史上最低の映画監督や世界最大のSNS創設者を映画で見る!天才奇才を描いた映画5選

映画も音楽も本も好き。

丸山瑞生

デザイナー、音楽家、芸術家、起業家、映画監督... 世の中のあらゆる分野に天才や奇才と呼ばれるひとがいます。どこか常軌を逸した一面を持ち、それぞれの分野に偉大な足跡を残したり、中には汚名と紙一重な意味でそのように呼ばれるひともいるでしょう。

そこで今回は、世間から天才や奇才と呼ばれた人間を題材にした5つの作品をご紹介します!

評価は最悪!史上最低と呼ばれた映画監督をジョニー・デップが愛嬌たっぷりに演じた『エド・ウッド』

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史上最低の映画監督と言われた、エドワード・D・ウッドJr.の伝記映画。ティム・バートン、ジョニー・デップの黄金タッグのわりには認知度の低い作品かもしれません。

エド・ウッドの映画はファンやマニアからの支持はありますが、史上最低と言われてしまっているように大きな評価は得られませんでした。

なぜ、最低の映画監督と言われているのでしょう?実は、映画制作のノウハウがないひとが見ても「こんな撮影はダメだろう」という演出のオンパレードなのです。

セットがいい加減な作りでも気にしない。撮影のほとんどが一発OK。しまいには「観客はそんなところ見てないよ!」と言い放つ。これではまともな映画なんか撮れないですよね。

しかし、そんなエド・ウッド。不思議と愛される人物でもあり、今作の監督でもあるティム・バートンはもちろん、デヴィッド・リンチ、クエンティン・タランティーノも彼のファンと言われています

彼のなにが名だたる監督たちを虜にするのか。それは呆れるほどにでたらめな撮影を続ける、底抜けにポジティブな映画への情熱

どんなに酷評されてもそれを続けるというのはすごいことですよね。酷評や悪評よりも熱意が上回るというのは、それ自体が才能だとおもいます

エド・ウッドを演じるジョニー・デップが彼の役を楽しそうに演じているのも魅力的です。本物のエド・ウッドもこんなふうに楽しそうに映画を制作していたのかなと想像すると、史上最低の映画にも愛着が湧くかもしれません。

イヴ・サンローランの苦悩。若き天才デザイナーの生き様を描いた『イヴ・サンローラン』

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言わずと知れたブランド「イヴ・サンローラン」の天才デザイナー、イヴ・サンローランの伝記映画。ファッションに疎いため、この作品を見たときは驚きの連続でした。イヴはクリスチャン・ディオールのアシスタントだったとか、イヴの恋人が男性だったとか。

いろいろと驚くべきことはあるのですが、まずは単純にイヴ・サンローランを演じる、ピエール・ニネのルックスに驚きました。イヴ本人にそっくりなのです。それはイヴの公私にわたるパートナーだったペエール・ベルジェがイヴと見紛ったと言うほど

天才とはその独創性や繊細さの裏には自己破壊とも言える危うい一面があるようにおもいます。ピエール・ニネはそういった天才ゆえの悩みや葛藤、若さゆえのアンビバレントな精神状態を上手く演じています。

この作品はファッションに関する知識はなくても楽しむことができます。もちろん、あるに越したことはないのですが、ハイファッションという表面だけを見れば美しいところの裏側を映し出し、そんな世界を生きるイヴ・サンローランの生き様が描かれている。

どこか無機的な印象もあるハイファッションの世界を生々しく見せつけられるような作品です。

日本が世界に誇るアニメスタジオ。スタジオジブリのドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』

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今回は5つの作品を挙げさせていただきましたが、こちらは唯一のドキュメンタリー映画。撮影された時期が2012年の秋からということもあり、当時は宮崎駿の『風立ちぬ』、高畑勲の『かぐや姫の物語』の制作真っ最中でした。

この映画では、この両作品の密着取材を通し、スタジオジブリそのものとこれからに迫った内容になっています

メインビジュアルには、宮崎駿、鈴木敏夫、高畑勲の3人が座っています。スタジオジブリと言えば、真っ先にこの方々が頭に浮かぶでしょう。映し出されるのは彼らのために生まれたと言えるスタジオジブリと、彼らを親しんだ次代の人々のこと。

ジブリの未来を尋ねられた宮崎駿は「やっていけなくなる」と、あまりにもあっけなく、事実のひとつを受け入れるように断言します。その時代の流れに呼応するように映し出されるのは『コクリコ坂から』の宮崎吾朗やエヴァンゲリオンシリーズの庵野秀明の姿です。

『風立ちぬ』では二郎の声優に抜擢された庵野秀明は、劇中の「君は生きねばならん」という台詞に対し、「言われたほうは大変です。頑張らないといけない」と述べています

あまりにも大きな宮崎駿という巨匠が一線を退き、それを請け負っていく新しい世代の重圧。スタジオジブリだけではなく、日本のアニメーションの行く末を考えさせられる作品です。

サスペンス映画の神様。アルフレッド・ヒッチコックの名作の裏側を描いた『ヒッチコック』

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アルフレッド・ヒッチコック監督による、1960年の映画『サイコ』の舞台裏を描いた作品です。ヒッチコックの名前は知っていても、実際に作品を見たことがないというひとは意外と多いとおもいます。

シャワーシーンが有名な『サイコ』は実在した犯罪者、エド・ゲインの題材にした小説が元ネタになっています。このエド・ゲインという男は身の毛もよだつような犯罪をくり返していました。

ヒッチコックはそんな彼に自己投影していたり、彼の幻覚に苛まれるようになります。サスペンスの王様と言われていたのですから、そんな節があってもおかしくありませんが、かなり大胆な脚色です。

こういった脚色の効果もあり、伝記映画ではあるのですが、『サイコ』という作品の裏側を描くというよりは、撮影背景を題材にしたヒッチコック夫妻の物語という趣きが強い作品です。実際にこの作品を見ると、彼の妻アルマ・レヴィルの功績に驚かされます。

ちなみに、この作品では『サイコ』のネタバレ要素が多分に含まれているので、せっかくならばそちらを見てから、『ヒッチコック』を見ることを勧めます。ヒッチコックを描いた作品なので、彼の作品を好きなひとが興味を示す映画だとはおもいますが、念のため。

世界最大のSNSを生み出した男、マーク・ザッカーバーグを描いた『ソーシャル・ネットワーク』

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Facebookを創設した、マーク・ザッカーバーグを描いた作品です。原作はベン・メズリックが著したノンフィクション作品『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』ですが、脚本と同時に執筆されていたので、原作と言うのは少し違うかもしれませんね。

日常の生活をウェブに持ち込む画期的な発明であったFacebookは、いまや老若男女問わず多くのひとが利用しているもっともポピュラーなSNSです。学校の卒業を機に会う機会のなくなった友人や旅先での新たな人脈ともいつでも交流ができる、ひとの繋がりを視覚化したサービスとも言えます。

しかし、この作品を見るとそれの良し悪しは使い方次第なのだなと、あらためて考えさせられます。ウェブ上とは、画面の向こうに人間がいるということをつい忘れてしまうこともありますが、SNSはどんなウェブのサービスよりも生々しい

それは冒頭のブログに悪口を書き連ねるシーンからも感じますし、マーク・ザッカーバーグが生み出した、Facemash(女子学生の写真を集め、女の子の顔の格付けサイト)も、ウェブの怖さをわかりやすく象徴したようなものです。

世界最大のSNSを生み出したマーク・ザッカーバーグが、Facebookの名が馳せるほど孤独になっていくというストーリーの展開は切ないのですが、前述の『イヴ・サンローラン』然り、駆け上がる天才とはいつの時代もそういうものなのでしょうか

逆に言えば、どちらも天才に振り回される周囲の人物を描いた作品とも言えます。

今作以降もデヴィッド・フィンチャー監督作品の音楽を担当している、Nine Inch Nailsのトレント・レズナーとアッティカス・ロスによる劇伴も素晴らしいです。

体温を感じないような音楽ですが、それがフィンチャー特有のクールでテンポ感のよい画と合います。ぜひ、音楽にも耳をすませて楽しんでいただきたいです。

天才を演じる、天才を描く

天才や奇才を描いた作品を見ていると、思い悩んでいたり、気難しい一面が際立った演技が多いように感じられます。やはり常人とは異なる視野や感性を持った人間は苦悩することも多かったのでしょう。

上記の5つの作品はドキュメンタリー作品である『夢と狂気の王国』以外は、実在の人物をモデルに描かれたフィクションです。実際の出来事とは異なるストーリーを描くのは賛否がありそうですが、それはフィクションの良さなのかなとおもいます。

たとえば、エド・ウッドという映画監督は興行的な成功がなく、最期は貧困に苦しみ、アルコール中毒が原因で亡くなりました。あまりにも救いのない生涯ですが『エド・ウッド』の結末は、彼に対するティム・バートンの愛を感じられます。ほかの作品もおもしろいのですが、この作品をとくに推したいです!

この秋は、それぞれの監督が描く天才や奇才の数奇な生涯を映画で鑑賞してみてはいかがでしょうか?

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  • MamoruTakahashi
    4.6
    こんな最高な世界観ない
  • 3.0
    記録
  • ニアペッタ
    -
    顔で演技するジョニー・デップがお茶目‼
  • りな
    3.2
    記録
  • hamoko
    3.0
    ラスト、プラン9の撮影シーンは目が慣れてくると逆にすごくない?と思ってしまった 登場人物の顔が濃いので見ていて楽しい。 エド・ウッド、名前だけ聞いたことがあったので作品を調べたら「これを観たら、人生で一番無駄な時間を過ごしたと後悔することになる」と言われたことがある作品を撮影した監督だった。史上最低の名は伊達ではなかった。
「エド・ウッド」
のレビュー(4068件)