記憶障害×映画!!映画『アリスのままで』に興味がある方にオススメしたい映画5選

人との出会いに日々感謝(ライター・編集)

大久保渉

アリスのままで

記憶を失うということは、頭の中で空白が広がっていく感じなのでしょうか、暗闇が広がっていく感じなのでしょうか。映画『アリスのままで』のエンドロールを眺めては、ふとそんなことを考えてしまいました。

『アリスのままで』は若年性アルツハイマー病を患った女性のお話です。原作はアメリカの神経科学者リサ・ジェノヴァが、神経科学の研究で出会った多くの人々からヒントを得て執筆したという同名小説です。

劇中、自身の病気(若年性アルツハイマー病)について語る主人公アリス(ジュリアン・ムーア)のスピーチが印象に残りました。

「苦しんではいません、戦っているのです」。それは恐らく、同じ症状の患者たちを励ますメッセージでもあっただろうし、見ている私たちに向けた、理解を求めるメッセージでもあったように感じられました。

記憶。上映時間。限られた時間の中にあって、映画は一体何を私たちに伝えようとしていたのでしょうか?アリスの気持ち?家族の気持ち?病気について?介護について?もちろん、そのすべてを一言でいいあらわすことはとても難しいことだと思います。ですが、私は主人公が最後にもらした「愛」ということば、その一言が、何か映画全体を言いあらわしていたように感じられました。

記憶障害×映画。『アリスのままで』の感動に負けず劣らず、記憶の障害と向き合う主人公、病と向き合う家族たち、そんな彼らに焦点をあてた映画を5つあつめてみました。『アリスのままで』を含めて、皆さまと感想を共有させていただるとうれしいです。

『フラッシュバックメモリーズ』(2012)・日本

フラッシュバック・メモリーズ

記憶を失ったディジュリドゥ奏者GOMAを追った、感動・感涙のドキュメンタリー

とにかく一度、見ていただきたいです!どんな言葉よりも、目で、耳で、心で感じる映画だと思います。交通事故により、高次脳機能障害の症状を発症、後にMTBI(軽度外傷性脳損傷)と診断された主人公。抜け落ちていく、過去の記憶。覚えられない、日々の記憶。そんなGOMAさんが如何にして障害と向き合っていったのか?如何にしてこれからを生きようとしているのか?彼の情熱あふれる演奏と、彼のこころの告白と、そして彼の奥さんのこころの告白がつづられていく映像を見ては、胸が震えてしまいました。本当にもう、音楽と映像が一体となって眼前に迫ってきます。そしてその迫力に、思わず涙がこぼれてしまいました。

好きなシーン

映像、音楽、GOMAさん、奥さん、子供さん、映画のすべてが大好きです。劇場公開時は3D上映が行われていたという今作。音と映像のめくるめく世界。それは監督がイメージした、GOMAさんの頭の中の世界。再びどこかでスクリーンにかかるようなことがあれば、絶対に見に行きたいと思っております(ご情報ございましたらば、是非)。

『恍惚の人』(1973)・日本

恍惚の人

「認知症」、「老人介護」の問題を、時代に先駆けて世に知らしめた傑作

1972年発行の、当時ベストセラーとなった有吉佐和子著の同名小説をもとにした映画。呆けてしまった義父の看病をするお嫁さん。何故だか彼女のことしか認識できない義父。糞便を漏らす、外を徘徊する、暴れ回る、等々認知症介護の難しさがこれでもかというほどに語られていきます。昼につけ夜につけ、寝ている時でさえも彼女の名前を叫び続ける義父の声がなんとも哀れでいて、いらだたしく…。初めは戸惑いと怒りを隠せなかったお嫁さんが、それでも次第に義父の看病をかいがいしくしていくすがたを見ては、そのしたたかさ、情の深さに感じ入ってしまいました。

好きなシーン

呆けた義父役を演じた、森繁久彌の演技のすべてが素晴らしかったです。憎らしく、可笑しく、悲しく、寂しく、突き放したいけど突き放せない。自分の排泄物をこねくり回して部屋の壁や襖に塗るシーンなんかは、もう本当に凄まじかったです…。

『きみに読む物語』(2004)・アメリカ

きみに読む物語

ニコラス・スパークス著のベストセラー小説を原作とする、奇跡の愛の物語

とある療養施設。アルツハイマー病で過去の記憶を失くしてしまった老婦人。そんな彼女に古ぼけた日記を読んで聞かせる老紳士。そこで語られるのは、過ぎ去りし日々のふたりの青春。ふたりの愛。過去と現在を行き来する場面の展開が、ふたりの絆、愛の深さを情緒豊かに物語っていきます。彼女のことを愛おしそうに見つめる老紳士の眼差しが本当に温かくて、そこに「永遠の愛」のかたちを見たような気がして、思わず涙ぐんでしまいました。

好きなシーン

ふたりがボートでデートする、小池のシーンが大好きです。川面に浮かぶたくさんの白鳥。木々の間から降り注ぐ木漏れ日。その映像(思い出)の美しさこそが、現在へとつづく愛の証なのだと思いました。

『やさしい嘘と贈り物』(2008)・アメリカ

やさしい嘘と贈り物

オスカー俳優マーティン・ランドー×エレン・バースティンの卓越した演技にも注目

孤独な一人暮らしの老紳士が、隣に越してきた老婦人を見ては、恋に落ちる。まんざらでもない二人の関係。そして男は彼女にプロポーズをすることに。「ずっと一緒にいてほしい」。しかしながら、彼女は実は、彼の「妻」だったのである…。認知症で記憶を失くした男のことを、影から支える家族のすがたが本当に感動的でした。夫と妻が、もう一度恋をする。例え記憶を失くしても、ふたりは再び結ばれる。そんなかけがえのない愛のすがたに、思わず胸が詰まってしまいました。

好きなシーン

マーティン・ランドーとエレン・バースティンのキスシーンが大好きです。両腕で肩をそっとだく老紳士。ゆっくりと顔を近づけて唇を重ね合わせるふたり。そしてパッと灯っていくクリスマスのイルミネーションの光が、なんともいえず素敵でした。

『50回目のファースト・キス』(2004)・アメリカ

50回目のファースト・キス

ドリュー・バリモア×アダム・サンドラー、笑えて泣けるラブストーリー

舞台はハワイ。記憶障害で前日の出来事を忘れてしまう女性。そんな彼女に恋をした男性。たとえ覚えていてもらえなくても、それでも彼女と一緒にいたい、そばにいたい。そのためだったら、何度だって想いを伝える。愛を伝える。そんな男の一途なすがたに、ついつい心を打たれてしまいました。彼女の父親だろうと、記憶だろうと、彼を邪魔できるものはなんにもない!好きなんだから、しょうがない!何度も何度も見返してしまうほどに大好きな一作です!

好きなシーン

詳しくは言えませんが、エンディングシーンが大好きです!ドリュー・バリモアは笑顔が一番!『ウェディング・シンガー』(1998)でもなんでも、彼女が笑うと心がパッと華やいでしまいます。今作の彼女の笑顔も、本当に素敵でした。

最後に

今回の5つの作品の中では、『フラッシュバックメモリーズ』が一番のオススメです。劇中のこの一言が、今も私の胸の中に残っています。

「未来の僕へ」

「今日も笑顔で思いっきり楽しんでいるかい?」

録画されたVTRを観ても、その日の記憶がないGOMAさん。

「ありのままを受け入れるしかない中で、今日やれることをやっていくしかなかった。」

本当にもう、自分も頑張ろうと思いました。本当に、毎日を一生懸命に頑張ろうと思いました。他にも未見ですが、

『明日の記憶』(2005)・日本/渡辺謙主演:中年サラリーマンがアルツハイマー病を患うお話。

『ガチ・ボーイ』(2007)・日本/佐藤隆太主演:事故で記憶が1日しか持たなくなった主人公がプロレスをやるお話。

『毎日がアルツハイマー』(2012)・日本:アルツハイマー病の母を2年半に渡ってカメラにおさめたドキュメンタリー映画。

等々、まだまだたくさんの「記憶障害×映画」作品があるみたいです。皆さまからのオススメ映画などもございましたら、是非とも教えていただけると嬉しいです!

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  • 紫煙
    -
    2000年に妻と26歳のときに結婚した際、私は彼女に向かって、40代でいちばん綺麗になると予言した。2人で45歳を迎えた2019年の今年、それが成就したことを私は誇らしく思っている。 ジュリアン・ムーアに私は関心を持ち続けていて、それはたぶん、若い頃よりも歳を重ねてからのほうが綺麗だから。彼女を見ていると、妻は50代でも、きっと綺麗でいられると予想できる。 少し親しくなった女性たちには、若いほうが価値があるという呪縛から逃れたほうがいいと、極力失礼がないように、いろんな言い方で伝えているけれど、理解されたことが1度もない。 彼女たちにそれを理解させるのは、パートナーの務めだからだろうと思う。 日本国憲法に書いてあるように「妻が夫に保障する美しさと魅力は、夫の不断の努力によって、これを保持しなければならない」。 ちやほやされるだけが幸福ではないことを知るのは知性によるものであり、(若さが終わった時に、周囲との比較で卑しい優越や劣等を抱えて醜くなっていくのではなく)、その知性を持続させるのは、やはり愛されているという実感のように思う。 醜く歳を重ねた女性は、ほんとうに醜い。その醜さは、性という合わせ鏡を通した、男性の醜さだろうと私は思っている。 この映画でアリスを演じるジュリアン・ムーアは、当時54歳。目指すべき像があることをありがたく思う。 作品の内容に関しては、アルツハイマーではないけれど、10年前に、母が病を得て亡くなった時のことを思い出しながら観た。 本人の苦しさと恐怖、戦うことの意味、浮き彫りになる家族ひとりひとりの本性。こんなに素敵ではなかったけれど、映画的お化粧を落としたなら、父を除いて、本質的にはこの映画のようだった。 正解などどこにもないように、不正解もまたない。 闘病と看病と亡くなり看取るまでのプロセスは、否応なくその家族の決算書をつきつけてくる。原題の「Still」からは、そうした冷厳な意味も私は感じた。 アリスのままでいるということは、アリスの(形作ってきた家族の)ままでしかないことも意味する。 それに直面したとき、人はまず間違いなく、直面する前に思っていたようには動けない。けれど、その動けなさを断罪する心は、野蛮でしかないだろう。 この映画のラストにもそうしたシーンがあるように、大好きで、大嫌いだった母が亡くなったとき、はじめて母と和解する道がひらけたように感じた。 人は死んでしまうのではなく、死ぬことができるのだと、母の死を通して私は考えるようになった。その死の形によっては、生きようとする生を解放することだってありうる。 私自身、逆の死に方だけはしたくないと願う。
  • いわの
    -
    記録
  • きよぶき
    3.8
    おばあちゃんのこと思い出した。 誰も悪くないの、悪いのは病気なの。
  • Aya
    3.7
    幸せな家庭を持ち、 輝かしいキャリアを築いた女性が 静かに、でも確実に、 何もかもが分からなくなってしまう 様を観続けるのが、 すごく切ない映画でした…。 「あなたは、私がこんな風に 私じゃなくなっていくのを 見るのが嫌なんでしょう」 と、アリスが夫に詰め寄るシーンが 1番印象に残っています。 サラリと流されたシーンだけれど、 その言葉の全てが重い。
  • Yukiya1105
    3.5
    memory remember family friends ゆっくり、 確実に、 自分のなかから、 消えていく。
「アリスのままで」
のレビュー(12115件)