第28回東京国際映画祭の注目作はこれだ!①コンペティション/ワールドフォーカス編

Nobody's Perfect.

久保田和馬

今年も、映画祭の季節がやってまいりました。

10月22日から行われる東京国際映画祭。今年はメイン会場の六本木から、今年新たに上映館に選ばれた新宿の3つのシネコン、昨年から引き続いての歌舞伎座などをサブ会場に、東京中を巻き込んで10日間に渡って開催されます。

先ごろ発表されたラインナップから、各部門ごとに注目作を紹介していこうと思います。

コンペティション

まずは映画祭のメインであるコンペティション部門。今年は14カ国から16の作品が選ばれ、中でも11年ぶりにこの部門に日本映画が3作品出品されることが話題になっております。

『FOUJITA』

ふじた

出典 : 東京国際映画祭公式ホームページ
(c)2015「FOUJITA」製作委員会/ユーロワイド・フィルム・プロダクション

『埋れ木』以来10年ぶりの新作となる小栗康平の『FOUJITA』は、近年再評価が進んでいるパリ派を代表する日本人画家・藤田嗣治(レオノール・フジタ)を描いた日仏合作映画。

世界的に評価の高い小栗監督と、主演のオダギリジョーのコンビは、今後他の映画祭でも注目を浴びること間違いなしの、まさに日本代表に相応しい一本。本映画祭での上映が満を持してのワールドプレミアとなります。

『残穢–住んではいけない部屋–』

ざんえ

出典 : 東京国際映画祭公式ホームページ
(c)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会

『アヒルと鴨のコインロッカー』のスマッシュヒット以降、コンスタントにインディペンデント映画から大作まで発表し続ける中堅監督のひとり、中村義洋の来年1月公開予定の新作も日本代表として選出。

これまで何度かアニメ化されてきた作家・小野不由美の山本周五郎賞受賞作を映画化した本作。興味深いことに、小野の夫である綾辻行人の原作初映画化にも橋本愛が出演していましたね。

『さようなら』

さよ

出典 : 東京国際映画祭公式ホームページ
(c)2015 「さようなら」製作委員会

一昨年『ほとりの朔子』が同部門に選出された、若手のホープ・深田晃司の最新作は、平田オリザの戯曲を映画化した衝撃的な一本。

人間とアンドロイドの共演という、これまでにない試みと、深田監督のヴィジュアルセンスが存分に発揮されております。また、ロボット監修には先日放送が終了した「マツコとマツコ」でのマツコロイドを制作したことも記憶に新しい、日本のロボット工学の第一人者・石黒浩が務めており、その精巧なアンドロイドのモーションにも注目が集まっている作品です。

また、その他の国からの出品作を見てみると、トランペット奏者チェット・ベイカーの伝記映画でオスカーレースでの好走も予想されているイーサン・ホーク主演の『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』(アメリカ)や、昨年の本映画祭で上映された『タン・ウォン 願掛けのダンス』のコンデート・ジャトゥランラッサミーの『スナップ』(タイ)、今年の出品作の中でも一際映像の美しさが際立つヴェイコ・オウンプーの『ルクリ』(エストニア)など、幅広いラインナップ。

昨年の同部門出品作15本のうち半数以上が、映画祭以降国内で上映されていないことを考えると、この機会を逃すと観ることができない作品ばかりですので、是非とも足を運んでみてください。

るくり

出典 : 東京国際映画祭公式ホームページ
(c)Filmiühistu "Roukli"

ワールド・フォーカス部門

続いてご紹介するのは、他の国際映画祭ではコンペティションにあげられるような著名監督の新作や、他の映画祭で話題になった作品を集めたワールドフォーカス部門。

今年は22本の新作と、28年前の本映画祭でグランプリを獲得し、現代中国映画史に大きな変革を与えた呉天明の『古井戸』がデジタルリストア版で上映されます。

昨年亡くなった呉天明の追悼として上映される本作は、日本ではソフト化されているものの、入手が難しく、またレンタルもVHSのみという、あまり観る機会のない作品となっております。

ふるいど

出典 : 東京国際映画祭公式ホームページ
(c)Western Movie Group Co. Ltd

『ミューズ・アカデミー』

みゅー

出典 : 東京国際映画祭公式ホームページ
(c)Los Films de Orfeo

今年の同部門最大の注目作は、何といってもホセ・ルイス・ゲリンの最新作。わずか2分のフッテージでも圧倒的な満足感があるというのに、これを91分も観れるという最高の至福が、まもなく訪れるということを考えると、ますます映画祭への期待が高まります。

映画祭公式サイトの作品ページで予告編を観ることができますので、是非ご覧ください。

『コスモス』

こすもす

出典 : 東京国際映画祭公式ホームページ
(c) Alfama Films

そして日本でも『ポゼッション』がカルト的人気を誇るアンジェイ・ズラウスキの『La fidélité』以来15年ぶりとなる新作が早くも日本上陸。

8月に行われたロカルノ国際映画祭で監督賞を受賞した本作は、昨年亡くなった名匠アラン・レネの妻サビーヌ・アゼマが主演。レネ作品以外での主演は7年ぶりとなります。

『土と影』

つちかげ

出典 : 東京国際映画祭公式ホームページ

昨年同部門に出品されたオルカル・ルイス・ナビアの『ロス・ホンゴス』で脚本を務めたセサル・アウグスト・アセベドの初監督作で、カンヌ国際映画祭カメラドールに輝いた本作は、同時期に開催されるラテンビート映画祭との共催上映として上映されます。

昨年のジョン・ガラーニョ/ホセ・マリア・ゴエナガの『フラワーズ』、一昨年のアマ・エスカランテ『エリ』と、アカデミー外国語映画賞にエントリーされた作品が並ぶラテンビート映画祭との共催上映は特に注目すべきですので、こちらも外せない一本であります。

 

今回紹介した作品以外にも、マルコ・ベロッキオの問題作『私の血に流れる血』やフレデリック・ワイズマンの最新作『ジャクソン・ハイツ』、カンヌ「ある視点」部門審査員賞に輝いたダリボル・マタニッチ監督のクロアチア映画『灼熱の太陽』といった欧米諸国の注目作から、ダンテ・ラムの『破風』やホン・サンス『今は正しくあの時は間違い』、本映画祭ではおなじみのガリン・ヌグロホ監督の大作『民族の師 チョクロアミノト』やマニラトナム監督の『OK Darilng』といったアジア圏の注目監督たちの新作まで幅広く上映されます。

是非公式ホームページをチェックしてみてください!

東京国際映画祭については、FILMAGAでも複数の記事で魅力や楽しみ方を紹介しています。是非合わせてご覧ください。

【東京国際映画祭】誰でも行けるって知ってた?チケット入手方法や魅力を解説!

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  • そら
    3
    藤田に関する知識がないため多くは語れないが、画がとにかく綺麗だった。パリで道化師に扮する藤田、日本人の前での藤田、戦中の藤田。その演じ分けが見事だと思った。
  • メタ壱
    3.9
    画家・藤田嗣治をテーマにした作品。 とても独特な作品。 藤田嗣治のフランス時代と日本時代を描いてはいるもののストーリー性はほぼなく、まるで藤田の人生を見ていた何かの記憶の断片を繋ぎ合わせたような作品になっています。 常に固定カメラで映し出されるシーンの数々はまるでアーティスティックな写真のようであり絵画のようであり、全ての画が考えつくされた構図で切り取られていてとても美しい。 そして、フランスの華やかな日々と、日本での陰鬱な戦争の落とす影の対比が印象的。 しかし、物語性や主観性を排除した事でこの作品に現れているシンプルな“人間”そのものはどこにいてもどんな世の中でも変わらない普遍性を感じさせます。 人間は世界の一部であるという事を強く感じ、人の生命とは流れる時間と連綿と続く自然の営みの中に一時存在する命という自然の一つの形なのだと感じました。 絵画とは、そんな一人の人間から見えた世界の一面でありそれは紛れもない真理なのだと思います。 P.S.“物語”を描くだけが映画じゃないんだなぁと再認識しました。
  • Jiyong
    3.8
    映像はタルコフスキーみたいな美しい固定の?ロングショットで好きなんだけど、この物語が藤田嗣治でないといけない理由がよく分からなかった。 実在する人物を描きながら、その人において語るべきことをスルーしてる感じがあるが、これは歴史映画じゃないからいいのかな。芸術映画として楽しめってことかな? 映像と美術はとにかく良かった。ただの雰囲気映画じゃないから好き。
  • はるるん
    -
    きれえなえいが
  • うぐいす
    3.3
    とにかく、シーンが移り変わる度にハッとするような美しい画が表れて、美術も映画も何の知識もない自分でも、構図や光の加減などに拘って作られていると感じました。 美術館で、作品を眺めて進んでいくような感覚です。 若くして画壇の寵児となったパリでの享楽的な姿と、年月を経て帰国し、戦時下の日本で戦争画を描く立場となった姿と、ものすごい落差だと思うのですが、藤田は、なんだか常に、ある意味芸術家らしく浮世離れしていて、そこだけは一貫している感じがしました。 だから、戦争画もあくまでひとつの作品で、お国のためとか戦意高揚とか想いを込めてっていうことではなかったんじゃないのかなぁと思いました。その時、画家として描く題材はそれしかなかったというか。 だから、戦争というものに対する感覚が、村人や例えばその中でも赤紙が届いた子と母のそれとは、隔たりがあって現実感が薄いような、そんな感じを受けて、ちょっと哀しいような気がしました。 彼にとっては、戦争に化かされていた、ということなのかなと思いました。 加瀬亮さん出演作品でピックアップ。 例えば佇まいだけで、シーンに求められている空気を作るのがほんとに上手いと思いました。 そして物語を語るような声がとても好きでした。
FOUJITA
のレビュー(1817件)