『最強のふたり』名タッグが最新作『セラヴィ!』を語る「僕たちは“最高のふたり”」【来日インタビュー】

2018.06.27
特集

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

セラヴィ!

 

車いすで生活している大富豪と、介護人として雇われた黒人青年、出会うはずのないふたりが起こした奇跡を描き、日本でも歴代のフランス語映画の中で興行収入第1位を記録した『最強のふたり』は、エリック・トレダノオリヴィエ・ナカシュが共同監督を務めた作品。

この名タッグによる最新作『セラヴィ!』は、フランスの古城で執り行われる結婚式の1日を、ウェディングプランナーと、彼を取り巻くポンコツスタッフたちによる目線で描いた幸せの人間讃歌だ。『最強のふたり』よろしく、腹を抱えて笑うほどのコメディセンスと、じんとくるドラマの割合が絶妙で、本国では公開1カ月で25億円を超える大ヒットを記録した。

日本未公開の3作を含めると『最強のふたり』、『サンバ』に続く本作『セラヴィ!』は、実に6作目のコンビで手掛けた映画となる。「苦しい今だからこそ笑いが大切だ」と強い信念を持ち、製作にあたったエリック&オリヴィエだからこそ、インタビューも終始明るく行われた。そして、その魅力を探ろうとすればするほど、一筋縄ではいかない彼らのトークにより、とんでもない方向に転がり続けた。……しかし、これぞ「セラヴィ!(まあ、これも人生さ!)」。

セラヴィ!

――ここまで笑うと思っておらず、中盤、新郎に事件が起こる場面では涙が出るほど笑ってしまいました。

エリック 本当に、よかった! 世界各国の上映で、その場面で皆がどんな反応するかというのを、実は映像で撮っていてね、面白いよ(笑)。いろいろな国で、みんなが笑ってくれていたね。

オリヴィエ ヨーロッパの国々はフランスに対して近隣だけど、日本はフランスの文化に遠いよね。けど、同じことに反応しているんだね(笑)。

――こうした、コメディやドラマがミックスし、さらには様々な人物が登場する、いわゆる群像劇を描くときは、どういうところに気をつけているんですか?

オリヴィエ 僕たちはオーケストラの指揮者のような感じで、それぞれの人物を楽器のようなものだと感じているんだ。だから、僕たちは全体の楽譜を書いて、3年間でそれを組み立てて、演奏まで結びつけていくために、シナリオを書いたり、準備をしたりしている。それから編集をして、リズム感を出すのさ。そして、やっぱりユーモアを交えながら、映画として成り立つようなメロディーを描いていきたいなと考えているよ。僕たちはジャズがとても好きだから、ときどきアドリブあり、という感じにしたい。そう作っているんだ。

――アドリブというのは、具体的にどのようなことですか?

エリック スタジオ撮りをするにしても、主義としては、撮影現場でいろいろな人の言うことには耳を傾けるようにしているよ。それから、大体シナリオを書くのに1年半から2年ぐらいかけて書いていて、その間に、「このシーンはこういうふうに」とイメージしているんだけれど、実際の撮影が始まると、予定通りのものは撮りながらも、その間にどんどんどんどん僕たちの中でアイディアが湧いてくる。だから、テスト撮りのついでに、新しいアイディアにも取り組んだり、たくさんのバリエーションを作るんだ。編集もふたりでやるので、そのときにいろいろなバリエーションがあるほうが楽しいというか、作りやすいと思って。

セラヴィ!

――そうして出た多くのアイディア、バリエーションを編集する上で、意見が割れることはないんでしょうか?

エリック 一番最初のシナリオを書くところからふたりでやっているから、意見が食い違うというのは、あまりないかな。最初のうちに、いろいろ議論を重ねて解決策を見つけていって、ポジティブな形でどんどん進めているんだよ。編集までずっとふたりでやっているし、音楽なんかも自分たちで決めているし、お互いに補完的というか。例えば、意見が合わなかったとしても、それは話し合いのタネみたいな感じなんだ。だから僕たちが作った『最強のふたり』という映画のタイトルの通り、僕たちは“最高のふたり”なのさ(笑)。

――撮影していて困ったことや、演出上でのエピソードはありますか?

エリック 真夏のパリで展開する話なんだけど、その撮影の最中は「1910年以来の大雨」と言われて、セーヌ川もほとんど記録的な水位にまで上がってきてしまっていたんだ。だから、外で撮影するはずだったシーンも中で撮らなくてはいけなかったりして……ちょっとでも陽が差したら、急いで外に出てシーンを撮ったり、本当に大変だったね。主人公(マックス)が、「その場に応じて、うまく対応するんだ!」と言うんだけど、まさに僕らが「適応せよ!」でね(笑)。あとは、ルイ13世が所有していたパリ近郊のお城で撮影していたんだけど、僕たちも城内で寝ていたから、朝起きると王様の気分だったよ!

――撮影中、ずっとお城で寝泊まりしていたということですか?

オリヴィエ うん。このお城に、ずっと寝泊まりしていた。

セラヴィ!

――すごい貴重で、楽しそうですね。

エリック 本当にお城の城主になった気分でね。お城と、何ヘクタールもある広い森が続いているんだ。週末には、むしろ家族がこっちに来て、皆と一緒にそこで過ごしていたから、全然パリに戻らなかったよ。

――『セラヴィ!』を観ていると、日本とは違う型破りなフランスの結婚式の様子に驚きます。一体どこまでがフィクションなのか、何かを参考にしているのか……。

オリヴィエ でも、日本でも結婚式はお祭りというか、パーティーだよね?

――披露宴、二次会とあって、二次会がどちらかというとパーティー風でしょうか。

エリック そうなんだね。フランスには日本のような「結婚式場」はないけど、いくつか式場になり得る場所は、あったりもするよ。例えば、ホテルで結婚式を挙げることもあるし、本作ではお城でやっているけれども、ブルジョワの人たちはお城でやりたがる傾向にあるかな。「自分たちは昔、貴族だったから、こういうお城に住んでいたから」と言って、ある社会層の人たちが、自分たちの祖先を思い起こさせるような場所を選ぶのはよくあることで。だから、(劇中に出てくる)従僕の衣装を着けた人にサービスしてもらうとかも、よくあるよ。

オリヴィエ フランスでは、ああやってお城を借りてとか、ちょっとお屋敷を借りて結婚式をすることはよくあるので、とてもフランスらしい結婚式だよ。

セラヴィ!

――本当に素敵で、参加してみたいと思いました。

エリック そうだね、今度呼んであげるよ。

――ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

オリヴィエ 僕と結婚しよっか?

――ありがとうございます。えっ?

エリック そうだね、それが一番簡単かもよ?

オリヴィエ ああ、でも、まず奥さんに了承を得ないと。それが大丈夫だったら、日本から君の家族を呼んでね。

エリック 僕が証人になってあげるよ。

――急にジョークが炸裂しました(笑)。せっかくおふたりがいらっしゃるので、お互いのご自分にない才能や、近いからこそわかる長所など、ぜひ教えてほしいです。

エリック ……欠点は言っちゃいけないの?

――(笑)。どうぞ。

エリック じゃあ、僕から始めていい? オリヴィエは、いい男、いい夫になる人だよ。いい夫になれるよ!

オリヴィエ 提案なんだけど、例えば、僕は偶数で、エリックが奇数の日に、君の夫になればいいんじゃないの?

セラヴィ!

――おふたりのユーモアが止まりませんね。

エリック ほら、わかるでしょう(笑)? 彼の良さっていうのは、やっぱり面白いところだと思う。面白くなかったら、1日一緒にいてもつまらない。それに、僕よりもストレスを感じない人なんだよね、落ち着いている。それが彼のいいところさ。欠点はね、欠点はね……。

オリヴィエ 僕の欠点、ないんだ(笑)? たまにあるよ?

エリックは、僕ほどぐちゃぐちゃ、ごちゃごちゃじゃない。シナリオを書くときなんか、ある程度秩序立って書かないと絶対に終わらないんだけど、そういう意味では、彼のほうが段取りがしっかりしているんだ。それが長所だね。

セラヴィ!

――ありがとうございました。最後に、公開を待ち望んでいる日本のファンや、多くのクリエーターに、メッセージをいただければと思います。

オリヴィエ 日本に来ることができて、本当にうれしいよ。アリガトウ(※日本語で)!

エリック 日本に来ることができるなんて名誉だよ。待っていてくれていた日本の方々に、僕も会いに来たので、ぜひ観て、皆さんの笑いを聞きたいと思うよ。僕たちは、今、苦しい時期に生きているけれども、ヨーロッパでは少なくともそうなんだけども、そういうときに笑いはとても大切で。だからこそ、僕たちが朝起きるのは、笑いを取るためで、大勢の観客の笑いを聞きたいし、日本の方々の笑いが聞きたい。これまでの作品と同じように、多くの方に観てほしいと思うよ。(インタビュー・文=赤山恭子、写真:市川沙希)

映画『セラヴィ!』は2018年7月6日(金)より、全国ロードショー。

セラヴィ!

(C)2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

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  • RSS
  • jijiko
    3.6
    ドッタバッタしながら、ま、なんだかんだとハッピーになってくストーリー。 終わりよければすべてよしっていう、 まるっとした感じで これまたよし!かな
  • じゅん
    -
    大きな山場とかはないけど、くすくすって笑える感じ。 わかりやすいような演出。 フランス映画入門編的な
  • IwakoshiTaro
    4.0
    面白かった
  • ごてふ
    3.8
    池袋 HUMAXシネマズにて。平日夜の部。 観客一桁と閑散。古城で執り行われる結婚式のドタバタ。人生の一大イベントに集う人々。性格の書き分けられたキャラクターたちの喜怒哀楽が交錯して披露パーティはあたかも人種(人間)の見本市。 小ネタ満載であったが、ラストの深夜ライブ(アンプラグド)には痺れた。幾つになっても口説き口説かれ恋は突然に落ちるもの。 欧州映画らしいアダルトでエスプリの効いた人間讃歌でありました。
  • somaddesign
    5.0
    てんやわんや ::::::::::: 30年間にわたり数多くの結婚式を手がけてきたベテラン・ウェディングプランナーのマックスは、ピエールとヘレナというカップルからの依頼で、17世紀の城を式場にした豪華絢爛な結婚式をプロデュースすることに。いつも通り、式を成功させるため入念な準備を整えて当日に臨むマックスだったが、アシタントはケンカばかり、ウェイターはシワシワなシャツに奇妙なヒゲ、旧友のカメラマンはつまみ食いしてばかり、鬱上がりの義弟は新婦を口説き始め、バンドはワンマンショー気取り。トラブル続出でマックスの努力は全て泡と消え、感動的になるはずの式は大惨事と化してしまう。 ::::::::::: 歴史ある渋谷シネパレスは無くなっても、シネクイントが同じ場所で復活(о´∀`о) 寂しい気持ちと嬉しい気持ち混ぜこぜ鑑賞。 「最強のふたり」のエリック・トレダノ&オリビエ・ナカシュ監督再び。 「最強〜」と同様に物語の推進力たるトラブルメーカーが憎みきれない、思わず許せちゃうの不思議。落語の登場人物みたいな。人間の欠点や失敗に対する視点が優しい。 結婚式&二次会ってトラブル含めてお祭り騒ぎで楽しんじゃえ!って雰囲気だからかね。メデタごとだし。 『計画通りなことがベストではない』を具現化したような、結果オーライのドタバタコメディ。 マックスからしてベテランとは思えないほど短気な性格で、無理難題を突きつける若夫婦に思わずブチギレちゃったり、奥さんもいるけど職場に愛人も囲ってたり(しかもどちらも不仲気味)。登場人物たちがイチイチ不完全で問題があるのが前提の『人間』として描いてるのが愉快。 原題「Le sens de la fete」をGoogle先生に翻訳してもらったら「休日の意味」とな。 目先の事に忙殺されて、心の余裕をなくすことが元凶ってことかしら。ラストの休日に向かって散らばってく晴れやかな顔と顔が良かった。 そもそも解決とか正解を求めるのと逆ベクトルな話。「これでいいのだ!」と赤塚バカボニズム全開に全てを受け入れ、あるがままであろうとする潔さもまたこれカッコ良い。 それにしてもフランス映画は年齢性別のバイアス関係なく、恋愛にオープンな作風が多い気がする。60代・70代が主人公でも哀愁たっぷり老いらくの恋とせず、普通のこととして描いちゃう。特別な事じゃなくて人生の折々で落ちて然るべきことのような描き方。あらいいですね。 不満といえば、マックスが有能かつ聖人すぎてどんな難局にも解決策を見出すし、「おいこらそんな簡単に許すなよ」思うような不始末への対応もチラホラ。なんだか急に置いてけぼりにされた気分。 58本目
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