昨年年末に公開され、鑑賞した多くの人を勇気づけた一作『百円の恋』が、先日第88回アカデミー賞外国語映画賞部門の日本出品作に選出されました。
『0.5ミリ』で今年の日本アカデミー賞優秀主演女優賞でも選ばれた安藤サクラさんが主演のこの作品。一言で言うと、とても”熱い”映画です。ご覧になれば、どんなに自分がダメな人生を送っていようとも、明日に向けて頑張れること間違いありません。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】『百円の恋』ストーリー
32歳の一子(安藤サクラ)は絵に描いたようなダメ人間。実家で毎日だらしない日々を過ごしていました。あるとき離婚して実家に戻ってきた妹とケンカをして、一子は一人暮らしをすることになります。
百円均一のコンビニでバイトをして生活していたところ、そこに通うボクサーの狩野(新井浩文)に恋をする。そこからいろいろあって、ボクシングへと興味を持つという話です。
始めはコメディ色が強くて驚かれるかもしれませんが、最終的にものすごい”熱い”スポ根映画に変わります。主人公がダメ人間だから、周りに出てくる人もダメ人間ばかり。そんな人と一緒にいても、感情を押し殺してボクシングへと励む一子を観て何だか応援したくなります。
一子がボクシングをやるきっかけは確かにありました。しかし最終的にボクシングを続ける”理由”なんてなくなっていたかもしれません。自己満足でも良いのです。どんなことにやるにせよ、理由らしい理由はあってもなくても実はそれは重要ではなく、真っ直ぐ何かに打ち込むひとの姿はカッコ良いと改めて感じさせます。
底辺にいるから湧く力
どんな環境にいたって人はきっと変われます。そんな風に感じられる素晴らしい映画です。そして一子を演技した安藤サクラさんが非常に素晴らしい。一子のあの初めの目つきや姿勢、そしてぼそぼそとした話声が変わっていく姿がとても印象的です。シャドーボクシングを仕事場でもやるシーンがあるのですが、めちゃくちゃカッコ良いです。
一度でも底辺を経験したからこそ、湧く力があります。それは決してかっこ良いものではないかもしれません。言うならば”負”の原動力です。怒りとか、苦しみ、悔しさ、全て”負”の原動力ですが、それが”痛い”ほど伝わってきます。
それを露わにしないよう、必死にボクシングに没頭する姿に惹かれます。底辺でも百円の価値だろうとも、馬鹿にするんじゃない!勝ってやる!という”自分”への闘志が観るものを熱くさせるのです。
とても熱いボクシング映画。終盤は涙が止まりませんでした。どんな環境にいたってきっと這い上がれる。そんな勇気をもらえる作品。今、自分に自信がない人にこそ観て欲しい映画です。
主題歌のクリープハイプ【CreepHyp】も素晴らしい。
▼クリープハイプ「百八円の恋」MUSIC VIDEO
『脳内ポイズンベリー』の「愛の点滅」主題歌としてもクリープハイプの曲が選ばれています。クリープハイプの曲は、非常に映画とマッチしていて映画を観終わった後も余韻に浸れます。
最近では9月12日より『私たちのハァハァ』というクリープハイプのファンである女子高生4人が、福岡から東京までライブめがけて走り出す青春ムービーが公開されました。今年はクリープハイプの勢いが止まらない気がします。
世界各国の出品作からノミネート作が選ばれ、来年の2月に受賞作が決まるのですが、これをきっかけにこの映画を見て様々な人の心を打ち、勇気を与えていければ映画のファンとして嬉しいです。
またスウェーデン代表として選ばれた、「さよなら、人類」は現在公開中、またドイツの代表として「顔のないヒトラーたち」が選出されており、こちらは日本公開は10月3日となっています。来年の第88回アカデミー賞”熱く”なりそうです。
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※2021年11月30日時点のVOD配信情報です。