ねえ、バンドやろうよ!老若男女がキラキラする青春のバンド映画20本

2018.10.13
映画

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

1人ではできないこと。それがバンド。

ある日突然カミナリに打たれたようにバンドをやりたくなる。それとも、単に女の子にモテたくて。

動機は何であれ、いつのまにか寝ても覚めても音楽に夢中。ほろ苦い思い出もあるけれど、それはそれでかけがえのない青春だったなあ。

いえ、そんなノスタルジックな遠い昔に浸るオジサンたちだけでなく、今まさにキラキラとギラギラの真っ只中な若者たちにも観てほしいバンド映画20本をご紹介しよう。

イエスタデイ』(2014)

甘酸っぱい恋の味

イエスタデイ

1960年代のノルウェーを舞台に、ザ・ビートルズのレコードを聴いて衝撃を受けた高校生4人がバンドを結成し、自分たちも音楽で世界を変えようと練習を始める。

彼らが聴いたのは、アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」。それまでは高級車のエンブレムを盗むくらいしか楽しみがなかったヤンチャな少年たちが、ビートルズに刺激されて音楽に目覚め、演奏する喜びに夢中になっていく。

その一方で、知らない女の子に突然手を握られるわキスされるわでモンモンとしたかと思うと、今度は別の女の子を好きになってしまってムラムラな日々。そんな気持ちをノートに書き綴る主人公は、翻弄されて恋のやるせなさを知る。青春だね。女子の方が大胆でビックリ。

デトロイト・メタル・シティ』(2008)

こんなはずでは

デトロイト

ポップミュージシャンを目指して地方から上京してきた純朴で大人しい主人公が、ひょんなことから過激なデスメタルバンドのメンバーとして活躍することになってしまう。

人気コミックの実写化。不本意ながら悪魔系バンドのギター&ボーカルになり、運よく(運悪く)デビュー曲が大ヒットしたので一躍人気歌手となった彼は、見た目やキャラのギャップ問題だけでなく、やりたい音楽と違うジャンルで売れてしまったことで悩む。

本当の自分と世間でウケている自分が、全くの別人。そういう自己分裂は芸能人あるあるではないかと思うが、やりたいことで成功したいのに……という苦悩は普遍的なテーマだろう。松山ケンイチのコミカルな魅力が楽しめる作品。

青春デンデケデケデケ』(1992)

バンド漬けの青春

青春デンデケデケデケ

1960年代の四国の田舎町で、ある日たまたまラジオから流れてきたベンチャーズの音楽に大きな衝撃を受けた主人公は、高校に入学するやいなやバンドを結成する。

それまでヴァイオリンを弾いていた彼は、おそらくクラシックしか知らなかったのだろう。うたた寝中にベンチャーズの有名な曲「パイプライン」の“デンデケデケデケ~”を耳にし、それはもう本当にカミナリに打たれたようなショックを受ける。

夏休みにアルバイトをして楽器を買い、合宿で猛特訓。デビューは知り合いの店の開店祝いで、文化祭がフィナーレという絵に描いたような彼らのバンド生活は、経験者なら懐かしさで胸キュンだろうし、未経験者でも甘酸っぱい気持ちになる。主人公を演じる林泰文とバンドメンバー・浅野忠信との方言による掛け合いが面白い。

ザ・コミットメンツ』(1991)

本物のソウルバンドを!

ザ・コミッツメント

アイルランドを舞台に、マネージャーとなって本格的なソウルバンドを作る夢を抱いた主人公が、オーディションを行ってバンドを結成したものの、数々のトラブルに見舞われてしまう。

新聞広告でバンドのメンバーを募集すると、いろんなタイプの人たちが応募してくるものだが、その中からやっと才能のあるミュージシャンを探し出してみても、今度はメンバー同士がうまくいかないというありがちな展開。ああ、気の毒なマネージャー。

彼がソウルにこだわるのは、自分たちが労働者階級だから。夢が膨らんでいても立ってもいられず、勢いで作ってしまったバンド。最初は盛り上がってうまくいくのだけど、そのうちほころびが出てきて……あちゃ~。しかしそこに全く悲壮感がないところが、この映画の良いところ。

アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』(2009)

これが俺たちの生きる道

アンヴィル

1980年代、音楽界に大きな影響を与えたものの、今やほとんど忘れ去られてしまったヘヴィメタルバンドの夢と現実を追ったドキュメンタリー。

生活のために給食センターと建設の仕事をしながら、30年以上バンド活動を続けている2人のおじさん。彼らは幼馴染の親友で、バンドの創設メンバーだから絆も強い。50代になってもなおヘヴィメタを愛し、またステージに返り咲こうとするその根性ときたら。ちなみに家庭あり。

監督は彼らのファンだったという。落ちぶれたけど、プライドと意地は変わらない2人。アルバムの資金を稼ぐために、絶対向いていない電話営業の仕事を始めるという厳しい現実も描かれ、ラストシーンは泣かずにいられようか。また日本に来てね。ゴジラも待ってるよ。

アイデン&ティティ』(2003)

売れたら売れたで

アイデン

4人組のロックバンドは、バンドブームに乗ってデビューを果たし、順調な音楽活動をしていたが、主人公は次第に自分が歌いたい歌と売れる歌のギャップに悩みはじめる。

原作者のみうらじゅんが敬愛するボブ・ディランへのオマージュが随所にちりばめられ、彼がかつて所属していたバンド「大島渚」の映像も一瞬映し出される。パッとしない風貌の峯田和伸が主人公にピッタリで、モンモンとした空気感が伝わってきてよい。田口トモロヲの初監督作品。

創作に行き詰まりを感じ、自分はこれからどういう道を進めばよいのかわからなくなる。そんな時、主人公の視界にチラチラと姿を見せるようになったのが、憧れのボブ・ディランだった。それは彼の指標。神様、僕はどうしたら? でも答えは風のなかなんだよな。

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』(2014)

バンド映画のミュージカル

ゴッド・ヘルプ

スコットランドを舞台に、拒食症の治療で入院していたヒロインが、街へ飛び出してライブハウスに行き、ひょんなことから出会った男女と一緒にバンド活動を始める。

人気ロックバンドのミュージシャンが、自分たちの同名アルバムを原作として脚本と監督を務めたというちょっと珍しい映画。しかもクラクラするほどポップでオシャレで、たまに踊ったりするミュージカルである。男1人に女2人という組み合わせもユニークだ。 

精神的な問題を抱え、病院で1人ピアノに向かって作曲をしていた彼女(キャメロン・ディアス似)が、初めて恋と友情を知り、青春を全身で謳歌する。そのキラキラした瑞々しさは、いつか終わりがくるとわかっているだけにまぶしい。ああ、バンドという思春期に痛みはつきもの。

少年メリケンサック』(2008)

くすぶる少年心

少年メリケンサック

レコード会社の新人発掘担当をしているヒロインが、ネットで絶賛されているパンクバンドを見つけ、スカウトしようと訪ねてみたら、そのバンドは25年も前に解散していた。

昔の動画だったのに、現在のことだと勘違いしてしまう。まあ、起こりうるかもしれない話である。そのお陰で集められた元メンバーは、ただのおじさんではなく狂暴でダメなオヤジたち。見るからにいかにも若い頃パンクバンドをやっていたようなメンツだ。

動画サイトによるまさかの復活は、くたびれていた日常に青春の輝きを呼び戻すスパイスだった。ひょっとしてこれは、全ての中年男性の夢ではないだろうか。佐藤浩市のこじらせぶりと、宮崎あおいのハイテンションが痛々しく、役柄としては正解。

味園ユニバース』(2015)

優しい狂犬

味園

2014年大阪の広場で行われていたバンド「赤犬」のライブに突然乱入した男が、圧倒的な歌声で歌を披露した後、倒れてしまう。

大阪の千日前に実在する味園ビルにあるユニバースを舞台に、元関ジャニ∞の渋谷すばるが初主演した映画。記憶を失くし、ずば抜けた歌唱力を持つ謎の男が、バンドの若い女性マネージャーと関わりながら自分を取り戻していく。

昭和の匂いがプンプンするディープな場所で、和田アキ子の有名なヒット曲「古い日記」が流れる。主人公には壮絶で哀しい過去があったに違いなく、それが明らかになっていくにつれて瞳がますます暗くなり……でもバンドで歌うときはちょっとだけ幸せそう。

音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(2018)

んなことあるわけねぇだろ!!

音量

破壊的な歌声をもつロックスターと出会った声の小さいストリート・ミュージシャンが、彼の喉に隠された驚くべき秘密を知ってしまう。

声帯も筋肉なので、理屈は通っているような通っていないような。とにかくやりすぎてしまって、実は彼の喉は崩壊寸前。もうこれ以上歌えない……そんな2人に、ぶっちぎりのミラクルが起こる?

マリリン・マンソンをモデルにしたメイク姿の阿部サダヲは、相変わらずのテンションの高さ。でもあれ? 意外とカッコイイんじゃない? 本邦初公開という吉岡里帆の歌声にも注目。2つの声が巻き起こす化学反応が、どんな風に暴走していくのか、最後まで目が離せない。

スクール・オブ・ロック』(2003)

人生はシャウト!

スクール・オブ・ロック

バンドをクビになってしまったギタリストの主人公が、ふとしたことで厳格な有名学校へニセ教師として赴任し、子供たちを活気づけるために破天荒なロック授業をする。

ミュージシャンでもある人気コメディ俳優、ジャック・ブラックのためにこの脚本が書かれたという。なるほど、全身全霊でロックを表現する姿が笑えるほどピッタリである。めまぐるしく変わる彼の表情やしぐさを見ていると、最近こういうタイプのコメディ俳優っていないなあと思ったり。

最初はその熱さに引いていた生徒たちも、気がつけば才能を引き出され、自己を解放していく。

実はメンバーの子供たちもミュージシャンだそうで、演奏レベルの高さがみどころ。落ち込む先生の尻を叩き、知恵を絞って苦境を脱出するたくましさはいつの間に?

BECK』(2010)

ロックフェスはバンドマンの夢

BECK

クラスでイジメられていた男子高校生が、天才ギタリストと出会ってバンド活動を始め、音楽の才能に目覚めてどんどんのめりこんでいく。

人気コミックの実写映画化。登場人物の服や靴にいたるまで忠実に再現しているので、原作ファンも満足できそう。日常会話で英語が飛び交い、懐かしの水嶋ヒロ(帰国子女役)が流暢な英語力を披露している。佐藤健は、こういう自信なさそうなキャラが似合う。

バンドはめきめきと頭角を現し、ライブハウスでバリバリ演奏してはキャーキャー言われ、CDデビューも果たすのだが、裏社会からしのびよってくる暗い影によって、彼らは暴力の世界へ引きずり込まれそうになる。ベタベタした女っ気を排除した硬派な作品。

リンダリンダリンダ』(2005)

滑り込みセーフ

リンダリンダリンダ

高校の文化祭まであと少しという時に、軽音楽部の5人組ガールズバンドが分裂してしまい、急遽助っ人としてスカウトされた素人2人が猛特訓を始める。

ガールズバンドの物語とは珍しい。そもそものきっかけはギター担当メンバーの骨折だったが、大事な本番を控えてバンドが成り立たなくなってしまったのは、人間関係がこじれたせい。そこらへんが女子の世界なのである。大変だね。

最大の問題は、ヴォーカルがいないこと。そこでたまたま目をつけられたのが、韓国の留学生だった。実は1人でポツンと韓国語ブースを作っていた彼女は、バンドに参加したお陰ではじけて熱唱。韓国の人気女優、ペ・ドゥナが好演し、何かを思わせるまっすぐな眼差しが印象的。

ブルース・ブラザース』(1980)

神様がついている!

ブルース

刑期を終えて出所した弟が、兄と一緒にお世話になった施設へ挨拶に行ったところ、税金を払えないため立ち退きを迫られていることを知る。

彼らはバンドを組んでお金を稼ぎ、施設を救おうと考える。主演の名コメディアン2人はミュージシャンとしても活躍しており、共演者も故アレサ・フランクリンやジェームス・ブラウンなど一流ミュージシャンたちばかり。黒人音楽を堪能できる傑作として、カルト的人気を誇る作品。

バンドは神の啓示。なので、それでお金を稼ぐのは聖なる任務なのだ。さて、あらゆる手を使って仲間を集め、ライブを成功させて大金を集めた彼らを待ち受けていたのは? どこまでも陽気で楽天的。チマチマしていた心が吹き飛んでいく。

バンド・エイド』(2017)

夫婦ゲンカを歌に

バンドエイド

アルバイトで家計を支える作家志望の妻と、デザイナーの仕事をたまにするもののダラダラしている夫は、いつもケンカが絶えなかったが、バンド活動だけが共通の趣味だった。

若者が主役でもなく、青春のひとコマでもないバンド映画。こんな作品があったとはねえ。本当に何かあると言い争いをしてしまう2人は、それでも一緒にバンドの練習をする。歌も作る。仲がいいのか悪いのかわからないけど、でも夫婦って傍から見てるとそんなもの。

練習時間になっても険悪ムードのままならば、今の気持ちをそのまま即興演奏。本音をメロディに乗せているうちに、いい曲ができたりして。人生に夢があるだけに不満も溜まってしまう。さて、彼らの落としどころは? 大人の現実は甘くないが、音楽がある生活はやっぱりいいな。

ソラニン』(2010)

恋人の思いを乗せて

ソラニン

会社勤めが合わずに辞職した女性と、音楽の夢をあきらめられないフリーターの男性が、先の見えない未来に不安を抱きながら一緒に暮らしていた。

大ヒットしたコミックの実写映画化。寝っ転がって気楽に観れそうなふんわり系タイトルだが、これがなかなかチクチクと突き刺さる話で、「うわぁ~!」と叫び出しそうになるかも。大学サークル時代を映し出す冒頭シーンだけでも、胸がザワついてしまう。

輪郭がもやっとぼやけた未来。じわじわと迫ってくる焦り。社会人になってはみたものの音楽が忘れられず、肩を寄せ合うことでやっと息をしている2人。音楽をやることの素晴らしさと残酷さを優しい眼差しで描き、やるせなくも温かい気持ちに包まれる。漫画原作モノとしては成功。

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(1989)

トラクターでバンド練習へ

レニングラード

片田舎でロシア民族音楽を歌っていたバンドが、一発大儲けを企てる悪徳マネージャーにそそのかされ、シベリアからアメリカ大陸を横断してメキシコまで演奏旅行をする。

カチカチに固めてとんがらせたリーゼント。それとソックリに爪先をとんがらせた靴。サングラスに旧ソ連の軍服姿の彼らは、アメリカを旅しているうちにロックの影響を受け、演奏がどんどん変わっていく。ちなみに、このダサカッコいいバンドは実在する。

洗練された美男美女は1人も登場せず、極端に少ないセリフと無表情でとぼけた笑いを醸し出すのが監督の持ち味。その独特の空気感が、やみつきになる。続編『レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う』(94)もあり。

フィッシュストーリー』(2009)

いつか誰かのために

フィッシュ・ストーリー

1975年、解散前のパンクバンドが最後にレコーディングした一曲が、2012年に時空を超えて奇跡を起こし、彗星激突の危機に直面した地球を救う。 

世間に理解されぬまま解散することになったパンクバンド。時代を先取りしすぎた彼らの曲が未来の人類を救うとは、皮肉な話である。ユニークなヒーロー物と言ってもよい奇想天外なストーリー。ロックシンガー斉藤和義が担当した音楽にも注目だ。 

時代があちこちに移り、それぞれの時間に登場する人物たちが、その曲を軸に物語を紡ぎ出す。こんな自分でもいつか誰かを助けたい。男の子にはそんな夢と憧れがあるのだろう。テンポのよい展開とパンクがほどよくマッチ。原作は伊坂幸太郎の小説。

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2015)

あなたがいなけりゃ

ヤング

修学旅行で乗っていたバスの事故により、死んで地獄に来てしまった男子高校生が、同級生の女子に愛を告白するために現世に戻ろうと悪戦苦闘する。

メールに「もう死ぬ~」とつぶやいていたので自殺とみなされ、地獄に落ちてしまった主人公。しょっちゅう前髪を気にし、女風呂をのぞくためには手段を選ばない卑劣でバカな男子を神木隆之介が好演。意外な新境地でひと皮むけた。

結局、鬼のロックバンドのメンバーにさせられ、地獄の猛特訓によって人間に転生するチャンスを得ようと頑張る。それもこれも好きな女の子とキスをするため。ふざけているけど真剣。笑っているけど涙。あなたがいなけりゃそこは地獄。本当にそうだね。

シング・ストリート 未来へのうた』(2016)

気がつけば音楽に夢中

シング

1985年のダブリンを舞台に、家庭でも学校でも憂鬱な日々を送っていた主人公は、一目惚れした彼女を振り向かせるためにバンドを組み、次第に音楽に没頭するようになる。

不景気が原因で両親は不仲になり、学校ではいじめられ……そんな暗い人生を送る彼はまだ14歳。音楽好きの兄とロンドンのミュージックビデオを観ることだけが楽しみなのである。ああ、切ない思春期。その彼が恋に落ちたとたん、人生はクルクルと動き始める。

最初は恋が先だった。それがいつのまにか、音楽を作ることに無我夢中。でも女の子のことを忘れてはいない。現実から逃れるように音楽の世界へ飛び込み、新しい自分に生まれ変わる。うん。正しい在り方かも。

いかがでしたか?

若い頃バンドマンだった人は、かつての自分を思い出し、これからバンドをやろうかなと迷っている人は、何かしらの勇気を得られるかもしれないバンド映画。

それにしても、たくさんありますなあ。

自分だけのお気に入りの一本、見つかりましたか?

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