ああ、思いっきり泣きたい!流した涙で心が潤う映画12本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

ああ、思いっきり泣きたい。そんな気持ちに襲われることがありませんか?

仕事のストレスや恋愛の悩み。忙しい日々に追われ、ふと気がつくと心がカサカサに乾いている。もしかすると今の自分は、潤いを求めているのかもしれない。

そんな時は、人の目を気にしないで思いっきり泣いてみる。そうしたら、気分はスッキリ。また明日からがんばろうと思えそう。

そこで今回は、涙を流した後に前向きな気分になれる映画12本をご紹介しよう。

湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)

静かに、がむしゃらに

湯

夫の失踪によって経営していた銭湯を閉店し、パン屋で働いていた主人公が、末期ガンで余命数ヵ月と宣告される。

彼女には、残された時間でやらなければならないことがある。自分がいなくなっても、世界がうまく回るように。病気と闘いながらそれをやり遂げていく姿に母の強さを見るが、彼女は決して恨みやわだかまりを忘れたわけでない。ただ時間がないだけなのだ。

もともと人生に立ち向かう勇気のない娘にとって、それはトリプルパンチのような環境の変化。まさに荒療治である。母親は遺される家族たちを愛情深く諭し、ほころびを整えていくが、もし病気にならなければそこまでしたかどうか。彼女も娘のように受け身の人生を送っていたのだと思う。そんな彼女がスーパーウーマンになる。

ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)

映画愛と人間愛

ニュー・シネマ

映画監督である主人公の元へ、故郷シチリアに住む1人の映写技師の訃報が届く。

一時期低迷していたイタリア映画界を一気に復活させた名作。少年時代に映写室で共に時間を過ごした映写技師の葬儀に出席するため、久しぶりに帰郷した彼が過去を振り返る。小さな映画館で体験した魔法のような時間。青年時代の恋人とのつらい別れ。

映画愛に溢れた作品としてあまりにも有名だが、その奥底には人間への深い愛もあり、そこが映画ファンに限らず涙腺を刺激されるゆえん。映写技師が主人公に残した言葉のないメッセージ。それは、人生に行き詰まりを感じていた彼を温かく包み込み、力を与えたはず。カットシーンが大幅に追加された完全版は、見比べてみる価値あり。

ワンダー 君は太陽』(2017)

顔は気にならなくなる

ワンダー

顔立ちに先天的な障がいのある少年が、10歳になったのを機に学校に通い始めるが、周囲の態度にとまどう。

彼が学校でどんな目に遭うのかは、お約束通り。そこには金持ちのイジメっ子がいるが、そのうち親友ができて、仲間もできる。信念のある母親とムードメーカーの父親という愛情深い家族に囲まれた彼は、頭がいいし、偏見と差別を乗り越えて生きていく力もあるだろう。

見逃せないのは、世界が弟中心に回っていることに寂しさを覚える姉の存在だ。弟のことは大好きだけど、親に気持ちを打ち明けられず、母親とケンカしたり友人関係に悩んだりするお年頃。誰でもみな問題を抱えている。彼を取り巻く人々にもスポットが当てられ、その物語に胸がきゅん。

LION ライオン 25年目のただいま』(2015)

Google Earthバンザイ!

ライオン

子供の頃に生まれ故郷のインドで迷子になり、オーストラリアへ養子に出されて成長した主人公が、自分の生家を捜すようになる。

彼が迷子になってしまった経緯があり得ないことではないだけにハラハラし通し。胸がつぶれる思いだ。そんな悲惨な体験をした彼が引き取られたのは愛に溢れた裕福な家庭で、お陰で優秀な好青年に育つが、心のどこかでは自分のルーツがわからないという空洞を抱えていた。

そこで彼が駆使したのが「Google Earth」である。こんな使い方があったとは……もやっとした記憶から少しずつ真実に近づいていく様子が、実にスリリング。これこそ奇跡であろう。彼を温かく見守る養母を、ニコール・キッドマンが好演。彼女の驚異的な理性と母性が支えとなり、彼は生まれた場所に向かう。実話ならではの感動がじわじわとくる一作。

君の名は。』(2016)

空はつながっている

君の名は。

地方にいる女子高校生と東京にいる男子高校生が、夢の中で入れ替わるという不思議な縁によって導かれていく。

男女の身体が入れ替わるという設定は使い古されているが、この作品はそのスケールが大きい。しかもストーリーが繊細で複雑なうえ、SFミステリーという枠にとらわれないスリリングな展開と情感がツボだ。久しぶりに青い空を見上げたような、切なくていい気分。

ビルがひしめく大都会と歴史が息づく土着の世界という対比が丁寧に描かれていて、アニメでは新鮮かも。時空を超えた想いとは、本当にあるのだろうか。忘れてはいけないのに、忘れてしまったこと。それは誰にでもあるはずだが、それを思い出せる人は少ない。若者の恋物語というだけでは収まらない拡がりのある作品。

8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017)

貫き通せるか

8年

結婚目前に病で倒れ、昏睡状態に陥った彼女が目を覚ました時には、恋人の記憶を全てなくていた。

何があっても彼女のそばから離れなかった彼。その一途で深い愛ゆえの執念が実を結び、彼女の心を動かしたのは、やはり奇跡的なことだろう。本当にタメ息の出るような実話だが、キレイごとだけではなかった二人の関係も描かれていて、説得力もあり。

自分のことを忘れてしまったのなら、それでもいい。そこからまた再出発すればいい。そこまで想える人がいるということも、まるで奇跡のよう。傷つきながらも情熱と誠実さを失わなかった彼を演じた佐藤健が、追い詰められて弱さを露呈するシーンがよい。彼はヒーローではない。やるべきことをやっただけ。

gifted/ギフテッド』(2017)

ギフトは誰のもの?

ギフテット

叔父と暮らしていた少女が、学校に通い始めると天才的な才能の持ち主であることが知られるようになり、二人の平穏な生活が揺らぎ始める。

彼女の才能は、天才数学者であった母親譲り。実は母親はすでに他界しており、その背景に関する謎解きもこの物語の大きな要素となっている。特別な才能は、天からの贈り物。少女の才能をどう伸ばせばよいのか。それぞれに思惑を抱く大人たちは、天才児の扱いに悩む。

子供らしく育ってほしいので、特別扱いはしたくない。しかし、人類のためにもその才能を見過ごすわけにはいかないし、何より本人が高度な教育を望んでいる。叔父と祖母は養育権を争いながら、この悩ましい問題に向き合っていく。そこに見え隠れするのは、母と娘のすさまじい葛藤だ。子役の自然な存在感が素晴らしい。

トイ・ストーリー3』(2010)

大人になってしまう

トイ・ストーリー

成長した主人公の少年は、大学の寮へ引っ越すのをきっかけに、お気に入りの人形・ウッディ以外を手放すことを決める。

「ガラクタ」と言われてショックを受けたオモチャたちは託児所へと送られていくが、そこはパラダイスではなかった。ウッディも幼い女の子に拾われ、一緒に遊んで久しぶりに充実感を味わう。オモチャは遊んでもらってこそ幸せ。そんな当たり前のことにハッとする。

子供はいつか必ず大人になり、オモチャから去っていく。残されたオモチャたちは、どんな気持ちでいるのだろう。この映画を観た大人たちは、大好きだったオモチャのことを思い出し、胸を痛めるに違いない。大人を泣かせるアニメNo.1。さて、次の『トイ・ストーリー4』やいかに?

僕のワンダフル・ライフ』(2017)

犬の使命とは

僕のワンダフルライフ

自分の命を救ってくれた少年と固い絆で結ばれていた犬が、命を終えた後も彼と巡り合おうとして転生を繰り返す。

『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(85)、『HACHI 約束の犬』(09)の監督による犬映画の決定版ともいうべき作品。犬の寿命は人間よりも短い。もしその犬が、愛する飼い主にもう一度会いたくて何度も生まれ変わったら?

犬は彼と再会するまでに何度も生まれ変わり、そのたびに種類も性別も変わる。自分に与えられた役割も様々。その度ごとに愛されたり虐げられたりしながら、ひたすら最初の飼い主を求め続けるのである。少年が疲れた大人になっているあたりがリアルで、犬目線の世界観が新鮮だ。犬好きならハンカチを4枚ご用意を。

I am Sam アイ・アム・サム』 (2001)

愛情はIQで測れない

アイ・アム・サム

7歳レベルの知能しかない知的障がいの父親は、一人で幼い娘を育てていたが、ある日、養育能力がないと判断され引き離されてしまう。

個性的なルックスゆえに悪役が様になるショーン・ペンが、こんな役をするなんて。親としては大変頼りないが、愛情だけはたっぷりある父親。しかし、成長した娘がついに父親の知能を超えてしまった時、二人の関係に現実的な問題が迫ってくる。

安達祐実似の子役ダコタ・ファニングが賢そうに悩み、敏腕だが孤独な女性弁護士が、ストレスのせいかチョコをわしづかみにしてほおばる姿が印象的。子供の将来を真剣に考えているのは、みんな同じなのにね。ただ言えるのは、嬉しさのあまり、サッカーでゴールを決めた娘を抱えて走り回ることのできる親がどれほどいるだろうか。

きっと、星のせいじゃない』(2014)

愛に満たされて

きっと

ガンを患う女の子が、ガン患者支援の集会で義足の男の子に出会い、かけがえのない時間を過ごすようになる。

彼女は幼少期にガンを発症し、今では鼻に気管挿管をつけて酸素ボンベを引いて歩いている状態で、もはや治る見込みはない重病患者。一方、彼はバスケの選手だったが、骨肉腫で片足を切断。つまり二人は、常に「死」を意識しながら生きている若者である。

そんな残酷な運命を背負っている彼らだが、それでもユーモアを忘れず、泣くこともあるけど笑っていて、普通の若いカップルと同じように初々しい。出会えたことは悲劇ではなく、こんなにも深い愛を分かち合えたことが幸せ。失ったものよりも得たものに感謝する姿が、胸を打つ。死への恐れもきちんと描きつつ、温かい余韻を残す青春ドラマ。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011)

晴れ間が見えてくる

ものすごく

9.11のアメリカ同時多発テロで父親を亡くした少年が、父親が残した1本の鍵をめぐり、ニューヨーク中を歩き回る。

広いニューヨークで、その鍵の穴を探す。それはゲームであり、謎解きへの旅。たった一人でそれをやり遂げようとする彼は、テロからまもないその街で手掛かりとなる人々に出会い、挫折を繰り返しながら父親の死を乗り越えていく。

彼は大好きだった父親の突然の死を受け入れることができず、コミュニケーションも苦手。なので、鍵穴探しは無謀な挑戦であったが、それは彼にとって必要な作業だった。そんな姿を見守る母親役をサンドラ・ブロックが好演。映画初出演とは思えない子役の繊細な演技には、ただただ胸を揺さぶられる。トンネルを抜けた先に見える風景が、清々しい。

いかがでしたか?

困難や辛い出来事があったからこそ、温かい涙で心が潤う。それはまるで、空の雲が晴れて光が差し込んでくるようなさわやかな気分。

そんな気持ちになれるような映画を観て、たまには心をリセットしてみるのもいいかもしれない。

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