甲(フォ・ユェンジャア)が、日本人武道家との試合で勝利したことで恨みを買って毒殺された、という中国で都市伝説的に広まった噂を元に作られたのが『ドラゴン 怒りの鉄拳』です。

霍元甲の一番弟子である陳真(チャン・チェン)を主人公として、元甲を毒殺した「虹口道場」師範たちとの戦いを描きます。本作は伝説的な大ヒットを記録し、後にジャッキー・チェンやジェット・リー、ドニー・イェン、チャウ・シンチーらに、続編やリメイク、オマージュ作などで何度も取り上げられました。

どの作品にも憎たらしさ100点満点の悪役日本人が登場します。その卑劣な日本人に徹底的にいじめられ、バカにされ、耐えに耐えた末に殴り込みをかける、という展開の「抗日モノ」は絶大な人気を誇り、今もなお新作抗日ドラマが制作されています。

大日本帝国軍もナチスと同様にオモシロ悪役として日本以外のアジアで大活躍中なのです!

『ゆきゆきて、神軍』戦争は終わっても怖いぞ!

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ニューギニア戦線に派兵された奥崎謙三氏が、上官による部下銃殺とその真相をつきとめようとする様子を収めたドキュメンタリー映画です。明らかになる真相はメガトン級にヘビーなものですが、本作はもっと醜く危険なことに焦点が合わせられています。それは戦場に駆り出されるのが常識人ばかりとは限らないという事実です。

奥崎が乗り回すバンには「田中角栄を殺すために記す」とデカデカと書かれています。その物騒なバンに乗った奥崎の真相追究はしばしば暴力を持って行われます。上官の居場所を突き止めると、改造拳銃を手に突撃してしまうのです。

戦場に派兵された兵隊が全員マトモな人間だとは限りません。不特定多数の中には、それなりの確立で狂人が混じっています。戦場ではなんとかやり過ごしても、後になって呪いのように、執拗に狂人が追ってくることだってあるのです。

戦争にマジメに向き合った人たちの末路

二次大戦を始め、紛争地へ派兵した兵士たちが帰国後に背負ったPTSDに苛まれる様子を描いた作品は枚挙に暇がありません。

また、二次大戦中にユダヤ人ジェノサイドに深く関わったアドルフ・アイヒマンは、単に上官からの命令に忠実であっただけで殺意のような感情は無かったとされています。

湾岸戦争に端を発した中央アジアの反米意識は2001年の911アメリカ同時多発テロやISILなど、過激イスラム主義者による一般市民を標的としたテロを生みました。

戦争で殺されるのはもちろんイヤですが、殺せば自分の心を破壊することになります。自分では人を殺さないと誓っていても、与えられた仕事として残忍な殺人を良心の呵責なく行うかもしれません。兵士として戦争に参加していなくても、自分の国が加担すれば、相手の標的に自分自身が入ることになります。

人を殺した慙愧の念を抱いて一生過ごすか、人殺しを生涯責められるか、自殺をするか、殺されるか。戦争とは、そのいずれか(もしくは全て)の醜い選択を迫られる状況のことです。

最後はクリント・イーストウッドの言葉で締めることにしましょう。

「戦争を美しく語るものを信用するな。彼らは決まって戦場にいなかった者なのだから。」

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  • THISIS和泉弥生
    -
    2020/10/20観賞
  • trsw
    3.3
    思い出 高2の時、ガールズ&パンツァーに本気で入れあげてた頃になんかのシーンの元ネタかなんかで見た気がする ストーリーはマジで覚えてないけどコメディチックで普通に飽きずに見れた気がするし結構面白かったはず 主役級でイーストウッドが出てるらしくそれが一番面白い(当然知らなかった)
  • ハレルヤ
    3.8
    第二次世界大戦時のフランスを舞台に、ナチスが隠した金塊を頂戴しようとするアメリカ軍たちの活躍を描いた戦争アクションアドベンチャー。 この映画での主人公たちの目的は任務のためでもなく、平和のためでもなく、誰かを助けに行くわけでもない。ただ金塊をかっさらう事だけ。なので戦時中が舞台ながらもエンタメ重視の作りです。凄惨なシーンがあるわけでもないので、普通に冒険ものとして見れるでしょう。 50年前の作品ですが今もご健在どころかまだバリバリの現役であるクリント・イーストウッド、ドナルド・サザーランドが主演。どんな状況でも慌てずクールな姿は昔の硬派な男性像そのもの。カッコ良かったですね。 戦闘シーンでの建物崩壊や爆発は全て本当にやってるから恐れ入る。CGが無いからそりゃ当然かもしれませんが、どれだけ火薬使ってるんだよと突っ込みたくなるほどの火力なので驚きでした。終盤での戦闘なんか街1つマジでブッ潰してるんじゃないのと思うほどのやりたい放題。 2時間半と長めの時間が少しネックでしたが、戦争映画とあまり身構えずに見れるのは大きかったですね。今じゃこんな映画なかなか作れないだろうな。
  • K
    -
    途中で寝てしまったけどみんなうけてた
  • サマセット7
    3.6
    監督は「荒鷲の要塞」のブライアン・G・ハットン。 主演は「荒鷲の要塞」「ドル箱三部作」「ダーティハリー」シリーズ、「グラントリノ」等のクリント・イーストウッド。 第二次世界大戦末期のフランス。 米陸軍のビッグジョー率いる小隊は、友軍の誤爆や戦果が上がらないままの苦戦続きで厭戦気分。 元将校だが、現在は二等兵のケリー(イーストウッド)は、たまたま捕らえたドイツ軍の将校の持ち物から金の延べ棒を発見。 将校に酒を飲ませて、前戦よりもさらに先の敵地の銀行に、莫大な金塊があることを聞き出す。 ケリーは、小隊長のビッグジョーや、資材部のハスラー、戦車隊のオッドボール軍曹などを仲間として、戦地で私的な銀行強盗を目論む…。 ドル箱三部作のヒットを手土産に、アメリカでも次々と主演を務めるようになったイーストウッドが、「荒鷲の要塞」に続きブライアン・G・ハットン監督と組んだ戦争映画。 ジャンルは戦争・アクション・コメディ。 戦争映画ジャンルのベストランキングにしばしば登場する1970年公開の名作である。 メインストーリーは、ドイツに占領された戦地フランスを舞台に、ケリー率いる米軍兵士たちが、ドイツの占領地内にある銀行からの金塊強奪を目指す、というもの。 戦場での戦闘描写はディテールにこだわりを見せて、なかなかリアリティがある。 特に今作の特徴と言えるのが、戦車の描写。 クライマックスでは、独軍の三台の強力なタイガー戦車に、オッドボール軍曹が操るシャーマン戦車でどう対抗するかが描かれている。 なお、戦車がテーマのアニメ「ガールズ&パンツァー」では本作のオマージュやパロディが見られる。 イーストウッドは西部劇のガンマン役や刑事役と並んで軍人役が多いが、今作でもダーティーな魅力のある元将校のケリーを好演。 他の面々も個性豊かだが、特に悲観論を忌み嫌うオッドボール軍曹がエキセントリックな独特の個性を放っている。 演じるのは、「M☆A☆S☆H」や「スペースカウボーイ」などの名バイプレイヤー・ドナルド・サザーランド。 戦場は過酷であり、常に死と隣り合わせにある。 そんな中、どうせ命を賭けるなら、金儲けに賭けたい、という開き直りが、シュールな笑いを呼ぶ。 金儲けのため敵地で奮闘する小隊の無線を、司令部が聞き取り、司令官が前線を突破した部隊がいることに大興奮するあたり、勘違いコメディ風で面白い。 本作のテーマは、戦争で死ぬなんて、馬鹿馬鹿しい!という点にあろう。 序盤から、小隊が直面して来た事態のバカバカしさが繰り返し描かれる。 部下を何の娯楽もない場所に残して、1人パリで休暇をとろうとする上官。 味方に砲撃し、機銃を掃射する友軍。 低い時給と見合わない任務の危険さ。 補給も戦略も顧みない司令部。 この馬鹿馬鹿しさの描写ゆえに、ケリーの金塊強奪の提案に、ドミノ倒しのように兵士たちが乗ってくる様に説得力がある。 ラストもこのテーマに沿ったオチが用意されている。 こうしたテーマから、今作は反戦映画と評価されることも多い。 1970年といえばベトナム戦争真っ只中であり、明らかに社会風刺的なメッセージ性が見られる。 反戦メッセージを、コメディのオブラートに包みエンタメ性を高めた点に、今作の名作たる所以があろうか。 上映時間2時間24分はさすがに長く、仲間を募る下りなど、やや冗長に感じる。 このあたりは、当時と今のテンポ感の違いというものかもしれないが。 戦車の描写や反戦メッセージをコメディタッチに描いた点に特徴がある、戦争映画の名作。 明るい音楽の使い方も、意図的に画面の過酷な戦場描写とズレていて、面白い。
戦略大作戦
のレビュー(585件)