2018年に連続ドラマがスタートし、スペシャルドラマの放送、劇場版も作られた人気作品が『コンフィデンスマンJP』。
シリーズを通して登場するのは、長澤まさみ、東出昌大、小日向文世。彼らをメインキャストに、コンゲームを題材にした作品だ。そのドラマを描くのは、2023年の大河ドラマ『どうする家康』脚本家の古沢良太。
ちなみにこの作品でのコンゲームは、悪巧みなどで荒稼ぎしている金持ちをターゲットに、彼らを信用させることで金品を奪うコンフィデンスマン(信用詐欺師)を主人公に物語が進んでいく。
その主人公たちをコミカル描きつつ、あらゆるところに散りばめられた伏線をスマートに回収する古沢良太の巧みな脚本。そして変幻自在な演技がピタッとハマる長澤まさみらのキャラクターがうまくマッチしているところに多くの人が魅了されている。
ついに主人公たちに逮捕の危機が迫る本作を、ネタバレありで解説していく。
『コンフィデンスマンJP 英雄編』(2022)あらすじ
しばらく大きなオサカナを釣り上げていないダー子、ボクちゃん、リチャード。
というのも、彼女たちの師匠・三代目ツチノコが亡くなった寂しさから、この2年間、どうも調子が上がらないのだ。
そこでダー子が思いついたのが、かつてツチノコともやった懐かしいゲームをすること。それは詐欺で誰が一番稼げるかを競い、負けた人は勝った人の言うことを聞かなければいけないゲーム。ボクちゃんはダー子を詐欺師から引退させるため、リチャードは最後に一花咲かせるため、そしてダー子はある思いを抱き、3人の真剣勝負「ザ・ラストコンゲームグランドフィナーレバトルロワイヤル」が開催される。
舞台は地中海に浮かぶ世界遺産の都市・マルタ島のヴァレッタ。ゲーム期間は7日間。
ダー子がオサカナとしたのは、危険な密輸貿易で荒稼ぎし、引退したスペインマフィアのジェラール・ゴンザレス。狙いは彼が隠し持っている20億円の美術品・踊るビーナス。そのために、五十嵐、ちょび髭、モナコを味方につけ、ジェラールに近づくダー子。
しかし、ジェラールを狙っているのはダー子だけでなく、ボクちゃんも同じ。そして、リチャードは波子と組み、踊るビーナスを手に入れるために何かを企んでいる様子だが……。
※以下、『コンフィデンスマンJP 英雄編』のストーリー展開ネタバレを含みます。
主な登場人物
<コンフィデンスマン>
ダー子(長澤まさみ)
オサカナ(ターゲット)から大金を奪うことが大好き。普段はふざけているが、オサカナをハメる戦略が天才的で頭の切れる詐欺師。
ボクちゃん(東出昌大)
「詐欺師をやめる!」が口グセ。ダー子の幼馴染の詐欺師。
リチャード(小日向文世)
ダー子とボクちゃんが幼いころから知っている手練の詐欺師。
五十嵐(小手伸也)
ダー子のことが大好きな腕利きの詐欺師。
モナコ(織田梨沙)
劇場版第1弾「ロマンス編」から登場。ダー子に弟子入りした子猫(詐欺のサポートをするメンバー)。
チョビ髭(赤ペン瀧川)
たびたびダー子たちを助けてくれる詐欺師。
波子(広末涼子)
スペシャルドラマ「運勢編」から登場。リチャードお気に入りのハニートラッパー。
コックリ(関水渚)
劇場版第2弾「プリンセス編」から登場。ダー子の差し金で大富豪・フウ家の当主になった子猫。
三代目ツチノコ(角野卓造)
ダー子たちの師匠。彼女たちも敵わない伝説のコンフィデンスマン。
<今回のオサカナ>
ジェラール・ゴンザレス(城田優)
危険な密輸貿易で莫大な財を手に入れ引退したスペインのマフィア。
畠山麗奈(生田絵梨花)
ゴンザレスの内縁の妻。その美貌で男を惑わす。
<ダー子たちと対立>
マルセル真梨邑(瀬戸康史)
インターポール(国際刑事警察機構)のスーパーエリート捜査官。オッドアイが特徴。ジェラールとは友人。
丹波(松重豊)
警視庁捜査二課の刑事。日本に限らず世界をまたにかけ荒稼ぎする正体不明の3人の詐欺師を追っている。
赤星栄介(江口洋介)
日本のゴッドファーザー。ダー子に騙されて以来、復讐心に燃えている。
オサカナだけでなく、インターポールと日本の警察も騙すことに!?
今回、ダー子たちはオサカナとの駆け引きだけではなく、インターポールや日本の警察も騙さなければいけない状況に追い込まれてしまう。そのせいで危険度が上がっているところが見どころ。
偶然、ジェラールの友人だったことから、彼を詐欺師から守るためインターポールのスーパーエリート捜査官・マルセル真梨邑が登場。彼がダー子たちの前に立ちはだかる。
それだけでなく、ダー子たちを追う警視庁捜査二課の丹波の存在も。彼は、赤星が裏金として持っていた巨額の財産をダー子たちに騙し取られていたことをどこかで嗅ぎつけ、粘り強く捜査していたのだ。
しかも丹波は赤星がダー子たちに復讐するためマルタ島入りした情報をキャッチ。そして現地まで追いかけてきて、真梨邑と合流してしまう……!
インターポールと警察に睨まれながら、ダー子たちは無事、踊るビーナスを手に入れられるのか?
ダー子たちとも関係深いキーパーソン「ツチノコ」とは?
ダー子たちの苦難は、真梨邑と丹波以外にも。
ちょうど彼女たちがジェラールのお宝を狙っていた時期に、「ツチノコ」なる詐欺師が世界の美術品を盗みまわっていた。そのため、ダー子たちが手に入れたい踊るビーナスは、ツチノコも狙っている一品。
そのこともあって、真梨邑が警戒を強めていたのだ。
真梨邑からツチノコの名前を聞いて驚くダー子たち。上記の「あらすじ」にもある通り、三代目ツチノコはダー子たち3人の詐欺師の師匠なのだ。しかも彼が亡くなっているということは、現在実行しているのは三代目を継いだ「四代目ツチノコ」ということ。
そもそもツチノコとは、貧しい人々のために活躍した詐欺師。かつて日本が貧しかった時代、金持ちは陰に隠れて豪遊していた。それに目をつけ、金持ちを騙し、奪った美術品を貧しい人々のために使ったのだ。それ以来ツチノコは、「英雄」と呼ばれていた。
四代目も自身が「英雄」のつもりで、金持ちのところからお宝を狙っているらしいが、その卑劣な手口を見ると、単なる自己満足の窃盗にしか思えない。
ちなみに三代目ツチノコはダー子を一番かわいがっていたため、誰もが四代目はダー子だと思っていた。しかし、三代目が指名したのはダー子ではなく……。
「英雄」気取りで詐欺を行っている四代目とは一体誰なのか⁉︎
関係者を誘拐する「四代目ツチノコ」!その正体は?
真梨邑、丹波たちが警戒を強める中、ジェラールの内縁の妻・麗奈がボクちゃんとともに拐われる事件が発生。
麗奈は心臓が弱く、自分の治療費を賄うためジェラールの妻になったのだ。それを知ったボクちゃんが、買い物に行くふりをして逃亡しようと企てたときに行われた誘拐。
その犯行を真梨邑は四代目ツチノコだと断定。
そんな最中、ボクちゃんはなんとか麗奈を連れ、脱出を試みる。しかしそのことに気づかれ、ツチノコとその仲間に再び捕らえられてしまう。
そこでボクちゃんが主犯として目にしたのが、リチャードで……。
スマートな詐欺をするリチャードが誘拐なんて手荒な手段を使うのか? そして四代目ツチノコは、リチャードなのか⁉︎
ついにダー子たちがインターポールと警察に捕まる!?
真梨邑のおかげで誘拐犯から無事救出されたボクちゃん。
しかし、ともに助けられた麗奈がもともと弱かった心臓のせいで重体とわかり、責任を感じる。しかも、四代目ツチノコがリチャードかもしれないという疑念が晴れない。また、ボクちゃんは今回のゲームに参加したそもそもの目的がダー子を詐欺師から引退させることだと思い出す。
そしてある決意を……。そのせいでダー子とリチャードはインターポールと警察の板挟みに!
ついにダー子たちコンフィデンスマンは逮捕されてしまうのか!?
大どんでん返しから見えてくる真の「英雄」とは?
『コンフィデンスマンJP』の題材は冒頭にも言った通りコンゲームだ。このジャンルの特徴は、騙し合いで二転三転するストーリー。
ということは、これまで解説してきた出来事はあくまでも物語終盤に向けてのキーポイント。
どこまでが本当でどこからがダー子が仕掛けたことなのか。観ている側も騙されるアッと驚く大どんでん返しの展開が待ち受けている。
シリーズを通しての決まり文句「目に見えるものが真実とは限らない」と言える結末に期待していてほしい。
それを踏まえてチェックしてほしいところがある。現在はフウ家の当主であるコックリがダー子たちにした相談話。そしてダー子が三代目ツチノコと交わした約束だ。ここを押さえておけば、今回のタイトルにある「英雄」の意味をより深く理解できるはずだ。
また物語の冒頭で、なぜダー子がボクちゃんとリチャードにゲームを提案したのか。個人的にはここも見どころのひとつ。その答えが、このシリーズがなぜ続くのか、その核心に迫るメッセージのように見えるのだ。その意味を味わうためにも、ぜひダー子とボクちゃん、リチャードの過去を描いた部分も見逃さないでほしい。
なお、マルタ島で出会う謎の女(真木よう子)も必見。この人の存在が、劇場版第4弾の伏線になっている気がしてならないのだが果たして……。
余談だが、「ロマンス編」、「プリンセス編」に登場した人気キャラクターである三浦春馬演じるジェシーと、竹内結子演じるスタア。この2人も物語の中では健在! どこで登場するのか、こちらも要チェックだ。
(C)2022「コンフィデンスマンJP」製作委員会
※2023年2月14日時点の情報です。