温和な小日向文世を怒らせた『サバイバルファミリー』は矢口監督の“逆恨み”から始まった!?【インタビュー】

2017.11.01
インタビュー

世界のディズニーを翔る元映画サイト編集長

鴇田崇

ウォーターボーイズ』(01)『スウィングガールズ』(04)など数々のヒット作を手掛けた矢口史靖監督の最新作、サバイバルファミリーのブルーレイ&DVDが現在発売中だ。ある日突然電気が使えなくなったら人々はどうなるのか──という誰もが一度は思ったことがある素朴な疑問をモチーフに、なんでもない平凡な現代一家のサバイバルを描いていく。

サバイバルファミリー

矢口監督作品というと爆笑を誘うコメディーというイメージを抱く映画ファンが多いだろうが、ご本人は「純粋に恐ろしい映画を作りました」と最新作を説明する。その一方でCGなしのオールロケで描く一家のサバイバル劇を通じて、声高に危機管理への警鐘を鳴らすというわけでもない。サバイバルファミリーの真のテーマなどについて、お話を聞いた。

――本作は王道のコメディーなイメージがありますが、そう思って観始めると“笑えなくて”腰を抜かしますよね。

サバイバルファミリー

皆さん本気で笑っている方が多かったのですが、それは予告編に引っ張られたからか、ある程度誘導されているからか、矢口作品だから当然笑っていいはずだ、という思い込みがあったとは思います。笑って鑑賞するということが正しい作法だと思い込んでいたかもしれないですが、僕はダマすつもりはまったくなく、純粋に恐ろしい映画を作りました。ただ、宣伝の方向性としてはそうじゃなかったので、お客さんは迷って観るだろうなとは思いましたが、迷いはありなんですよね。映画そのものが、主人公一家そのものがどうしていいかわからず目的もはっきりしないまま、ふらふら行く先々で対応に困りながら迷って進んでいく話なんで、観ている方もひやひやしながら観ると思うんです。ただ案外、皆さん笑う方向に行っていたので、なんだか怖いなって思いました。

――その主人公を演じる小日向さん、おっしゃるように映画の中で散々な目に遭っていました(笑)。

すごいですよね。非常に温厚な方で、普段は誰も怒らせない。皆を笑わせて、現場の雰囲気をよくしちゃう人なんです。でも今回に限っては、すごく怒っていましたね。こんなことまでさせるのかと、きつかったそうですよ。2か月半、全部ロケで、全部やってもらっています。一番嫌がっていたのは虫で、一番怒っていたのは川。怒っていたというか、死にそうだと弱音を吐きまくっていました。僕は死にそうな目に遭わせたくてしていたわけではなくて、スタジオを使ったり、合成を使ったりしたくなかっただけなんです。朝現場に行くと高速道路に自転車が置いてあるとか、「豚がいるから捕まえてください」とか、そういうことが結果的には俳優さんたちを辛い目に遭わせる毎日だったみたいで、その極めつけが川だった、ということでしょうね。怖かったみたいです。

――川のシーンは、鬼気迫る表情が印象的でした。印象というか、目に焼き付いています。

川での撮影は、映像を観ているだけではわからないとは思いますが、夏のように見えて撮影は11月の末だったんです。だから死ぬほど冷たい。僕は指の第二関節くらいまでひたして、「これはひどい。絶対にオレには無理!」と思って入らなかったのですが、俳優さんたちには全員入ってもらいました。そのおかげで、本当に死ぬかもしれないという切迫感が皆さんの表情に出ていると思います。

――確かに一部をスタジオ撮影とか合成とかCGに頼ると、リアリティーがグンと下がりますよね。

昔であればCGそのものが売りになったし、すごいって思ってもらえたけれど、最近は観客の目が肥えているので、「そりゃあないでしょう」とバレてしまう。この家族は本当に大丈夫か? 役者は怪我しないかな?とハラハラする映画にしかった。となると自然とデジタル技術は減らそう、本物連れてくればいいじゃない、川に落とせばいいじゃない、と、どうしてもなっちゃうんですよね。

サバイバルファミリー

――リアリティーで言うと、途中でアウトドア一家が出てくるあたりで、鈴木一家の危険直面度が目に見えて浮き彫りになりますよね(笑)。

鈴木一家はお父さんがダメな人で、極端にわかりやすいかたちであっという間にボロボロになって、食料も何もなくなっちゃうんですけど、おそらく大抵のお客さんが似たり寄ったりだと思うんです。そういう技術もツールも持っていないはずなんですよ。だから笑っているうちに、笑っていられなくなるという。

――その一方で警鐘がないですよね。声高に啓蒙するようなこともない。

そうですね。もっと言うと、こうなっちゃってもよくない?ということが気分としてはあります。それが理想の世界だと言っているわけではないですが、あふれんばかりの電子機器と便利なインターネットというもので生活はスマートでスピーディーになっています。でもなくなったらなくなったでそれはそれでアリではないかと僕は思っているんですよ。まあ、本当にそうなったら映画館は運営できないし、DVDは観られないんで自分が一番困るんですが。

――でも電気が消えて家族っぽくなるとうか、いいことも描いてはいますよね。

僕自身はスマホをやっていないのでのんきなことを言ってますが、なくなったら困る人のほうが今は圧倒的に多いでしょうね。僕自身、機械が苦手なので、テキパキ使っている人を見ると悔しいんですよね。映画の出発点は、電気がなくなって皆困ってしまえばいいのに、そんな逆恨みから始まりました。今でこそ僕は取り残されているけれど、電気が使えなくなった世界になれば、天下を取れるはずだと。でもはたと気付いた。だからといってサバイバル的な技術は何もないので、結果鈴木家のお父さんと同じような役立たずになってしまうと思います。

サバイバルファミリー

――今日はありがとうございました! 最後にパッケージを購入する方のために、映像特典について少し、教えてください。

「サイドストーリー」は、映画の物語が始まる前の時間軸で、本編と少しだけリンクしてくる物語です。サバイバル映画なのでまったく生死に関係ない話にしちゃうとつまらないと思い、何か危険な目に遭うというコンセプトで2本作りました。『サバイバルボーイ』は僕が作り、『サバイバルガール』はチーフ助監督の片島さんが作りました。それぞれ鈴木家の息子と娘なので、お父さんお母さんといる時とは空気が違うはずなんです。より弾けるような若々しい作品になったと思いますので、ぜひ観てほしいです。(取材・文:鴇田崇)

サバイバルファミリー

(C)2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

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    3.7
    家族で観て正解映画!!! 日本が、電車使えない、パソコン使えない、電子機械何も使えないと終わりだね! 田舎って自足自給でめんどくさそうだけど、いざという時は強い、素晴らしい!! 生きる知恵の宝庫!肉のさばき方、燻製の作り方、井戸水、薪割り!やれと言われてもきっと私は何一つできないと思うの! コメディタッチだから、楽しみながら食べ物のありがたみ、電気のありがたみ、水のありがたみと言った当たり前で当たり前でないものを勉強できるから家族で観るととってもいいかも(^-^) 特に小・中学生にはいいのでは? カツラ捨てた時、スッキリしたよ(笑)
  • う侍
    3.4
    とても良い一家だった。家族大切に。 中国地方の産地はだいたいみんなサバイバルしとるけぇ。
  • ナカムラ
    3.4
    過剰演出こそ気になるけど、、 フツーに良い映画だと思う。 ビリギャル見たときと同じ感じがした。 邦画特有?の過剰な演出が気になるけどフツーに良い映画だったなって後で思うあの感じ。
  • 凛太朗
    4.2
    ある日、何らかの原因によりライフラインがストップ。 荒唐無稽なようで、実は現実に十分起こり得ることなんじゃないかと思う。 そうなった場合、この映画で一家に起こっていることを遥かに凌ぐパニックが予想されるでしょう。 ファミリー向けのサバイバルコメディですが、そこら辺のホラー映画より怖かったです。 実際にライフラインが途絶えたらって怖さは勿論、スマホやインターネットに依存してたり、こんな時でも仕事のことを優先的に考えるか…?みたいな、日本人だか人間だかの滑稽さを描いたブラックな恐ろしさ。 基本的にはコメディベースなので笑いながら観れるんだけれど、なんせ色々想像したり考えると怖い。 同時に、今ある至極当たり前なことの有り難みに改めて気づかされたり、生きるということの逞しさに気づかされたりしましたね。 お父さん演じる小日向さんは、毛が無いし、怪我ないし。不覚にも泣いた。 108日目に目的地の鹿児島に着いたということは、人間の煩悩を全て捨て去ったということなのかな?
  • おさしみ
    -
    もしも電気やガスが使えなくなったら、今の生活が出来なくなるのは想像出来ないですね〜。 最初はイライラしたけど、家族の成長過程が面白かった。
「サバイバルファミリー」
のレビュー(8155件)