映画ライター・ヒナタカが語る『ルパン三世 カリオストロの城』を映画館で観る意義!

Filmarksの上映プロジェクト

プレチケ

Filmarks(フィルマークス)主催の上映プロジェクト・プレチケにて『ルパン三世 カリオストロの城』の特別上映企画が本日、9月9日(金)より全国の映画館で開催されます。本企画は、本作のヒロインであるクラリスの結婚式が9月13日であることを記念して上映される特別上映企画となります。

この上映企画を記念して、映画ライター・ヒナタカさんに本作の魅力を語っていただきました。

映画ライター・ヒナタカが語る『ルパン三世 カリオストロの城』を映画館で観る意義!〜ルパンとクラリスの関係から読み解くロマンと危険性〜


原作:モンキー・パンチ (C)TMS

※この記事は『ルパン三世 カリオストロの城』の一部ネタバレに触れています。観たことがない方はご注意ください。

宮崎印の立体的アクションは映画館映えする

ルパン三世 カリオストロの城』のヒロインのクラリスの結婚式が行われる9月13日。それに合わせて、2022年9月9日(金)より全国にて同作が2週間限定で上映される。

本作の魅力は「囚われのお姫様を助けに行く」という王道の冒険物語と、躍動感のあるアクションの数々、そしてロマンス映画としての気持ちよさにある。序盤のカーチェイスから、荒唐無稽なコミカルさがありつつも、手に汗握るギミックが満載の活劇となっており、映画を観る目的の1つである「日常ではできない体験」をストレートに味わえることは、言うまでもないだろう。

その他にも、宮崎駿監督ならではの「2Dのアニメでありながらも高低差と奥行きを感じさせるアクション」がふんだんにある。例えば、連続して屋根を跳んでいくアクションそのものは横から見た画でありコミカルだが、跳ぶ直前の長い長い下りの助走をつける様は高低差と奥行き感がたっぷりと示されており、カリオストロの城がいかに巨大であるか、また落ちれば当然死ぬ高所の怖さもしっかり示されている。

さらに、水路への侵入シーンや、歯車の上や時計塔外部での戦いなど、カリオストロの城のあらゆる場所を、アクションとして映させるアイデアがたくさんある。これらの「宮崎駿印の立体的なアクション」こそ、映画館の大スクリーンでこそ観る価値があるのは間違いない。また、本作は暗がりや夜のシーンも多く、画面の色合いや暗さも含めてじっくりと堪能できる、劇場で堪能する意義があるだろう。

ヒーローとしてのルパンと、精神的な強さを持つクラリスの魅力

爽快感を打ち出しているのは「クラリスがどうにもできないことを、ルパンがやってのける」シーンの数々だ。例えば、囚われの身となったクラリスが椅子を窓に投げてもびくともしないが、ルパンは天窓からさっそうと迎えに来てくれたりする。しかし、そのルパンが一転してピンチになる様、あるいはそのピンチをさらに逆転する様がバリエーション豊かに描かれていて、痛快無比とハラハラドキドキの感情が交錯していくため、ひたすらに面白いのだ。

そして、ヒロインのクラリスは今では一周まわって新鮮にも感じるほどの、精神的な強さを持っている。命を賭けて戦ってくれるヒーロー(ルパン)のために、自分も命を賭けて戦うというある種のロマンは、宮崎駿監督の「じつは人のために生きたいとか、雄々しく生きたいという気持ちは、誰でも持ち合わせている」という言葉にも表れている(アニメージュ文庫 「あれから4年…クラリス回想」より)。それもまた、日常ではできない体験だろう。

また、クラリスの(命を賭けるほどの)献身の心があったことは、10年以上前に身動きが取れないルパンに水を与え、カーチェイスの後に気を失ったルパンも水を浸した手袋を当てたように、間違いなく一貫している。だが、その幼少期のクラリスの指にはすでに銀の指輪が光っており、金の指輪の所有者であるカリオストロ伯爵との政略結婚という運命に、この頃から囚われているようにも思える。事実、クラリスは助けに来てくれたルパンに「あなたはカリオストロ家の恐ろしさをご存知ないのです。どうかこのまま帰って」と諦めの言葉を口にしたこともあった。

だが、ルパンは「あーあ、なんということだ。その女の子は悪い魔法使いの力を信じるのにドロボーの力を信じようとはしなかった。その子が信じてくれたなら、ドロボーは空を飛ぶことだって、湖の水を飲み干すことだってできるのに」と言いのけながら、(「今はこれが精いっぱい」と花と小さな国旗を出すマジックを見せた上で)その後に本当に「言った通り」のことをやってのけ、クラリスの運命を変える。普段はお調子者のルパンが「夢のようなことを本当に叶えてくれる」ことも、本作の爽快さにつながっていくのだ。

これからも変わらない関係

そして、最終的なルパンとクラリスの関係は、「それぞれが自分らしく生きる」という、やはり現代に通ずるテーマを示しているのかもしれない。これまで書いたように日常ではできない体験こそを提示している作品だが、最後には「日常に帰る」ことを通じて示していると言ってもいいだろう。

思えば、前述したクラリスの「命を賭けて戦ってくれた人のために、自分も命を賭けて戦う」ある種のロマンは客観的に見れば危険な価値観でもあるし、クラリスは変わらず公国の公女であり政治的な責任もあるだろう。最後のルパンのセリフには、そんな危うさもあるクラリスとの、自分の泥棒としての人生を背負わせたりもしないが、それでも、遠いところにいたとしても、いつでも助けに行ってあげるという、「これからも変わらない関係」が示されているように思う。

銭形警部の有名なラストのセリフに気恥ずかしさはあるものの、庭師のおじいさんがそれに対して言った言葉にも納得もできる。それは、ルパンとクラリスの「これから」の関係にも希望が持てるからだ。物語のその先の出来事に想像を巡らせることができる、それほどまでに愛すべき人物を描けているということ、それもまた『ルパン三世 カリオストロの城』が名作と呼ばれる理由だろう。最初に掲げた通り、王道の冒険、アクション、そしてロマンスに溢れる内容を、最初から最後まで一挙に「浸れる」ことに、劇場という空間で観る価値がある。

ヒナタカ

「ねとらぼ」「サイゾー」「女子SPA!」「Cienams PLUS」などで執筆中の雑食系映画ライター。

Twitter(@HinatakaJeF

ルパン三世 カリオストロの城』特別上映イベント詳細

上映期間:2022年9月9日(金)〜9月22日(木)
チケット販売:各劇場のチケットシステムにて販売中

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  • Rem
    4.5
    俺も心奪われた
  • フラット
    5
    古いのに全然問題無い。 映画館のデカイスクリーンで見たかったので行ってきました。 もしも今のホントに新作だったとしたら 鬼滅とワンピも抜いてぶっちぎりで1位 になると思うくらい良い。
  • はまなす
    4.4
    映画館で特別上映していたので見てきた やっぱりめちゃくちゃ良い
  • かるかや
    5
    何度見ても面白い。
ルパン三世 カリオストロの城
のレビュー(105323件)