世界でカルト的人気を誇る塚本晋也の監督作品&出演作品18本<『野火』『沈黙ーサイレンスー』など>

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

2018年11月24日より公開の映画『斬、』で、製作・監督・脚本・編集・出演などすべてをこなす塚本晋也の、これまでの監督作&出演作を紹介。

自ら製作・監督・脚本・撮影・美術・編集・出演を兼ね、デビュー以来自主制作スタイルを貫いている塚本晋也は、世界にカルト的なファンを持つ監督である。俳優としての活躍も目覚ましく、最近では、NHK連続テレビ小説『半分、青い』で、佐藤健演じる律に影響を与える西北大学理工学部教授を演じていたことは、いまだ記憶に新しいだろう。

映画製作においては一人で何役もこなし、監督以外の分野でも幅広く活動している塚本晋也。
今回は、塚本晋也の監督作品と出演作品合わせて18本をご紹介しよう。

塚本晋也プロフィール

塚本晋也は、1960年東京生まれ。怪獣に夢中だった中学時代から自主映画を撮るようになり、高校時代には日本テレビ主催のシネマフェスティバルで入賞を果たした。ちなみにこの頃は、黒澤明監督の作品を観ながら独学で映画の勉強をしていたそうである。

日本大学芸術学部在学中に演劇への興味が湧き起こり、劇団を立ち上げる。卒業後は就職してCMディレクターの仕事に就いたが、演劇との両立が難しくなり退職。その後、劇団「海獣シアター」を結成し、1988年そのメンバーで制作した作品がPFFアワードのグランプリを受賞した。

出世作は、4畳半のアパートで制作された『鉄男』(89)。この作品がローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞し、世界に名が知られるようになった。その後も、いつくかの作品が国際映画祭で受賞を果たし、クエンティン・タランティーノやギレルモ・デル・トロといった海外の有名監督からも敬愛を受けている。

また、自作だけでなく俳優として他の監督作品にも出演することも多く、その演技に対しても賞を授与されるなど高い評価を得る。

最新監督および出演作品は、初の時代劇となる『斬、』(18)。

ほかにも数多くのCMのナレーションを担当するなど、ナレーターとしても活躍している。

監督作品

鉄男』(1989)

鉄男

平凡なサラリーマンである主人公は、ある朝自分の顔から小さな金属片が出ているのに気づき、それから少しずつ自分の体が鉄と化していく様子にとまどう。

公開数年後にハリウッドでリメイクされる企画があり、クエンティン・タランティーノ監督が名乗りを挙げていたが、結局折り合いがつかずに頓挫。続編『鉄男II BODY HAMMER』(92)が40以上の世界映画祭に招待されたり、2009年には『鉄男 THE BULLET MAN』として全編英語で製作されるなど、世界に多大な影響を与えた代表作である。

自分の肉体をじわじわと侵蝕してくる金属の細胞との闘い。ショッキングな映像にマッチした前衛的音楽。当時まだ無名だった田口トモロヲが鉄化していく主人公を演じ、セリフはほとんどないが、恐怖と快楽でごちゃまぜになる表情に引き付けられる。これは男の夢だったりして。塚本晋也もメイクで顔はわからないが、“やつ”として出演。

ヒルコ 妖怪ハンター』(1991)

ヒルコ

亡き妻の兄から重大な知らせを受け取った考古学者が、その手紙が投函された村に向かったところ、義兄とその教え子はすでに行方不明になっていた。

諸星大二郎の漫画をアレンジして映画化。沢田研二を主人公に迎え、塚本晋也としては初のメジャー作品となる。舞台となるのは、古代人が悪霊を鎮めるために作ったと思われる古墳。もうそれだけで、オドロオドロしい。実は妻の実家は悪霊と縁のある家系で、それゆえに主人公と行動を共にする義理の甥が、重要な存在となる。

ゴキブリが大の苦手な主人公はキンチョールを常備し、妖怪のワナも、よく見るとゴキブリホイホイ方式。手作り感のあるビジュアルが、グロいんだかカワイイんだか。まるで昔ながらのお化け屋敷にいるようで、怖がらせ方がツボにハマっているところはさすがだ。淡い悲恋物語もはさみこまれ、最後は清々しい気持ちになる。でも光石研、どこに出てた?

BULLET BALLET バレット・バレエ』(1999)

バレット

恋人が突然拳銃自殺をしたことで、「死」と「拳銃」に憑かれてしまった主人公は、自分を暴行して脅した不良グループに復讐するため、拳銃を探し求めて街をさまよい歩く。

そんなこんなで、彼らの抗争に巻き込まれてしまう主人公を演じた塚本晋也。とにかく拳銃が欲しくて欲しくて、ついにはヤケクソ気味に自分で造ろうとしたり。人気ドラマーである中村達也がボス役として演技を初披露し、モノクロに映える顔力を見せてくれる。

恋人は自分を殺すことで彼に復讐しようとしたのかもしれず、何だかもう女というものがわからなくなっている主人公。それまで敵対していた女性と奇妙な信頼関係が生まれてくるあたりは、その女性にも「死」の匂いを感じるからだろうか。銃さえあれば。でも、銃を飼いならすのは難しい。

双生児 GEMINI』(1999)

双生児

明治末期、家業を継いで院長になった主人公は、社会的地位と名誉を手に入れ、美しい妻もいて幸せな日々を送っていた。しかしやがて、彼の身に不可解な出来事が起こり始める。

江戸川乱歩の短編小説「双生児〜ある死刑囚が教誨師にうちあけた話〜」を大胆にアレンジして映画化。これはりょうの映画デビュー作品で、記憶喪失という神秘性と、その妖艶な美貌が江戸川乱歩の世界にマッチ。メイクや衣装も時代考証にとらわれないパンクさである。

両親が謎の死を遂げた後、自分にソックリな男に襲われて古井戸に閉じ込められてしまう主人公は、そんな目に遭わされる理由を知って愕然。本木雅弘が1人2役を演じ、異形と高貴という両極端な世界を往来して、アイデンティティがグラグラだ。でも、最終的にはいい話。

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六月の蛇』(2002)

六月の蛇

潔癖性の夫とセックスレス生活を送る主人公は、勤め先の電話相談室で自殺予告の電話を受け、何とか自殺を踏みとどまらせたが、その後彼女の元へ、ある写真が送られてくる。

送りつけられたのは、彼女の自慰行為を盗撮した写真の数々。送り主は自殺の相談者だった。彼はその写真をネタに、彼女に恥辱に満ちたいろいろなことを強要するようになっていくのだが、そんな変態チックな男を塚本晋也が演じ、こういう役をやらせたら右に出る者はいないことを再証明。

梅雨の6月。冷たい紫色の雨が静かに降り続け、恐怖とエクスタシーが交差する。肉体を放棄した抑圧的なセックスライフは、体によくないね。盗撮男が意外なことを発見する展開には、それまでのギリギリ感が緩んで半笑い。こんな風に生と死を描くのか。その奇才ぶりが世界で高い評価を受けた作品。

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ヴィタール』(2004)

ヴィタール

医学生の主人公は交通事故で記憶喪失になってしまったが、なぜか医学にだけは強い興味を示し、大学の医学部に入学して解剖実習に熱中していく。

とりつかれたように解剖にのめり込んでいくうち、現実と記憶の不思議な狭間をさまようようになってしまった彼は、ある女性の遺体に出会う。魂がどこかにあるような独特の透明感をたたえた彼を演じた浅野忠信は、淡々としながらも鬼気迫る演技がキラリと光る。

ホラーかと思いきや、なんという異色のラブストーリーだろう。ガツンと来る着地点。体と魂に対する視点が日本的だ。肉体って何だろう。魂のない肉体の内側をさらけだし、バラバラにされていく彼女。彼は解剖することで、彼女に近づいていくのである。肉体と記憶。こんなこと、本当にあるのかもしれない。

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悪夢探偵』(2006)

悪夢探偵

新米の女刑事が謎の多い殺人事件を捜査していくうちに、解決する鍵は夢にあると推測し、他人の夢の中に入れる特殊能力を持つ悪夢探偵に協力を求める。

そりゃ疲れるだろう。他人の夢の中に入り込むんだから。しかもそれは悪夢なんだから。知りたくもない他人の闇に入り込んで、事件を解決するんだから。そんな仕事を渋々やっている感じの松田龍平は、アニメ「銀河鉄道999」の鉄郎みたいな恰好をしていて、異色の探偵ぶりがよく似合う。

夢と現実が交錯し、主人公と一緒に悪夢に迷い込んだような気持ちにさせられて、こちらの世界に帰ってこられるのかドキドキ。本音が噴き出す安藤政信の狂気がむしろ清々しく、もっとすごいドロドロを観たいファンのために、『悪夢探偵2』(08)あり。シリーズ化を密かに期待。

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KOTOKO』(2011)

KOTOKO

幼い息子を愛し抜かなければいけないという強迫観念から、精神のバランスを崩した主人公は、繰り返される奇行により幼児虐待を疑われてしまい、息子と引き離されてしまう。

歌手Coccoの世界にインスパイアされた塚本晋也が、どうしても彼女を主演にして撮りたかった映画。そんな強い思い入れがスクリーンからもひしひしと伝わり、何かに取り憑かれたようなCoccoの演技も、監督の期待を裏切らなかったであろう。

Coccoに夢中な監督は、映画の中でもCoccoに狂おしい純愛を捧げる男を演じ、窓から部屋をのぞく姿にギョッとする。自分の体を傷つけずにはいられないCocco。やせ細った体に大きな目をぎょろつかせ、両手をフワフワさせている彼女を見ていると胃がキリキリしそうになるのは、監督の思うツボか。狂気×鬼気。

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野火』(2014)

野火

第二次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島で、日本軍兵士である主人公は結核を患い、部隊を追われて野戦病院へと送られるが、その病院も追い出されてしまい、一人で島をさまよう。

原作は大岡昇平の小説。何年もかけて戦争体験者に取材をし続け、かつての市川崑監督『野火』(59)では避けられていた重要シーンを容赦なく描き切ったこの作品は、塚本晋也の執念が込められた集大成ともいえよう。

CGに頼らない戦闘シーンだからこそのリアル感。主人公は観察する。この極限状態で、人間というものがどうなっていくのか。自分もどうなっていくのか。戦争の悲惨さと愚かさを真正面から描きつつ、鑑賞に耐えうる娯楽性もあり。そのさじ加減が絶妙。地獄を抜けきった彼が、黙って野火を見つめている。その野火が消えることはない。

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出演作品

我が人生最悪の時』(1994)

我が人生

横浜にある映画館の2階に探偵事務所を構える濱マイクは、たまたま知り合った台湾人から日本にいる兄の捜索を依頼され、捜査を進めていくうちに事件に巻き込まれてしまう。

「私立探偵濱マイク」シリーズ第1弾。探偵小説「マイク・ハマー」シリーズをもじり、古き日本映画へのオマージュとしてモノクロで撮影された作品で、スタイリッシュな映像とアジアンテイストの演出がツボにはまる。続編に『遥かな時代の階段を』(95)と『罠 THE TRAP』(96)。のちにTVドラマ化。

クールだが情に厚く、巻き込まれ上手な探偵を永瀬正敏が演じ、肩の力が抜けているがやるときゃやる男。普段は妹思いの気のいい兄ちゃんだ。塚本晋也はヤクザ役で、最初から目つきがアヤシイ。南原清隆が出ているのは意外だが、宍戸錠は和製ハードボイルドに欠かせない。

東京日和』(1997)

東京日和

写真家である主人公は、亡き妻に捧げる写真集の出版の準備をしながら、彼女のことを思い出し、自分の写真人生が彼女との出会いから始まったことを改めて感じる。

有名写真家である荒木経惟とその妻・陽子による写真エッセイ集をモチーフに映画化。亡き妻との暮らしを回想する主人公が、自由奔放な彼女に振り回されながらも幸せだった日々に涙する。情緒不安定になった妻が巻き起こす奇行を受け止め、いつも優しく見守る夫。過ぎてしまえば、すべてが愛。

抑えた演技をしてもギラギラが滲み出てしまう竹中直人と、素顔を見せたように無邪気で美しい中山美穂。う~ん。ミポリンと共演したかったのね。塚本晋也だけでなく周防正行や森田芳光も出演し、なんと中島みゆきと荒木経惟も登場したりして、にぎやかで優しい映画。男が振り返る思い出は、いつもセンチメンタルだ。

完全なる飼育』(1999)

完全なる飼育

ジョギング中に見知らぬ男に誘拐され、彼の部屋で監禁生活を強いられた女子高校生は、自分に愛情を注いでくる彼を拒み続ける。

実在の事件を基に映画化。その後のシリーズはアブナイ方向性へと路線が変わっていったが、この第1作は趣が異なり、男の偏愛が特異な恋愛劇に変わっていくという展開。監禁か同棲か。何だかものすごいラブストーリーを観たような気分になる。脚本は、さすがは映画監督でもある新藤兼人。横尾忠則のポスターも話題に。

彼は「心と体が結ばれた完全なるセックス」を求めるが、それを彼女に強要せず、彼女自らそれを求めてくるのを待つ。そんな男女の情愛や肉欲が高校生にわかるのか疑問だが、演じたのが小島聖なので説得力あり。塚本晋也は二人と同じアパートに住む会社員で、存在が少々怪しいが、渡辺えり子との掛け合いがコメディタッチ。

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殺し屋1』(2001)

殺し屋

東京の歌舞伎町を舞台に、特製スーツを着た時だけ殺人マシーンになる泣き虫の殺し屋が、謎の男に操られて殺戮を繰り返していたが、全身ピアスのマゾ男と闘うことになる。

主人公は途方もない残虐性の持ち主なのに、いじめられていた過去がトラウマとなり、普段は気弱で大人しい男。そのため、殺しながら怖くて泣いてしまう。過激なバイオレンスに目を背けたくなるが、たまにトボけた笑いもあり、子供が登場するとホッとする。原作が漫画なのでこれでよし。三池監督の真骨頂かも。

國村隼をはじめとする数人の出演者が『キル・ビル Vol.1』(03)にも出ているのは、タランティーノ監督がこの作品のファンだから。塚本晋也は主人公を精神面で操る黒幕のような存在で、何を考えているのかわからない瞳をした静かな男である。こういう奴が1番ヤバイ。彼は一体何をしたかったのか。ラストの表情が心に残る。

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とらばいゆ』(2001)

とらばいゆ

同じ名人戦に所属する女流棋士の姉妹は、それぞれのパートナーとうまくいっておらず、ついに姉は、次のリーグ戦に落ちたら棋士を辞めて離婚すると言い出す。

実はお互いの相手が羨ましい姉妹は、ないものねだりで不満だらけ。プライベートも仕事もモヤモヤ状態の女は、こうやって八つ当たりをするのである。そして対局の面でも、彼女たちは対決を余儀なくされ、それが現状を打破するきっかけとなるのかどうか。

スランプ続きの姉の夫を塚本晋也が演じ、エリート会社員という珍しい役どころ。負けを自分のせいにされてケンカをふっかけられ、いつも口論となるのだが、それでも優しい旦那様。姉妹のいざこざに巻き込まれる男2人が、オロオロしつつも次第に協力しあっていくのが情けなくも可笑しい。

クロエ』(2001)

クロエ

プラネタリウムに勤める主人公は、はかなげな美少女と結婚して幸せな日々を過ごしていたが、ある日彼女が突然意識を失い、病院に運ばれてしまう。

彼女の肺にはなぜか睡蓮の蕾が芽吹いており、それによって次第に呼吸ができなくなってしまうという美しくも残酷な病気なのだが、これがまた究極のラブストーリーでねえ。

彼は彼女を全身全霊で支えようとするが、そうすればそうするほど状況が悪化していくという皮肉な展開に、胸が締めつけられる。ああ、彼は一体どうすればよかったのだろう。塚本晋也は、好きな現代アーティストに傾倒しすぎて、自分でもどうしようもできない力に押しつぶされてしまう愚かで切ない男。

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沈黙ーサイレンスー』(2015)

沈黙

過酷なキリシタン弾圧が行われていた17世紀の日本に、密かに渡来した2人のポルトガル人司祭は、20年前に捕えられた恩師の消息を探りたいと願っていた。

残虐な拷問シーン。阿鼻叫喚の声。しかし最後まで観ていくと、何か清らかで尊いものに触れたような気持ちになるのは、やはり信仰という深淵なテーマを扱っているからだろか。イッセー尾形の怪演も英語のセリフも違和感なし。裏切者として登場する窪塚洋介の弱さとずるさとたくましさに、心を揺さぶられる。

塚本晋也はストーリーの要となる隠れキリシタンの役で、体重を落として挑んだという命がけのシーンもあり、あっぱれな役者魂を見せる。ちなみにマーティン・スコセッシ監督は塚本晋也の作品を知っていたそうで、オーディションに来た彼に驚いたらしい。この役、やりたかったんだろなあ。俳優として代表作になること間違いなし。

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シン・ゴジラ』(2016)

シン・ゴジラ

東京湾アクアトンネルが突然崩落し、首相官邸では海に潜む謎の生物が事故を起こしたという説が浮上。そしてついに、巨大不明生物が海上に出現する。

ゴジラは「怪獣」ではなく「巨大不明生物」と認識され、その動きを止めるために政府がひたすら立ち向かうという。早口で専門用語をまくしたてる政治家たちや、自衛隊の全面協力を得た戦闘シーンがリアルなため、ゴジラという災いに日本がどう対処するのかという現実を見せられているかのよう。

塚本晋也は、巨大不明生物特設災害対策本部に抜擢された国立城北大学の准教授という役で、確かに学会の異端児という独特の存在感。生物学者としてゴジラの生態を分析するのだが、特撮ファンである塚本晋也のこと。この傑作怪獣映画に出演できて、おそらく最高の気分だろう。そう思って観るのも楽しい。

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SCOOP!』(2016)

スクープ

過去に数々のスクープ写真を撮ってきたが、今やフリーランスのパパラッチとして生計を立てているカメラマンが、新人記者とタッグを組み、大きな事件に関わることになる。

週刊誌の芸能スクープの裏側をスリリングに描き、それまでの役柄から一転、髪とヒゲを伸ばしてワイルドな言動を連発する福山雅治に期待が集まったが、情報屋で薬物中毒者のリリー・フランキーが憎らしいほどのリアル感で、後半戦をかっさらっていく。いつもながら、その人そのものに見える自然体。リリー、恐ろしい子!

塚本晋也は、主人公に「作家のポートレートを撮らないか」と誘う文芸誌編集長である。たまたま階段のところですれ違った彼に声をかけるのだが、いかにも文学界にいる人という落ち着いた雰囲気で、へ~、こんな演技もできるんだと感心。声がいいね。塚本晋也は顔に個性がないので、どんな役にもすっと馴じむことを発見。

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いかがでしたか?

最近は次々と話題作を生み出し、俳優としてもハリウッド映画に出演して評価を受けるなど、ますますマルチな才能を発揮する塚本晋也。世界的に有名になった今でも、脚本から撮影まで自ら関わり続け、自主映画の香りを残す稀有な存在である。

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