凄まじい減量&肉体改造!俳優クリスチャン・ベイルの本気の役作りを堪能できる映画10選

「映画」を主軸に活動中のフリーライター

春錵かつら

多くのカメレオン俳優がひしめき合うハリウッド。その中でも間違いなくトップクラスに入るであろう俳優がクリスチャン・ベイルだ。

1974年1月30日、イギリスのウェールズでイングランド人の両親の間に生まれた彼は、コメディアンの祖父や元ダンサーの母などを持ち、エンターテインメントの世界が身近な環境で育った。

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3人いる姉のうち2人もまた、ミュージシャンと女優兼監督。彼も当初はミュージシャンを目指すが役者へ転向して、10歳から演劇を始め、13歳で早くもデビューを果たす。

役作りのための体重の激しい減量と増量は多くの映画ファンが知るところ。今回はそんな肉体改造をはじめ、彼のカメレオン俳優ぶりが分かる“本気の役作りを楽しめる映画”10作を、それぞれの役柄とともにご紹介しよう。

太陽の帝国』(1987)

日本の零戦に憧れる純朴なイギリス人少年

本作が記念すべきクリスチャン・ベイルのデビュー作だ。

イギリスの小説家J・G・バラードの体験をつづった半自伝的な長編小説をスティーヴン・スピルバーグが映画化。子供の視線から見た戦争が描かれている。当時13歳だったベイルはオーディション参加者4,000人から見事この役を勝ち取った。

日中戦争中の上海を舞台に、両親とはぐれたイギリス人少年のジェイミーが強制収容所という劣悪な環境の中で、力強く生きていく。ベイルは日本の零戦に憧れるあどけない役柄で注目を集めた。正統派の美少年を演じた彼がその後、世界でも指折りの個性派俳優に成長するとは誰も想像できなかっただろう。

スウィング・キッズ』(1993)

ダンスが得意なブラウンヘアのエリート候補生

戦時下のベルリンで、敵性音楽ともいえるスウィング・ジャズを愛し、髪を伸ばし洒落た格好でダンスを楽しむ “スウィング・キッズ”と呼ばれた少年たちがいた─。本作はそんな史実に基づいて作られたナチス戦争ドラマ。

舞台は1939年のドイツのハンブルク。スウィング・ジャズの魅力にとりつかれた3人の若者がナチスという強大な組織に翻弄されていく。

ベイルは主人公の親友で“スウィング・キッズ”の1人であり、裕福な家庭で厳格なしつけの下で育ち次第にナチスに傾倒していく青年トーマスを演じている。劇中では髪を茶色に染め、見事なスウィングダンスを披露している。

ベルベット・ゴールドマイン』(1998)

あか抜けないグラムロックファンの青年

1984年のニューヨーク・ヘラルド紙で記者として勤めるアーサーは、70年代初めにイギリスで絶大な人気を誇ったグラム・ロックスター、ブライアン・ スレイドの記事を書くことになり、取材に乗り出す。その取材を通して、アーサーは自らの過去とも向き合うことになる。

デヴィッド・ボウイやイギー・ポップをモデルに製作されたと話題を呼んだ本作。監督を務めたのはトッド・ヘインズ。自らゲイであることを公言しているトッド・ヘインズ監督のデヴィッド・ボウイに向けた愛憎が描かれている。

クリスチャン・ベイルが演じたのは新聞記者アーサー。注目すべきその役作りっぷりは、アーサーの回想シーンとなるセクシャルマイノリティに悩みロックスターに傾倒していく10代の頃。ウルフカットベースのボブにメイクを施し、ぴちぴちのシャツにベルボトムパンツ、といった中性的なグラムロックファッションのあか抜けない青年を演じ、ユアン・マクレガーとのラブシーンにも挑んでいる。

アメリカン・サイコ』(2000)

ナルシストな細マッチョのシリアルキラー

80年代の好景気に沸くアメリカ・ニューヨーク。若きエリートビジネスマンのパトリック・ベイトマンは裕福な家庭に生まれて名門学校を卒業、ウォール街の投資会社で副社長を務め、豪華な住居に住んで人生を謳歌していた。しかし彼には「夜は殺人鬼」という別の顔があった─。

本作でクリスチャン・ベイルは話し方をアメリカ人のアクセントに変え、神経質でナルシストな27歳のエリート青年パトリックを演じた。娼婦たちと交わりながら鏡に映った自分に惚れぼれするほどのナルシストなキャラクター。

「“欲や外見が全て”といったこの役のために肉体作りに時間をかけた」と本人も語るほど、毎日3時間のジム通いで作り上げた見事な細マッチョの肉体を披露している。本人は後に「筋肉が大きくなればなるほど脳細胞が破壊されていく気がする」と語るほど、身体づくりはつまらないものだったのだとか。

マシニスト』(2004)

1年に渡る不眠症に悩む機械工

原因不明の不眠症に悩まされる機械工のトレヴァーは、ある日アイヴァンという男に出会う。それをきっかけに、奇妙な出来事が次々と起こり、トレヴァーは精神を病んでいく。1人の男が巻き込まれる不可解な事件を描いたサイコ・スリラー。

本作でベイルが演じたのは1年間寝ていない主人公のトレヴァー(ポスターの骨と皮だけのヒョロヒョロ男がベイル!)。この不眠症の役を演じるために約4ヶ月もの間、1日ツナ缶1つとリンゴ1個だけの食事で過ごし、さらに減量をしようとして周りに止められたという逸話を持つ。

最終的にはおよそ29kg減量し、54kgにまで体重を減らした。スクリーンを観た誰もが病的と感じる主人公トレヴァーの怪演。“クリスチャン・ベイル=カメレオン俳優”という地位を確固たるものにした。

バットマン ビギンズ』(2005)

ガチムチのダークヒーロー

DCコミックスの人気キャラクター「バットマン」が、いかにしてバットマンになったのかを描く前日譚シリーズの第1作。大富豪である両親を殺害された御曹司ブルース・ウェインがゴッサム・シティーに平和を取り戻すため、犯罪者たちに立ち向かう姿を描く。

バットマンをアメリカ人以外の俳優が演じるのは本作が初めて。「ヒーロースーツが似合う身体」にしようとしたベイルは『マシニスト』の撮影から、なんと6ヶ月で54kgほどだった体重を86kgにまでウエイトアップするという過酷なトレーニングを完遂。

オーディションでもバットマンとブルース・ウェインを別の声にして演じ分けるという役作りで、見事バットマン役を勝ち取った。結果は言わずもがな、重厚なダークヒーローを見事に演じきっている。

ダークナイト

(続編『ダークナイト』より)

戦場からの脱出』(2006)

捕虜になった米軍パイロット

ベトナム戦争下の1965年。極秘爆撃任務を遂行していた米軍パイロットのディーターは、ラオスで敵に撃墜され、捕虜収容所に連行されてしまう。ディーターはそこで出会った仲間たちとともに決死の脱出を試みるが……! 実在の米軍パイロット、ディーター・テングラーの脱出劇をモデルに製作されたサバイバル・アクション。

『バットマン・ビギンズ』の翌年に製作された本作で、ベイルは捕虜になったディーター役を演じるために再び25kgほど減量……!!

戦場からの脱出

減量だけでなく、ウジ虫を食べたり、素足でジャングルを歩いたり、馬に引きずられたりと、今回もハンパない役者魂が炸裂! 逆さ吊りで回されたシーンの撮影では、その後3日ほど正常に歩けなかったと語る。極限状態の中で生命にひたすら執着するギラギラした彼の姿は必見だ。

戦場からの脱出

ザ・ファイター』(2010)

ドラッグ中毒の元・ボクサー

1980~90年代に活躍したプロボクサー、ミッキー・ウォードとその異父兄ディッキー・エクルンドの実話をベースにマーク・ウォールバーグが製作・主演を務めた映画。一度はボクサーとしての大成を諦めるも、兄の支えで世界の頂点を目指すひとりのプロボクサーを描く。

ザ・ファイター

本作でベイルが演じたのは主人公の異父兄のディッキー。弟のトレーナーを務めるも、傲慢で自律心の弱い元・実力派のボクサー。『戦場からの脱出』の後に『ダークナイト』の撮影で再び30kg増量したクリスチャン・ベイルだったが、本作でドラッグ中毒のボクサーを演じるために再び14kgほど減量して66kgに。

さらに減量だけでは飽き足らず(!?)、髪の毛を抜き、歯並びまでも変えて役作りに挑んだ。見事本作で、第83回アカデミー賞 助演男優賞に輝いた。

ザ・ファイター

アメリカン・ハッスル』(2013)

薄毛で中年太りの天才詐欺師

舞台は1979年、カジノタウンとして開発中のニュージャージー州アトランティックシティ。詐欺師のローゼンフェルドを逮捕したFBIは司法取引で捜査に協力させ、巧妙なおとり捜査でカジノの利権にまみれた大物汚職政治家たちを逮捕してゆく。

70年代にアトランティックシティで実際に起きた収賄スキャンダル「アブスキャム事件」をもとに製作された本作。

アメリカン・ハッスル

中年太りした天才詐欺師を演じるためにベイルは、「ドーナツとチーズバーガーをたくさん食べた。手に取れるものは何でも食べた」と語っている。“いかにも成り金”というルックスを再現するため20㎏弱を増量した。

体重は84㎏から103㎏へ!

ちなみに気になる薄毛……剃ったのではなくなんと抜いて薄毛を再現したというから驚き。

アメリカン・ハッスル

バイス』(2018)

“アメリカ史上最強で最凶の副大統領”ディック・チェイニー

ジョージ・W・ブッシュ政権でアメリカ史上最も権力を持った副大統領と言われるディック・チェイニーの半生を描いた社会派伝記ドラマ。

1960年代半ば、酒癖が悪かったチェイニーは、恋人に叱責されたのを機に政界の道へと進み、下院議員ドナルド・ラムズフェルドの下で政治の裏表を学びながら権力の座を登り詰めていく。9・11後のアメリカをイラク戦争へと導いたとされる男の知られざる顔が明らかになる。

バイス

「役作りのために、大量にパイを食べて」ウェイトアップしたベイルは、20代から70代までのチェイニーを演じ、頭を剃って眉毛もブリーチ。またもや観客に「誰っ!?」と言わせる役作りに成功している。2019年のゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)に輝いたのも納得。

なんと本作のインタビューで「いままで役作りの体重管理で医師や栄養士の指導を受けたことがなかった」と告白したベイル。それで体を壊し、今回は専門家の指導のもと健康的に約20㎏増量したそう。「きちんとやったから、短期間に増量したのにこんなに健康だったことはないよ」とのことだが、これまでに専門家がついてなかったなんて!  信じられない!!

バイス

まとめ

最近、ベイルが毎回役作りのために体重を劇的に増やしたり、減らしたり体に負担をかけることに限界を感じているというニュースが世間を騒がせた。変幻自在のクリスチャン・ベイルが見られなくなるのは寂しい限りだが、役作りはなにも体重の増減だけが問題ではない。

ストイックな“役作りの鬼”であるクリスチャン・ベイル。今後どんな演技を見せてくれるのか、次の出演作を楽しみに待ちたい。

クリスチャン・ベイル

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