【辻村深月】スター・ウォーズ初体験が『最後のジェダイ』でいい! 歴史を目撃する楽しさを存分に堪能して!

tsujimura

小説家 辻村深月さん

つじむら・みづき/1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。「ツナグ」で第32回吉川英治文学新人賞を、「鍵のない夢を見る」で第147回直木賞受賞。他の著書に「凍りのくじら」「ぼくのメジャースプーン」「スロウハイツの神様」「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」「本日は大安なり」「ハケンアニメ」「かがみの孤城」など多数。

シリーズ愛と新たな風を感じさせてくれる最新作『最後のジェダイ』

冒頭、これまでのあらすじを説明するオープニングロールが流れた時、「ああ、スター・ウォーズが始まった!」とテンションが上がり、2時間半という上映時間もまったく気にならず、夢中になって観ました。
まさかの展開にあぜんとしたり、クライマックスに入ったなと思った瞬間に心が震えるような感動があって思わず涙したり。間違いなく今年一番アドレナリンが出たなと思えるくらい、大興奮でした(笑)。脚本と演出の力に脱帽です。

私は前作の『フォースの覚醒』が大好きで、この作品から登場した新ダークヒーロー、カイロ・レンが大好き。私の周りのスター・ウォーズファンからは、「なぜカイロ・レンなの!? カイロ・レンの良さを説明してくれ」などと怪訝な顔で言われるのですが、そんなふうに人から「なぜ?」と言われるところがまさに彼の魅力だと思います(笑)。
かつてダース・ベイダーとなったアナキンは、光から強靱な闇に誘惑され暗黒面に落ちたのに対し、カイロ・レンの闇は暗黒面に落ちたばかりというのもあってとても脆弱(ぜいじゃく)で、光の誘惑の方にこそ必死になって耐えている。そんな彼の姿は、21世紀以降、どこかうっすらとした闇の中を漂っているような今の社会の空気感に近いものがある気がします。

スター・ウォーズ/最後のジェダイ

私はそんなカイロ・レンの弱さというか、光と闇が二極化されたところではなく、その間を常に揺れ動いて苦しんでいる姿に、たまらなく人間味を感じます。たぶん、女子の中には「私の彼氏ってこんな感じ」と共感する人もいるはず。カイロ・レンは最近の男子の中にも多いタイプかもしれません。

レイはまっすぐで勇敢で優しい。男性が部下にしたい理想の女性

前作のエピソード7が好きと言いましたが、それ以上に魅力を感じた最新作『最後のジェダイ』。本作には今までのシリーズとはまた違う、格別な面白さがあります。
それは、光と闇をこれほどまで見事に具現化したのはシリーズの中でもおそらく初めてではないかということ。

ルークは本当にかっこよく、しびれました。前作からずっと彼の登場を待ちわびていた気持ちを存分に満たしてもらえました。レイとカイロ・レンの心の奥で光と闇がせめぎ合っているところも見どころ。カイロ・レン好きの私としては彼がどう自分の闇と向き合うのかにも注目してほしいです。
レイは『フォースの覚醒』の時も思ったのですが、男性が部下にしたいと思う女性のタイプってこういう子なのかもしれないなぁと。ピュアなうえ、大胆さと優しさを併せ持っていてハン・ソロがかわいがるのも分かる気がしました。上司にも一目置かれつつ、かつ自分を崩さないから、女性もみんな、レイには憧れるし、好きになると思う。レイ役のデイジー・リドリーは『フォースの覚醒』よりも、顔もしっかりしてきて、まなざしもりりしく、一段と主人公としての風格が出てきていました。

タカラトミー_スター・ウォーズ

ほかのキャラクターも注目です。『フォースの覚醒』から登場したBB-8が今回も活躍しているのですが、それ以前から登場しているドロイドの一つ、R2-D2がBB-8のお兄さん的存在に見えました。チューイはハン・ソロがいなくなってしまったので胸を痛めつつ観ていたのですが、新キャラのポーグが何気にチューイのそばで巣を作ったりしていて。そういうさりげない演出にもぐっときました。

『最後のジェダイ』からスター・ウォーズを始めてもいい!

私が初めて本格的に「スター・ウォーズ」を好きになったのは大学時代。ちょうどエピソード1の公開のタイミングで世の中がすごく盛り上がっていて、私も観たいなと思い、友人たちと自宅に集まって上映会を開いたりして、子どもの時に観た旧3部作をもう一度観てから映画館へ行きました。初めて劇場で観たその体験がたまらなく楽しく、映像もストーリーも本当にかっこよくて美しくて一気にハマッてしまい、その後のエピソード2、3も公開に合わせて映画館で楽しみました。

旧3部作は物心ついた時にはすでに存在していて、まさにこれぞ「スター・ウォーズ」といった王道のストーリーで、こうなるしかないというのを最高のエンターテインメントでの形で見せてもらった気がします。新3部作はリアルタイムで観て興奮しただけに、思い入れが強く、大好きなのですが、旧3部作より過去の話だったので先がある程度分かった上での展開でした。
だから、私にとって『フォースの覚醒』からの3部作が、初めて“運命の行方が分からない”物語。そう思うせいか「スター・ウォーズ」の新たな歴史の幕開けを目撃しているという快感があって、この臨場感がものすごく楽しいんです。
特に『最後のジェダイ』は想像のはるか上を行く衝撃の展開の数々で、エンディングも見事。素晴らしいとしか言いようがありません。この感動を一人でも多くの方に体感していただきたいです。

「スター・ウォーズ」はシリーズもので、昔からのファンが膨大にいて、しかも自戒をこめて言いますが、何かと語りたがる人も多い(笑)。それだけに新参者は何となく入りづらいと感じる方もいるかもしれませんが、全然臆する必要はありません。「スター・ウォーズ」は決してマニアのものではなく、誰もが自由に楽しめる世界にしてエンタメなんです。
だから、あなたの「スター・ウォーズ」は、今回の最新作『最後のジェダイ』がスタートでいいんです。長くファンでいることが偉いわけではないし、今日から好きになった人が、今までのファン以上に好きになることだってあるのですから。

男子にモテたい女子はエステに行くより、断然「スター・ウォーズ」! 「スター・ウォーズ」が男子との共通言語になってくれる

あと、私、たまに恋愛相談のエッセイを書いたりしていて、そこでよく言うのですが、女子は、本気で彼氏が欲しい、男子にモテたいと思っているなら、高価なエステや自分磨きより「スター・ウォーズ」を観た方が断然近道だと思います。「スター・ウォーズ」好きの男子は本当に多いし、「スター・ウォーズ」を観ることで男子との間に一つの共通言語を手に入れることができる。世界が広がります。どのキャラクターが好きかで相性までわかるかもしれない(笑)。
例えば、『最後のジェダイ』を観たのをきっかけに好きになり、他のシリーズも観るようになって、「ルークの少年時代って超かわいいよね」などと話せるようになれば、あなたも彼も楽しいはず。お目当ての彼だけでなく、いろんな男子と会話を弾ませることができます。壮大な世界観を持つ優れた映画やエンタメは、そんなふうに魅力的なコミュニケーションツールにもなってくれるんです。

「スター・ウォーズ」の歴史はまだまだ続きます。この映画のすごいところは観るだけで新しい扉を開けてくれること。旅行や新しい習い事と何ら変わらない楽しさがあります。「スター・ウォーズ」未体験女子の方、ぜひこの機会に「スター・ウォーズ」を始めてみませんか!

(取材・編集 朝日新聞社メディアビジネス局)

◆映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』information

タカラトミー_スター・ウォーズ

STORY:『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のその後を描く、誰も観たことのない衝撃の「スター・ウォーズ」。ついにフォースを覚醒させたレイと、ダース・ベイダーを継ごうとするカイロ・レン。伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの出現は何をもたらすのか? そして、“光”と“闇”の間で揺れ動く二人を待ち受ける“衝撃の運命”とは?

大ヒット上映中

http://starwars-jp.com/lastjedi
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※2022年7月30日時点のVOD配信情報です。

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