恋するあなたへ贈る5つの映画【恋するあなたへの処方箋 前編】

2015.10.14
映画

映画と音楽は人生の主成分

みやしゅん

よく「愛は心が真ん中にあるから真心で、恋は心が下にあるから下心」…そう口にする人がいます。

しかし、愛人と恋人となるとその考え方は逆転しまいます。そう、愛と恋の違いの明確な説明ができる人はいないのです。では、愛も恋も違いはないのでしょうか?

たしかに、両者は“LOVE”という一つの英単語でまとめられてしまいますが、皆さんもお分かりのように愛と恋には違いがあります。

前編である今回は、愛と恋について考えるきっかけとなるような映画をご紹介します。これは、いくつかの映画と共に愛や恋について考えていくための「恋するあなたへの処方箋」です。

アデル、ブルーは熱い色(2013)

ストーリー

運命の相手はひと目でわかる。高校生のアデルは道ですれ違ったブルーの髪の女性エマに一瞬で心を奪われる。偶然バーで再会を果たしたアデルは、身も心も全てを捧げていくようになる…。

アデル2

恋は一瞬、愛は永遠

同性愛を扱った本作は、2013年、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、しかも史上初めて監督だけでなく主演女優2人に贈られました。

実は同性を愛する人口は、左利きの人口と同じ割合で、珍しいことではありません。まだまだ偏見を持たれる方も多いと思いますが「醜い芸術なんてない」という劇中の台詞のように、恋や愛はどれも美しいものなのです。

この作品がパルムドールを受賞したことは、世界が様々な“愛”の形に対して寛容になってきたことを示しているのかもしれません。一瞬でエマに恋をしたアデルが愛を求めて葛藤する姿、見ているだけで胸が苦しくなります。恋は一瞬、愛は永遠…そんなことを感じさせる作品です。

あと1センチの恋(2014)

ストーリー

ロージーとアレックスは幼い頃から、青春を共に過ごしてきた。2人の夢は田舎町から抜け出し、アメリカのボストンの大学へ一緒に行くこと。

しかし、クラスの人気者と一夜を共にしたロージーが妊娠したことで、2人は別々の道へ…。初めて別々の人生を歩みだしたとき、2人は互いの気持ちに気づく…これは運命に翻弄される2人の甘くてほろ苦い物語。

あと1センチ

恋は盲目

2014年、リリー・コリンズのキュートな演技で話題を呼んだ本作では、わずかな距離が縮まらないはがゆい恋愛が描かれています。2人は相手の全てを受け入れることができず、悪い部分から目を背けるばかり…離れ離れになってからは、時間だけがただただ過ぎて行きます。

恋に落ちると、ついつい相手の悪い部分から目を背けがちになるものです。しかし、盲目である「恋」を「愛」へ変えるためには、相手のすべてを受け入れなければなりません

時に、刺激を求める「恋」へと走るロージーとアレックス…2人は互いに納得のできる「愛」を手に入れることができるのでしょうか?

シンデレラ(2015)

シンデレラ2

愛とは相手のありのままを受け入れること

この作品はあまりに有名なため、ストーリーは語る必要ないでしょう。

エラが王子様との真実の愛を手に入れることが出来たのは、亡き母からの「辛いことがあっても、勇気と優しさを忘れないこと」という言葉を信じてきたからです。もし、エラがその言葉を信じてこなければ、森で運命の人に出逢うことはなかったことでしょう。

王子様は森で出逢ったエラを探し求め、舞踏会を開き、そこで再会します。しかし、彼女はガラスの靴を残していなくなってしまうのです。

物語の結末を知っている人がほとんどだと思うので書いてしまいますが、最終的に王子様が選んだのは、綺麗な青いドレスで着飾ったシンデレラとしてのエラではなく、灰にまみれたエラでした。王子様はありのままの彼女を選んだのです。

どれだけ着飾っても、心までは変えられない…そう、私たちに教えてくれる優しい作品です。

ルビー・スパークス(2012)

ストーリー

小説家のカルヴィンはスランプに陥っていた。しかし、夢の中でルビーに出逢い、小説を再び書き始めることとなる。そんなある日、カルヴィンの目の前に、小説で描いていた架空の女性ルビーが突如現れる。

虚構と現実の狭間で揺れ動く2人を待ち受ける結末とは…?

ルビー2

恋は自己満足、愛は自己犠牲

カルヴィンにとってルビーは理想の女性でした。それは、原稿に記したことが全て反映される不思議な女性、つまり、自分自身の思い通りにできる操り人形だったからかもしれません。

しかし、その関係は「カルヴィンなしではルビーは生きていけない」とカルヴィンが原稿に一文を記した時から、少しずつ変わっていきます。最初ルビーを操るカルヴィンは、自己中心的で自己満足的な感情で満たされていました。しかし時間が経つにつれその感情は変化していきます。

自己中心的なカルヴィンに対して、ルビーはとても献身的です。それは、文章によって操られているからかもしれませんが、恋をして「相手の色に染まりたい」と想う感情のあらわれのようにも思います。特にクライマックスへの鍵となる喧嘩のシーンでは、その切ない描写が観ている人の胸を締め付けます。

恋は相手に求めてしまうもの、愛は相手を受け入れるもの…そんなことをふと考えさせられる、美しい作品です。

ジュリエットからの手紙(2010)

ストーリー

主人公ソフィーは、挙式前のハネムーンでイタリアを訪れるものの、彼は仕事ばかり…。たった1人で観光名所であるジュリエットの生家を訪れると、そこでジュリエットへと向けられた手紙に返事を書く“ジュリエットの秘書”という仕事に出逢う。

愛が綴られた手紙たち。彼女はふとしたきっかけで手にした、クレアという女性が書いた50年前の手紙に返信をする。クレアは返事を受けイタリアへと訪れる…それをきっかけにソフィーはクレアとその孫チャーリーと共に“真実の愛”を探す旅を始める。彼女たちがたどり着いた先にあったものとは…?

ジュリエット2

恋は愛へ至る過程

この映画では、ソフィーとクレアという2人の女性の想いが描かれています。50年前に心から愛していた男性を探すクレアを見て、ソフィーは“真実の愛”について考えます。そして、ある答えにたどり着くのです。

恋をすると幸せな時間以上に苦しい時間が伴うことでしょう。しかし、その想いを相手に伝えずに、自分の内に秘めるだけでは必ず後悔をしてしまいます。恋は愛へ至る過程…例え苦い想いを沢山したとしても、その数だけ深い愛を手にすることができるはずです。

恋は求め続け、愛は与え続けるもの

愛や恋について考えること、誰にでもあると思います。しかし、大切なことは独りよがりの恋に走ってはいけないということ…互いのことを考え、受け入れ、無償の愛を与え続けることです。今回紹介した作品たちは、いつかあなたの背中をそっと押してくれるはずです。

後編では「様々な愛の形」を、映画を通して覗いてみたいと思います。

※後編「自分なりの愛」を見つけるための3つの映画【恋するあなたへの処方箋 後編】は明日公開予定です

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  • 延々と歩く
    -
     文章にしてみた『理想の彼女』が現実世界に出てきちゃうお話。  具現化したヒロインが段々と自我を持ち始めて…という展開は男の性的妄想をフェミニズムやポリティカル・コレクトネスの角度から再点検する、ということなのだろう。しかしあまり楽しめず。根本に「現実と向き合うべし!」なるタフネスを感じて乗り切れなかった。自分、ヘタレなんですわ…。現実から逃げまくりたいのです。制作国アメリカの映画はこの後も色々なことに向き合いまくっている。  ヒロイン役はゾーイ・カザン。主人公の理想像というわりにそこまで印象には残らない。彼女自身は好きですけどね。普通のラブコメ「もしも君に恋したら。」での可愛さが今のところベスト。しかし彼女にとってアレは異色作のようだ。ほかの出演作は低予算の真面目なものか、恋愛ものにしても本作のようにひねりを加えている。
  • ペン
    4.2
    内向的で友達も恋人もいないスランプ中の小説家カルヴィンは、新作小説にルビー・スパークスという彼の理想の女性像で描いた女の子を主人公に執筆を始める。ある朝、カルヴィンが目を覚ますと架空の人物のはずのルビーが彼の恋人として存在していた---。 ほかのレビュアーさんも言ってる方がいるけど、主人公がのび太的だったり、ドラえもん的な展開をする作品。どういうことか気になる人は是非観てください(笑) それはさておき、ルビーが可愛すぎる!!! 男が思い描くような理想の女の子でありながら、女性から見ても可愛い女の子なのではないでしょうか。 ファンタジー要素のあるラブストーリーなので一見女性向けに見えますが、男性は主人公のダメっぷりに共感しながら観れる作品です(笑)
  • ひろゆき
    3.2
    銀幕短評 (#169) 「ルビー・スパークス」 2012年、アメリカ。 1時間 44分。 総合評価 64点。 主人公が男性人気小説家であるところ、標題はその恋人の名。小説家映画としては、「響 -HIBIKI -」(#150、91点)がとてもおもしろかったな。 彼が今どき珍しくタイプライターを使うのは、のちの演出上の配慮から。フランス映画の「タイピスト!」(#34、66点)では、PCのない時代だから絵になったけれど。あるいは実際にタイプライター派が今でもいるのかもしれない。 ストーリーの核となる突飛なアイディアはとてもいいが、そのあとの展開が盛り上がりを欠き、たいへん残念である。主演の青年の芝居のうまさがいちばんの見どころだ。 彼らの最初の出会いの場面で、彼の犬の名を巡って スコット・フィツジェラルドの名が出てくる。20世アメリカの最大の作家であるとして(ヘミングウェイはどうなるのだろう?)。 ということは 次の映画は、自ずと、
  • 主に重荷
    5.0
    何か最高でした最高の映画でした。 みてる間ずっとカルヴィンでした。カルヴィンが嬉しそうなシーンは僕も嬉しかったし切ない時は僕も死ぬほど切なかったです。 ルビーもめっちゃかわいいしカルヴィンよかったです。とにかく最高でした。 あーーーーーーーーってなります。 感情移入しまくりでつかれた。 あーーーーーー
  • 然るべき青
    4.5
    全て思い通りの恋愛なんて恋愛じゃないって事に気付きました。 でもタイプライター買ってきます。
「ルビー・スパークス」
のレビュー(23598件)