君は知っているか!?今月が「エミール・クストリッツァ月間」であることを。監督なのに“ライブ公演”で来日って、一体何者?

映画狂の唄を大いに謳おう

ロックス

皆さんは旧ユーゴスラビア出身のエミール・クストリッツァ監督をご存知でしょうか? 史上屈指の大団円のエンディングを迎える代表作『アンダーグラウンド』をはじめ、数々の名作を生んできた監督です。

さて、突然ですが2017年9月は、史上稀に見る「エミール・クストリッツァ月間」となっているんです。知っていましたか? そこで今日は、めくるめくクストリッツァの世界をご紹介します!

そもそもエミール・クストリッツァって?

「エミール・クストリッツァ」って誰だ?なんて思う方もいると思うので、まずはご紹介を。名前を一度覚えれば二度と忘れませんが、覚えるまでになかなか時間がかかるかと思います。「エミール・クストリッツァ」です。覚えましたか? 激動のユーゴスラビア・サラエヴォ(現・ボスニア・ヘルツェゴビナ)に産まれ落ちます。なくなってしまった祖国・ユーゴスラビアを愛するクストリッツァは今でも「ユーゴスラビア人」を称します。その作風は愛するユーゴスラビアへ捧げられたものが中心となっています。

特に、彼の代表作である『アンダーグラウンド』はユーゴスラビアの歴史を追った、およそ3時間に及ぶ大サーガとなっています。

一見、ユーゴスラビアの歴史が3時間続く映画、と聞くと少し引いてしまうかもしれませんが、ご安心ください。この『アンダーグラウンド』に限った話ではないですが、彼の作品は全てにおいて「楽観的」であり「ファンタジー」なのです。 激動の内戦を描いているので、もちろん悲しいシーンもありますが、それ以上になによりも映画史上屈指のエンディングが待っていることは保証します。(観てのお楽しみです)「この物語は終わらない」、観終わった後、あなたはきっと、この言葉の重みがよくわかるはずです。

クストリッツァ月間その1 満を持して『アンダーグラウンド完全版』が期間限定で公開!

あんづ

さて、ただでさえ3時間に及ぶ長編映画『アンダーグラウンド』ですが、なんと今月16日(土)から未公開シーン143分を加えた(未公開シーンが143分もあるなんて!)5時間14分に及ぶ『アンダーグラウンド 完全版』が初公開されます! 本物の『アンダーグラウンド』をついに観ることができるのです! なお、本編は前後半に分けて上映されます。期間中、通しで「完全版」 を観ることができるのはたったの7回! 急いで劇場に向かいましょう!

クストリッツァ月間その2 新作『オン・ザ・ミルキー・ロード』公開

だ

そんなクストリッツァ監督の新作が満を持して9年ぶりに公開されます! その名も『オン・ザ・ミルキー・ロード』!主演はモニカ・ベルッチ、そしてエミール・クストリッツァ! なんと監督自ら主演! 予告編をみるとあのモニカ・ベルッチとイチャイチャするシーンが垣間見えます。役得とはまさにこのこと。羨ましいぞ! クストリッツァ!

クストリッツァ月間その3 旧作も公開

じぷし

くろ

『アンダーグラウンド完全版』に合わせて、恵比寿ガーデンシネマでは「ウンザ・ウンザ・クストリッツァ2017」と称して旧作も公開! 第42回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作『ジプシーのとき』、第55回ヴェネツィア国際映画祭監督賞受賞作『黒猫・白猫』、2002年に日本で公開された音楽ドキュメンタリー『SUPER8』など過去の名作もチェックしましょう!

クストリッツァ月間その4 なんと監督が率いるバンド・「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」が来日公演!

うんざ

クストリッツァ月間の幕開けを宣言するように先日、ZEPP TOKYOにてエミール・クストリッツァ監督率いる「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」の来日公演が開催されました! そうなんです。バンドやっているんです。

映画監督なのに。ジプシー、ハード・ロック、スカ、行進曲といった異なる要素を融合させたミクスチャー・サウンドは通称“ウンザ・ウンザ・ミュージック”と呼ばれています。僕もファンとして観に行ってきました!

舞台上にファン(女性のみ)を招き上げ、踊りまくるクストリッツァ監督。完全にウケ狙いの(少し狂気を帯びた)演出の連続。やりたい放題とはこのこと。単なるロック・スターでした……。映画監督なのに……。

だ
写真は会場限定Tシャツも買って上機嫌の私です。アホ面です。なかなかウンザ・ウンザしていると思います。

以上、今月はエミール・クストリッツァが熱いです! もう覚えましたね? エミール・クストリッツァです!

「今月はクストリッツァを観に行クストリッツァ!」

「ウンザ・ウンザ・クストリッツァ2017」
http://mermaidfilms.co.jp/unzaunza/

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  • れい
    3.3
    これどこで撮影したんだろう ってくらいナイスなロケ地🙆‍♀️ 🐏🐑🐏🐑オーマイガーな羊達😂
  • SAE
    3.8
    ビッグブラザーがいる限り
  • Roca
    4.3
    紛争の続く中で出会った二人の逃亡劇。 真剣に逃げる姿、執拗に追う者たち、彼らを囲む雄大な自然。終盤の主人公、その15年後の光景に涙が溢れた。 3つの実話に基づき、多くの寓話を織り込んだ物語。
  • 開明獣
    5
    同胞が贄となった血を自ら浴びて跳ね狂う家鴨、ミルクに舌なめずりする毒蛇、音楽に合わせて巧みに踊るハヤブサ、鏡に映る己の姿に驚き卵を産む雌鶏、動物たちの奇妙奇天烈な振る舞いに囲まれて、主人公コスタは雨霰と降る弾丸をかいくぐって驢馬を疾駆させミルクを配達する。やがて戦争は停戦となり、シンコペートの効いたロマのフォークロアにのって、人々は狂喜し踊り明かす。だが、平和は束の間のものだった。理不尽な多国籍軍の攻撃が始まり、村人は酷くも虐殺されていく。辛くも難を逃れたコスタは、同じく難を逃れた花嫁役のモニカ・ベルッチ(劇中では、彼女に名はない)とあてどもない逃避行に旅立つ。 冒頭からエミール・クストリッツァが紡ぎ出す不思議な世界に没頭してしまう。ボスニア近辺の民族紛争は複雑で根が深く、我々日本人には理解するのは困難だ。近年では、カナダ人の作家、スティーブン・ギャロウェイの著書、「サラエボのチェリスト」で取り上げられ、米国人作家、「ガープの世界」、「ホテル・ニューハンプシャー」で著名なジョン・アーヴィングは、その初期の作品「158ポンドの結婚」の中で、一部その民族紛争の凄惨な有様を扱っている。アーヴィングや、その師匠のカート・ヴォネガットも、奇想と笑いの中に悲劇を織り込む達人だった。この作品にもそれに近いものを感じてしまう。喜劇と悲劇はまさに隣り合わせで、我々の綾なす人生を形作っているのだと。笑いと哀しみに関して、ヴォネガットはこう言っている。 「人間はどうしようもなく哀しい時は、実は笑いしか出てこないものなんだよ」 まさしく至言であろう。 クストリッツァ節全開のこの作品は、誤解されやすいが、いわゆる奇想を誇るようなポストモダン的なメタフィクションではない。悼ましい戦争が残す傷跡への深く、激しく、だが静かな怒りに鎮魂の歌を聴いた。戦争という絶対悪への諦めと憎しみなのか、それとも絶対悪をやめない人間への憤りと哀しみなのか。 最後のシーンが我々に問うものは何か。遠くから祈りの声が聞こえてくるようだった。
  • Scriabin
    5
    ジャケ写に惑わされて思いっきり遊園地な映画かと思いきやすごいダークでした。アンダーグラウンドの時の圧倒的物量、えも言われぬ笑いのセンス、世界を虜にしたジプシー音楽は鳴りを潜め、涙と感動の反戦映画になっていました。アンジェリカの微笑みにも似た空中浮遊のシーンをはじめとして、映像技術によって作られたきれいでかわいい世界観がありました。不条理な現実を笑い飛ばすことはもうない。幸せな天国を夢見させることもない。そこにはただただ「生」があるだけ。崩壊後のユーゴスラビアがくぐりぬけてきた戦火の激しさがそこに表れていました。アンダーグラウンドから20年、色んなことが変わっても、監督の生命への愛は変わってないんだろうなと思います。
オン・ザ・ミルキー・ロード
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