米経済誌「Forbes(フォーブス)」による毎年恒例の「最も稼いだ男性俳優」ランキングで、今年はボリウッド俳優が初めてトップ10に3人もランクインし、話題となりました。
年間映画制作本数も映画館観客総数もハリウッドを上回っているという映画大国“インド”。日本でも、昨今人気を博した『マダム・イン・ニューヨーク』、『めぐり逢わせのお弁当』等々、ひしひしと心を打つ映画が続々と公開されております。
そんな勢いにのるインド映画の中でも、「これは!!」というものを、そして公開が間近なものを記事としてひとつにまとめてみました。インド映画通の皆さまはもちろん、興味があるという皆さまにも楽しんでいただけたらうれしいです。
※各館の上映予定の変更等もあるとは思いますので、気になるものは公式サイト等を改めてご確認ください。
歌って踊って、気分が盛り上がるオススメの話題作2本!
8/15~9/4:シネクイント、9/12~10/9:キネカ大森にて上映。まっすぐで胸につきささるセリフ、美男美女による躍動的な踊り、心にスッと沁みわたる歌、気分が盛り上がること間違いなしの2本です。
『若さは向こう見ず』(2013)
インド映画として全米オープニング第9位にランクインし、2014年のインディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパンでも大好評を博した一作。注目の若手スター、ランビール・カプール(『バルフィ! 人生に唄えば』主演)と、同じくトップ女優、ディーピカー・パードゥコーン(『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』主演)が恋人役で共演します。
世界中を飛び回りたい、夢を追いかけたい。山の頂で、絶景を前に天を仰ぐ青年。仲間との語らいを大切にしたい、親密なときを過ごしたい。山の頂で、想い人のことをそっと見つめる女性。愛と夢の狭間で揺れ動く男女のドキドキ。そして彼らと行動を共にする仲間2人との熱い友情。
つまりは青春映画の王道パターンを描いた作品ではあるのですが、割と「悟り世代」(?)に通じるような「俺は俺、私は私」的なさっぱりとした割り切り方がそこにはあって、恋も友情も両親との関係も、最後はどうなってしまうのか?夢や幸せのかたちを鮮やかに描いた作品です。
必見のダンスシーン
いわゆる歌って踊ってのボリウッド映画なのですが、やはりそのスケールの大きさには目を見張ってしまうほどの迫力と絢爛さがあって、クローズアップからミドルショット、引きの画から美女のアップへと、その編集の絶妙なタイミングと激しいダンスの融合に見とれてしまいました。
とりわけ、物語の中盤―ヒマラヤ展望地でのダンスシーン―色とりどりの香料をまき散らしながら歌って踊るその色彩美と躍動感が素晴らしくて、見ているこちらの心までもがついつい踊ってしまいました(映画の前半:90年代の伝説的なトップ女優、マードゥリー・ディークシトがカメオ出演したダンスシーンも必見です)。
こちらの作品の見所に関しては、【ハリウッドが注目】ほろニガで超ハッピーな傑作が遂に上陸『若さは向こう見ず』という記事でも詳しく紹介しています。興味がある方は是非チェックしてみてください!
『愛するがゆえに』(2013)
日本国内では、インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2013、高崎映画2015で上映。観るものを虜にしてやまない至極のラブロマンスが魅力の1作。主演は、『若さは向こうみず』にも出演していた新進スター、アディティヤー・ローイ・カプール。共演に、ディズニー系ダンス映画『ABCD2:Any Body Can Dance2』で人気を博したシュラッダー・カプール。
人気シンガーだった男は酒に溺れ、とある街で歌手志望の女と出会い、恋に落ちる。女は男に導かれるまま音楽業界に入り、新進のスターシンガーへと成長。しかし、男はいつまでも復帰できず、ますます酒に溺れる日々を送るようになってしまう。
苦悩、葛藤、苛立ち、焦り、女の成長をしり目に堕ちていく男。そんな彼をひたすら優しく包み込もうとする女。身にまとわりつくような雨にうたれながら、それでも相手をぐっと見つめて抱き合うふたりのシーンは、まさに「愛するがゆえ」の衝動なのでしょう、秀逸なシーンでした。
必見のミュージックシーン
感情がモロに伝わってくるロマンチックな歌の数々、これが本当に良いんです。ストーリー自体は確かによくあるお話なのですが、それでもこの映画が人気を博している理由はやはりそこにあるのです。新進のミュージック・ディレクターが手掛ける詩的な音楽と、美男美女による物憂げな演技。酔いしれてしまう程に濃厚な愛を堪能できる作品です。
尚、今作のサントラ・アルバムはボリウッド映画人が誇る映画賞、"フィルムフェア・アワード"で最優秀ミュージック・ディレクター賞を受賞。↓youtubeでも配信されているので、映画を観る前、観た後にどうぞ!
至極の名作が再びスクリーンでよみがえる!
9月~:シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。黒沢明など世界中の映画監督に多大な影響を与えたインド映画界の巨匠、サタジット・レイ。そんな監督の代表作、『チャルラータ』と『ビッグ・シティ』がデジタルリマスター版でよみがえります。
『チャルラータ』(1964)
イギリス植民地時代末期のインド。仕事で忙しく家庭を顧みない夫と、徒然なるその妻。そこに夫の従弟が大学の休暇でやってきては、妻と自由で創造的なひと時を過ごし、去っていく。さめざめと涙を流す妻、それを黙って見やる夫。妻の愛、夫の愛、果たして彼らは何を思い、その瞳に何を映していたのだろうか…。
洗練された映像の数々に注目
まさに、言葉にできないものが映像に映っている、そうとしか言いようのない感動が胸に突き刺さってくる一作です。とりわけ、妻=チャルラータの横顔が色々な感情を物語っていて、その瞳が様々な気持ちを訴えていて、そしてカメラがまたそれらを繊細な構図で撮影していくものだから、見事に映像だけで全てが語られていってしまう。本当に奇跡のような映画に仕上がっているのです。
オープニング、廊下をせわしげに歩く夫の背を見つめる妻。そしてエンディング、同じく夫の背中を見つめる彼女の表情には、決して陳腐なことばでは言いあらわせない、身に沁み入るような感情が込められていて、思わず劇中の人々の心を探らずにはいられなくなってしまうような、人間への親しみが詰まった映画のように感じられました。ふと目頭が熱くなってしまう、そんな作品です。
ちなみに、
今作は30本以上の映画を撮ってきた監督本人が「最高傑作だ!」と語る1本で、日本ではおそよ40年ぶりの上映になるそうです。是非是非、この機会にお見逃しなく!
※『ビッグ・シティ』は未見なので、早く劇場で観たいと思ってます。
話題作を見逃してしまったあなたに!
9月~:キネマ旬報シアターにて上映。これまでに公開されたインド映画の話題作が目白押し!これでインド映画にハマること間違いなしのラインナップが上映されます。
キネマ旬報シアター インド映画特集
- 9/19-9/25:『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』、『スタンリーのお弁当箱』
- 9/26-10/2:『神さまがくれた娘』
- 10/3-10/9:『バルフィ!人生に唄えば』、『マッキ―』
- 10/10-10/16:『女神は二度微笑む』
オススメ①『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(2007)
個人的なオススメは、なんといっても『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』です。会う人会う人がみな絶賛している一作。音楽と踊りが最高にキマッテいて、上映を観ながら観客が一緒に踊る「マサラ上映」での大盛り上がりが昨日のことのように思い出されます。
オススメ②『女神は二度微笑む』(2015)
あるいは、歌って、踊ってが苦手な方には、インド映画の新時代をきりひらいた衝撃のサスペンス映画『女神は二度微笑む』がオススメです。
すでにハリウッド・リメイクが決定しているという今作の見所は、謎が謎を呼ぶストーリーと、エキゾチックなロケーション。深い闇の中でうごめく陰謀にドギマギさせられてしまうこと間違いなしの傑作です。
日本未公開の、最新インド映画の話題作がズラリ!
10/9~10/23:ヒューマントラストシネマ渋谷他東京にて、10/10~10/23:大阪シネ・ヌーヴォにて上映予定。
出展:http://www.indianfilmfestivaljapan.com/
今年(2015年)で4年目を迎えるインド映画の祭典、【インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン】。
国内未公開の最新インド映画を存分に楽しむことができます(昨年は16本を公開)。そして、なんと今回は昨年の好評を受けて開催期間が2週間に延長!気になるラインナップにつきましては、近日公開予定とのことです。詳細はこちら。
おまけ:おすすめインド料理店+アクティビティー情報!
映画を観おわった後って、その国の料理を無性に食べたくなったりしませんか?そんなときにオススメのお店がこちらです!
ina's indian kitchen なんどり
写真は筆者撮影(マサラドーラ…暗い画像ですいません)
作り置き一切ナシ!魂込めてつくられたお手製料理の数々!ここでしか食べられない至極の南インド料理が楽しめます。そしてさらに、店内にはインド映画のポスターやチラシがびっしり!映画にちなんだ料理やイベントも随時行われていますので、映画ファンにはことさらオススメのお店です。詳細はこちら。
華麗なるボリウッド女優に変身
そしてさらに、こちら、ボリウッド女優風な衣装の貸出、イベント参加等のご活動をされていらっしゃる方のFBページです。
最近では、横浜で開催されたイベント「Dance Dance Dance」内の、「マサラダンスフェス」で貸衣装ブースを出展されていたとのこと。「レンガチョリ(ロングスカート、ブラウス、ドゥパッダの3点セット)、アクセサリーセット、ビンディ、ハイヒール着用」の全身セット等々、本格的な変身が楽しめるそうです(男性衣装もアリ!)。
その他、色々なイベント情報、ご活動等も掲載されておりますので、ご興味がございましたら是非アクセスしてみてください。
とにかく面白い作品が目白押しで、世界的にも注目を集めているインド映画。たくさんの映画を愛していらっしゃるフィルマガ読者の皆さまにも、是非とも観ていただきたいです!