これぞトム・クルーズ!『ミッション:インポッシブル』最新作監督だけが知るスターの一面【来日インタビュー】

2018.08.02
映画

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

トム・クルーズの代表作「ミッション:インポッシブル」シリーズは、これまで発表された5作品すべてにおいて、監督が異なることがならわしであり、トム演じるイーサン・ハントを個性あふれる彼らがどう料理するかが、みどころのひとつでもあった。

最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』においては、トムたっての強い希望で、前作『ローグ・ネイション』からクリストファー・マッカリー監督が続けてメガホンを握ることになった。掟破りの事態に驚くと同時に、『ローグ・ネイション』とは全く異なるテイストに仕上げた渾身作であることに脱帽する。トムがクリストファー監督に全幅の信頼を寄せるのも、うなずける出来だ。

物語はプルトニウムを奪われるところから始まり、イーサン率いるIMFのエージェント・チームが、変わらぬ剛腕を振るい奪還の糸口を探っていく。おなじみのテーマ曲が流れるオープニングの頃には、鮮やかで華麗なる本シリーズらしい憎い演出に完全に心が持っていかれる。すべての仕掛け人である来日したクリストファー監督に、本シリーズを演出する醍醐味、9本にわたりタッグを組んだトムとの充実した仕事ぶりについてインタビューした。

クリストファー・マッカリー

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シリーズごとに重要度が増すサイモン・ペッグが『ミッション:インポッシブル』で得たもの【来日インタビュー】

――アクションがスケールアップしている『フォールアウト』ですが、演出していてひやっとしたことや、本当は「やめて」と思ったことはありましたか?

とにかくトムはスタントを全部やりたがるから、止めてもしょうがないんだよ(笑)。ヘリコプターチェイスは、僕も乗り込まないといけなかったから、「言わなきゃよかったな……。やらせてしまった……」という後悔もあった。僕としては地上で全部指揮を執りたかったんだけど、必要に駆られて飛んだよ……。非常にストレスが溜まった(笑)。

MI6

――今までトムと9本ご一緒していますが、「これぞ、トム・クルーズ」と思う瞬間はどんなときですか?

たくさんあるよ! 今回で言えば、屋根の上を走るところだ。というのも、シークエンスの初日にトムは足を骨折したから、とにかく「9か月は走れないよ」と医者に言われていたんだ。もしかすると二度と走れないかもしれないと思われていた中、実際には6週間で復帰したんだよ! 骨折したまま、走る続きをやってくれたし、窓から飛び降りたりするシークエンスも、全部骨折した状態でやり遂げて。彼は気力で持っている。まさに「これぞ、トム・クルーズだ!」と思うシーンだったね。

――初出演のオーガスト・ウォーカー役ヘンリー・カヴィルと、トムとのバディ感が本作の魅力のひとつであるように感じました。

実は、僕は脚本を書いている当初から「オーガスト役はヘンリーが一番いい、彼を出したい!」と思っていた。けれど、彼はスーパーマンをやっている人だから、(出ることを)嫌がる人たちもいるのかなと思って、あえて自分の口からはヘンリーを提案しなかったんだ。

――では、どのように出演が決まっていったんですか?

最初、スタジオ側が「きっと欲しがるだろう」という俳優の名前を全部リストアップした。当然、その人たちは忙しすぎたり、すでにこうした映画でオーガストのような役を演じた経験があったから、半ば「やれない」とわかっていて名前を出したんだ。次に、またいろいろとリストを作る中で、本当に目立たないように、リストの一番下のほうにヘンリーの名前を書いたんだよ(笑)。ヘンリーの名前が挙がっているから、皆、何となく候補として考えるようになってきて、「彼しかやれる人がいないんじゃないか」と思うようになった。まあ、僕はその間、ヘンリーを想定して役を書き込んでいったんだけどね(笑)。

クリストファー・マッカリー

――実際、トムとヘンリーの共演による化学反応はいかがでしたか?

ヘンリーはトムに匹敵するくらい本当に集中力があって、献身的な人だ。「トムから学び取ろう」という姿勢で、彼は参加していた。トムはもちろん全部のスタントを自分でやるけど、ヘンリーも十分スタントの準備ができていたし、きちんとこなしてくれる人だった。

今振り返っても、本当に、ものすごく過酷な撮影だったんだ。例えば、氷点下のものすごく寒い中、160キロくらい出ているヘリコプターに乗るアクションをやってくれた。しかもドアが開いている状態で(笑)。僕も実際、ダウンベストを着てヘリコプターに乗って「7,500フィートがどういう感じか、高いところまで行ってくれ」と言ったんだけど、なんせ200フィートまでいったところで早くも耐えられなくなって……。でも、ヘンリーはそういう過酷な条件の中で、ずっと耐えてくれて、一切文句を言わず、何回も何回も飛んでくれたんだ。驚くべきことだよ。

――ヘリのシーン以外に、HALOジャンプのシーンも派手なみどころですよね。

やったことのない撮り方だし、HALOジャンプをああやって使うのは初めての経験で。どんな映像になるかがわかっていなかったけど、チャレンジしたんだ。HALOジャンプでは、ウォーカーのところにイーサンが行って、ふたりが転がっているように落ちて行って、眼下にパリの街が広がっているだろう? あれを見たときに、「すごい! (スタンリー・キューブリック監督の)『2001年宇宙の旅』だ!」と思ったね。

クリストファー・マッカリー

――アクションを撮る意義や、大事にしていることがあれば教えてください。

ストーリーが一番大事だと思っている。実は僕がお気に入りの場面って、たぶん皆さんが想像しているようなものではなく、アクションとは全く無関係の場面だったりするんだ。キャラクター同士の会話だったり、エモーショナルな感情が出ているシーンとか、普通のアクション映画だったらカットされてしまうようなシーンが、僕は一番好きなんだ。なぜかって? アクションはストーリーとキャラクターがなければ、単なる見世物になってしまう。とにかくハリウッド映画って、ストーリーの中に無理やりアクションを押し込んでくる場合が多いんだ。でも、アクションの中にストーリーをちゃんと入れ込むのがトムと私のやり方だ。アクションをやっている中でも、キャラクターがわかるように、またユーモアや人間性が現れるように心がけている。トムは、その辺の勘がすごく働く人だよ。

――具体的に、「ここがそうだった」というわかりやすいシーンはありますか?

イーサンがオフィスで椅子を取って、投げて窓を割るシーンがあるよね? 台本上は台詞もなく、「窓を割って飛び降りて走って行く」と書いてあった。けれど、本編ではベンジー(サイモン・ペッグ)とイーサンが遠隔で、ちょっとユーモラスな会話をしている。トムは「ベンジーが『何で止まるんだ? 走れ!』と言って、イーサンが『窓から今飛び降りるんだ!』と言い返したほうが面白いよね?」とその場で提案して、全部即興でやったんですよ。ほかのアクション映画だったら、窓を割って走って行くだけのところを、キャラクターやユーモア、人間性を持ち込もうとした。それは本作ならでは、だよね。トムはアクションの中でも躊躇したり、怖がったり、弱さ、もろさを出すことを恐れない。ほかのアクションスターは、そういうことをしない。ジェームズ・ボンドだったら、あそこで「ちょっと待った」とは言わないし、ボンドは椅子じゃなくて、たぶん人間を投げるだろうからね(笑)。(インタビュー=編集部/文=赤山恭子/撮影=長井太一)

映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は2018年8月3日(金)より、全国ロードショー。

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(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

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