【映画を通して考える9.11】様々な角度から「あの事件」を描いた必見の7作品

3度の飯より3本の映画を選ぶ男です。

キクジロー

2001年9月11日。世界の動きが大きく変わった日ともいえる、忘れらない日。人種、国籍を問わず、人々の心に大きな不安と衝撃を残した「あの事件」が起きました。

あの日、世界で何が起こったのか?あの事件から、人々の何が変わったのか?

今回は、歴史的事件が起きた日である「9.11」に関するテーマを様々な視点から描いた、計7作品を紹介したいと思います。

ユナイテッド93(2006)

ユナイテッド

貿易センタービルに突撃せずに、墜落した4機目の物語。監督は「ジェイソン・ボーン」シリーズのポール・グリーングラス。

彼の手腕にかかれば、密室劇でありがちな単調なシーンは一切なく、全編から漂うピリピリとした緊張感は、あなたも搭乗しているかのような錯覚にさせられます。役者も全員無名で揃えたため「映画っぽさ」がなく、実際に9.11の日に管制センターで働いていた人物も出演しているんです。

墜落する瞬間までに何が旅客機の中で起きていたのか。本作を通してその瞬間を疑似体験できます。”演出”という枠を超えた、ものすごいパワーを感じる作品です。

アメリカンスナイパー(2014)

アメリカン

巨匠クリント・イーストウッド監督が、「伝説のスナイパー」の異名をもつクリス・カイルという人物を描いた作品。第87回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞を含む計5部門にノミネートされたという事実が完成度の高さを物語っています。

米軍史上最多の160人を射殺した男性ですが、本作では一人の人間として、父親としての苦悩をじっくりとカメラを通して見せつけます。

見所はクリス・カイル本人に似せるため、過酷なトレーニングで肉体改造を行ったブラッドリークーパーの演技力と雰囲気。彼の元奥さんも映画製作に関わっているのですが、ブラッドリー・クーパーを現場で見た時、「夫が目の前にいて驚いた」というコメントを残しているほどです。

今は亡きクリス・カイルという男性の視点で、戦争が一般家庭にどのような影響を与えたのか、知るキッカケになるでしょう。

再会の街で(2007)

再会

こちらは大人気コメディ俳優のアダムサンドラー出演作品。タイトルからは9.11 とは関係なさそうですが、しっかりとテーマに絡んでいます。

ドン・チードル演じるN.Yの歯科医が、飛行機事故で妻子を亡くし、消息を絶ってしまった大学時代のルームメイト(アダム・サンドラー)と出会い、時間を共に過ごすというもの。

この映画の魅力はコメディ要素を一切排除したアダム・サンドラーの演技力です。普段明るい人が、少し暗い部分を見せると、「悲しみがより引き立つ」という効果がありますよね?

本作ではまさにその力が大きく働いており、ベタなアカデミー賞俳優が演じる作品よりも主人公の「心の痛み」をひしひしと感じる雰囲気となっているのです。

特に後半のアダム・サンドラーの演技には泣かされること必須です。ありきたりな感動映画ではない、良作のドラマとなっています。

マイ・ブラザー(2009)

ブラザー

こちらはアメリカ版のリメイクバージョンとなりますが、オリジナル版は「ある愛の風景」というデンマーク産の映画です。

オリジナル版が映画祭で大絶賛されたため、アメリカ版が製作されました。個人的にはどちらも素晴らしいのですが、今回はリメイク版をおすすめします。

その理由は「トビー・マグワイアの存在感がすごいから」という一言に尽きます。

戦争から生還して帰ってきた夫役を、まさに「狂気」の演技力で表現するのですが、初めて観た観客としては、あのスパイダーマンがここまで壊れていいの?役者としてのイメージ大丈夫?と心配になるほどの迫力です。

ありきたりな泣かせる映画でもなく、ただひたすら心の傷を見せつけるような展開はある意味”アメリカ映画的”ではないかもしれません。

本作を見た後は、ぜひともオリジナル版を鑑賞することをオススメします。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011)

うるさい

こちらは世界的ベストセラーの映画化作品。

最初に聞いたときは、なんて名前の長い映画なんだろうか…という印象しか持っていなかったものの、実際に鑑賞してみるとなんとも素晴らしいドラマでした。

※原題は「EXTREMELY LOUD AND INCREDIBLY CLOSE」で邦題は直訳となっています。ここまでの直訳って逆に珍しいですよね。

主人公を演じるのはトーマス・ホーンという映画初出演の無名子役。この子は本作で評論家からもかなり絶賛されており「感受性が鋭い俳優」と評判も一気に高まりました。

実際に映画を観てもらえばとわかると思いますが、「あぁ、この子は本物の役者だな」と感じさせられるほど、喜びや悲しみの深い感情をスクリーン一杯に表現するような演技は必見。

この子は10年後にはどんな演技を見せてくれるんだろうかと、なぜか父親目線で観てしまったのですが、一度鑑賞していただければこの意味がきっと伝わるはず。

サンドラ・ブロックやトムハンクスなど豪華キャストもしっかりと華を添えているので、「9.11関連の作品は重そうで苦手だな・・・」と思っている人ほど観て欲しい心温まる作品です。

リメンバー・ミー(2010)

リメンバー

「トワイライト」シリーズで世界の大スターとなったロバート・パティンソン主演のラブストーリー。

映画のポスターを見て、「よくある恋愛映画でしょ…」と思いきや、ひねりのある脚本で観客をあっといわせたことでも話題となりました。

この映画の公開時はまさかこれが9月11日に関係する作品だとは思わない人が続出し、その驚きから映画の評価も高まりました。

「シックスセンス」等で有名な「ラストは誰にも教えないでください」的な作品なので、誰かと一緒に見るときはあえて何も教えてあげないほうがいいかもしれない"一味変ったラブストーリー”なんです。

何を言ってもネタバレになってしまうのですが、映画を見たあとにタイトルの「リメンバー・ミー(私を覚えていて)」という意味が心に染み渡るはず。

これ以上の予備知識は入れずに是非鑑賞してくださいね。

ゼロ・ダーク・サーティー(2013)

ゼロ

オサマ・ビン・ラディン暗殺作戦の裏で活躍した女性CIAが主人公。監督は「ハート・ロッカー」でアカデミー賞を受賞した女性監督キャスリン・ビグロー。

男性顔負けのかなり骨太な作風で、女性監督作品とは思えないほどダークで力強い傑作です。

全て実話かと思われていますが、明確なモデルが公表されていないという点も非常に興味をそそられる部分があるんですこの映画。

フィクションであり、ノンフィクションでもある奇妙なリアリティがひしひしと全編を通して伝わってくるんです。

主人公を演じるのは赤毛がとても印象的なジェシカ・チャステイン。ブラッド・ピットと共演した「ツリー・オブ・ライフ」でも素敵でした。

疲れ、怒り、悲しみ、決意のすべての感情を、言葉を語らずに表情のみで表現する演技力には脱帽です。追いかけていた標的が消えても、彼女の心が救われたといえるのだろうか。この世界は本当に平和に近づいたのだろうか…

ラストシーンで見せる彼女の表情は、鑑賞後も忘れられません。

映画を通して、9.11を様々な角度から考える

歴史に深い爪痕を残した、「9.11」という日を映画を通して、あなた自身でもう一度考えてみてはいかがでしょうか。様々な人々の視点や物語を「映画」を通して観ることで、「あの事件」の全貌が見えてくるかもしれません。

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  • リッキー
    4.5
    1000本目。190414 『喪失からの出発と友情の物語』 コメディ俳優アダム・サンドラー渾身のシリアスな演技に感動し、何度も涙しました。 9.11の同時多発テロで妻子を失い、計り知れない哀しみと喪失感を抱きながら、ただ希望もなくその日を生きているチャーリー(アダム・サンドラー)。そんな彼を長い間音信不通であった大学時代の親友アラン(ドン・チードル)が偶然発見します。 同じ歯科医として活躍していたはずのチャーリーの変わり果てた姿に驚愕したアランは、彼を襲った悲劇を知り、彼の力になりたいと思います。 チャーリーはアランと対面しても、始めは誰だかわからない様子でしたが、アランと交流し、学生時代のエピソードを聞いているうちに徐々に彼のことを思い出してきます。 前半は奇行が目立つチャーリーとアランの友情回復がメインですが、後半にかけてそれまで事件について口を閉ざしてきたチャーリーの悲痛な思いが明らかになってきます。家族のことを語るシーンは涙が止まらなくなります それほど心的外傷後ストレス障害は深刻な病で、チャーリーも相当苦しんでいます。彼のことを心配しているのはアランだけではありません。アパートの大家、親友だった会計士、精神科医(リヴ・タイラー)、義理の両親も力になろうとしますが、チャーリーの傷を刺激するばかりで救いにはなれません。 ついには義理の両親から「家族の写真を持ち歩かない、酷い人間だ」と罵られてしまいますが、彼は初めて「写真など必要ない。持ち歩かなくても、いつも彼らが近くに見えるのだ」と語りました。一時たりとも彼らの事を忘れられることなどなく、ずっとその思いを閉じ込め、独りで苦しんできた彼の心からの叫びは悲痛です。 チャーリーは、妻と最後に交わした会話を「台所のリフォームなんか」と喧嘩ごしに打ち切ってしまったことを、ずっと悔やんでおり、自宅の台所を何度も何度もリフォームし続けています。このエピソードから、9.11の事件後、ベストセラーとなった ノーマ・カーネット・マレック著「最後だとわかっていたなら」の詩が想い出されました。 このようにチャーリーのように哀しみを背負った人は大勢いることでしょう。事件や事故、または災害などで死傷者何人とニューズで発表がありますが、その数だけに驚くだけでなく、その数倍の遺族の悲しみがあることを忘れてならないと感じました。 チャーリーとの出会いによって、アランも変わっていきます。最後に同僚や妻に対して本音を語ったのは、自分も逃げずに心の内を明かそうと思ったからに違いありません。 アダム・サンドラーの演技はもちろんのこと、ドン・チードルも好演でした。相手の気持ちになって寄り添い、痛みを共有するという抑えた演技は、とても難しいと思います。チャーリーに言葉を選びながら、でしゃばらず優しく見守る姿に感動しました。 挿入歌は彼らの大学生時代に流行った70~80年代の楽曲が心に染みわたりました。 プリテンダーズの「Stop your sobbin'」、グラハム・ナッシュ「Simple Man」、ジャクソン・ブラウン「The Birds Of St. Marks」、ブルース・スプリングスティーン「Out in the street」、本作の原題は『Reign Over Me』はThe Whoの名盤「四重人格」に収録されている「Love,Reign O'ver Me」の一節から取っています。 劇中でも同曲が印象的に使われていました。 私は本作を鑑賞する前まで、こんなに素晴らしい作品だと知りませんでした。本作と出会えたことに幸せを感じ、メジャー作品でなくても良作は沢山あることに気づかせていただきました。だから映画はやめられません。まだまだ観るぞ!
  • しゅーま
    3.5
    私の知ってるアダムサンドラーではなかった、、!ただ楽しいおじさんではなかったんだ! ただ、9.11である必要があったのかなーとは思います。
  • ハレルヤ
    4.0
    ニューヨークで歯科医として成功したアラン。ある日偶然学生時代の友人であるチャーリーと再会。911のテロで最愛の妻子を失って、廃人同然となったまま日々を過ごす彼を救おうとするヒューマンドラマ。 主演2人の熱演にやられました。 普段はコメディ俳優のイメージが強いアダム・サンドラー。70年代のボブ・ディランかと思うくらいボサボサでヨレヨレの佇まいで、音楽とゲームで現実逃避する姿は、今までの彼とは全く違う役柄。彼の実力を存分に見せてもらった気がしますね。 そんな彼を救おうとするアラン役のドン・チードルも安定の良い演技でした。チャーリーと行動を共にする内に、自分自身も前向きに変わっていく様子が大きなプラス要素。 実力派である俳優陣の力が大きい作品でしたが、ただリヴ・タイラーがカウンセラーというのはちょっと違うような気がしたのは、ここだけの話。笑 テロ遺族の再生の物語でもあるし、男同士の友情の作品でもある。音楽も名曲の数々が物語を彩り、とても心に染み入る作品でした。
  • いしだ
    3.5
    他人の経験した悲しみや苦しみをわかった気になってはいけない、と改めて。 いい映画だったけど、ミス・リマー要る?
  • KeiSukeSato
    4.0
    どんどん話が重くなって他人事ではない気がする。 家族をなくしたら誰だってショックは受ける。 この映画で一番びっくりしたのはあのアダムサンドラーが一回もふざけない。 最後は涙がポロポロ。
「再会の街で」
のレビュー(2299件)