ただの紫外線対策じゃもったいない!サングラスが印象的な映画16本

2018.09.30
映画

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

夏の灼熱とした暑さがやっとやわらいだと思ったら、ニットが必要なほどの寒さ……。あの照りつける太陽に早くも懐かしさを覚える今日このごろ。

でも、いくら暑さがやわらいだからといっても、紫外線は年中降り注いでいる。肌寒くなってきても、天気の良い日にはサングラスをかっこよくかけて、外を歩いてみたいものだ。

おしゃれな映画には欠かせないアイテムのひとつとしてもたびたび使用されるサングラス。ただカッコいいだけではなく、その登場人物のキャラクターを表していたり、ストーリーに深い意味付けをしていたり、はたまたユニークな小道具としても多く使われている。

サングラス

そこで今回は、サングラスが印象的に登場する映画16本をご紹介しよう。

ギャップ萌え

ブルース・ブラザーズ』(1980)

6

刑期を終えて出所した弟が、兄と一緒にお世話になった孤児院へ挨拶に行ったところ、税金を払えないため立ち退きを迫られていることを知る。

黒いスーツ。黒いネクタイ。黒い靴。黒いソフト帽。そして黒いサングラス。この映画であまりにも有名になったこの格好は、その後『メン・イン・ブラック』などあちこちの映画に影響を与えたが、もとはブルースミュージシャンへのオマージュだという。

結局彼らはバンドを組み、音楽でお金を稼ぐことを思いつく。で、ライヴに向かう途中自分をつけねらう謎の女に邪魔をされた弟が、サングラスをはじめてはずして彼女をじっと見つめるシーンがあるのだが、そのつぶらな瞳ときたら。あまりの衝撃に不意を突かれ、彼女はまんまと撃退されてしまうのであった。

コネクテッド』(2008)

13

娘を誘拐され、自分も何者かによって監禁されたヒロインが、壊れた電話を修理してつながったのは、見知らぬ男性の携帯電話だった。

ハリウッドのヒット作を香港でリメイク。たまたま自分の携帯にかかってきたSOSを見過ごせず、冴えない中年男がヒーローになるという巻き込まれ型サスペンスで、これでもかと極限状況が続いて最後まで飽きさせない。

悪役のボスは、ここぞというときに何故サングラスをはずすのだろう。それが新庄剛志(または吉川晃司)似のカワイイお目目だったら、凄んでみせようにも逆効果。これがまた何度もやるんだよなあ。目を見た限りでは本当はいい人なのかも。

のぞくしぐさにグッとくる

ロリータ』(1961)

9

夏を過ごすために田舎町で下宿を探していた教授が、ある家で美しい少女の姿を目にし、一瞬で心を奪われてしまう。

彼女がいるからそこに住もうと決めただけなのに、未亡人である彼女の母親から猛烈なアプローチをされ、結局「少女とずっと一緒にいられる」というもくろみから母親と結婚するという少々気持ちの悪い展開に。

教授がもともとロリコンだったのかどうかは不明だが、少女との初対面でグッときたのはわかる。水着姿で芝生に斜め座りをして本を読んでいた彼女が、大きなサングラスをちょっとずらして彼を見上げるチャーミングなしぐさ! 無意識の誘惑。困ったもんだ。

ティファニーで朝食を』(1961)

5

ニューヨークで猫と気ままに暮らしながら、お金持ちとの結婚を夢見ている女性がある男性と出会い、真実の愛に目覚めていく。

オードリー・ヘプバーンの代表作であり、彼女のためにあるような映画だが、当初はマリリン・モンローを想定していたそうだ。2人は正反対のタイプなので、それなら全く違った作品になっていたであろう。コールガールの役だしね。

ヘプバーンの洗練されたエレガントなファッションが、大きなみどころ。彼女のサングラスはウェイファーラーで、大きめサイズのレンズから上目づかいに瞳を覗かせるにはピッタリだ。マドンナやデヴィッド・ボウイも愛用。

反抗の象徴として

卒業』(1967)

4

大学卒業後に帰郷した青年が、人妻に誘惑されるまま逢瀬を重ねるが、その娘と出会ったことで彼女と恋仲になってしまう。

彼女が他の男と結婚すると知り、教会から花嫁をさらって一緒に逃げるシーンはあまりにも有名で、こういうシチュエーションに世の男性(女性)たちがどんなに憧れたことか。

虚ろな日々を送っているときの彼はサングラスをかけていて、これは現実と幻想を区別するための道具として演出されているのだとか。それは、マニュアル通りのレールに乗って大人になりたくないという反抗心の表れ。わかりやすいなあ。わかるなあ。

マトリックス』(1999)

10

現実に目覚めた主人公が、仮想世界と現実を行き来しながら、コンピュータの支配から人類を解放する戦いに身を投じていく。

「白ウサギについていけ」って……そんな感じであちこちに比喩や暗示が散りばめられつつ、哲学や信仰がテーマにもなっているので世界観がやや難解。でも、カンフーアクションは純粋に楽しめるというSF娯楽作品である。

仮想世界で戦うとき、彼も含めて仲間たちは一斉にサングラスを着用している。そう。あの有名なファッションは、いわば抵抗軍の戦闘服。サングラスはカッコいいだけでなく、支配者への反抗というメッセージが込められた小道具なのである。

サングラスの価値

僕が9歳だったころ』(2004)

14

1970年代、韓国の田舎町にある小学校で、転校してきた帰国子女と同級生の男の子がぶつかり合いながらも、少しずつ仲を深めていく様子を描く。

世代によっては、自分の懐かしい子供時代を思い出すだろう。気になる女の子に冷たくされながらも、好きな気持ちは変わらない。報われなくても力になろうとする自己犠牲と健気さは、その年頃の男子が抱きそうな夢である。

彼の母親は片目が見えない。なので、その外見をからかわれるのがつらく、本人のためにサングラスを買ってあげようと、こっそりアルバイトをする孝行ぶりが泣かせる。小憎らしいお嬢様も実は深刻な事情を抱えていたりして、子の心親知らず。子供なりに支えあおうとする姿にじ~んとくる映画。

再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』(1988)

2

ニューヨークで作家を目指しながら出版社に勤める主人公が、離婚と親との死別を乗り越え、人生のどん底から這い上がっていく。

突然言い渡された離婚。母親の死。男性にとってこれは、かなりのタブルパンチだろう。その後は、酒とドラッグに溺れるお決まりコース。そんな気の毒な男をコメディ俳優マイケル・J・フォックスが演じ、シリアスな側面を見せている。

女性がもたらした喪失感は、結局女性で埋めるしかないのだ。彼は新しい出会いによって立ち直り、自分を取り戻す。彼はいかにしてサングラスとパンを交換するに至ったか? 笑わせてくれないマイケルも、なかなかいいよ。

片方のグラスが割れる意味

俺たちに明日はない』(1967)

7

自動車泥棒だった男が気の強いウェイトレスと出会い、コンビを組んで逃避行をしながら強盗をやりはじめる。

泣く子も黙るアメリカン・ニューシネマの先駆け的作品。1930年代アメリカに実在した強盗カップルの壮絶な生き方がセンセーショナルで、不況という時代が生み出した破滅的犯罪ともいえよう。ちなみに『ボニー&クライド』(92)という映画もあり。

意外なことに、彼らは犯罪者でありながらスターになっていく。鬱々とした閉塞感に力ずくで穴を開け、欲望のまま突っ走る姿が憧れの的に? 男がサングラスをかけようとすると片方のグラスが取れてしまうシーンは、現実と幻想の葛藤を意味するとされ、その後の運命を暗示しているかのようだ。

ベイビー・ドライバー』(2017)

1

強盗の逃走専門ドライバーをさせられている若者が、一度は足を洗ったものの、その凄腕テクニックゆえに再び仲間に引き入れられてしまう。

彼は幼少期に交通事故で両親を失くし、自分もその後遺症で耳鳴りに苦しめられている。それを紛らわせるために彼はいつもイヤホンで音楽を聴いているのだが、カーチェイスにその音楽と銃声がマッチしてスリリング!

犯罪に関わっているときの彼は、必ずサングラス。恋人に会うときはサングラスなし。彼女といる時間こそが、彼にとって現実なのである。そのサングラスが片方だけパーンと割れるのは、犯罪の世界に無理やり引き戻された瞬間だ。葛藤で引き裂かれた心。サングラスを捨て去る日は来るのか。

知的さを演出

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012)

12

国際環境エネルギーサミット会場で起きた誘拐殺人事件に使われた拳銃が、押収物だったことが発覚し、極秘体制で捜査が行われることになる。

お茶の間でお馴染みの熱血警察官が、例によって体当たりで事件解決に挑む。いつも自信満々の彼が「オレも賞味期限か」とつぶやくシーンにドキッとするが、ラブストーリーは禁じ手。いきなりこれを観た人は、小泉今日子の異常さがわからないだろう。

本庁の官僚役を演じた小栗旬が着用しているのが、プラスミックスというシャープなデザインのサングラス。サングラスといっても真っ黒ではないので、目が丸見えだ。エリートらしいスマートで知的な印象で、気取ってる感じがいいんじゃない?

アニー・ホール』(1977)

3

ニューヨークとロサンゼルスを舞台に、死に取りつかれた男性コメディアンと明るい性格の女性との関係と、それぞれの過去が描かれる。

それまでコメディ映画の監督として知られていたウディ・アレンが、新たな境地にチャレンジした映画。テンポのよい会話が続き、陽気でありながらセンチメンタルでシニカルな要素のある作風で、今のスタイルの出発点となった。

「アニー・ホール・ルック」と呼ばれて一世を風靡したのが、ヒロインのファッション。特に目を引くのが、大きめで丸いボストンタイプのサングラスだ。知性とセンスを持ち、自分に自信のある女性という感じがよく伝わってくる。

大人じゃなくても

ボス・ベイビー』(2017)

15

幸せな日々を送っていた7歳の男の子のもとへ、突然弟だという赤ちゃんがやってくるが、それは普通の赤ちゃんではなかった。

親の愛情を一身に受け、全てが満ち足りていた7年間よサヨウナラ。見た目は赤ちゃんなのに中身は社会人。そんな奇妙な弟に生活を掻き乱されて面白くない兄が、彼の秘密を知ってしまったからさあ大変。

こういうアニメでは初登場シーンが重要ポイントだ。タクシーから自分で降りてきたのは、黒いスーツにサングラス、ネクタイを締めてブリーフケースを持った怪しいサラリーマンみたいな赤ん坊。光る腕時計が小憎らしいったら。 

レオン』(1994)

8

孤独なプロの殺し屋が同じアパートに住む少女と知り合い、麻薬がらみの銃撃戦から逃げてきた彼女をかくまうことになる。 

同監督『ニキータ』(90)で、短い出番ながらも強い存在感を残した寡黙な殺し屋。そのキャラクターを膨らませて作られたのが、この作品である。ジャン・レノの当たり役。ナタリー・ポートマンの映画デビュー作。ゲイリー・オールドマンの切れっぷりが強烈だ。

奇妙な同居生活を始めた2人は、やがて互いに心の安らぎを見出すようになる。「私も殺し屋になる」という少女が、ニット帽にロングコート、小さめのラウンドサングラスをかけて、彼のマネをするのがいじらしい。『グロリア』(80)とよく比較されるが、こちらの方がロマンティック。

あっと驚く使い道

ミッション:インポッシブル2』(2000)

11

奪われたウィルスと治療薬を取り戻すため、IMF本部はチームを組んで敵の元恋人を潜入させ、目的を探ることにする。

『ミッション:インポッシブル』(96)の続編。香港を代表する監督ならではの大掛かりなアクションは、かなりみごたえあり。瞳もメラメラして笑っちゃう。ちなみにこのシリーズが「M:I」という呼び方になったのはこの作品からである。

ロッククライミングをしていた主人公が山頂に着いたとたん、飛んできたヘリコプターから筒が打ち込まれ、なかに入っていたサングラスをかけるとレンズに指令が投影されるという奇想天外なオープニング。もちろんその後サングラスは……これでつかみはOK!

ゼイリブ』(1988)

ゼイリブ

貧富の格差が激しく失業者があふれている世界で、肉体動労者の主人公は、奇妙な教会堂で多くのダンボール箱が隠されているのを見つける。

カルト的人気を誇るSF映画。SFといっても1980年代に蔓延した物質主義に対する風刺が盛り込まれ、特権階級がメディアを利用して国民を洗脳しているという警告もあり。

ダンボール箱にあったのは大量のサングラス。彼が何気なくそれをかけてみると、看板や雑誌やテレビには「何も考えずに消費しろ」という命令文が満ちているわ、金持ちや警官はエイリアンだわでビックリ。知らぬ間に洗脳されていた私たち。現代にも通じる深刻なテーマを描き出した傑作。

いかがでしたか?

外国人と比べると、日本人はあまり日常的に着用しないサングラス。

映画のなかで何気なく目にするサングラスだが、単なるファッションアイテムとしてでなく、実は演出的に重要な意味を持たせていることもあり、それを知れば映画はますます面白くなる。

さて、今日はどんなサングラスをかけようかな。(イラスト/泉川マクフライ http://izumikawamacfly.com

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