8月ですね。夏休み中のお子様や学生の皆さん、そしてお盆休みを目前に控えた大人の皆さん、今年の夏を満喫していますでしょうか?
連日猛暑が続きますが、突き抜けた青い空、白い雲が美しいのはこの時期だけ!
今回は、今の時期にぴったり! 日本の夏を感じられる日本映画をご紹介。アニメ作品、実写作品からそれぞれ10作品ピックアップしました。“おすすめ夏シーン”もあわせて(筆者の完全なる独断です)ご紹介していきます!
日本の夏映画:アニメ編
『となりのトトロ』(1988)
言わずと知れた宮崎駿監督のスタジオジブリ作品。誰もが一度は観たことがあるのではないでしょうか。
昭和30年代前半の日本が舞台となっており、古き良き日本の風景、神話のような不思議な世界観を味わえます。
田舎に引っ越してきた草壁一家・お父さんとサツキとメイのあたたかい日常と、子どもの頃にしか会えない不思議な生き物“トトロ”との交流が描かれています。
おすすめ夏シーン
サツキとメイが水で冷やしたキュウリにかじりつくシーン! 子どもの頃あのシーンに憧れて真似した人もいるのではないでしょうか。(私はしました!)
『おもひでぽろぽろ』(1991)
こちらは高畑勲監督のスタジオジブリ作品。
27歳の主人公・岡島タエ子が、農業体験をするために山形へ向かう寝台特急の中で、小学生だった自分と当時の友人たちをふと思い出すことから始まる物語です。
1982年の山形県山形市・高瀬地区の景観や暮らしが綿密に描かれており、農村の暮らしに憧れながらも将来に迷いのあるタエ子ですが、幼少期に過ごした土地やそこでの記憶と向き合うことで、心がほぐれ、少しずつ自分に正直になっていく様子が丁寧に描かれています。
おすすめ夏シーン
紅花から紅が作られていく昔ながらの行程が描かれるシーンや、山間の村の夏の夜明け、小川が流れる庭先、トマトの畑など、田舎の夏の美しさがぎゅっと詰まっています。
『耳をすませば』(1995)
またまたスタジオジブリのアニメーション。監督は近藤喜文。
読書好きな中学3年生の月島雫。図書館で借りる本の貸し出し欄に必ず名前が書かれていた少年・天沢聖司と出会い、彼の夢を知ったことをきっかけに、自分の夢を見つけようともがきながら成長していく青春ストーリーです。
おすすめ夏シーン
お父さんへお弁当を届けるために図書館へ向かっていた雫が階段を駆け下りるシーン。東京都の多摩市と武蔵野市を描写した緑溢れる町並みは、ファンにとっては聖地巡礼の地としても有名です。
『河童のクゥと夏休み』(2007)
現代の日本に蘇ったカッパの子ども・クゥと、少年・康一、その家族を描いた作品です。
劇中には環境問題、いじめ、報道過熱などの現代社会に対する風刺が盛り込まれ、人間の愚かさとあたたかさ、両面が描かれます。大人が観ても複雑な思いで胸がぎゅっとなる作品です。
おすすめ夏シーン
夏休み中の康一が、クゥと一緒に河童伝説の残る岩手県の田舎道を旅するシーン。山間を流れる透明な川で泳ぐシーンは、何とも気持ち良さそうです!
『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)
2016年に大ヒットとなった『この世界の片隅に』の片渕須直監督作品。
昭和30年代の山口県防府市を舞台に、空想好きな少女・新子と、転校生の貴伊子の日常と友情を描いています。
美しい自然の中で、千年前の平安時代に生きた人々の暮らしを辿りながら、広大な自然の中でのびのびと過ごす子どもたちの姿は、大人になって忘れていた幼い頃の繊細な感覚を呼び起こしてくれるはず。
おすすめ夏シーン
バーボン入りチョコレートで酔っぱらった新子と貴伊子が麦畑に流れる小川の上、自然のブランコで涼むシーン。新子が水分補給している草の茎を味わってみたい……。
『サマーウォーズ』(2009)
長野県の上田市を舞台に描かれており、夏休みに田舎に集まる親族たちや、山間の夏の風景に懐かしさを覚え、「夏のアニメ映画といえばこれ!」「お盆の時期に観たくなる!」という人も多いのではないでしょうか?
インターネット上で繰り広げられる仮想世界が現実世界にも大きく影響を及ぼす近未来。仮想世界のハッキングの危機に、友情(恋?)と家族の繋がりで立ち向かう様子を描いています。仮想世界と現実世界が交差して繰り広げられる戦いに、大人から子どもまで夢中になってしまう作品です。
おすすめ夏シーン
仮想世界以外のシーンは全部!!です。中でも主人公の健二と夏希が縁側で重ねた手越しに見える入道雲はとても印象的です。
『時をかける少女』(2006)
東京の下町の高校に通う、男女3人のひと夏の青春模様を描いた作品で、公開当時、21館という規模から、口コミで広がり、100館以上で上映されました。
タイムリープの能力を手に入れた主人公の真琴が、周りの人間を巻き込みながら成長していく姿に、青春の思い出を重ね合わせる人も多いのではないでしょうか。
おすすめ夏シーン
劇中に何度も登場する、夏空が広がるグラウンドでのキャッチボールのシーン、川沿いの土手のピンク色の夕暮れ、ストーリーが進むにつれて同じ場所への感じ方も変わっていくはずです。終盤は涙が溢れて全く違う見え方になってしまいます。
『夜明け告げるルーのうた』(2017)
両親の離婚をきっかけに、東京から寂れた漁港の町・日無町にやってきた少年・カイが、人魚の少女・ルーと心を通わせていくファンタジー作品。
『夜は短し歩けよ乙女』の湯浅政明監督ならではの、オリジナルで自由なイメージに溢れたアニメーションが印象的。揺らめく画面や、極端なパースが作り出すカラフルで不思議な世界観に引き込まれること間違いありません。
おすすめ夏シーン
夏の海の町で夜が明け、空の色が少しずつ変化していく様子がとても幻想的に描かれています。
『映画 聲の形』(2016)
聴覚の障がいにより幼少期いじめにあった少女・硝子と、いじめの原因を作ってしまったことから周りに切り離され、孤立してきた少年・将也。それぞれ高校生になり、再会した2人が、周りの人々を含めた交流を深めていく中で、“人と人の心の交流の難しさ”と“人と人の心の交流のあたたかさ”を知り、成長していく感動作品です。
春からはじまり、秋の終わりまでを描いた作品ですが、ストーリーが大きく変化していく夏のシーンに引き込まれ、主人公たちの繊細な心の動きに強く共感する人も多いのではないでしょうか。
おすすめ夏シーン
主人公2人の夏のデートの舞台、岐阜県大垣市の養老公園、養老天命反転地の描写、そして美しいシーンからの物語の展開がとても印象的です。
『この世界の片隅に』(2016)
日本国内63館での公開から、1年以上をかけて全国400館以上、全世界60以上の国と地域に広がり、その人気は現在進行形で広がり続けており、12月には『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開を控えています。
18歳で広島から呉に嫁いだ主人公・すずが、悪化する戦況の中、日々を丁寧に生きていく姿が描かれており、膨大な資料を基に忠実に描かれた当時の町並みや、厳しい戦時下を支え合って生きる人々のリアルな暮らしが胸を打つ作品です。
おすすめ夏シーン
劇中に登場する夏の生き物たちの生き生きとした姿。恐ろしい空襲がありふれた日常の一部であることをより痛感するシーンです。
日本の夏映画:実写編
『あの夏、いちばん静かな海。』(1991)
北野武監督作品。「キタノ・ブルー」の原点と言われるように、劇中には印象的に青色が使われています。
ゴミ回収の仕事で先の欠けたサーフボードを拾ったことから、サーフィンに没頭していく聾唖(ろうあ)の少年・茂と、彼を見守る聾唖の少女・貴子。言葉を話さない2人の人間模様、心の交流に引き込まれるはず。タイトル通り、本当に静かな作品なので、慌ただしい毎日に疲れてしまった夏の日、静かな部屋でしっとりと観るのがおすすめです。
おすすめ夏シーン
海を見つめる2人の後ろ姿に切なさがこみ上げます。
『月とキャベツ』(1996)
歌手の山崎まさよしが初映画出演にして主演を務め、映画音楽も担当している本作。
主題歌「one more time, one more chance」が大ヒットとなりました。
音楽活動をやめて、田舎でキャベツを作る生活をしていた人気バンドのボーカル・花火のもとに、突然現れた謎の少女・ヒバナ。孤独な2人のひと夏の交流が描かれます。
おすすめ夏シーン
草原の丘で寝転ぶシーン。初夏の爽やかな風が何とも気持ち良さそう!
『菊次郎の夏』(1999)
北野武が監督、脚本、主演を務め、東京の下町で祖母と2人で暮らす少年・正男が、北野武演じる近所のチンピラ・菊次郎と共に母親探しの旅に出る、ひと夏の冒険を描いた物語です。
口は悪いですが、心根の優しい菊次郎。そして彼らが旅の途中で出会う大人たちの、現代にはない人と人との距離感が懐かしく、久石譲の音楽と美しい夏の情景がノスタルジーで幸せな気分をくれる作品です。
おすすめ夏シーン
菊次郎と正男が旅をする中で映し出される田舎道や自然の生き物、夏祭りのシーンは日本ならではの美しさと神秘さを感じさせます。
『ウォーターボーイズ』(2001)
文化祭でシンクロナイズドスイミングを披露することになった男子高校生たちの夏を描いた青春コメディです。
今では有名俳優となった妻夫木聡や玉木宏の、若き日のフレッシュな演技が何とも爽やか。「夏の青春を描いた邦画作品、高校男子部門といえばこれ!」と言っても過言ではない名作です。
おすすめ夏シーン
はじめから終わりまで、青春の夏シーンのオンパレード! 最後のシンクロは感動ものです。
『リンダリンダリンダ』(2005)
『ウォーターボーイズ』に続き、高校生の夏の青春。女子部門と言えば本作。
文化祭を目前に控えるなか、メンバーを探す軽音楽部のガールズバンド。たまたま目の前を通ったペ・ドゥナ演じる韓国人留学生を引き入れ、文化祭でTHE BLUE HEARTSのカバーを演奏するまでの数日間を描いています。
女子高生ならではのあっちへ行ったりこっちへ行ったり、ハチャメチャな女子高生たちの姿……それこそが青春!夏!真っ只中!を感じられる作品です。
おすすめ夏シーン
放課後のプールにけだるく浮かぶ香椎由宇の姿!です。
『歩いても 歩いても』(2007)
お盆時期、普段は離れて暮らす家族や親戚が集まり、思い出話に花が咲きます。どこにでもありそうな情景のようでいて、実際はそれぞれが成長し、新しい家族を作り、互いへの想いも変化していきます。本作は、そんな血縁で繋がった人々が目には見えない絶妙な距離感、バランスで成り立っている様子を描いています。
是枝裕和監督ならではの何気ない日常を切り取った自然な映像が、日本の夏、家族であるからこその良さも悪さも思い出させてくれる。そして家族について考えるきっかけをくれる作品です。
おすすめ夏シーン
お盆の時期といえば、お墓参り。家族みんなでお墓参りをして、蝉のこえを聴きながら歩いて帰るシーン。時が経ち、そこに居る人間が変わってもずっと受け継がれていく日本ならではの風習の趣き深さを感じられます。
『青天の霹靂』(2013)
原作、脚本、監督、出演を劇団ひとりが務めている本作。
大泉洋演じる売れないマジシャン・晴夫が雷に撃たれ、自分が生まれる少し前にタイムスリップしたことで、自らの出生の秘密を知ることになります。
1970年代の浅草の爽やかで懐かしい情景に癒され、父と子の掛け合いに笑い、家族の愛に涙する。人生はうまくいかないことも多いですが、悩んで立ち止まった時にこそ観たい作品です。
おすすめ夏シーン
蒸し暑く、熱気に溢れた下町の夏も日本の懐かしの風景です。
『リトル・フォレスト 夏・秋』(2014)
橋本愛演じる主人公・いち子が、小さな集落の中で自給自足の生活をしながら暮らす様子を、春夏秋冬それぞれの食材や料理と共に丁寧に綴られていく2部作。本作では夏と秋が描かれています。
岩手県奥州市にて、オールロケで撮影された本作は、移ろいゆく美しく、厳しく、エネルギーに溢れる自然が映し出され、いち子と共に癒されていく感覚を味わうことができるはず。
おすすめ夏シーン
汗だくで草刈りをした後に井戸水で頭を冷やすいち子の姿は、観ているこちらまで「あぁ〜」と声が出てしまうほど気持ち良さそうです。
『永い言い訳』(2016)
自身の不倫の最中にバスの事故で妻を亡くした本木雅弘演じる人気作家・衣笠幸夫。妻の死をきっかけに妻と一緒に亡くなった友人の夫、竹原ピストル演じる洋一とその子どもたちに出会います。彼らとの時間を共にするうちに、幸夫の心境に少しずつ変化が生まれる物語です。
おすすめ夏シーン
本作、夏のシーンはさほど多くはないのですが、幸夫が洋一と子どもたちと訪れた海で過ごすひと時の美しさは格別。洋一の口からぽろりとこぼれる言葉に、胸がいっぱいになります。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】『万引き家族』(2018)
今年6月に公開。是枝裕和監督が日本人監督として21年ぶりにカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞したことでも話題となった本作。
樹木希林演じる初枝の年金と、日払い労働やパートの給料、そして日々万引きをすることで生計を立てる一家。高層マンションの間に建つ古い平屋に身を寄せ合い、貧乏ながらも笑顔の絶えない日々が、ある事件を境に一変していきます。
おすすめ夏シーン
花火大会の当日、縁側に出て花火を見上げる家族の姿、目には見えない“家族みんなで迎える夏”の美しさがスクリーンをとおして伝わってくるとても印象的なシーンです。
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いかがでしたか? 子供のころの思い出ってなぜか夏が多いような気がします。今年の夏も素敵な思い出を作りましょう!
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