未曾有の才能の宝庫「ロマンポルノリブート」を観てみよう!〜オトナになったあなたにすすめたい映画〜

"DON’T TRY"

ロハ

妖艶で甘美でドラマチック。そんな「大人の映画」がある……

春がやってきた。桜が咲いて、学生は社会人になり、そして職場が変わる人もいることだろう。だれかと誰かが出会って、そして別れてゆくーー。

春はなぜだか活力が湧いてくる。たぶんあの寒い冬を耐えて、芽を出す草花や蠢き出す虫たちみたいに、人も暖かくなっていく気温に自分の気分を一緒に乗っけているんだ。

どうも、ロハです。今日はそんな暖かくなってくる春にロマンポルノリブート作品全5作を紹介。今までロマンポルノを観たことがない人も、観ようと思いつつまだな人も、まったく興味がない人も、この作品から観はじめればいいとっかかりになると思う。

さぁ、春を楽しもう。

ロマンポルノリブート作品とは

1971年〜1988年の間に日活が製作した成人映画「日活ロマンポルノ」を現代に蘇らせようとしたプロジェクト「ロマンポルノリブートプロジェクト」によって製作され、2016年に劇場公開された新作の日活ロマンポルノ作品のこと言う。このプロジェクトによって製作された作品は5本。それぞれ行定勲塩田明彦白石和彌園子温中田秀夫というビッグネームの監督がメガホンをとっている。

ジムノペディに乱れる

ジムノペディに乱れる

監督は『世界の中心で愛を叫ぶ』『GO』などで有名な行定勲。主演に板尾創路

映画監督である古谷(板尾創路)はいい映画を作るのだが売れない映画監督だ。そんな彼の一週間がこの映画では描かれている。古谷は大きな悲しみ、諦めのようなものを抱えている。彼はそれから逃げるように様々な女性とセックスをする。絡みのシーンでは必ずジムノペディというクラシックの曲が流れる。ジムノペディは古谷の心情を表すかのように静かにゆっくりと劇中響いてくる。

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風に濡れた女

風に濡れた女

監督は『どろろ』『黄泉がえり』などでメガホンをとった塩田明彦。

柏木高介(永岡佑)は世捨て人のように人里離れた森の中で暮らしていた。ある日、柏木は汐里(間宮有貴)に出会ったことにより彼の人生は一変していく。何の変化も求めようとしなかった男は野生的な汐里に振り回され、そして本能的で動物的な自分を解放させていく。ユーモアを交えつつ、真正面からセックスという本能が描かれている。

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牝猫たち

牝猫たち

監督は『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』で頭角を現した異才・白石和彌。

池袋の風俗店「極楽若奥様」で働く3人のデリヘル嬢、雅子(井端珠里)、結依(真上さつき)、里枝(美知枝)とそこに関わる男たちのストーリー。この映画は多くの社会問題をテーマとして取り込んでいる。ワーキングプア、児童虐待、孤独な老人、不妊など様々な要素が絡み合い、物語が構成されている。多くの悩みや、葛藤を抱えながらも人は夜を越えて、また一日を生きていく。

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ANTIPORNO アンチポルノ

アンチポルノ

監督は『ヒミズ』『愛のむきだし』などで知られる鬼才・園子温。

ストーリーはとても難解だ。現実と虚妄が錯綜し、一体何が起こったのか理解することが難しい。小説家でありながらアーティストでもある京子(冨手麻妙)というキャラクターがいるのだが、彼女は本当に京子なのか?ということすら謎であり、理解しようとすればするほどするすると手の中から水がこぼれていくみたいに遠ざかっていくような、そんな印象を持った映画だった。理解しようとすることそのものが拒否される。新しい質感を持った園子温監督らしい作品。

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ホワイトリリー

ホワイトリリー

監督は『リング』『クロユリ団地』などジャパニーズ・ホラーを牽引する中田秀夫。

はるか(飛鳥凛)は登紀子(山口香緒里)のもとで陶芸を学んでいる。はるかは登紀子に特別な感情を抱いており、登紀子は自身の過去を慰める意味合いで、2人は体を求めあう関係だった。そこへさとる(町井祥真)という男が登紀子の元へ転がり込んでくることによって、2人の関係に終焉が訪れる。幽霊などは出てこないのだが、やはり怖い。本編では愛憎を描いているが、幽霊より生きている人間の思いの方がよっぽど怖いんじゃないかと思える作品。

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ロマンポルノの可能性

日活ロマンポルノには様々な縛りがあり、10分に1回の絡みシーン、本編70分程度のもの、制作日数10日間などの制約がある。しかしこれらの制約さえ守っていたら内容は比較的どんなものでも許された。つまりそこには自由があり、作り手が作家性を発揮できる土壌があった。

そこから神代辰巳、小沼勝、加藤彰など多くの有名な監督が生まれた。そして、美保純、五月みどり、宮下純子など数多の素晴らしい女優がこれを機会に見出された。

ロマンポルノには未知数の才能が発掘される可能性がある。この企画(ロマンポルノリブートプロジェクト)が再び動き出す日を私は楽しみにしている。その際はまだ有名ではない新進気鋭の若手監督を起用した作品を観てみたいな。

あなたもこれを機会にロマンポルノリブート作品に触れてみてはいかがだろうか。

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