傘がなかったから出会えた奇跡!雨っていいかもと思える映画10本

2018.06.11
映画

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

梅雨の季節がやってきた。毎日しとしと降る雨は憂うつ。早く止んでくれないかなーって思っちゃいますよね。

しかし雨は映画でも降る。しかも映画で降る雨には意味がある(はず)。だから傘を使った演出にはひと工夫あるわけで。

たとえば、傘の貸し借りがきっかけで親しくなったり、雨宿りしているときに声をかけられたり。あとは定番の相合傘……これはもう死語かな?

雨に必要なのが傘ならば、傘は映画にも欠かせないアイテムだといえよう。

傘がなかったから出会えた2人。心が近づいた2人。そして、そこから始まる物語。

そこで今回は、傘が取り持つ出会いを描いた映画10本をご紹介しよう。

四月物語』(1998)

壊れた赤い傘

四月物語

1人暮らしを始めた女子大生の日常を描きながら、彼女がその大学に来た本当の目的が少しずつ明らかにされていく。

憧れの先輩がバイトしている本屋。彼女がそこから出ると、雨が降っていた。彼は傘を貸そうとしたが、彼女は断ってしまう。しかし、その後通りすがりの男性が傘を貸してくれたので彼女はまた本屋に引き返し、先輩から改めて傘を借りる。

とまあ傘の行きかいがややこしいのだけど、つまり彼女は、最初は遠慮したもののどうせ傘を借りるのなら先輩から借りたかったのだろう。彼女が選んだのは壊れた赤い傘。その傘を返しに彼女はまた先輩に会いに行けるのだ。春雨の中をゆらゆら動く赤い傘が瑞々しい。

八月のクリスマス』(1998)

静かで優しい雨

八月のクリスマス

「死」をテーマに、写真館を営む青年と駐車違反取締員の女性のはかない恋を描く。

日本でも大ヒットし、山崎まさよし主演『8月のクリスマス』(2005)としてリメイクもされた。自分の死期を知りながらも誰にも打ち明けることなく淡々と日常を過ごし、好きな女性に気持ちを伝えられない苦しみにも静かに耐える主人公の姿が、胸に迫る。とにかく優しい優しい映画。

それまで惹かれあってはいた。しかし、雨宿りをしている彼を見つけた彼女が「一緒に帰ろう」と傘を差し出したことで、2人の距離はグッと近くなる。相合傘は傘を持っている方が濡れてしまうものだが、それに気づいた彼がさりげなく彼女の手から傘を奪ってそっと引き寄せるシーンがニクい。

箱入り息子の恋』(2013)

目が合わなかったから

箱入り息子

恋愛経験のない内気な主人公が初めて女性を好きになり、彼女の両親を説得するために奔走する。

人気ミュージシャンでもある星野源の映画初主演作。予想通りすぎてイヤになるほどの当たり役である。「親の代理見合い」という話も妙にリアルで、相手の親に交際を認めてもらおうと昇進試験を受けたりする彼がいじらしい。彼女の目が見えないという設定も、彼が外見でなく人間性だけで判断されている証となろう。

実はお見合い前に2人は出会っていた。ある雨の日母を待っている彼女に一目ぼれをし、彼は彼女にそっと傘を渡した。彼は女性と目を合わせると緊張してしまうのだが、視覚障がいのある彼女とは視線が合わなかったので、そんな大胆な行動を起こせたのである。いろいろな要素がうまく作用したお陰で自分の箱から飛び出せた。よかった。2人の運命を賭けた彼のがんばりどころに注目。

となりのトトロ』(1988)

バスを待つ間に

となりのトトロ

母の療養のために田舎へ移住してきた一家。その幼い姉妹が、子供の頃にしか会えないという不思議な生き物たちと交流するファンタジー。

ジブリのなかで最も人気があると思われるアニメである。どしゃぶりのなか森のバス停でお父さんの帰りを待つ姉妹。ふと見ると、頭に葉っぱを乗せたトトロがやってきて一緒にバスを待っているではないか。ずぶ濡れのトトロを見かねた姉が、お父さんの黒い傘を貸してあげる。

と、その傘に激しく雨粒が当たってバラバラッと音がしたとたん、トトロが突然「ガオオオオオ~ッ!!」とものすごい雄叫びを上げる。一体何に興奮したのやら。そのときトトロがお礼にくれた木の実を植えてみたら……その後の展開はあまりにも有名で、ここでもまたお父さんの傘が大活躍だ。貸してみるもんだね傘。

ハワーズ・エンド』(1992)

傘を間違えて

ハワーズ・エンド

郊外の別荘「ハワーズ・エンド」をめぐり、正反対な性格を持つ2つの家族の運命を描く。

理想主義的な知的中産階級と現実主義的な資産家。別荘の行く末が問題になるにつれ、この相容れない主義から生じる両家の軋轢が次第に浮き彫りになっていく。その古い別荘の存在の大きさときたら、歴史の重みを大切にする英国人らしい。

ある雨の日、音楽に関する講義に参加した中産階級の娘が、その内容に衝撃を受けてぼ~っとしていたのか、傘を間違えて帰ってしまう。それを見ていた持ち主が傘を取り戻そうと彼女を追い、彼女の自宅へずぶぬれで入ってくるのだが、それが縁で彼女は彼と知り合う。彼は下層中流階級の青年。1本の傘が運命の歯車を動かし始めるという演出が面白い。

ラブストーリー』(2004)

雨と涙がいっぱい

ラブストーリー

亡き母の初恋の記録を見つけた主人公が、その物語をたどるうちに自分の恋愛にも変化が起きる。

高校時代に出会った2人が身分違いの恋を反対されるわ戦争で引き裂かれるわで、ヒロインが笑っているよりも泣いているシーンの方が多い(男性もよく泣く)。しかしその涙が切なく美しいので、多くの女性がもらい泣きした恋愛映画の王道。

雨のシーンもやたらと多い。たとえば、傘のない2人が1枚の上着をはおって雨の中を駆け抜けたり、一緒に小屋で雨宿りしたり。びしょぬれのまま「別れたくない」と訴えに来た恋人に傘を差し出した彼女が、豪雨のなかを走り出したり。雨の胸キュンシーンを網羅していると言っても過言ではなかろう。雨っていいかもと思わせてくれる映画である。

恋は雨上がりのように』(2018)

恋の力で這い上がる

恋は雨上がりのように

バイト先のバツイチ子持ち店長に片思いをした女子高生は、夢に向かって再び走り出す。

つまりは、夢に破れそうになった女子高生と夢を忘れそうになった中年男性が、「恋」によって息を吹き返す話である。小松菜奈が身にまとっている思いつめた雰囲気を大泉洋の程よい軽さが緩和。彼女は彼の包容力に安らぎを感じ、彼は彼女のまっすぐさに刺激を受ける。人生経験のある大人と未来に向かう若者とのエネルギー交換だ。

雨の中でずぶぬれになっている女の子がいたら、誰だって傘を差し出すだろう。どしゃぶりなのは彼女の心。そんな何でもない優しさで崩れてしまうほど、彼女はギリギリのところで踏ん張っていた。好きになった方にも好きになられた方にも、一歩踏み出す勇気が湧いてくるのが恋。たとえどんな結末を迎えようとも、その輝きは本物だ。

オオカミの誘惑』(2004)

傘に隠れる

オオカミの誘惑

田舎から上京してきた女子高校生が、ライバル同士である2人の男性の間で揺れ動く。

原作者は18歳の少女だというから驚きだ。主人公は父と死別し、離婚後離れて暮らしていた母の元に行く途中で、高校生グループ同士のすさまじいケンカに巻き込まれてしまう。で、その対立する不良集団のボス2人(でも街のアイドル)から気に入られてしまうのである。

ある雨の日。街中でまたケンカが始まり、1人の男子高校生が彼女の傘のなかに飛び込んできた。それがその2人のうちの1人だったというステキな偶然。そして彼と彼女の驚くべき秘密が明らかになり、彼には悲しい運命が待ち受けているのだが、その展開が18歳の妄想ぽくてほほえましい。

鍵がない』(2005)

未練の雨が降る

鍵がない

家の鍵を失くしてしまった主人公が、元カレへの想いを引きずりながら夜の街をさまよう。

ある激しい雨の夜、駅の階段でたまたま一緒に雨宿りをしていたのが彼との出会いだった。彼を迎えにきた幼い娘に傘を借りた彼女は3人で一緒に岐路につくのだが、お互いの自宅が近いことがわかり、それをきっかけ2人はつきあうようになる。

今はそのときと同じ雨の夜なのに、彼女はひとりぼっち。ふと思い立って彼の家に電話してみると恋人がいたので、わざと強がってしまう姿が中島みゆきの世界なんだな。いかにも優柔不断そうな男を大森南朋が好演しているせいか、彼女の痛みがヒリヒリと伝わってきて切ない。

第3の愛』(2015)

障害を乗り越えて

第3の愛

愛を知らない御曹司と愛を信じられない女性弁護士のぎこちない恋愛を描く。

飛行機で出会った2人はその後も何度か再会したことで、次第に惹かれあっていく。しかし彼には親の決めた婚約者がいて、彼女には問題を抱えた妹がいて、つまり最初から障害のあるスタートだった。この彼がまたハイスペックな男性でねえ。こんな人に積極的にアプローチされたら即OKだろうと思いきや、愛に臆病な彼女はいつまでも決断できない。

仕事で2度目の再会を果たした2人。自分を助けてくれたお礼にと、彼女は彼を庶民的な飲み屋に連れて行く。その店からの帰り道、雨が降ってきたので慌てて帰ろうとした彼女を、彼は道端に転がっていた傘を拾って追いかける。相合傘で夜の街を歩きながら距離がじわじわと縮まっていくシーンは、懐かしのメロドラマ風だ。偶然を必然にするのが運命なの力なのか。わかりにくいタイトルで損をしていてちょっと残念。

いかがでしたか?

「傘が取り持つ男女の縁は映画の中だけ」なんて思わず、雨の日でも外に出かけてみませんか? 何か新しい出会いがあるかもしれませんよ。

【あわせて読みたい】
 <4コマでざっくり紹介>乙女心てんこ盛り映画『シェイプ・オブ・ウォーター』
※ あなたの青春はどの作品?甘くてほろ苦い学生時代を思い出せる邦画たち
※ 【王道から倒錯まで】様々な愛の形を描いた恋愛映画16選

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS