『返校 言葉が消えた日』『呪われの橋』など、近年注目が高まり続けている台湾製ホラー映画。人の怨念や呪いなど、根源的な恐怖を描き、心の奥底から寒気を覚える秀作が多い台湾ホラーにおいて、史上最も怖いと絶賛されているのが『呪詛』です。7月8日からNetflixで独占配信されるやいなや、日本でも大反響を起こし、Filmarksのトレンド1位(7/10時点)に躍り出るほど注目を集めています。
◆配信開始
『呪詛』(台湾)台湾で「史上最も怖い」といわれているホラー作品。
ある宗教の禁忌を冒してしまったリー・ルナオン。6年後、かつて自身が受けた呪いが娘に牙を剥き、想像を絶する恐怖が襲いかかる。日本語予告はこちら(⚠️視聴にご注意ください⚠️)#呪詛 #咒 #Incantation pic.twitter.com/e2lFOT62Qq
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) July 8, 2022
現実と交錯する恐るべきストーリー
シングルマザーのリー・ルオナンは、6年前、とある村のタブーを犯して以来、不吉なことに見舞われています。心に変調をきたし、一人娘を施設に預けているのですが、彼女は視聴者に語り掛けるようにビデオカメラの前で、呪いを解くために一緒に呪文を唱えてほしいと懇願します。映画は、主人公のルオナンが記録した映像として展開され、まるでYouTubeの記録動画を観ているような感覚で進行していきます。
やっとの思いで娘のドゥオドゥオと暮らせるようになったルオナンですが、娘の身体に次々と異変が起きると、その呪いを解くために、6年前自分たちが禁忌を犯した山村へと向かいます。しかし、それはさらなる恐怖の幕開けとなってしまうのです。
本作は、台湾で実際に発生したカルト教団の家族に起きた悲劇、6人家族がそれぞれ異なる神に憑依され、互いに殺し合ったという凄惨な事件に着想を得て製作されました。そんな恐るべき事件を、本作のケヴィン・コー監督は、娘を守ろうとする母の愛などを盛り込み、恐怖だけでなく感動をもたらす極上のホラー映画を作り上げました。
映画を超えて、あなたの日常を恐怖が侵食してゆく
本作で恐怖をもたらすのは、土着信仰や、密教、入ってはならない禁忌の場所など。日本人にも馴染み深い根源的な恐怖をもたらすものが作品全体にちりばめられています。
なぜかマンションに設置されている仏像や、奥深い山の村にだけ伝わる奇妙な風習、全身にお経が書かれた少女など、アジアならではの心の底にまで響いてくる不気味さが全編を覆っています。それだけに、単純に過激なスプラッター描写で怖がらせるのではなく、目に見えない「呪い」がどこまで逃げても追いかけてきて、自分も主人公と一緒に追い詰められていくような精神的恐怖を煽る作りになっており、アジアらしいホラー映画と言えるでしょう。
ケヴィン・コー監督は、影響を受けた作品として、日本の『リング』や『着信アリ』『呪怨』『仄暗い水の底から』や香港映画『the EYE 【アイ】』などを挙げています。同監督はアジアのホラー映画には「ある種の柔らかさがある」と語っており、欧米の派手なホラー映画とは一線を画す内容となっています。
台湾発のホラー映画『#呪詛』
7月8日よりNetflixで独占配信!🗣ケヴィン・コー監督
「信仰に対する敬意、特に宗教上の禁忌や深い謎に包まれた宗教には、恐怖心がいくらか混ざっているものです。私は怖い物語が大好きですが、それでもこうした題材には手を出せずにいました。
👇(続く) pic.twitter.com/oomS4cTlHS— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) July 5, 2022
また、本作はまるでYouTubeのようにカメラに向かって語り掛ける主人公から物語が始まります。作中、登場人物たちは常にカメラで撮影をしており、映画はその彼らが残したビデオによって構成されているというモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)的な手法で製作されているのも大きなポイント。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』などで広まったこの手法は、恐怖体験を観客の日常レベルで実感させるのに適した手法で、視聴者はまるでネット動画を観ているような感覚に陥ります。そしてこれこそがラストでの衝撃展開を後押しし、見終わった後まで視聴者に逃げ場のない恐怖を植え付けるのです。
残される数多の謎
本作は数多くの謎が敷き詰められていますが、その全ては敢えて明らかにしていません。例えば、山村で信仰されている邪神「大黒仏母」とはどういう存在なのか。禁忌の地下道は、一体どんな儀式を執り行う場所だったのか、そして、主人公の娘、ドゥオドゥオの安否など多くの謎を残していますが、コー監督は早くも続編の準備が進行中であると公言しており、今後そうした謎もあかされていくのかもしれません。
また物語上の考察要素にとどまらず、「現実の世界は、人の意思によって形作られる、何を信じるかによって結果は変わるのだ」という意味心な問いかけは、本作に大きな深みを与えています。目に見えない呪いや信仰、そして祈りとは、一体どこからやってくるのかと考えさせられます。
そして、ラストに待ち受ける主人公のまさかの行動に、あなたは何を思うでしょうか。是非その目で確かめてみてください。
活況を呈する台湾ホラーの決定版と言える本作、続編も予定されていることから、今後さらなるブームを巻き起こすことが予想されます。暑い夏を心の奥底から涼しくする極上のホラー映画を味わってください。
◆『呪詛』 information
Netflix独占配信中
Netflix公式:https://www.netflix.com/jp/title/81599888