映画に登場する天才10人まとめ《高IQの数学者、物理学者、詐欺師、小説家など》

2018.11.06
映画

「映画」を主軸に活動中のフリーライター

春錵かつら

映画に登場する高IQをもつ天才数学者、物理学者、小説家、警官などを紹介。『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『マイ・プレシャスリスト』など。

「IQ」とはIntelligence Quotientの略で「知能指数」のこと。知能の高さを数字で表した知能検査の結果の表示方式のひとつだ。

IQは「精神年齢 ÷ 生活年齢 × 100」の式で算出され、一般の平均知能検査指数は100。この数が多ければ多いほど知能が高く、少なければその逆となる。IQが120あれば「東大生の平均」とも言われ、人口上位2%のIQを有する人々による高IQ集団Mensa(メンサ)に入るにはIQ132以上が条件とされている。

今回は間違いなくIQ132以上はあるだろうと思われる、映画に登場する天才10名をご紹介しよう。

アラン・チューリング

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

1939年、第2次世界大戦下のイギリス。27歳の若き天才数学者、アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)は英国政府の秘密作戦に参加し、ドイツ軍が誇る暗号「エニグマ」の解読に挑むことになる。

高慢で不器用な彼は作業に没頭するあまり仲間から孤立し、チームの溝は深まって行くが、思わぬ理解者となる女性メンバー、ジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)の登場で、チームはひとつになる。

イミテーション・ゲーム

本作に登場する天才は、当時劣勢だったイギリスの勝利に貢献し、その後コンピューターの概念を創造して「人工知能の父」と呼ばれたアラン・チューリング。ケンブリッジ大学の特別研究員であり、27歳にして天才数学者と称えられた実在の人物だ。彼のIQは定かではないが、20世紀科学における最重要人物のひとりであることに間違いはない。

当時、同性愛を違法とする法律があったイギリスにおいて同性愛者だったチューリングは生きづらく、追い込まれた彼は白雪姫のように「毒りんご」を使って服毒自殺。功績は埋もれ、世間に知られるのは20年後のことだった。時代が違えば、と思わずにはいられない。

イミテーション・ゲーム

T・S・スピヴェット

『天才スピヴェット』

クラスに馴染めない10歳の天才少年T・S・スピヴェットの趣味は発明だ。ある日、スミソニアン学術協会から、最も優れた発明家に授けられる「ベアード賞受賞」の知らせが届く。授賞式に出席するため、彼はたった1人で家のあるモンタナからワシントンへ旅立つ。

アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督が自身初の3D映画として、ラルフ・ラーセンの冒険小説を映画化した本作。「少年の想像力」を表わす豊かな映像美にはジュネ監督らしさが溢れている。

スピヴェット

本作に登場する天才少年スピヴェットは、学校の宿題で書いた論文が科学誌「ディスカバー」に掲載されるほどの頭脳の持ち主。実はスピヴェットには、幼い頃死んだ双子の弟・レイトンがいる。表面上は日々をやり過ごしている一家は、心の奥底で「レイトンの死」という共通の悲しみを抱えている。

いくら天才的頭脳を持っていても、あくまで10歳の子ども。弟の死に対する罪悪感と天才ゆえに理解者がいない孤独が、どこかつながっているように感じられる作品だ。

スピヴェット

ウィル・ハンティング

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』

数学界最高の賞とされるフィールズ賞の受賞者であり、マサチューセッツ工科大学で数学教授を務めるジェラルド・ランボー(ステラン・スカルスガルド)は、学生たちに数学の難問を出す。

優秀な学生たちが悪戦苦闘するなか、その数式を説いたのは、授業後に教室の掃除に訪れたアルバイト清掃員のウィル・ハンティング(マット・デイモン)だった。ランボー教授はウィルの才能に気づきサポートを試みるが、素行の悪いウィルに手を焼く。なんとか彼を立ち直らせようと、かつての同級生・精神分析医のショーン(ロビン・ウィリアムズ)を紹介する。

本作は、心に傷を負った天才青年と、愛する人を亡くし失意の中にいた精神分析医が互いに影響しあって、心の再生を果たす姿を描くヒューマン・ドラマ。第70回アカデミー賞で脚本賞と助演男優賞を受賞した。驚くべきは、ウィルを演じたマット・デイモン本人が実際にIQ160の頭脳の持ち主で、もともと本作の脚本は彼が授業の宿題として書いたものだとか。

本作の天才ウィル・ハンティングは、IQ200~300と言われる天才数学者ウィリアム・サイディズがモデルとなっている。孤児というだけでなく、天才的頭脳ゆえの孤立が彼を苦しめてきた。しかし、周りの人間に恵まれたことが彼の人生最大の幸運だったと言えるだろう。

フランク・W・アバグネイル

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

高校生のフランク・W・アバグネイル(レオナルド・ディカプリオ)は父と母の離婚を聞いたショックで家を飛び出してしまう。そして、生活のために偽造小切手の詐欺を始めるようになる。

最初こそうまくいかないものの、大手航空会社のパイロットに成りすますと誰もが騙されことに味をしめ、小切手の偽造を繰り返しては巨額の資金を手に入れるのだった。一方、FBI捜査官カール・ハンラティ(トム・ハンクス)ら捜査の手は、徐々に犯人に迫っていく。

天才詐欺師と呼ばれたフランク・W・アバグネイルは実在の人物。本作は彼が書いた自伝小説「世界をだました男」をもとに、スティーヴン・スピルバーグが製作した。

パイロット、医者、弁護士などに偽装し、世界各地で小切手詐欺事件を起こしたフランクが最初に詐欺をはたらいたのは16歳のこと。しかも19歳でルイジアナ州の司法試験には実際に合格しているほどの頭脳の持ち主だった。成功した2度目の脱走も、詐欺で成功したというから大したもの。

詐欺をはたらく一方で、詐欺対策のコンサルティング会社を設立し、政府機関に協力して講師も務めた逞しい人物だ。

スティーヴン・ホーキング

『博士と彼女のセオリー』

ケンブリッジ大学大学院に在籍し、天才物理学者として将来を期待されるスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は、詩について勉強していたジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、恋に落ちる。

その直後、彼はALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、余命2年を宣告される。二人は力を合わせて難病に立ち向かうが、病魔は刻一刻とホーキングの身体と二人の生活、そして愛を蝕んでいく。

博士と彼女のセオリー

言わずもがな、スティーヴン・ホーキングと言えば「車椅子の天才物理学者」。「一般相対性理論」から「量子宇宙論」へと、現代の宇宙理論に大きな影響と功績を残した天才だ。将来を嘱望されながらも、若くして難病ALSに冒されたホーキング博士が病魔と闘ったのは実に50年以上。

世界中の人々に惜しまれながら、2018年3月に76歳でこの世を去った。病気になる前もなってからも、彼が挑んだ相手は「時間」だったのかもしれない。

博士と彼女のセオリー

アルベルト・アインシュタイン

『ヤング・アインシュタイン』

アルベルト・アインシュタイン(ヤッホー・シリアス)はある日、自家製ビールに泡を立てる方法を思案中に相対性理論の公式「E=mc2」を発見する。泡入りビールの特許を取るためにシドニーへ向かう列車の中で、アインシュタインは美しい女性科学者マリー・キュリー(オディール・ル・クレジオ)と出会い恋に落ちる。

しかし、同席していた大物実業家のプレストン・プレストン(ジョン・ハワード)によって恋も大発明も邪魔されてしまう。

世界中の誰もが知る天才にして偉人、アインシュタインの若き日々を奇想天外に描いたアドベンチャー・コメディ。本作はもちろんフィクションだが、実在の彼は推定160~225のIQを持つと言われ、「現代物理学の父」と称される理論物理学者だ。

9歳でピタゴラスの定理を自力で証明し、12歳のときに叔父からもらった“ユークリッド幾何学”の本を独学で学んだ天才は親日家としても知られ、原子爆弾開発に携わったことをずっと悔やんだとされる平和主義者。

死後、彼の脳は分割されて研究者に分けられたため、まだ一部が見つかっていないという。世界の偉人の体の一部が保存・研究利用されているという事例は多い。

アインシュタイン

Photo credit: ThomasThomas on VisualHunt.com / CC BY-NC

ジョン・ナッシュ

『ビューティフル・マインド』

1947年、ジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)はプリンストン大学院の数学科で研究に没頭し、「ナッシュ均衡」という画期的な理論を発見する。類いまれな頭脳を認められた彼は、軍事施設であるウィーラー研究所で数学の研究に尽力する。

諜報員パーチャー(エド・ハリス)にソ連の暗号解読を依頼されたナッシュは、世界の危機を救うことに喜びを感じ、密かにスパイ活動を続けるものの、徐々に深刻になるプレッシャーから幻覚に悩まされ、統合失調症を発症してしまう。

1994年にノーベル経済学賞を受賞し、「ゲーム理論」で広く知られるジョン・ナッシュ博士の実話に基づく伝記的映画である本作。第74回アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞の4部門を受賞している。

12歳から科学実験を始めたナッシュは17歳で全米で10人にしか与えられない奨学金を獲得してカーネギー工科大学、次いでプリンストン大学へ進学、研究に没頭する。2015年5月23日、顕著な功績を残した数学者に贈られるアーベル賞を受賞したナッシュ博士は、授賞式からの帰路の途中タクシー事故で夫婦共に車外に投げ出され、この世を去った。86歳だった。

彼が証明した理論は現在、私たち一般市民も知らずの内に恩恵を受けている。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

『ゲーテの恋 〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」〜』

1772年のドイツ。自由奔放な弁護士志望の若者・ゲーテ(アレクサンダー・フェーリング)は、ある日の舞踏会で、美しい少女シャルロッテ(ミリアム・シュタイン)と恋に落ちるが、彼女は父親の命令でゲーテの上司であるケストナー(モーリッツ・ブライブトロイ)と結婚することになってしまう。

同じ頃、ゲーテの友人が恋に破れ自殺。失望したゲーテは後に世界的名著となる「若きウェルテルの悩み」を書き始める。

ゲーテの恋 〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」

本作で取り上げられる天才は、ドイツ生まれの世界的文豪であるゲーテ。その著作には「ファウスト」などがあるが、タイトルにも挙げられた「若きウェルテルの悩み」を書いたのはゲーテ25歳の頃。

詩人であり、劇作家、小説家、自然科学者、政治家、法律家と多くの肩書きを持ち、IQは180~225ほどであったのではないかと推測されている。本作は史実に忠実ではなく大きな脚色が加えられているものの、その魅力的なキャラクター像は非凡で多才なスーパーマン、ゲーテに相応しい脚色に思える。

ゲーテは死が訪れる直前の82歳まで精力的に執筆活動に励み、その生涯を閉じた。最後の言葉は「もっと光を!」。その言葉に、82歳とは思えない壮絶なまでの情熱を感じる。

スティーヴン・ラッセル

『フィリップ、きみを愛してる!』

生後まもなく養子に出され、養父母に育てられた警官のスティーヴン(ジム・キャリー)。あるきっかけで警察官を辞め、愛する家族よりも自分らしく生きることを選んだゲイの彼は、ボーイフレンドと派手な生活をするために詐欺師となる。あえなく刑務所行きになった彼はそこでフィリップ(ユアン・マクレガー)に一目ぼれし、自分は弁護士だと嘘をつく。

刑務所内で出会った運命の相手に「愛してる」と伝えるためだけに、詐欺と脱獄を繰り返した男の、このドラマチックなラブストーリーはなんと実話!

本作で登場する天才はIQ167の頭脳を持つゲイに目覚めてしまった警察官スティーヴン。彼の犯罪歴は、クレジットカード詐欺に始まり高級腕時計の窃盗・転売、弁護士詐称、財務最高責任者詐称で大手企業に潜入し、億単位の巨額を横領、4回の脱獄……などなど枚挙にいとまがない。

才能を世のため人のためにではなく自分のためだけに使ったのはなんとも残念だが、同時に清々しささえ感じる。現在スティーヴンは総刑期167年でテキサスの刑務所に収監されている。

キャリー・ピルビー

『マイ・プレシャスリスト』

舞台はニューヨーク、マンハッタン。ハーバード大学を飛び級で卒業した19歳のキャリー(ベル・パウリー)は、仕事も友人も持たず、本を読んでばかりの毎日を過ごしている。

ある日、唯一の話し相手であるセラピストのペトロフ(ネイサン・レイン)から「すべてを叶えると幸せになる」というリストを渡され、そこに書かれた6つの課題を1ヶ月の間に実行するように言われる。キャリーは半信半疑ながらも、それらを実行していく。

マイ・プレシャス・リスト

2018年10月20日に公開された本作に登場するのは、1週間に17冊も本を読むIQ185の頭脳を持つコミュ力ゼロ女子。人と話すのが苦手、思い込みが激しい……天才にも関わらず不器用で人生をうまく乗りこなせない屈折女子のキャリー。

嫌々ながらもセラピストに渡されたリストを実践していくうちに、人と関わる面倒さと素晴らしさといった複雑ながらも大切な事を少しずつ経験し、理解していく。14歳でハーバード大学に入学し、優秀な成績で卒業しても、愛は人を愚かにするし、幼くもする。それが恋人同士の愛でも、親子の愛でも。

優れたものや美しい完璧なものだけが素晴らしいのではないと学ぶ旅こそが、人を孤独から救うのだと知る物語だ。

マイ・プレシャス・リスト

終わりに

映画の中の天才たちの姿から見えてくるのは、あくなき探究心と向上心、そして才能ゆえの孤独。皮肉なことに、その孤独が彼らの人生をさらにドラマチックに輝かせているようにすら見える。

私たちは天才たちのその非凡な才能に魅せられ、彼らの孤独にさえも、自分が持ち得ない憧れのものとして引き寄せられるのかもしれない。

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