なぜか目が離せない…名だたる監督たちから寵愛される俳優アダム・ドライバーの魅力

2017.08.28
女優・俳優

映画と現実を行ったり来たり

ne22co

2015年公開『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で重要な新キャラクター、カイロ・レン役を演じたことで注目され、世界的スターに躍り出たアダム・ドライバー

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彼は2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロを機に、アメリカ海兵隊に入隊。怪我で除隊後、俳優を目指して名門ジュリアード音楽院に入学。そこで演劇を学び、小さな舞台やアメリカホームドラマ「GIRLS/ガールズ」出演を経て、映画業界へ進出を果たしたという異例の経歴の持ち主です。

映画俳優デビュー後はインデペンデント作品、ハリウッド超大作に関わらず、様々な役柄でその印象的な存在感を発揮し、マーティン・スコセッシ、コーエン兄弟、ノア・バームバックジム・ジャームッシュなど多くの名匠たちから寵愛を受ける、今最も旬な俳優の一人となりました。

今後も『スターウォーズ/最後のジェダイ』をはじめ、出演作品が続々と待機中です。

そんな彼が、過去に出演した作品から、間もなく公開の主演作品まで、アダム・ドライバーの魅力が溢れる演技がスパイスとして効いたオススメ作品をご紹介します。

アダム・ドライバーの作品に対するスパイス度を筆者独断で「AD度」として表記していますので参考にしてみてくださいね。

崖っぷち女子は共感度120%! 題名に隠された仕掛けに思わず笑顔が溢れる『フランシス・ハ』

【AD度☆☆】

近年、『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』や『20センチュリー・ウーマン』で女優として、また脚本家としても活躍の幅を拡げつつあるグレタ・ガーウィグ主演を務めたフランシス・ハ』。(ノア・バームバック監督)

パターソン

27歳、恋も仕事もうまく行かず人生宙ぶらりんのフランシスが、夢と現実の狭間で奮闘する物語です。

アダム・ドライバーはフランシスの友達レヴィ役で登場。スタイリッシュな出で立ちに、女性の心をくすぐる優しさをみせる、いわゆるモテ男子を演じています。

モノクロームの画面、スタイリッシュな音楽、所々にちりばめられたユーモア……自由で情熱的、まるでモダンダンスを踊るように生きるフランシスの姿に愛おしさが溢れ、元気がもらえる作品です。

猫好きにもオススメ。観れば観るほど味が出るスルメ映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名も無き男の歌』

【AD度☆☆☆】

コーエン兄弟監督、オスカー・アイザック主演のインサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌ボブ・ディランが憧れたという実在のフォークシンガー、デイヴ・ヴァン・ロンクをモデルに描いた物語で、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞作品です。

ルーウィンデイヴィス

ニューヨークを舞台に活動するシンガー・ソングライターのルーウィン・デイヴィスは、素晴らしい才能を持ちながらも歌手として売れず、その日暮らしで生きています。居候中に知人の猫が逃げてしまった事をきっかけに、彼のとことんついていない1週間が始まります。

作中、デイヴィスがコロンビア社でレコーディングに参加した際、同じグループでコーラスをするメンバーのアル・コーディー役を演じたアダム・ドライバー。出演自体は数分間なのですが、とてもインパクトのあるコーラス役として低音の美声を披露しています。

彼らが歌う「Please Mr. Kennedy」は思わず吹き出してしまうようなリズムと歌詞で何度も聴きたくなってしまうはず。

他にもコーエン兄弟ならではのユーモアとこだわりが光る本作。劇中のルーウィン・デイヴィスの演奏シーンがアフレコではなくライブ撮影されており、音楽好きの人にもたまらない作品となっています。

人間の強さと弱さ、信仰とは何かを真っ向から問いかける。『沈黙ーサイレンスー』

【AD度☆☆☆☆】

昨年公開し、日本でも大きな話題となった遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙ーサイレンスー』。

沈黙

江戸初期の幕府によるキリシタン弾圧を描いた本作。日本で捕らえられ棄教したとされる宣教師フェレイラを追い、長崎へ潜入した若い二人の宣教師ロドリゴとガルペ。彼らは当時の幕府による想像を絶する厳しいキリシタン弾圧を目の当たりにしながら、それぞれが信じる信仰と自分自身の在り方を問い続けます。

アダム・ドライバーはイエズス会の若き宣教師ガルペ役を熱演。本作の為に23kg減量し、78日間に及んだ撮影は精神的にも肉体的にも大変過酷だったそうです。

文字通り心も身体もこの作品に捧げたアダム・ドライバー。やせ細りぼろぼろになったガルペが最後に選んだ決断のラストシーンには心が震えるはず!!

ジム・ジャームッシュ監督4年ぶりの新作『パターソン』

【AD度☆☆☆☆☆】

現在絶賛公開中の『パターソン』。

フランシス

本作で主演を務めるアダム・ドライバー。アメリカのパターソン市でバスの運転手をしながら、詩人として日々を過ごすどこにでもいるような一人の男性、パターソン役を演じています。

毎日同じ時間に目を覚まし、妻にキスをし、歩いて職場へ向かいます。黙々と仕事をこなし、帰宅後は妻の手料理を食べ、愛犬と散歩をし、近所のバーで1杯のビールを飲む。そんな彼の繰り返しの1週間を描いた作品です。

詩人である彼の生活は単調なようでいて、毎日が少しずつ違います。日常の中に見え隠れする詩的でキラキラとした美しさや愛しさを拾い上げて詩を紡ぎ、毎日に満足しながら丁寧に日々を生きるパターソンの姿は、日々をせわしなく生きる私達に、立ち止まって自分自身の生き方を考えたり感じるきっかけをを与えてくれることでしょう。

ジム・ジャームッシュ監督ならではの、穏やかでありながら洗練された画面1シーン1シーンに癒される本作。劇中、画面上に挿入されるアダム・ドライバー直筆によるウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩のフレーズもそれぞれのシーンに彩りを添えています。

パターソン市のパターソン役というキャラクター設定は監督が以前パターソン市を訪れた際に思いついたアイデアから決まったそうですが、アダム・ドライバーが運転手(ドライバー)役なのは偶然だそうです。(とはいつつもジャームッシュ監督の遊び心では……と思ってしまいますよね。)

ぜひアダム・ドライバーの魅力に注目してそれぞれの作品を楽しんでくださいね!

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  • AzumiSuzuki
    4.0
    ある男性の日常を切り取っていく淡々とした作品であるが、その毎日に同じ日は一度もなく、毎日が特別であることを教えてくれる。変わらずそこに在るものに対する愛おしさを、再確認できる。
  • netfilms
    4.3
     ニュージャージー州パターソン市で、バスの運転手をしているパターソン(アダム・ドライバー)。彼の1日は定刻に起きるところから始まる。キングサイズのベッドに枕を二つ並べ、いつも傍らには彼の妻のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)が眠る。テーブルに置いた時計で時刻を確認するのが彼の癖で、1人寂しく朝食のシリアルをゆっくり口に運ぶ。夫婦はまだ子供がおらず、妻は自由気ままに創作活動に励んでいる。バスの運転手の仕事というのは、定刻通りに目的地に着いて、また新たなお客様を乗せなければならない。常にオンタイムが要求される仕事で、彼の毎日は淡々とした日常を刻んで行く。だが同じような日常でも、一度たりとも同じ出来事は起こらない。キングサイズのベッドの上、背中合わせに眠ることもあれば、相手の呼吸を感じながら目覚める朝もある。妻のローラがパターソンよりも早く目覚める朝もある。淡々とした日常は反復しているように見えて、そこに僅かに見られる差異をしっかりと浮き上がらせる。パターソン市に住む市井の人々のなんて事ない1週間は、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』で病気になった叔母の家から従妹のエヴァ(エスター・バリント)がやって来た10日間や、『ミステリー・トレイン』でジュン(永瀬正敏)とミツコ(工藤夕貴)がメンフィスに滞在した数日間と決定的に違う限定された時間に過ぎない。  旅行者たちは普段は決して立ち寄らない異空間・異文化をカルチャー・ショックを持ちながら受け止め、時間を消化して行く。一方でバスの運転手であるパターソンの日常は例えば双子の子供が生まれたりするかもしれないが、これから定年退職を迎えるまで、未来永劫変わらない。その時間の流れはグレートフォールズの滝の流れが絶対に逆流しないことに似ている。パターソンはその不可逆な時間の流れを書き留めようと秘密のノートに詩を綴る。午前中、脳内で何度も推敲した言葉を彼はランチの後にノートに記す。バスの乗客の何気ない会話、ブルドッグの散歩の帰りに一杯だけ呑むBARで次々に起こる出来事、そして心落ち着けるマイホームでの妻とのやりとり、壁にかけられた額縁の微妙な違い。パターソンは決して饒舌ではないが、彼の表情は何よりも豊穣に言葉を綴る。妻にねだられたアコースティック・ギター、移民の妻の手作りのスウィーツのイマイチな味に男は癇癪を起こすことなく、ただ妻の言葉にじっくりと耳を傾ける。ウィリアム・ジャクソン・ハーパーやバリー・シャバカ、メソッド・マンなど登場人物たちのクローズ・アップと豊穣な語り口がいちいち素晴らしい。思えばジャームッシュの作家性は『パーマネント・バケーション』の頃から本当にブレない。ストーリー・テラーではなく、映像詩を紡ぐジャームッシュ独特の無常感、複雑な構造をスピーディーに矢継ぎ早に繰り返す昨今のジェットコースターのような映画とは対照的な、シンプルで拍子抜けするような朴訥とした物語を味わう傑作の誕生である。
  • あまにょ
    4.1
    この映画大好き。毎日同じようで、同じじゃない。なんでもない平凡な日々の中にも、新しい出来事や小さな変化がある。そんな日々がきっと幸せなのかな〜。あと、犬のマーヴィンが可愛い。
  • guchiyamaaka
    4.4
    人力の四打ちのようなささやかな日々の繰り返し、少し浮遊した目線であるバスの運転席に運ばれるちょっとのwonderを集めては昇華させそれはまるで刻み込むように画面に打たれる 詩。カルチャーの申し子のようなジャームッシュによる原点回帰かつ最新型のビートニクスであった。個人的には最高傑作。 日常を芸術に昇華させてきた彼がその芸術を日常にそっと還したかのように謳っていたのは、あらゆる芸術よりも人々の生の営みこそが最も尊いということ。疲弊した主人公の前に現れた永瀬正敏の存在も良かった。
「パターソン」
のレビュー(9434件)