ファン待望のマーベル最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が2022年11月11日より公開されている。主演俳優・チャドウィック・ボーズマンの急逝を受け、一時は製作続行も危ぶまれた本作。
しかし、すでに完成していた脚本を書き直し、主人公の妹・シュリを中心に物語を紡ぎ直したことで、シリーズ史上初の新主人公による続編が完成した。故人の思いを受け継ぎ、製作陣・キャストが一丸となって描き切った「継承」の物語とは……。
本記事では、作品に登場した小ネタなどを中心に『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の面白さをご紹介していく。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)あらすじ(ネタバレなし)
ワカンダ国王・ティ・チャカが死んだ。
同時に国を守るヒーローであるブラックパンサーを失ったワカンダ王国は、貴重な資源・ヴィブラニウムを狙う他国からの脅威にさらされることとなった。
それから1年、新たな女王として公務を全うするラモンダに対し、兄を救えなかった後悔を抱くシュリは最新テクノロジーを応用した研究に勤しんでいた。
そんな折、彼女たちの前に海底に潜むタロカン帝国の支配者・ネイモアが現れる。
地上の人々が差し向けたヴィブラニウム探知機がきっかけで、一族が存命の危機に陥ったと言う彼の依頼から、シュリと国王親衛隊“ドーラ・ミラージュ”の隊長・オコエは開発者を探すためにアメリカへ向かう。
その正体はマサチューセッツ工科大学に通う天才女子大生・リリ・ウィリアムズであった。
※以下、ネタバレを含みます。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)あらすじ(ネタバレあり)
ハイテクスーツをも開発する彼女をワカンダ王国に匿おうとするシュリとオコエだったが、タロカン帝国の追っ手により、シュリとリリは誘拐されてしまう。ネイモアの事情を知り、タロカン帝国への同情心を抱くシュリ。
しかし、救出に現れた仲間がタロカン人を殺傷してしまい、ネイモアは激怒する。ワカンダ王国を壊滅に追いやった彼は、ついに女王・ラモンダをも殺害してしまう。
「復讐」を決意したシュリは、自身の研究の成果から新たなブラックパンサーとして覚醒。リリ・ウィリアムズ含むワカンダ軍を率いて、タロカン帝国軍との決戦に挑む。ネイモアを追い詰め、とどめをさそうとするシュリは母・ラモンダの姿が頭をよぎり、踏みとどまる。
その結果、ネイモアは降伏を宣言し、ワカンダ王国とタロカン帝国は協調関係を結ぶこととなった。壮絶な戦いを経て、シュリは兄の元恋人ナキアの元を訪れる。兄の死を受け入れた彼女の前に現れたのは、ティ・チャラの息子。彼の姿にシュリはワカンダ王国の希望を見るのだった。
本作のラストは……?
本作のミッドクレジットシーンでは、ティ・チャラに息子がいたことが判明した。
劇中序盤では女王・ラモンダがシュリに何かを伝えようとする場面があり、これはラストシーンの布石だったことが分かるだろう。
また、物語のクライマックスではワカンダ王国の女王・ラモンダが亡くなったため、誰が国王を継ぐのかという問題が発生していた。
ラストではシュリが国を去り、ジャバリ族の長・エムバクが王位継承の儀式に現れていたため、ひとまずは彼が国を治めることになりそうだ。
今回のラストシーンを踏まえると、今後の展開では、成長したティ・チャラの息子がワカンダ国の王位を継承する可能性もあるのかもしれない。
シュリの闇堕ち
本作ではティ・チャラの妹・シュリが「復讐」に支配されるという衝撃の闇堕ち展開が描かれた。
タイトルの発表や予告編の公開時点では、ブラックパンサーの意思を継ぐ人々をどのように描くのかが注目されていたが、まさか、ここまでシリアスで悲しい物語が描かれることになるとは……。
『アイアンマン』をはじめとする初期のMCU作品とは大きく異なる、まるで『ダークナイト』のような硬派なストーリーにはファンの多くが驚かされたのではないだろうか。
また、彼女がブラックパンサーの力を覚醒する場面では、前作の名悪役・キルモンガーが再登場。
まるで彼と同じ道を歩むようなシュリの闇堕ちをより印象づけるサプライズとなった。
アイアンハート初登場
本作では、原作ではアイアンマンの後継者となる「アイアンハート」こと、リリ・ウィリアムズが初登場となった。
すでに彼女が主役のドラマ「アイアンハート(原題)」の製作も発表されており、物語は本作と地続きの内容になるとのこと。
劇中ではアイアンマンことトニー・スタークとリリ・ウィリアムズの関係性などは特に明かされなかったが、高度上昇をして戦うシーンやスーツを製作する場面において、シリーズ第1作『アイアンマン』のオマージュが見られた。
果たして、新作のドラマでは彼らの繋がりが語られるのだろうか。
ヴァル再登場
ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ(略称:ヴァル)は「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」で初登場し、『ブラック・ウィドウ』のポストクレジットシーンにも登場したキャラクター。
今作では『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』から登場しているCIAのロス捜査官と過去に婚姻関係のあったCIA長官として登場した。
ちなみに、彼女は今後公開される映画『サンダーボルツ(仮)』にも登場予定。
本作はMCUの悪役キャラクターたちがヒーローチームを結成する、いわば”悪役アベンジャーズ”とも言える内容で、ヴァルは組織の幹部として彼らをまとめ上げる役割になりそうだ。
その展開を踏まえると、ひょっとすると、本作の物語にもその布石があるのかもしれない。
女性版アベンジャーズ
『ブラックパンサー』では、シュリや国王親衛隊“ドーラ・ミラージュ”をはじめとする戦う女性たちの活躍も高い評価を受けた。
その要素は『アベンジャーズ/エンドゲーム』にも引き継がれ、劇中では以下のメンバーが集結して戦う場面も描かれている。
・ペッパー・ポッツ
・ワンダ・マキシモフ
・ガモーラ
・ネビュラ
・マンティス
・オコエ
・シュリ
・キャプテン・マーベル
本作でも、そんな女性版アベンジャーズとも言うべき要素は健在だ。
新キャラクター・リリ・ウィリアムズが変身するアイアンハート、新スーツ・ミッドナイト・エンジェルに身を包んだオコエ、そして、クライマックスバトルではワカンダ国の女性たちが大活躍していた。
ちなみに、国王親衛隊“ドーラ・ミラージュ”は、ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」にも登場している。
今後、ブラックパンサーの女性キャラクターたちが他のマーベル作品で活躍する可能性も高いだろう。
MCU版『フルートベール駅で』
今作の監督・ライアン・クーグラーは、実話を基にしたデビュー作『フルートベール駅で』において、22歳の黒人青年が警官の凶弾に倒れるまでの姿を丹念に描いた。
本作では、そんな彼のデビュー作のような丹念な人物描写が印象的だった。
兄の死を受け止めきれず、世界への「憎悪」すら感じてしまうシュリの葛藤。
さらには、亡き名優・チャドウィック・ボーズマンの思いを受けて製作された作品ということも含め、本作はMCU版『フルートベール駅で』ともいうべき、硬派な人間ドラマに仕上がっていると言えるのかもしれない。
今回は『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の魅力をご紹介した。
フェーズ4の最後を締めくくる作品として、シリーズ史上もっともパーソナルでエモーショナルな内容にもなっていた本作。
ぜひ、繰り返し観ていただくことで、新たな発見をして楽しんでいただきたい。
『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』予告
※2022年11月18日時点の情報です。
(C)Marvel Studios 2022