サーヤさん、ネトフリでなに観てますか?『ノット・オーケー』『アルラワビ女子高校』『ミッドナイト・ゴスペル』

ネトフリをもっと楽しむ

Netflix Japan編集部

著名人の方々にネトフリでお気に入り作品を訊く連載シリーズ。
「暇さえあればNetflixを開き、AIのマッチ度が89〜98の作品は全部観る」とネトフリ愛を語る、お笑い芸人ラランドのサーヤさんが登場。今回ご紹介いただく作品は、『ノット・オーケー』『アルラワビ女子高校』『ミッドナイト・ゴスペル』です。

サーヤ

漫才コンビ、ラランドのボケ担当。M-1グランプリ2019にてアマチュアながら準決勝に進出し、2020年「新春おもしろ荘」への出演をきっかけにネットで話題に。2021年2月にはサーヤが社長を務めるラランドの個人事務所・レモンジャムを設立し、相方ニシダは正社員となった。また同年5月にサーヤは川谷絵音のソロプロジェクト・美的計画にCLR名義で参加し「ピーナッツバターシークレット」で歌手デビューを果たすなど幅広く活動を行なっている。
公式サイト/公式Twitter @sa___yaah/公式Instagram @sa__yah

地味な主人公と派手な超能力映像とのギャップ。超能力・異世界『ノット・オーケー

ノット・オーケー』は、地味なシドニーっていう女の子が、ある日突然自分の超能力に目覚める話なんですけど。大体そういうのって力を手に入れたらきらびやかな世界になるっていうストーリーが多いと思うんですけど、わりと鬱屈した生活のなかでその能力をちょっとずつ出していくんです。でも映像はすごく派手っていうギャップがある物語。

よく友達に「サーヤ、スピってんね」って言われるんですけど、スピリチュアルやSFがすごく好きなんですよね。超能力は本当に信じているんで、シドニーが持っている超能力って怒りがたまったときに爆発するじゃないですか。本当にありそうだなって思っています。

能力を持つとしたらどうなるんだろうな…。瞬間移動とか空を飛びたいですね。あんまり高度を上げるとパンパンになっちゃうんで、低めに飛びたいです(笑)。

主人公のシドニーとスタンリーはダサめのファッションなんですけど、観ていくうちにそういうカルチャーとして格好良く見えてくるみたいなところがあって。「逆にこのダサい服を着こなせてるの格好良くない!?」みたいな。ファッションにも注目してほしいです。

とくにスタンリーが良いキャラクターで、高校のなかでハブられてる側の人間なんですけどすごく明るくて。一番好きなシーンが、デートに行く前日に歌いながらお着替えするシーンがあるんですけど、そこを繰り返し観ていますね。ああいう虐げられている側を、悲惨に描かない感じがめちゃくちゃ好きです。

シドニーが女の子に恋に落ちるんですけど、自然の流れで恋に落ちていくところを描いていたのも良かったし、他の恋と変わらないっていう感じが伝わってすごく良かったですね。

好きなシーンは、冒頭でシドニーが血だらけで走ってくるシーン。あのインパクトがすごすぎて…。私、徐々に面白くなっていく作品って集中力が途切れちゃうんですけど、『ノット・オーケー』だけは最初にそれがくるので「何だこれ!?」ってなって、どんどん惹きつけられました。ちょっとグロテスクなのかなと思いきや、音楽やアートワークがポップな感じで、そのギャップが続いていくから面白いなって思います。

冒頭の血だらけで走ってくる理由が、観ていくと最後にわかるので「ああ、ここで繋がるんだ」っていうすっきりするシーンがあります。そこまでたぶん一気に観られると思います。

世界共通の女子校あるある? 文化・異世界『アルラワビ女子高校

アルラワビ女子高校』っていうヨルダンの女子校でいじめが起きるんですけど、いじめられた女の子がいじめてきた子に仕返しというか復讐していくっていう話なんですけど、ただの復讐劇という感じではないですね。ポップだし、真っピンクの学校だし、制服もかわいいし、ファッションもすごく素敵で、目は楽しいのにストーリーがもう泥沼っていう、すごいギャップのある作品です。

ヨルダンだとこういうことしたら良くないとされるんだってその背景みたいなのがわかります。宗教観、思想、文化的な背景みたいなのがすごく強く結びつきがあって。ヒジャブを被っている人と被ってない人がいるとか。観ていくとこういうことしたらアウトなんだとかこの国ではこれを良しとしてるんだとか文化的な背景まで勉強になったなと思います。

衝撃だったシーンがあって。ヒジャブを外して髪の毛をさらした状態で写真を撮って、好きな男の子に送るシーンがあってそのヒジャブを取るのにものすごく最初抵抗してるんですよね。だけど本当にこの人に信頼されたいとか本当に好きだよって伝えたいので、ヒジャブを取って長い髪を出して、セルフィーを撮って送るシーンがすごく好きなんです。日本だからわかんないけど、ヨルダンでは髪の毛を見せるっていうのが、そういう意味を持つ行為なんだと思って。そのシーンが文化的にも新鮮だったので好きですね。

私は中高6年間女子校出身だったので、リアルなのかなっていう興味本位で観始めました。女子校特有なのかわからないですけど、どの女の子の意見に従うかとか、この子と仲いいからこっちの派閥とは仲良くできないとか、あったなと思って観てました。当時私はどっちにも属さないで永世中立国みたいな立場で俯瞰してたんですけど、その派閥に入ってた女の子たちはどっちにつくかでめちゃくちゃ苦労してましたね。逆に敵対しているグループの女の子に仲良くされたら悪く言えないのもめっちゃリアルで、利害関係なく独特なそういう派閥みたいなところが日本の女子校の雰囲気とも近いかもしれないですね。

ノームのファッションがめっちゃ好きです。厳しい校則のなかで、わりと自由な制服の着こなしとパツンって前髪切ってデカめのヘッドホンをつけて学校に通っていて。最初はやっぱり転校生だからすごく閉ざしているけど、だんだん自分とリンクする部分を主人公に見つけて近づていって助言していくっていう。仲良くなる方法とかも似てるなと思って、ノームが打ち解けていくシーンはすごく好きですね。

アルラワビ女子高校』は、陰湿ないじめに対して陰湿なやり口で返してくるんですよね。それが何もメリットを生んでない感じがあって、いじめに対抗するときに同じ手段を選ぶってその人たちのレベルまで自分を下げる行為なんだなっていうのが描かれていて教訓になりました。同じような手段やすごく低俗な手段を選ぶと自分も徳がないんだなっていう。

加害者の子が優しさを見せるシーンがあって。ずっと毎秒いじめているわけじゃないっていう。自分のポリシーに反することがあったらそれは違うって言えるとか。いじめ問題って結局加害者が100悪いってなるのは当然なんですけど、その子の人生的な背景ってまわりで見ている人たちは確かに考えないよなって思いました。忘れちゃいけないのが、加害者にも被害者にも全部それぞれの人生があって家族がいて価値観があって。その人の背景みたいなのが大事なんだなって思いました。

復讐劇なんですけど、爽快感のある結末を求めてるんだったら観ない方がいいかな。だけど本当の意味での復讐劇は『アルラワビ女子高校』のオチなんじゃないかなと思ってるんで。現実に起こり得る復讐劇の結末が見たいのであれば、『アルラワビ女子高校』を観てみてもいいのかなと思います。

皮肉が効いた、大人の道徳授業。仮想・異世界『ミッドナイト・ゴスペル

仮想世界がテーマなんで、不思議な世界観の作品ではありますね。クランシーっていう主人公がいて、シミュレーターを使っていろんな並行世界に行きます。そこで出会った人にインタビューをしていくっていう。もともとはポッドキャストで人気になった方のインタビュー形式のお話みたいなのに、アニメが付いた感じなんですけど。そのアニメ自体もめちゃくちゃサイケデリックでポップで。映像を理解しようと思ったらもう何の話も入ってこないですね。人の気を引くためにああいうアニメーションにしてるだろうし、こういうカルチャーだよっていう見せ方のためにサイケなデザインにもしてるんだと思います。

ミッドナイト・ゴスペル』は大人の道徳授業に近い感じがします。小学校低学年までで道徳って終わるじゃないですか。でも意外とそこからアップデートしなきゃいけないことがたくさんあって。例えば社会に出てストレスが溜まったときの逃がし方とか、アンガーマネジメント的な部分だったりとか。大人の方が意外と道徳の授業が必要なんじゃないかなって生きていて思うんですけど。この作品を観て、ああこういう風な考え方もできるんだなとか。それこそ死後の話とか死との向き合い方とかあとは瞑想をすることによって自分の核となる部分に触れるヒントはいっぱいあるのかなと思うので、日常生活に疲れ切ってる人とかは一回観てもいいのかなって思います。

6話で瞑想の伝道師みたいなおじさんに会って、ボロカス言うんですけど。いいからやってみろと言われてやったらまんまとその瞑想のメリットにちゃんとブチ当たるところがすごく好きですね。だんだん自分と向き合っていって、お姉ちゃんと喧嘩したのは最悪だったな会いたいなってなっていくっていう深層心理にちゃんと辿り着ける。すごく皮肉が効いていて好きですね。

なんかアメリカンジョークって日本の笑いと違いすぎて好きなんですよね。こういうセンスの笑わせ方をするんだなとか。『ミッドナイト・ゴスペル』のジョークって、全部いいんですよね、丁度いい。皮肉と揶揄の感じというか、人を小馬鹿にするレベルの調節がうまいというか。直喩じゃないしちゃんと暗喩で人を馬鹿にしてる感じ。言葉のセンスがやっぱりいいですよね。

7話の葬儀会社のシーンもすごく好きなんですけど。この話だけはお笑いの要素は少なくてゲストがずっと死についてエピソードを語っていくんです。話し方も淡々としていて悲観的じゃないんですよね。全く死っていうものに対して人が死んでもすぐに家に人を呼ばなくていいとか、まずはじっくり死と向き合った方がいいって言ったりするんですよね。死って全員に訪れるものだからこそこう特質して大事にしなくていいんだみたいな雰囲気でずっとしゃべってるんですよね。そこが新鮮でした。

ここまでなんか淡々と話されると別に大したことじゃないのかなって思えてきて。すごく不思議な回なんですよね、7話って。死があるから大分人生が豊かになるみたいな教訓を得たというか。終わりがあるからそこに向けてがんばるみたいな。そういう人生の教訓みたいなのが詰まってたなと思います。それを観ながら確かにそうだよなって腑に落ちる話がいっぱいあります。

扱ってるテーマが死後の話とか瞑想とかちょっとスピリチュアルで、敬遠される方もいると思うんですけど、スピリチュアルなお話を真面目に語ってるっていうのがすごく好きです。日本人って受験のときは神社へ行ってお祈りしたりお守り買ったり、恋愛成就のためにいろいろラッキーアイテムをつけたりとかするのに、スピリチュアルって言われると急に拒否するんですよ。それ変だなと思っていて。スピリチュアルって根っこの話だからって思っていて…教祖じゃないですから(笑)。

なんでみんな死が怖いかって、知らないからだと思うんですよね。だから死後の世界の話を真面目に『ミッドナイト・ゴスペル』のなかでしていて、あと瞑想がなんで大事かとか、瞑想することによってどうなるのかとかを結構丁寧にに語ってくださってるのが良かったですね。勉強になるお話が多いです。堅い題材をポップに昇華してる感じが粋だなって思いました。

おすすめの見方はがっつり内容を観たらあと聞き流す。アニメーションがすごく私は好きなんですけど、こんがらがる人もいると思うので、普通にラジオ的な聴き方もアリです。寝る前とか声がとにかくいいんで、聴くだけでもたぶんリラックス効果があるんじゃないかなと思います。

衣装協力:LALOH / yurikaakutsu

転載元:Netflix note

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS