Netflixオリジナルシリーズとして全世界独占配信がはじまる「リラックマとカオルさん」は、人気キャラクターのリラックマと今回初めてその姿を現すアラサーOL・カオルさんの同居生活をストップモーションアニメで描くシリーズだ。
リラックマのゆったりした世界観を生かしつつも、オトナ女子の共感を集めるエピソード満載で各方面に評判を呼びそうだが、今回、“カオルさん”を演じた女優の多部未華子と、脚本を担当した『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子にインタビュー! さまざまなテーマで話を聞いた。
ーー多部さんは声優として、荻上さんは脚本を担当されて、今回の作品のまずは率直な感想をお願いします。
荻上 もちろんキャラクター自体は知っていて、デレっとしていてかわいいなという存在でしたが、実際に脚本を書くにあたってマンガやグッズを改めて見て、家にいたら助かるだろうなと思ったんです。その最初の気持ちを大切に、最後まで脚本を仕上げました。
多部 リラックマは友達がみんな好きなキャラクターで、よく見るキャラクターというイメージでした。ですが、カオルさんの存在は知らなかったので、改めて色々と調べてみると、クスッと笑えるような場面もあり面白い作品だなと思いました。
荻上 カオルさんは、マンガなどでは“見えない”キャラクターなんです。OLさんのところに居候しているという関係で、実際には絵には登場していなかったのですが、それが今回アニメーション化にあたって登場しました。
ーー多部さんが演じるカオルさんは、いかがでしたか?
荻上 日常の身近にいるあの人、みたいな存在で、誰もが観てあるある!って思うような子になってほしいなと思って書いたのですが、多部さんの声が入っている画を観て、ぴったりな感じがしてうれしかったです。年齢的にも近いし、仕事をしている女性という意味でも、どこか芯があるようにお見受けしましたし、いろいろとキャラクターとマッチする要素が多いなと思いました。
多部 カオルさんは本当にわかるわかる!と共感できるところもあれば、しっかりしているだけでなく、抜けていたりお茶目な部分もあり、とても身近に感じる存在という印象でした。
ーーどこに一番共感を?
多部 イケてる後輩に辛辣な一言を言われてしまうシーンで、そういうことあるよねと思いました(笑)。
荻上 最初はもっとダメな子に設定しようとしていて、かわいらしい子たちがまわりにいて、だから助かる救われるみたいな。でも、リラックマが大好きで、本当に存在していると思うほどの大ファンの方々のことを考えると、そこまでの変更はいけないなと思い、本当に身近にいそうな人にしましょうと。丁寧に生活にしている女性にしてよかったと思います。
多部 リラックマは何をしていても可愛いので、がさつでも可愛いです。ほのぼの終わる13話になっていて、素晴らしいと思いました。日頃、友だちに自分の出演作について「楽しみにしてる」と言われても、なかなか前向きな言葉が出ないのですが(笑)、今回の作品は、リラックマファンの友だちに自然と「楽しみにしていて!」と言えました。きっと世界観や、リラックマファンの方々のイメージが崩れていないと思うからだと思います。
荻上 本当は、ダメダメなひとだって多いんでしょうけれど(笑)。どうですか、家は片付いてますか?
多部 友だちが呼べる程度には片付いていると思います(笑)。
荻上 わたしもです(笑)
ーー多部さんは、プレスコ(先に声を収録する方法)でしたよね?
荻上 まったく絵がなかった?
多部 少しだけアニメーションが付いていて、リラックマも一部、そういったものが混ざっていた映像でしたが、収録自体は難しいとは思いませんでした。
荻上 アニメーションの声優は初めて?
多部 「アンパンマン」ってアニメーション……ですよね?(笑)
ーーかなりアニメーションです(笑)
多部 (笑)。それとゲームですね。それはまた少し違いましたが、声優はいつも大変で声だけというのは本当に難しいです。マイクの前で立ったまま話すことに慣れていないので、全身を使ったほうがいいですし、お芝居も何が正解か難しいところですが、慣れていないうえに正解を探す作業は、本当に大変でした。ずっと緊張して終わることが多いですが、今回はお話がとてもほのぼのしていたので、可愛いなと思いながら収録ができて、楽しかったですね。
ーー今回改めて、リラックマが愛される理由について再発見はありましたか?
多部 バランスでしょうか。癒しもあり、放っておけないミステリアスな感じと、少し怠け者な感じも愛着がわくのだと思います。ある意味で空気みたいな存在、いても苦にならない存在のような。リラックマのLINEスタンプは、嫌味がない感じがします。狙いすぎない感じがあって(笑)。
荻上 かわいいだけじゃなくて、だらしない部分もあるからいいんですよね。たまにカオルさんが怒りますが、そういうところもよりかわいい。だから嫌味がなくなるんじゃないですかね。
ーーところでFILMAGAは映画ファンが集まるWebサイトなのですが、かつて癒されたような、救われたような経験がある映画があれば教えてください。
多部 1本だけじゃないですよね!
荻上 いっぱいあって挙げられないかも(笑)。
多部 ジャンルですが、ディズニー作品が大好きで、疲れた時は自宅でBGM感覚で流しています。前向きになれて、夢があり、可愛いです。
荻上 一番は?
多部 『塔の上のラプンツェル』です。
荻上 何だろう、難しいですよね。出てこない(笑)。
ーー今回の作品に関わって、一番うれしかったことは何ですか?
多部 友達がとても喜んでくれたことです。友達は私の仕事に興味がないので、普段はあまり反応がないのですが、唯一「カオルさんをやるの!?」と(笑)。本当に嬉しかったですね。
荻上 そういう意味では、双子の子どもたちにぬいぐるみなどをいただいて、子どもたちが喜んでくれたことが一番うれしかったですね。撮影現場にもお邪魔しましたが、何人ものスタッフが秒単位の撮影を毎日している姿を観て、アニメーションのすごさを痛感しました。そこにお話だけ書かせていただいて、そのお話がこれほどの素敵な作品になって、感動しました。1日10秒分という気の遠くなるような作業をしていて、すごいなって。
ーー今回の作品、どういう人におすすめしますか?
荻上 疲れている人(笑)。まいっかって思えると思います(笑)。
多部 1話が短いので流し見でもと思ったのですが、観始めると、意外とそうはならない作品になったと思います。
荻上 意外と止まらないと思います。
多部 サクッと観られると言いたいところですが、きっとじっくり観たくなってしまうと思います。その方が楽しいですし、癒されます。最後まで飽きずに観られる作品だと思うので、期待していてください。(取材・文=鴇田崇/写真=林孝典/多部未華子ヘアメイク=赤松絵利(ESPER)、スタイリスト=轟木節子/荻上直子ヘアメイク笹浦麻記(emu))
Netflixオリジナルシリーズ「リラックマとカオルさん」は2019年4月19日(金)より、Netflixにて全世界独占配信
出演:多部未華子 ほか
脚本:荻上直子
監督:小林雅仁
音楽:岸田繁・主題歌:くるり「SAMPO」
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