痛快に事件解決!異色コンビが大活躍の推理ミステリー10本

2018.07.29
映画

「映画」を主軸に活動中のフリーライター

春錵かつら

『相棒』、『リーサル・ウェポン』、『ラッシュアワー』に『シャーロック・ホームズ』、『謎解きはディナーの後で』、『メン・イン・ブラック』、『テッド』、『レインマン』などなど……。バディムービーは数あれど、今回は異色のコンビが謎を解明するミステリー10作を洋画・邦画交えてご紹介。

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』(2015)

老いた変人の元名探偵×未知数の才能を持つ10歳の少年

天才的な頭脳を持つ変わり者の探偵と常識的な医師。今となっては有名になり過ぎて異色コンビとすら思わない、ミステリー界の王様“シャーロック・ホームズ”。本作は、現役を引退して93歳になったホームズ(イアン・マッケラン)が、自身を引退に追いやった30年前の未解決事件に再び挑む姿が描かれる。なんと助手を務めるのは家政婦の10歳の息子・ロジャー(マイロ・パーカー)。

ワトソンの著書である「最後の事件」が事実と違うと憤慨したホームズは、自身で執筆を始めるも、脳の衰えから思うに任せない。今となっては唯一の理解者である10歳の少年に物語の続きをせがまれ、老いに抗いながらも持ち前の洞察力と推理力で、過去の物語を紐解いてゆく。ささやかな希望と爽やかな後味を残す、他のホームズ作品とは趣を異にする秀作。

「羊たちの沈黙」シリーズ

新人女性FBI捜査官×元精神科医の天才猟奇殺人犯

トマス・ハリスの人気シリーズ小説の映画化1作目『羊たちの沈黙』で大ヒットを記録、この後『ハンニバル』『レッド・ドラゴン』と次いで製作されたが、物語の順序としては『レッド・ドラゴン』→『羊たちの沈黙』→『ハンニバル』の順。ハンニバル・レクターの青年期を描いたドラマもヒットを記録した人気シリーズだ。

“ハンニバル・レクター”と聞けば、もはや泣く子も黙る猟奇殺人鬼。元精神科医で天才サイコパスの彼は、殺害した人間の臓器を食べることから“人食いハンニバル(ハンニバル・ザ・カニバル)”と呼ばれている。『羊たちの沈黙』では、FBI捜査官のクラリス(ジョディ・フォスター)が精神病院に収監されているレクター(アンソニー・ホプキンス)に助言を求め、巷で起きている連続殺人事件を解決していく様子が描かれる。「FBI行動科学課」を世界的に有名にし、“檻の中から事件を解決する天才凶悪犯”は、その後のミステリー界で多発、キャラクタージャンルとしての市民権を得た。

探偵なふたり』(2015)

左遷されたベテラン刑事×推理オタクの漫画喫茶店長

未解決事件サイトを運営するブロガーでもある推理オタクの漫画喫茶店長デマン(クォン・サンウ)。彼はしょっちゅう仕事を放り出しては警察署に出向き、事件に口をはさむ日々を送っている。ある日、刑事である友人が殺人容疑で逮捕されたのを知ったデマンは、かつては“広域捜査隊の人喰いザメ”と恐れられたものの、今は左遷されたベテラン刑事テス(ソン・ドンイル)につきまとい、一緒に事件を解決すべく行動を共にするようになる。

家では妻の尻に敷かれる強面刑事と、仕事そっちのけのダメンズの凸凹コンビは、口を開けば憎まれ口ばかり。二人の掛け合いによる“笑い”と、事件の“シリアス”のバランスが絶妙な一作だ。

タロットカード殺人事件』(2006)

ジャーナリスト志望の今ドキ女子大生×三流マジシャン

夏休みにロンドンの友人を訪ねたアメリカ人学生のサンドラ(スカーレット・ヨハンソン)は、遊びに出かけたマジックショーで敏腕新聞記者の亡霊に出会う。今巷を騒がせている連続殺人事件の犯人が大富豪の御曹司ピーター・ライモン(ヒュー・ジャックマン)だと幽霊に告げられたサンドラは、アメリカ人の三流マジシャンのスプレンディーニことシド(ウディ・アレン)と組んでスクープをものにしようと、事件の真相を追う。

上流階級の父と娘を装い、証拠集めに奔走する凸凹年の差コンビの二人が微笑ましい本作。タイトルの『タロットカード殺人事件』は、二人が追う連続殺人事件のこと。狙われるのはブルネットの若い女性ばかりで、現場には1枚のタロットカード。ウディ・アレン監督お得意の軽妙なシニカルさ。コメディでありながらほんのり切なくなる、アガサ・クリスティへのオマージュたっぷりのミステリー。

スキャナー 記憶のカケラをよむ男』(2016)

特殊能力を持つ人間嫌いの元芸人×毒舌で事務所をクビになった元相方

小さな芸能事務所でクビを言い渡されたばかりのピン芸人・丸山竜司(宮迫博之)の元に現れたのは、「マイティーズに人探しをしてほしい」と依頼してきた亜美(杉咲花)という少女。「マイティーズ」というのは、かつて丸山が特殊能力を持つ相方・仙石和彦(野村萬斎)と共に、観客の秘密を暴くというパフォーマンスで人気を博していた頃のコンビ名だった。

人間不信で引きこもり生活を送る仙石のその特殊能力は、手を触れた場所の残留思念を読みとる“スキャニング”という能力。元コンビの二人が始めた人探しが、やがて大きな事件の糸口となってゆく。人間の秘密は醜く、時として美しい。

「特捜部Q」シリーズ

無謀な捜査で窓際族になった仏頂面の刑事×陽気で人のいいアラブ系助手

ノルウェーの人気作家ユッシ・エーズラ・オールスンのシリーズ小説の映画化。コペンハーゲン警察署殺人課の刑事カール・マーク(ニコライ・リー・コス)は、無謀な捜査で同僚を殉死と半身不随に追い込み、未解決事件の再検証部署「特捜部Q」に左遷される。そこで2年間倉庫でスタンプ押しをしていたというアラブ系の男・アサド(ファレス・ファレス)と出会い、数々の未解決事件の捜査を進めて行くことになる。1作目『特捜部Q 檻の中の女』に始まり、『特捜部Q キジ殺し』、『特捜部Q Pからのメッセージ』と続く本シリーズ。

窓際族の二人が事件を解決していく設定は、日本のテレビドラマシリーズ「相棒」を思い浮かべるも、真面目で地味な物語を淡々と丁寧に描く、それは渋みの光るミステリー。

カラスの親指』(2012)

全てを失ったベテラン詐欺師×間の抜けた相棒

直木賞作家・道尾秀介の小説を映画化した本作。知人の保証人になり、闇金の取り立てで仕事も家庭も失い、自ら取り立ての仕事をする羽目になった男・タケ(阿部寛)。かつて自分の取り立てが原因でひとりの女性を自殺に追いやってしまった彼は、罪悪感から警察にタレこんで闇金会社を潰すことに成功する。しかしそれが原因で命を狙われ、ちょっと間の抜けた相棒テツ(村上ショージ)と共に詐欺師として逃げるように生きている。

ある日、火事でアパートを追われた二人が新居で出会ったのは、かつて自分が死に追いやった女の娘たちだった。タケとテツは、姉やひろ(石原さとみ)と妹まひろ(能年玲奈)、そしてやひろの恋人・貫太郎(小柳友)、という奇妙な5人の同居生活を始める。

豪華なキャストと人情味。散らばった糸が紡がれてゆく160分は、想像以上の優しい余韻を残す。

「ミレニアム」シリーズ

真面目で不器用な雑誌発行責任者×カメラアイを持つ有能なパンク女子

ハリウッドでもリメイクされたスウェーデン発の重厚なミステリー。

2004年に50歳でこの世を去ったスウェーデンの作家、スティーグ・ラーソンによる人気シリーズで、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』、『ミレニアム2 火と戯れる女』、『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』の3部作が映画化している。

雑誌「ミレニアム」の発行責任者・ミカエル(ミカエル・ニクヴィスト)は、実業家の不正をスクープしたものの名誉棄損で有罪判決を受け、業界から一旦離れることになる。そんなミカエルの元へ、36年前に失踪した少女の調査の依頼が舞い込む。助手として紹介されたのは、奇抜なパンクファッションに身を包んだ少年のような小柄な女性リスベット(ノオミ・ラパス)。瞬間記憶能力とハッキング能力に長けた有能な調査員のリスベットと共に、ミカエルは真相究明に乗り出す。

全編を通して女性に対する蔑視や暴力をテーマとした本作。彼女たちが闘う姿は頼もしく、そして美しい。

ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』(2013)

殉職した警官×200年センパイのカウボーイ警官

人気アメリカンコミックスを映画化。ボストンの敏腕刑事ニック(ライアン・レイノルズ)は捜査中に殉職し、天国に行くと思いきや「R.I.P.D.」にスカウトされる。「R.I.P.D.」は“あの世”の警察機関。死んでなおこの世に留まり続ける悪霊たちを見つけ、あの世に連れ戻す任務を担うのが、ゴースト・エージェントだ。天国に行くためのボーナスポイントになるとそそのかされて承諾したニックの前に現れた相棒が、200歳のカウボーイ警官、ロイシーファス・パルシファー(ジェフ・ブリッジス)。スパイスを嗅がせると正体を現す悪霊たちを昇天させるうちに、ニックは彼らが持っている金塊が、生前自分が手にしたものだと気づく。

ムサい男二人のコンビのはずが、人間からは彼らの姿はまったく別の姿に見えているなど、細かい設定にもコメディ要素満載。異色のオカルト・アクションでありながら、ミステリー要素もきちんと盛り込まれている。

グランド・ブタペスト・ホテル』(2014)

伝説のカリスマ・コンシェルジュ×移民のベルボーイ見習い

時は1932年、仮想の国・ズブロフカ共和国。“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれるグスタヴ(レイフ・ファインズ)を目当てに、セレブたちが集う超一流ホテル「グランド・ブタペスト・ホテル」。ある日、グスタヴと親しい大富豪のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺害され、グスタヴは容疑者となってしまう。彼を尊敬し、ベルボーイ見習いとして働く移民の青年ゼロ(トニー・レボロリ)は、同業の仲間たちの助けで追っ手から逃れつつ、事件の謎を解明するためにヨーロッパ中を奔走する。

本作は、第64回ベルリン国際映画祭審査員グランプリや、第87回アカデミー賞の4部門などを受賞したミステリー・コメディ。エレガントで緻密な色彩設計と、シンメトリーの多用や、アスペクト比にこだわったスクリーン設計。物語だけでなく演出にもミステリーを盛り込むウェス・アンダーソン監督に脱帽だ。

さいごに

“神秘”、“不思議”、“謎”を指す言葉「ミステリー」。

謎に魅せられ、挑み、裏切られ……翻弄されるのがミステリーの醍醐味。小さなものから大きなものまで、実は世界はミステリーに満ち溢れている。なぜ同じ温度なのに空気より水の方が冷たく感じるのか。なぜ犬は嬉しい時に尻尾を振るのか。寄せては返す海の波の始まりはどこ? 卵が先か、ニワトリが先か。

日々ミステリーはそこかしこに。色々な形の謎に挑んで、いつもと少し違う視線の日常を過ごすのも良いかもしれない。

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