【体験レポート】人気の野外映画フェス「夜空と交差する森の映画祭2018」に行ってきた

恋と映画は出会うタイミングが全て

真央masao

ツインリンクもてぎで開催された「夜空と交差する森の映画祭2018」に参加したライターによる体験レポート。会場で参加者のインタビューも。

2018年10月6日(土)にツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)にて「夜空と交差する森の映画祭」が今年も開催された。

大自然の中に張られた大きなスクリーン。静まり返った夜の森に、映画の音声が響き渡る。映画館では味わえない開放感と非日常感を楽しめる人気の映画祭だ。

毎年、場所・テーマを変えて開催されるためリピーターも多い本映画祭。5回目を迎える今年はどんな内容だったのか。今年で4度目の参加、リピーターのひとりである筆者が体験レポートをお届けします。

森の映画祭

さまざまな人たちと「交差」するエントランス

午後6時、会場に到着。陽は沈みかけ、あたりは暗くなり始めている。すでに大勢の来場者が『ベイビー・ドライバー』や『エターナル・サンシャイン』などの長編映画が上映されるメインステージ前にシートを広げて場所を取り、上映開始を待っている状態だ。

周りを見渡せば、老若男女、幅広い世代の人たちが参加している。受付の列に並んでいる間、前にいたカップルに話を伺ってみた。

森の映画祭

東京から来たというふたりは20代。彼氏の方は今年で3回目、彼女は2回目の参加だそう。メインステージで上映される新海誠監督作『秒速5センチメートル』とサブステージで短編映画をいくつか観てまわる予定とのこと。

さらに、別の30代の男女グループにも話を伺うと、「“森の上映会”と“空の上映会”というスピンオフイベントには参加したことはあるが、オールナイトの森の映画祭は今回が初めて」とのこと。テントサイトも購入していて、疲れたらテントで休める準備をしているそうだ。オールナイトで行われるイベントだけに休むときのための準備は重要だ。

受付を済ませる頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。

森の映画祭

今年の森の映画祭はメインステージ「そのとき。」の他に、「いつか、」「それから、」「そして、」と3つのサブステージが設置されている。各ステージで並行して映画が上映されているため、お目当ての映画を楽しむためには上映スケジュールをチェックして、「メインステージで観終わったら、『いつか、』ステージで早めに場所取りをして、その後は一旦休憩して……」というように、“時間割”を組んでおく必要がある。まさに映画のフェスという感じだ。

今年の上映スケジュールはこちら。

タイムテーブル

会場の一角で、ランタンを灯してタイムスケジュールを照らしながら“時間割”を立てている男女グループに遭遇。話を聞いてみた。

森の映画祭

全員20代の彼らのうち1人は2回目の参加で、他の人たちは初参加だそう。メインステージから少し離れた「いつか、」ステージで上映される、グザヴィエ・ドラン監督作『わたしはロランス』を観るために作戦を立てている真っ最中とのこと。取捨選択をしながらプランを考えるのが悩ましいところであり、また楽しいところ。

さて、間もなく上映開始。もうお酒を飲んでいる人もいれば、深夜に備えて早くも仮眠をとっている人もいる。これから朝5時までオールナイトで楽しむため、それぞれが思い思いに準備を整えていた。

「ポップコーンベアーズ・キッチン」で腹ごしらえ

お腹が空いたのでフードエリア「ポップコーンベアーズ・キッチン」へ。カレーやラーメン、肉料理など、野外フェスらしい屋台が軒を連ねている。ここで食べても良いし、もちろん映画を観ながらでもOK。人気の限定メニューはすでに売り切れてしまっていた。

どれにしようかと迷っているところで、先ほど受付で話を聞いた20代カップルに再会。彼氏はタイ風の焼き鳥丼ガイヤーンライス、彼女はカレーにしたようだ。筆者は、挽き肉の香ばしい匂いに誘われて、ガパオライスを注文。「せっかくなので」とご好意で食事を一緒にさせていただいた。

森の映画祭

「思ったより寒くないですよね。これなら夜中でも寝袋に入らずに見れそう」

「今年は栃木で助かりました。昨年の会場は愛知だったから遠くて…」

「あ、赤い光る腕輪をつけてますね! パンフのページ持っているんですか? ください!」

今年“つくる”パンフレット

受付でもらうパンフレットは最低限の情報が載った十数枚しかなく、会場の各所を巡りながら一枚一枚追加情報のページを集めていくオリエンテーリング形式になっている。

さらにユニークなのが、参加者自身も自分のシートを作って他の参加者に配れるということ。自分が行った場所、出会った人の情報をファイリングすることで、自分の体験に沿ったオリジナルのパンフレットを作れる仕掛けになっているのだ。

森の映画祭今年のパンフレットはページが一枚ずつバラバラなものを、リングで留める仕様になっている

個人用シートのフォーマットが公式サイトで配布されており、せっかくなので筆者も事前に自分のページを作って参加した。「全然もらってくれなかったらどうしよう……」という一抹の不安を抱えながら、自分のベスト邦画3選と女優・宮崎あおいへの愛をしたためて、15枚だけ印刷して持っていった結果……、映画祭開始から2時間ほどですべてを配布!(もらってくれた皆さんありがとう!!)

パンフレットがあることで、参加者同士のコミュニケーションが生まれる。「交差する映画祭」というコンセプトにぴったりの企画だった。

森の映画祭「パンフレットください!」と声をかけてくれた映画祭初参加のお二人(写真左)と嬉しさで顔がほころぶ筆者(写真右)

ハンモックに揺られて星空も映画も! 4つのステージの魅力

メインステージ「そのとき。」に戻ると、すでに『ベイビー・ドライバー』の上映が始まっていた。サーキット場であるツインリンクもてぎで観るに相応しい作品だ。メインステージの最初の上映ということで観客も多い。

ベイビー・ドライバー

『ベイビー・ドライバー』は激しいカーチェイスと音楽のシンクロが気持ち良い映画。野外では音声が爆音で流れているため、音が足から地鳴りのように伝わってくる。これは映画館では味わえない、野外ならではの快感。全身で浴びるように映画を鑑賞できるのが、森の映画祭の魅力だ。

森の映画祭

メインステージに向かってすぐ後ろ、ゲートをくぐった先にサーキット場の観客席にサブステージのひとつ「それから、」がある。

サーキット場の観客席をそのまま鑑賞席として使用しているので、座席を用意しなくても観られるのが嬉しい。さらに傾斜があるため、前の人の頭で観づらいということもなく、今回の映画祭で一番スクリーンを見やすいステージだったかもしれない。

森の映画祭

別のサブステージ「そして、」では、ステージ後方にハンモックがあり、ハンモックに揺られながら映画を楽しむことができる。この日は快晴で、見上げれば満天の星空。ハンモックに揺られながら、映画と星空を同時に眺めることができるとは、何と贅沢なことか!

森の映画祭

そしてフードエリアを抜けた先、山道を登りきった先にサブステージ「いつか、」がある。メインステージから一番遠いが、道の両脇にさまざまな装飾が施されており、ぶらぶら歩くのも楽しい。

森の映画祭

「いつか、」ステージは、円の中心に向かって下り傾斜になっているため、ここも観やすい。観る場所を探していると、ランタンの明かりの下で“時間割”を練っていた20代男女グループがレジャーシートを広げていた。ここでこの後『わたしはロランス』が上映されるため、今から場所取りをしているのだった。「このステージは寝ながら観やすくて良いですね」と寝転がりながら話してくれた。

闇の中で押し寄せる感動の波

「いつか、」を出て、フードエリアまで戻ると時間は深夜1時を回っていた。すこし歩き疲れたところで、ビールを買って再びメインステージへ。スクリーンでは『秒速5センチメートル』が上映されている。

秒速5センチメートル

新海誠監督ならではの甘い台詞が満天の星の下、深夜の広場にこだまする。夜の空気に包まれていると、どこまでもこの甘い空間が広がっていくように感じる。

主題歌の「One more time, One more chance」が流れた瞬間、感動の波が秒速5センチメートルで客席から遠くの森まで広がり、会場全体がたしかに震えた。そう感じたのは筆者だけではないだろう。「ただ働き続け、気がつけば、日々失ってしまった心の弾力」を、この映画を満天の星空の下で見ることによって、取り戻すことができた。

観客席後方で20代カップルに再会した。いま観終えたばかりの『秒速5センチメートル』の感想をふたりで語り合っている。どうやら彼氏と彼女で感じたことが違ったらしい(笑)

美しい朝焼けでフィナーレ

『秒速5センチメートル』が終わりトーク企画へ。メインステージでは長編映画の間に、さまざまなゲストが登壇するトーク企画が催されている。そして、いよいよ最後の長編映画『赤色彗星倶楽部』が上映。実は今回筆者が最も楽しみにしていた作品だ。

赤色彗星倶楽部

もう時刻は午前3時30分過ぎ。この時間になるとさすがに疲れを感じる人も多いようで、寝袋に入ったり、毛布にくるまったりして寝ながら鑑賞している。

筆者も寝袋に入って寝転がりながら映画を観ることに。実は毎回この時間帯の長編映画を最後まで観られたことがない。必ず途中で寝てしまうのだ。今回は最後まで観るぞと気合を入れるが、野外でまどろみながらスクリーンを眺めるのは心地よく……。

ハッ。

慌てて起き上がると、スクリーンではエンドロールが……。しまった、今回も寝てしまった。時刻は午前5時。振り返ると、きれいな朝焼けが空を赤く染めている。

森の映画祭

全ての上映プログラムが終わり、テントがある人はテントへ、宿泊施設をとっていない人は駐車場へ向かっていく。せっかくなので朝焼けを眺めにテントサイトへ向かった。

森の映画祭

テントサイトにいくと、受付で会った30代カップルにバッタリ。テントを用意していたものの結局ほとんどステージエリアに居たそうだ。ただテントを借りていれば、朝の9時過ぎまでゆっくりすることができるので、上映終了後にひと眠りしてから帰りたい人は、テントサイトを取るのがオススメだ。

一晩だけでは楽しみきれない!充実のオールナイト映画祭

今回上映された全51作品のうち、筆者が観たのは長編映画2本、短編映画3本。やはり一晩では楽しみきれない。今回は紹介できなかったが、ワークショップブースや雑貨店もあった。

沢山の映画を観まくるもよし、「パンフレット集め」で映画好きとの交流を楽しむもよし、ハンモックに揺られてゆっくりするもよし、もう一晩あれば!と思うほど内容が盛りだくさん。参加者の数だけ、楽しみ方があるのが森の映画祭の魅力だろう。

鑑賞はもちろん、さまざまなスタイルで映画を楽しみ、心地よい一晩を過ごすことができる「夜空と交差する森の映画祭」。ぜひ次回開催では、友人や恋人と足を運んで、特別な一夜を過ごしてはみてはいかがだろうか。

(写真協力:高橋栞/木部聖也

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