今日一日を機嫌よく過ごしたい…そんな女性に観てほしい、まったりなのに心に響く物語

2017.11.21
映画

映画は気持ちよく生きるためのヒント

hikari

「今日も機嫌よくやんなさいよ」というセリフが個人的に印象的だった映画が『マザーウォーター』。

つい無意識に一日を過ごしてしまいがちですが、その日の終わりにただ「疲れた」と思ったり、なんだか虚しさを感じたりするより、「今日は心地よかった」と思えた日が多ければ多いほど、生きている充実感がありますよね。

マザーウォーター』には、そんな風に機嫌よく過ごすためのヒントが散りばめられています。

mother

京都を舞台に日常の風景を切り取ったような物語

マザーウォーター』は京都の大きな川や湧き水など、水が身近にある街が舞台。

そこにはどこからかこの地に流れ着いて、ウイスキーしか出さないバーを営むセツコ(小林聡美)、コーヒー店の店主・タカコ(小泉今日子)、豆腐を作るハツミ(市川実日子)が登場します。

ほかにも家具職人のヤマノハ(加瀬亮)や銭湯の主人・オトメ(光石研)、そこで働くジン(永山絢斗)、散歩する人・マコト(もたいまさこ)、そしてみんながお世話をする赤ちゃんのポプラ(田熊直太郎)の存在も。

劇中ではそれぞれの過去や背景は深く語られません。今この街にいて、この8人がそれぞれセツコのバーやタカコのコーヒー店、ハツミの豆腐屋やオトメの銭湯などで出会って、ただ何気なく語らう姿を描いています。そういった日常にありそうな風景を映し出している作品です。

ちょっとずつ人が変化する姿が丁寧に描かれている

だから一見、彼女たちは何も変わっていないようにも感じます。

だけど、最初はタカコとヤマノハの2人、オトメとジン、マコトの3人だけしか知り合い同士でなかった輪が次第に広がっていく様子や、ハツミの豆腐屋が今まで持ち帰りしかやっていなかったのに、いつしか店先で食べられるようになったり、いつの間にかみんながポプラの世話をするようになったり……。

ちょっとずつちょっとずつ、人が変化していく姿を丁寧に描いています。

それは、明日は今日予想していたものとはまったく違う日になるかもしれないけど、とにかく「今」をしっかり生きること。そうすることで昨日よりも今日、今日より明日のほうがさらに自分に合った環境に変わっていく……という人生訓のようなものを教えてくれている気がします。

機嫌のいい一日を送るために、常識は必要ない?

こうやって人が変化していくのと同じように、機嫌よく一日を過ごすには、「今」を大切に生きるのが肝心なんだと思います。

でも本作を観ていると、それと同じくらい、常識にとらわれることなく柔軟に物事を考えていくことも、機嫌のいい一日にするには必要な気がしてくるのです。

映画の中で、いつでもご機嫌なのが赤ちゃんのポプラ。そのせいか、みんながポプラの面倒をみたがります。機嫌がいいのは大人とか社会とか常識にとらわれていないからなのかも!?

そんなポプラのように、常識に縛られず生きている人がもうひとり。それがマコトです。

いつも自分の好きなところに出没し、ハツミに豆腐をその場で食べられるように提案したり、自分の気持ちに素直になれず悩むジンに「凝り固まっている」と叱ったり、柔軟に生きることで日々、機嫌よく過ごしているキャラクターです。

そうやってまわりの目や考え方を気にしないということも、その日一日を機嫌よくするコツなんだとひしひしと伝わってきます。

水のように流れて生きるのが女性にとっての心地よい生き方?

このように一日を機嫌よく過ごすコツがわかる『マザーウォーター』ですが、心地よい生き方をも教えてくれているように感じます。それを象徴しているのが、どこからともなく京都に居着いたセツコ、タカコ、ハツミの3人が語らうところ。

そこでは、ハツミがセツコへこのままこの地にずっといるのかを問うのですが、「先のことはわからない。ただ今はここにいる。それでいいんじゃない」とセツコは答え、タカコもそれにうなずきます。

本作では、タイトルにも「ウォーター」と入っている通り、川や湧き水、銭湯など水に関わるシーンが頻繁に登場します。今はその場にいたとしても、人間以外の主役である「水」のように、流れに任せて場所や行動を変えてみるのも、女性が心地よく生きるための手段だと伝えたかったのかな、と、深読みですがそう思えるのです。

作品の雰囲気自体はとても穏やかでまったりしていますが、観れば観るほど心に染み入る言葉やシーンが見つかる映画。ちょっとつまずいてしまったときや、生き方に悩んだとき、そっとヒントをくれるかもしれません。

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  • あゆみ
    3.0
    HPが削られる系映画を立て続けに観たので、大好きな小林聡美さんともたいまさこさんで回復を図る。市川実日子さんも癒し。 ウイスキーしかないバーと、ベンチでいただけるお豆腐屋さんが素敵すぎて近所にあったら通いたい。 本当に何も起こらないけど、好きなものばかりで繰り返し眺めていたい映画。
  • キネフジ
    -
    「マザーウォーター」観ました。 たまーにこの辺りの映画を観たくなるときがあって、観るというかこう、眺めるというか。ぼうっと目を通して、詩集をめくり、意味ありげなシーンやセリフを拾い集める。そんな作業をなんとなーくやりたくなるときがあって今日観ました。 結果だけを書き出すと、なんにも残らなかったです。ひとつたりともポケットの中に残ってなかった。 でも別にそれでいいんだとも思います。川の水が流れるように、いつも留まらず、景色を変えながら、感じ方も変えながら、また思いだしたように観たくなったら観ればいいだけなんだと思います。
  • pooyuzu
    3.6
    最近の字幕疲れとSF疲れと学校疲れとかからか、とても心にしみた。TSUTAYAで京都が撮影場所というコーナーで何となく、京都の良さとか風情とかを感じれそうなのを選んだ。まさにゆっくりとした味を感じることができた。1番感じたのは日常会話の中で心にくる言葉や会話がたくさんあったということだ。
  • naokazaki
    4.0
    京都の暮らし最高かよ。 こういう所住みたかった。 日の出湯のタイル、鴨川の椅子。鴨川の椅子にもたいまさこが座るシーン、そして座ってる人を永山絢斗と見るシーン。好きなセリフもたくさん。小林聡美のバーでの加瀬亮との会話が良い。「思ってしまったことよりそのときどう思うか。」みたいな話が良かった。京都なのに関西弁じゃなかったのが◎
  • アンソニー
    2.5
    かもめ食堂とか、めがねとか、そういう雰囲気、癒しを求めて見たけど、そりゃ監督違うもん、別物でした。でも小林聡美さんともたいまさこさんコンビに元気でたー! 録画
「マザーウォーター」
のレビュー(4614件)