【解説】アニメ「GODZILLA」で再び席巻!原点の初代『ゴジラ』を知る4つのポイント

映画観て、絵描いて、ハイッ!

フクイヒロシ

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ゴジラシリーズ初の長編アニメーション映画GODZILLA 怪獣惑星が11月17日に公開されました。2019年の公開予定のハリウッド製ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ(原題)ではモスラ、ラドン、キングギドラと戦い、その後にはご存知の通りキングコングとの戦いも控えています。ゴジラが再び地球を席巻し始めているのです。

このゴジラブームの始まりはもちろんゴジラ』(1954)です! しかもゴジラの世界観がこの一作目ですでに完成していることに驚きです。

では、終戦からたった9年後に製作された(制作期間もたった半年)社会派恐怖映画『ゴジラを紹介しますよ!

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1. 原爆、戦争の象徴としてのゴジラ

まずオープニング。海上で閃光が走って貨物船が燃えるシーンはまさに原爆と第五福竜丸のイメージです。戦後も何度となく核実験や水爆実験は行われ、ビキニ環礁水爆実験では第五福竜丸が被曝。

ゴジラは白亜紀頃から静かに海中で暮らしていましたが、水爆のせいで安住の地を追われ、仕方なく地上に現れました。被爆地の島民は実際に故郷を追われました。ゴジラによって焦土と化した東京の姿は東京大空襲を呼び起こしたでしょう。また、被爆した子供にガイガーカウンター(放射能測定器)を当てるシーンは3.11の原発事故を経験した現代人にとっても心が痛みます。

シン・ゴジラでは死の描写を敢えて避けていましたが、ゴジラ』では閃光で焼け死ぬ人々や実況中継しながら殺される撮影クルーなど、名もない人の死にゆく姿を映してメッセージ性を強調しています。

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2. 複雑な人間ドラマ

単なる怪獣活躍映画にならなかったのは、リアルな人物描写があるからですゴジラによって大災害が起こっているのに「ゴジラを殺すな!」と言う古生物学者、ゴジラを殺す兵器を持っているけど使えない科学者、ただまっすぐに「今すぐゴジラを殺せ!」と繰り返す青年、そして感動のラストへと導く美女。しっかりとした人間ドラマがあるからこそ、ゴジラにも感情移入ができて「ゴジラかわいそう」という気持ちを起こさせることに成功しています。

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3. ゴジラを倒す唯一の兵器「オキシジェン・デストロイヤー」

このオキシジェン・デストロイヤー」というかっこいいネーミングの球体は、科学者・芹沢が1人で開発したあらゆる生物を液状化する」という超怖い兵器です。本気出せば東京湾の生物全部殺せるそうですよ。芹沢はこれがゴジラを殺す唯一の手段だと確信していますが、これが世界に知れたら大量破壊兵器として原爆同様に世界を脅かす存在になると危惧して使えないでいます。

しかし、ゴジラにより被害者は増えるばかり……。芹沢の下す決断とは……。

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4. 監督・本多猪四郎!

監督の本多猪四郎は一般的に認知度が高いとは言えないでしょう。ちなみに“ほんだいしろう”とお読みします。日本よりも海外での評価が先行しており、ギレルモ・デル・トロの『パシフィック・リム』のエンドクレジットには「この映画をモンスターマスター、レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐ」と献辞が書かれています。また、ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』​渡辺謙演じる科学者の名前は芹沢 猪四郎マーティン・スコセッシティム・バートン本多監督を敬愛しています。

2017年10月にはアメリカ人ライターによって書かれたISHIRO HONDA A LIFE IN FILM, FROM GODZILLA TO KUROSAWA』が刊行されました。

ゴジラを単なる現実離れした娯楽映画ではなく、本当に怪獣を目の当たりにした人間をリアリズムを持って演出した本多猪四郎ゴジラブームの再来によって彼の偉業が再評価されることでしょう。

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