1万本の中から珠玉の一本を!映画ライターが選ぶ「わたしの平成No.1映画」

平成元年(1989年)から平成30年(2018年)の間に国内で公開された映画は23,000本以上。そのうちで邦画は約半分の約11,000本。心に残る平成映画といえば、あなたはどんな作品を思い浮かべるでしょうか。

今回は平成に公開された邦画を対象に、FILMAGAで活躍中の映画ライター10名による心に残る「平成No.1映画」を紹介します。

降りしきる雨が男の愛に似合う

阿刀ゼルダ

阿刀ゼルダ

士業・腐女子。男同士の愛、わけても、アンヴィヴァレンツで矛盾に満ちた純愛の映画を好みます。

GONIN』(平成7年)

GONIN

昭和のバブルの甘い夢からさめきれない金コマ男たち5人が、一発逆転を狙って現金強奪。しかも相手は暴力団、当然ただではすみません。報復のために放たれたヒットマン・京谷(北野武)に、5人は容赦なく消されていくんですが、面白いことに京谷はゲイ、かつ、5人の中の万代(佐藤浩市)と三屋(本木雅弘)もゲイなんですよね。欲望も希望も完膚なきまでに剥ぎ取っていくニヒリズム、そして降りしきる雨が男の愛に似合います。リアリティより美学が魅力。辛みが効いてるところも好みです。

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是枝監督の個性が最も強く出た作品

杉本穂高

杉本穂高

映画ライター、元映画館の支配人です。ケン・ローチやアッバス・キアロスタミ監督が好きです。アニメも好きです。

誰も知らない』(平成16年)

誰も知らない

平成の映画で一番繰り返し観ている作品です。是枝裕和監督は、平成最後のカンヌでパルム・ドールも受賞しましたが、平成デビューの映画監督の中でも最も豊かなキャリアを築いてこられた方ではないでしょうか。将来振り返っても、平成の映画監督として真っ先に名前が挙がる人物でしょうし、本作は是枝監督の個性が最も強く出た作品だと思います。社会の課題を見つめ、しかし決して裁きはしないその慎ましさが素晴らしいですね。

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最も衝撃を受けた邦画ミステリー

竹島ルイ

竹島ルイ

ヒットガールに蹴られたい、ポップカルチャー系ライター。キューブリックとデヴィッド・リンチを敬愛しています。

12人の優しい日本人』(平成3年)

12人の優しい日本人

平成映画史を見渡したとき、個人的に最も衝撃を受けた邦画ミステリーがコレ。シドニー・ルメットが監督したサスペンス映画の傑作『12人の怒れる男』に三谷幸喜がインスパイアを受け、東京サンシャインボーイズのために戯曲を書き下ろし、さらにそれを中原俊監督が映画化。二転三転する展開は、本家『12人の怒れる男』以上!「オリジナルに比肩するほどの傑作」と断言させていただきます。

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令和へ語り継ぎたい不謹慎の塊​

鴇田崇

鴇田崇

「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリー。年間延べ250人ほどのインタビューと世界のディズニーを取材する日々。

シベリア超特急5』(平成16年)

シベリア超特急5

映画評論家の故・水野晴郎先生が私財と名声をかなぐり捨てて撮り上げたスーパー反戦映画。脚本上はシリアスだが映像になってみると完全にお笑いという反則作で、微動だにしない列車を舞台にほころび重視のミステリーが展開する中、水野先生の天下御免の棒読み台詞が炸裂! その圧倒的なオリジン感に心奪われ病みまくり、念願叶ってパート5に出演しちゃったよ。炎上だコンプラだ息苦しい現代、令和へ語り継ぎたい不謹慎の塊です。

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ほとばしる狂気と孤独と愛のやるせなさ​

夏りょうこ

夏りょうこ

やっぱりヨーロッパ映画が好き!でも和製ゾンビ映画にハマりそう!映画館勤務の経験あり。著書『シネマチックな夜』(文芸社)

愛のむきだし』(平成20年)

愛のむきだし

私に園子温と満島ひかりと安藤サクラと西島隆弘を教えてくれた映画。懺悔ネタのためにパンツを盗撮しまくるとか、馬乗りになって新約聖書を延々と読み上げるとか、どこに連れていかれるのか分からないまとまりのなさと熱量。そして、ほとばしる狂気と孤独と愛のやるせなさよ。237分もツボを押されてクラクラ。その容赦のないむきだし感に、泣き笑いだ。信じる者は救われるのか。人は何を信じればよいのか。こんなに叩きつけるように祈りを描いた作品を私は他に知らない。

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「次の時代を生きていこう」と背中を押される

ネジムラ89

ネジムラ89

古今東西、未就学児向け作品から萌え系までアニメーション映画を雑食する缶バッチ屋

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(平成13年)

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

世紀末を駆け抜けた平成を代表する一本といえば『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ!モーレツ!オトナ帝国の逆襲』を挙げずにはいられません。当時子供だった私も、年を経て、将来についての不安も募り、あの頃は良かったと思うことも増え、すっかりオトナ側の人間になってしまいました。後ろを振り向くことも多い日々ですが、本作でしんちゃんが鼻血を出しながら掴み取った未来が今この現在だと思う度、「辛いことも多いけど、次の時代を生きていこう」と背中を押されます。

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大きな感動と幸せな気持ちに包まれた​

ne22co

ne22co

文章を書いたり、絵を書いたりしています。お米という名前の真っ白な猫と暮しています。

花とアリス』(平成16年)

花とアリス

淡く美しい映像と印象的な音楽に彩られながら繊細に描かれていく青春の日々。不器用で不完全だけれど、今を全力で生きている登場人物たちに何度も励まされ、癒されました。サントラも素晴らしく、大学時代、社会人になってからも映画のシーンと共に寄り添ってくれています。数年前、目黒シネマで本作のフィルム上映を鑑賞しました。青春時代の自分、さらには青春時代の自分を懐かしみながら観ていた数年前の自分が幾重にも重なり、大きな感動と幸せな気持ちに包まれたのを思い出します。自分の人生と重ねて、大切にしていきたい作品です。

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あの人たちにまた会いたい!​

フクイヒロシ

フクイヒロシ

映画好きイラストレーター。四コマ映画なるものをコツコツ描いております。

雪に願うこと』(平成17年)

雪に願うこと

平成映画で一番多く見返したのが『雪に願うこと』です。北海道のばんえい競馬を舞台に、それぞれの壁をぶち破りたいと思っている人物たちを描いています。何回観ても観始めてしまったらラストまで観ちゃうし、「あの人たちにまた会いたい!」と思ってDVDを再生してしまうのです。

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平成で最も「人に恐怖した」映画​

やすゆき

やすゆき

年間100本以上のホラー映画を鑑賞し「自分における最恐とは何か」を探索中。現在はアジアの国々を転々する日々。

黒い家』(平成11年)

黒い家

同名小説の映画化作品であり、後に韓国でもリメイクされた本作は、私にとって平成で最も「人に恐怖した」映画です。注目すべきは日本を代表する役者たちの力演。特に大竹しのぶさんの狂気的な演技で話題となった作品ですが、私は旦那を演じた西村まさ彦さんがより印象に残っています。あの役どころは西村さんの他、誰もいないでしょう……。ぜひ、次の時代にも受け継いでほしいジャパニーズ・ホラーの傑作です。

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ひたすらごはん作って食べてるだけの話なんだけど​

妖介

妖介

平成は映画の感想イラストだらだらと描いてきました。令和でも変わらずにだらだら描いていくと思います。絶対だ。賭けてもいい。

南極料理人』(平成21年)

南極料理人

南極料理人

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あなたの心に残る平成映画と重なる作品はありましたか? 令和の時代に新たな名作が登場することに期待しながら、この30年間に劇場で観た映画の数々を振り返ってみるのも楽しいですね。

平成映画ランキング

ちなみに平成の興行収入映画(邦画)TOP3は、1位『千と千尋の神隠し』(308.0億円)、2位『君の名は。』(250.3億円)、3位『ハウルの動く城』(169.0億円)。平成13年公開の『千と千尋の神隠し』は日本の歴代興収ランキングでもNo.1。

千と千尋の神隠し

国内最大級の映画レビューサービス・Filmarks(フィルマークス)の邦画レビュー数ランキングは以下の通り。

1位『君の名は。』(204,835件)

2位『千と千尋の神隠し』(161,132件)

3位『サマーウォーズ』(139,332件)

4位『となりのトトロ』(126,298件)

5位『魔女の宅急便』(124,365件)

6位『ハウルの動く城』(121,743件)

7位『時をかける少女』[※細田守監督作](120,642件)

8位『もののけ姫』(120,035件)

9位『シン・ゴジラ』(119,163件)

10位『カメラを止めるな!』(105,438件)

こちらもジブリをはじめとするアニメーション作品が上位を占める結果となっています。

君の名は。

※映画公開本数及び興行収入ランキングは一般社団法人日本映画製作者連盟のデータに基づいています。※Filmarksのレビュー数は2019年4月26日時点のものです。※ライターは50音順で掲載。

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