『マンハント』ジョン・ウー監督、福山雅治は「美しく撮れると思った」【インタビュー】

2018.02.07
インタビュー

世界のディズニーを翔る元映画サイト編集長

鴇田崇

「男たちの挽歌」「レッドクリフ」シリーズなどで知られるアクション映画界の巨匠、ジョン・ウーの最新作は、1976年に高倉健主演で映画化された西村寿行原作によるサスペンス小説「君よ憤怒の河を渉れ」(徳間書店)の、二度目の映画化となる『マンハント』だ。高倉健の影響を色濃く受けていると公言するウー監督の、熱い想いがスパークしている骨太な一作だ。

マンハント

その最新作『マンハント』には福山雅治、そして中国のチャン・ハンユーがダブル主演でキャスティング! 無実の罪を着せられた弁護士と彼を執拗に追う孤高の刑事の男たちのドラマは、どのようにして生まれたのか。公開を前に来日したウー監督に話を聞いた。

ジョン・ウー

――高倉健さん主演で映画化されていますが、もともと高倉健さんのファンだそうですね。

高倉健さんの映画は当時、本当によく観ていました。当時のアジアのトップスターは高倉さんと小林旭さん、フランスではアラン・ドロンさんが大スターでした。高倉さんは正義漢の役柄が多くて、男前で口数が少ないけれど、目や顔の表情でよくわかる。魅力的な役柄が多くて、毎月のように健さんの作品を観ていましたよ。高倉さんが表現していた仁義は、中国の仏教世界の精神にも通じるものがあります。後に僕はチョウ・ユンファで『男たちの挽歌』(86)を撮りましたが、彼はサングラスにレインコートを着ていて、あれは高倉さんがヒントでね(笑)。仕草や表情の演出の際に、そういうことを意識していましたよ。

――福山雅治さんとは過去に一度仕事をしたそうですね。その頃から今回の主演を想定はしていましたか?

それはCMでしたが、CMを作っている当時は、この映画の話はなかったけれど、そのほかに5分程度の映像作品があって、それにはちゃんとしたストーリーがあって、彼はマーケットで銃を使い、しかも二丁拳銃でワイヤーにも吊るされていた(笑)。アクションシーンもあったけど、スタントマンを使わず全部自分でこなしていて頼もしいと思ったよ。素晴らしいです。カッコいいし、機会があれば、また一緒に仕事がしたいと思っていたんです。

――福山さんは一般に知的なイメージがありますが、活劇タイプではないと思っていたので、新たな一面を打ち出しました。

マンハント

今回の刑事役は人間味があり、クールというよりも実に温かい人間という設定です。福山さんは自分の歌を通じて、社会にメッセージを発信している。愛や平和のメッセージを社会に送っていることを知っていて、とても感銘を受けています。それにとてもカッコいいので、美しく撮れるとも思っていました。今回のオファーをしたら、すぐOKしてくれました。

――そして実にハードボイルドが似合いますよね。それは演出のマジックか、素質を見抜いてのことか、どちらなのでしょう?

わたしは俳優には、演技力がとても大事だと思っているので、アクションは二の次なんです。活劇だけではなく内面世界も表現ができて、説得力のある演技をしてはじめて、アクションもいきてくるものだと思います。わたしが求めているアクションはジャッキー・チェンさんのようなハードなものではないので、あくまでもカッコよく美しく撮りたい、見せたいと考えています。アクションも大いに振付を考えて、俳優ひとりひとりの特色に合わせて表現しました。

マンハント

――監督の作品には、ハトや二丁拳銃などのトレードマーク的な要素がありますが、今回の作品では、どのように使おうと思いましたか?

ハトや二丁拳銃をどこで使うかは難しいことではなくて、場面によって意味が変わってくるものなんです。今回は友情がひとつのテーマなので、ハトを入れることでユーモラスな演出が可能となって、ハトによって助けられたりなど、そういう効果を狙いましたね。

今回、二丁拳銃について調べてわかったことは、日本の警察は銃を二丁持てず、最初の弾倉しか持ってなくて、詰め替えもできないということを知りました。なので、それに合わせてシーンを考え、自分の弾丸が切れたら人から奪って発砲するということ、そして手錠をかけてふたりで協力をすれば二丁拳銃になるという工夫をしました。今回はともに協力して難関を突破する必要もあったので、そこで二丁拳銃は意味を持っていますよね。

マンハント

――独自の映像美学、哲学を持っているジョン・ウー監督のような存在を目指す若手も多いかと思いますが、独自のスタイルを目指す秘訣は何でしょうか?

ジョン・ウー

難しい質問ですね(笑)。たとえば人の作品をできるだけ多く観ることも、ひとつの方法かなと思います。わたし自身も、さまざまな作品を観てきました。そして視覚効果にも、非常に興味があります。セリフよりも、視覚に訴えることに関心があります。美術館に行くことも好きで、少しずつ自分の美意識を養っています。そこにはスタンダードなノウハウなどはなく、経験を蓄積して悟ることも多い。日本のマンガやミュージカルの影響も受けています。人生で前向きな考えを持つこと、こういうことも映画製作に重要でしょうね。(取材・文:鴇田崇)

マンハント』は2月9日(金)より、日本公開。

マンハント
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