「代表作になった」と菅田将暉が断言する映画『あゝ、荒野』衝撃の305分、一瞬たりとも目が離せない

1960年代後半、激動の日本のなかで演劇、映画、文学とマルチに活躍し、今なおカルチャーアイコンとして注目され続ける寺山修司。

新宿を舞台に、ひょんなことから知り合った2人の若者。登場人物の“心の孤独”を独自の手法で描いた「あゝ、荒野」は、生涯で膨大な量の文芸作品を生み出した寺山の唯一の長編小説です。2011年に故・蜷川幸雄演出、嵐・松本潤主演で舞台化もされています。

傑作小説の出版から半世紀以上経った今、2020年東京オリンピック後を舞台に、現代の人々の感覚や大都市が持つ空気感を落とし込み、新たな物語として大胆に再構築、映画化したのが本作、『あゝ、荒野』です。

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監督を務めるのは『二重生活』の岸善幸菅田将暉ヤン・イクチュン、W主演となる2人の305分におよぶ魂のぶつかり合いと、衝撃のラストが観賞者の心を揺さぶる本作。先日filmarksユーザー向けに行われた先行試写会終了後、サイトに届いたレビューと共に、本作のみどころをご紹介します。

役者人生初の肉体改造、過酷な撮影に挑んだ菅田将暉が本作に込めた想いとはー

本作の主演は『共喰い』、『キセキ あの日のソビト』、『帝一の國』をはじめ、ヒット作や話題作への出演が続く若手実力派の筆頭格、菅田将暉。

近年は映画だけでなく、音楽、ファッション、アニメなど、様々なシーンで彼を見ない日はないほどの人気の俳優へと成長を遂げました。
今回菅田が演じるのは、幼い頃母親に捨てられ、詐欺師集団の仲間にも裏切られ、心に大きな孤独を抱えた少年院あがりの沢村新次(リング名・新宿新次)。

幼少期のトラウマを心に抱え、行く手を阻むものへの強い反発、勝つことへの飽くなき執着を持った若者・新次は、ボクシングに出会い、若さ故の無鉄砲な純粋さですべてを吸収しながらみるみる頭角を表します。
自分自身でも制御しきれないほどの感情とエネルギーを爆発させ、文字通り肉体と肉体でぶつかり合う新次。

しかし、新次の心の奥底にある孤独感は、ひょんなきっかけで出会い、ともにボクシング始めた信頼できる存在のアニキこと二木健二(リング名・バリカン健二)や恋人・芳子と深く関わっていても埋まることはありません。

本作で菅田は、役者人生初の大きな肉体改造に挑戦。劇中でボクサー新次の成長にあわせ、身体を絞り、筋肉を付けていったといいます。
これまでの菅田がみせる線が細くフェミニンな印象とはかけ離れた、ボクサーとして熱を帯びた男らしい姿は、本作の大きなみどころとなっています。

心を許し互いの成功を応援し合う新次と健二。しかし互いを想うからこその心の中の葛藤に、自身の実生活における友人との経験を重ね合わせて演じたという菅田。彼の等身大の想いもこもった演技は、大切な人がいる人間ならば誰もが心を揺さぶられるはずです。

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■シリアスありギャグありのテンポがいい、157分があっという間な作品でした!菅田くんのボクシングがとにかくかっこよかったです 泥臭い話だけど女性でも十分楽しめます!(0726_u07さん)
■すごい泥臭いボクシングをイメージしてたけど、プロになりたいとか、強くなりたいっていう気持ちだけじゃなくて、相手に対しての憎しみや仲間への嫉妬?とか色々混ざってボクシングの道で進んでいく主人公2人がかっこいいです。濡れ場が多めだけど、そんなプライベートのリアルがあるから自分の道を進むことが出来るのかなとも思いました。(5hjbbcさん)
■色んな登場人物の感情が混ざりあってる映画。菅田将暉さん演じるシンジの演技とは思えないむきだしの感情。最後のリングのシーンは特に惹きこまれました。(910299792458さん)
■あっという間の157分だった。最後は、菅田将暉の本気を見たという感じ。後編も早く観たい。(ai7878さん)

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もう一人の主人公、ヤン・イクチュンの怪演

本作で菅田将暉と共に主役を演じたヤン・イクチュン。大韓民国出身の彼は、自ら監督、脚本、主演をつとめた『息もできない』で、世界の映画界に衝撃をもたらし、各国の映画賞を総なめにしました。西川美和宮藤官九郎といった名監督からも出演オファーを受け、日本映画とも関わりの深い俳優です。

そんなヤンが演じるのは幼い頃から父親の暴力におびえながら育ち、優しい性格の健二。吃音と赤面対人恐怖症に悩み、引っ込み思案で社会の陰に隠れてひっそりと生きてきたなかで、新次やユースケ・サンタマリア演じる元ボクサーの“片目”こと堀口に出会います。彼らとの交流を通じて、自分自身と向き合い、自らを変えたいと強く思うようになります。

本作でヤンは、心の孤独を埋めてくれた人への憧れ、信頼する気持ちゆえの葛藤を抱えた健二の複雑な心情を演じるにあたり、岸監督から「ミスター演技設計」と呼ばれるほどの緻密な計画を立て、菅田同様、半年に及ぶ肉体改造で10kgの減量に成功、心身ともにハードな撮影を見事にこなしました。

ストイックかつ頑丈な肉体と、相反する繊細な心の内、激しくも切ない人生を体現したヤンの演技は、菅田の快演を凌ぐほどのすごみと深みで観るものを捉えて離しません。

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■新次の菅田さんには、ボクシングも見事だけど、行動・言動に目がはなせない。バリカンのヤン・イクチャンさんのボクシングのポテンシャルの高さに期待しちゃうなー。登場人物全員が魅力的で、後半にどう人間関係が集約されていくのか楽しみです。はやく後半も見たいです。(624kenさん)
■ボクシングでスカッとするよりは、それぞれのキャラの掘り下げにディテールを置いてて、新宿の街を剥き出しに撮ってたり、菅田将暉も抜群だし、ヤンイクチュンも演技がうますぎる!(BUFFALO1Q85さん)
■ヤン・イクチュンのかわいさ、が、あまりにも好き…(ano_neさん)

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魂を揺さぶる305分の怒濤。この作品はあなたの人生を変える!

本作は社会にはじかれ、孤独を抱えた2人の男がボクシングを通じて自分自身を見つめ、成長していく作品でありながら、原作「あゝ、荒野」がもつ即興的な展開を生かし、今の社会を反映した、人々が抱える問題や不安もテンポ良く織り交ぜる構成となっており、“人間”対“人間”の枠をも超える壮大な作品に仕上がっています。

劇中、寺山修司ならではの詩的で美しい言葉選びや軽やかな場面展開により、観賞者は305分という時間の感覚をも超えて本作の世界に引き込まれるはず……などの難しいことはさておき、とにかく前篇、後篇それぞれで繰り広げられる菅田将暉のエネルギーが爆発するボクシングシーンは必見!!

愛に飢えた孤独な青年が拳を通して伝える心の叫び、極限まで命を燃やして戦った人間たちがたどり着く結末は、あなた自身に大きな衝撃をもたらし、忘れられない映画体験になること間違いありません。

今後いくつも公開作品を控えている彼ですが、本作は菅田将暉の俳優人生において新たなターニングポイントとなった作品と言っても過言ではありません。ファンのみならず、映画ファンもぜひ劇場でご覧下さい。

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■想像以上。キャスティングもドンピシャ。157分という上映時間を感じさせない内容で、邦画では久しぶりに引き込まれてあっという間だった。早く後篇が見たい。(arosora8913さん)
■つい先ほど見終わって体から興奮が抜けないまんま書いてるけど…マジでスゴく泥臭くてダメ人間まみれの青春傑作ができたぞ。おまけにこれが前篇?マジかよ…こんなんだったら後篇すごいことになってるに決まってるしこれまでの展開をすごい回収の仕方して終わるに違いねえだろ。いや、本当にすげえよ!マジで!(6zq02rQCLE8yRLLさん)
■二時間半の大作と聞いて、長いか心配だったけど、引き込まれてあっという間‼人間の欲という欲すべてが詰まっていて、生きることに必死な新次を見ているとじーんときた。バリカンの存在は特に何も思っていなかったけど作中で、すごくいい味だしてる。本物のボクシングは苦手だけど、これはほんとに面白い。皆のこれまでの歪んだ人生が試合で爆発する感じ。後編もたのしみ。絶対見に行く!そんですだまさきカッコイイ(涙)(0209skさん)
■テンポの良いストーリー展開やキャッチーな台詞回し、個性の光る多彩なキャラクター、そして徐々に鍛え上げられてゆく肉体、そのすべてが絶妙で時間の経過を感じる余裕すら与えません。とりわけ新次と「アニキ」の会話劇は素晴らしい。年齢も境遇も異なる2人が、ボクシングを通じて分かち合い、共鳴し、共に強くなっていく経過は次第に愛おしさを感じるほどです。(410gwさん)

◆映画『あゝ、荒野 前篇』 information

あゝ、荒野 前篇

あらすじ:荒野ーそこは荒れ果てた地か、希望に満ちた場所なのか。これは、二人の男の運命の物語。 ふとしたきっかけで出会った新次とバリカン。見た目も性格も対照的、だがともに孤独な二人は、ジムのトレーナー・片目とプロボクサーを目指す。おたがいを想う深い絆と友情を育み、それぞれが愛を見つけ、自分を変えようと成長していく彼らは、やがて逃れることのできないある宿命に直面する。幼い新次を捨てた母、バリカンに捨てられた父、過去を捨て新次を愛する芳子、社会を救おうとデモを繰り広げる大学生たち・・・2021年、ネオンの荒野・新宿で、もがきながらも心の空白を埋めようと生きる二人の男の絆と、彼らを取り巻く人々との人間模様を描く、せつなくも苛烈な刹那の青春物語。

上映時間:157分
10月7日(土)前篇、10月21日(土)後篇 新宿ピカデリー他二部作連続公開
★U-NEXTにて独占配信中
詳しくは 
http://video.unext.jp/lp/kouya-film_main/
★セルDVD&BD 好評予約受付中
詳しくはhttp://www.vap.co.jp/kouya-film/
★映画公開記念特番!
【日本映画専門チャンネルにて】10/7(土)〜9(月・祝)俳優菅田将暉3夜連続オールナイト!
詳しくはwww.nihon-eiga.com/
★新宿エリアプロジェクト実施中!
https://motion-gallery.net/projects/kouya-film

公式サイト:http://kouya-film.jp/
配給:スターサンズ
(C)2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

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※2021年4月20日時点のVOD配信情報です。

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  • タカヤマ
    3.9
    スコア4.5以上・・・超傑作!超おすすめ! 4.0〜4.4・・・名作。おすすめ。 3.0〜3.9・・・お暇ならいいと思います。 2.0〜2.9・・・僕はあんまり、でした。 1.9以下・・・時間の無駄だと思います。 寺山修司の半世紀近く前の原作を、現代の設定で映画化している。青臭さや甘さは多分原作の良さでもあるのだと思う。僕は完全版を見たので、前半である1〜3話のレビューをすると、力作であるけど、まだ二つの物語の結びつきが分からず、あまりしっくりきていない。ボクシングの物語はまあよくある話とは言え、役者たちの凄い熱量の演技で震えるのだけど、大学サークルの話はなんか少し幼稚な感じがして、あまり惹かれない。こちらには明らかに力を入れてないのでは?とおもえてしまう。これからどう展開していくかに期待。
  • ドンチャック
    5
    動画配信で映画「あゝ、荒野 前篇」を見た。 2017年製作/157分/R15+/日本 配給:スターサンズ 劇場公開日:2017年10月7日 菅田将暉 ヤン・イクチュン 木下あかり モロ師岡 高橋和也 今野杏南 山田裕貴 河井青葉 前原滉 萩原利久 小林且弥 山本浩司 川口覚 鈴木卓爾 山中崇 でんでん 木村多江 ユースケ・サンタマリア 山田杏奈 井之脇海 振り込め詐欺などの悪事や傷害事件で少年に入っていた新次(菅田将暉)。 理髪店で働き、給料を父親(モロ師岡)にとられてしまう バリカン(ヤン・イクチュン)。 2人はボクシングジムのオーナー、 片目(ユースケ・サンタマリア)とプロボクサーを目指すこととなる。 売春をしながら男の財布から金を盗んでいた 芳子(木下あかり)は新次と愛し合うようになる。 十数年前に新次を捨てた母親(木村多江)との再会。 芳子と東日本大震災の被災地で生き別れになった 母親セツ(河井青葉)もまた新宿に来ていた。 デビュー戦となった新次とバリカン。 その結果は明暗を分けた。 物語は後編へと続く。 上映時間157分の長い映画だが長さは感じない。 満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
  • Atsupon
    -
    観た
  • 映画飲みすぎ
    4
    隠れた名作の予感。
  • Tig
    -
    記録
あゝ、荒野 前篇
のレビュー(18859件)