【芸術の秋】これを知ればもっと映画が楽しめる!映画に隠されたクラシック音楽の世界

映画と音楽は人生の主成分

みやしゅん

クラシック音楽って何だか堅い印象があって苦手…そんな方が多いと思います。ですが、名作と呼ばれる映画にもクラシック音楽が起用されており、意外と身近なところで映画の世界観を創り上げる重要な要素になっています。

芸術の秋、大好きな映画を通して、ちょっぴり大人なクラシック音楽の世界を覗いてみませんか?いくつかの映画と共に、あなたをクラシックの世界へとご招待致します。

ようこそ!クラシックの世界へ!

クラシック音楽=堅い は間違い

まず始めに、理解しておくべきことは、多くの映画が様々なジャンルの音楽をBGM として起用しているということです。

ローンレンジャー

ジョニー・デップ主演の『ローン・レンジャー』でも、実はクラシック音楽が大々的に起用されていました。誰もが一度は聴いたことのある“あの曲”…そう、運動会でお馴染みの『ウィリアム・テル序曲』です。

意外なことに、終盤の鬼気迫るアクション・シーンで、起用されたこのクラシック音楽がちょっとした笑いを誘います。クラシック音楽が堅いという印象を、まさにぶち壊してくれる作品なのです。

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珠玉の名曲があなたを誘う

続いて紹介するのは『キック・アス』で一躍人気者となったクロエ・グレース・モレッツが、音楽大学を目指す主人公ミアを熱演した『イフ・アイ・ステイ』です。

イフ・アイ・ステイ

インタビュー時に、クロエ自身も「音楽は映画のキャストの一人」と表現しているように、この映画で登場するクラシック音楽はBGMとしての枠を超えています。音楽が物語を紡いでいるのです。

特に気になるのがミアがチェロで弾いていた曲…どこかで聴いたことがあるように感じます。

その正体は幼い時、皆さんが音楽室でよく目にしていたあのバッハが作曲した珠玉の名曲『無伴奏チェロ組曲第 1 番ト長調』です。クラシックを知っている人であれば「あ、あの曲か!」と言いたくなるような名曲ではありますが、知らない人からすると聴き覚えのある曲に過ぎません。

不思議なことに、映画を見終わってから、作品に出てきたポピュラー音楽を調べる人はいるけれど、クラシック音楽を調べる人はあまりいません。

この映画を見終わってから、是非皆さんにして欲しいこと、それはバッハの音楽に耳を傾けることです。そうすれば、きっとミアと最愛の恋人アダムが綴ったあの素敵な物語を思い出して、より味わい深い作品になるはずです。

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映画の世界観を創る音楽

次に紹介するのは、昨年の話題作『アバウト・タイム 愛おしい時間について』で、世界中が恋をしたレイチェル・マクアダムスが悪女を演じた『パッション』です。この作品、途中で劇中劇という手法が取り入れられ、起用されたクラシック音楽が作品全体に大きな影響を与えています。

パッション

起用されている『牧神の午後への前奏曲』は、どこか不安げで、おどろおどろしい音楽ではありますが、観ている者をどこか夢見心地な気分へと誘います。ここで、もう一歩踏み込んだ、大人の映画の味わい方を!

それは、起用されている音楽の作曲経緯を知ることです。『牧神の午後への前奏曲』がどのような意味合いを持つ作品か理解したとき、映画の楽しみ方がさらに広がること間違いありません。

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ここからが上級者向けの楽しみ方~新たな扉を開く鍵~

ここまで、 BGMとしてのクラシック音楽、音楽映画としてのクラシック音楽、作品のテーマとしてのクラシック音楽…様々な視点から、クラシック音楽の世界へと足を踏み入れてきました。なぜ、映画のために作曲された訳でもないクラシック音楽が、ここまで作品にフィットするのでしょうか。

それはきっと監督が音楽の世界観を理解したうえで起用しているからではないでしょうか?そう考えると、映画に起用されている音楽を理解することは、映画の世界観を深く知るための一つの手がかりになるはずです。
これまでのことを踏まえ、最後に、音楽の世界観を知っている人だけが楽しめる映画の世界への扉を開きましょう。

知っている人だけが味わえる“大人の”映画の世界

作品冒頭の美しい映像と、厳かな音楽が印象的なこの『落下の王国』では、かの有名なベートーヴェンが作曲した『交響曲第7番』の第2楽章が起用されています。実は、この『交響曲第 7番』、テレビドラマ「のだめカンタービレ」シリーズのテーマ曲として起用されていました。

しかし、起用されていたのは幸福感に満ちた第1楽章でした。そのイメージとは正反対の第2楽章は、クラシック界では次の異名で呼ばれています。

“不滅のアレグレット”

静かさの中に、何か煮えたぎる情熱のようなものが伝わってくるこの第2楽章は、美しい映像と共にインパクトを与え、観る者を一気に映画の世界へと引き込みます。しかし、この交響曲を全楽章聴いたことがあるならば、作品の解釈も変わることでしょう。

それは聴いた人だけ、知っている人だけが楽しめる世界観なのです…是非、聴いてみてください。

映画とクラシック音楽で感じる秋

時として音楽は BGMとして使用され、時として作品のテーマを象徴するものとして使用される…クラシック音楽に関わらず音楽と映画は密接な関わりを持っていて、互いを支えあっており、どれも素晴らしい作品を創りあげています。

「クラシック音楽だからなんとなく聴く気にならない…」という方も、大好きな映画を彩る美しい音楽に興味を持つことで、新しい映画の楽しみ方を発見できるかもしれません

季節は秋。これをきっかけに、あなたもちょっぴり大人な秋を過ごしてみてはいかがでしょうか?

 

※2021年9月28日時点のVOD配信情報です。

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  • michi
    3.8
    世界の美しい風景を楽しめる映画。映像も美しい。特にオープニングはモノクロ、スローモーションを組み合わせて監督のセンスがかなり出ていると思います。それだけで高得点。 けがを負ったスタントマンと入院している少女の交流。物語を聞かせてほしいとせがむ少女に創作の物語を聞かせるのだが… 物語パートはあまり好みではないかも。悪い話ではないのですがちょっと入り込めなかったです。それでもロケーションが最高なので見た目にはかなり楽しめます。話自体は地味な現代パートの方が面白く感じました。 締めくくりは結構好きですね。今も昔もスタントマンは身体張ってると思いますが、あの映像見ると昔のほうが無茶してるなぁ。
  • -
    怖い時の呪文を教えてくれたおじいさんがよかった わたしも使おう
  • CHIHIRO
    5
    すごすぎる 5時間くらいの長作だと思って観入ってた
  • ゆきゆき
    4.2
    これあらすじだけ読んでも刺さる人に絶対に刺さる映画だって分かるやつですよね。辛い現実の逃避として創られたファンタジーストーリーが紡ぎ出す絶望と希望の物語。 評判通り、世界各地の大自然や世界遺産でのロケーションで描かれる劇中劇の映像美は圧巻。これ僅か数秒のワンカットのために、わざわざピラミッドや万里の長城やエッフェル塔なんかでのロケをしてますよね。こんな贅沢な映像を当時スクリーンで見れた人が羨ましい。 何より感動的なのはこれが映画というメディアへのとめどない讃歌となるラスト。ロイのその後については解釈は分かれるだろうが、彼が語る物語の影響を受けたアレクサンドリアが、その後も希望を失わずに映画の中にロイを見出し続けたのは確かでしょう。 例え虚構で作られた映像だとしても、そこには血の通った俳優の姿がある。それを伝えるためだけにあれだけの画作りが必要だったのでしょうね。
落下の王国
のレビュー(11675件)