わかっているのに騙される!クセあり詐欺師が登場するハラハラドキドキ詐欺映画12本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

現実に出くわしたら困ってしまうが、映画の中では強烈な個性を放つ詐欺師。それは、危機一髪で騙し通せたというカタルシスを味わえたり、連続するどんでん返しに最後まで気が抜けないような娯楽作品だ。

特に最近の詐欺映画は、詐欺師が仕掛けるワナがますます巧妙化。なので、観客も一緒に騙されてしまうことが多くてスリル満点である。

そこで今回は、そんなクセあり詐欺師たちが登場する映画12本をご紹介しよう。

グリフターズ/詐欺師たち』(1990)

仁義なき騙しあい

グリフターズ

母親と息子とその恋人の3人が、詐欺師としての生き残りを賭け壮絶な騙しあいを繰り広げる。

闘いのためには私情をかなぐり捨てる詐欺師たち。それは、相手が肉親でも恋人でも容赦しないハードボイルドな世界だが、スリリングな駆け引きだけではない残酷な心理戦を描いた詐欺師映画の傑作である。

人の心は、人間関係や状況によって変わってしまう。そんな現実が独特の冷めた視点と皮肉な切り口で語られ、年の差14歳という母と息子の恋愛にも似た奇妙な感情にもドキドキ。詐欺師って一体何だろう。アンジェリカ・ヒューストンの貫禄は必見。

シューティング・フィッシュ』(1997)

詐欺はライト感覚で

シューティング

豪邸を手に入れるために詐欺を繰り返している施設育ちの2人が、弟のために大金を手に入れたい女性に出会う。

なんてオシャレでテンポのいい映画だろう。若い詐欺師が、夢のためにせっせと詐欺に精を出す。しかもその相手が欲張りな金持ち連中とくれば、まるで爽やかなおとぎ話のよう。とぼけたユーモアも満載のスカッとするイギリス産コメディである。

誰をどんな風に騙して大金を巻き上げるか。そればかり考えている彼らは怖いもの知らずで、まだ子供。なのでドジも踏んでしまうのだが、そのマヌケな感じもまた瑞々しく、淡いロマンスとペテンのスリルが絡み合って気持ちがいい。

コンフィデンスマンJP』(2019)

ライバルは天才詐欺師

コンフィデンス

香港マフィアの女ボスが持っているとされる伝説のパープルダイヤを手に入れるため、お馴染みの詐欺師3人が香港へ向かう。

人気TVドラマ『コンフィデンスマンJP』の劇場版。詐欺の才能は抜群だが危なっかしいダー子、彼女に振り回されてばかりのボクちゃん、変装の達人で百戦錬磨のリチャードというお馴染みのチームが、香港マフィアを相手に大きなワナを仕掛ける。

こちらもまんまと騙される。それが快感。だから騙されないと楽しくないわけで、今回も世界に飛び出した彼らは、あの手この手で視聴者を騙そうとする。長澤まさみの得意気な笑顔が下卑ていてたまらない。竹内結子との女優対決も見モノだ。

スティング』(1973)

騙して痛快

スティング

1936年のシカゴを舞台に、ギャングに殺された師匠の敵をとるため、詐欺師と賭博師が組んで組織を追い詰めていく。

つい口ずさんでしまう軽快なテーマ。スカッとするどんでん返し。ムダのない脚本とテンポのよい演出。今も色あせていない詐欺師映画の金字塔である。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードという二大スターの共演も、豪華なのにサラッとしていてよい。

「ギャング」「ペテン」「ピストル」という言葉が似合う時代なので、いちいちスリリングでドキドキさせられっぱなしの今時の作品に比べると、どこか牧歌的。品のある温かみにホッとしたりして。彼らを応援したくなるのは、目的が復讐だから。そしてパパッと終わる。こうでなくっちゃ。

マッチスティック・メン』(2003)

父ちゃんは寂しい

マッチスティック

極度の潔癖症である主人公の詐欺師が、生き分かれていた娘と暮らすことになるが、ある日彼女が詐欺師になりたいと言い出す。

電話を毎朝消毒し、下着や靴下を小さくたたんで積み上げ、食器が汚れるという理由でツナを缶から直接食べ、食べ終えた缶はジップロックに入れて捨てる(手袋をして)という病的な潔癖ぶり。チック症も併発させている彼は、離婚が原因でそうなったらしい。

そんな彼の前に現れた娘は14歳。やむを得ず仲間に入れてしまったものの、可愛い娘が心配でしょうがないニコラス・ケイジが不器用な父親を演じ、マジメに振り回される姿が可笑しい。落としどころが見えにくいだけに、ハラハラしてしまう作品。

クヒオ大佐』(2009)

騙されたい

クヒオ大佐

1990年代にアメリカ軍特殊部隊のパイロットだと名乗る男が、華麗な経歴をでっち上げて次々と女性たちを騙していく。

西洋風の顔つきを生かし、アメリカ人どころかエリザベス女王の遠縁でもあるとウソをついて、約1億円を騙し取ったという実在の結婚詐欺師。女性がいくら軍服姿に弱いからといって、まさかそんなことが……どこか憎めないこの詐欺師を堺雅人が演じ、本音の見えない優しい笑顔が怪しい。

彼に愛を捧げる女性たちは、彼が自分をここから連れ出してくれると信じている。そういう男性を待っていたのだ。パイロットだの家柄だのアメリカ人だの、そんな絵に描いたような条件でくすぐられる女心の哀しさよ。騙されていてもいい。騙すのなら騙し続けてほしい。満島ひかりの鬱積ぶりがコミカル。

モネ・ゲーム』(2012)

最後に笑うのは

モネ

美術学芸員の主人公は、モネの名画の贋作を使った詐欺を思いつき、相棒の女性と一緒にターゲットとなる億万長者に近づく。

『泥棒貴族』(66)のリメイク版。贋作の傑作を用意し、自信満々で計画を実行しつつあった彼だが、天然すぎる相棒のせいで次々と騒動が起きてしまう。一方、大富豪の方も自ら鑑定士を呼んだりして、騙されそうで騙されず。一筋縄ではいかない複雑な駆け引きが続く。

こんなはずじゃなかったという展開がお得意のコーエン兄弟らしく、ストーリーは転がるように予期せぬ方向へ。キャメロン・ディアスが物事をあまり深く考えない無邪気な相棒を演じ、役に立ったり立たなかったり。とにかく出し抜くのが、詐欺成功のヒケツ。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002)

孤独な詐欺師

キャッチ

1963年、両親が突然離婚したショックから家を飛び出した16歳の主人公は、生きていくために小切手詐欺を思いつく。

「できるもんなら捕まえてみろ」というタイトルは、鬼ごっこの掛け声。世界各地で小切手偽造事件を起こした実在の詐欺師と、彼をどこまでも追いかけるFBI捜査官との攻防だけでなく、パイロット→医師→弁護士になりすます大胆不敵な彼の心の闇も描く。

そう。彼はまだ子供。両親の復縁を信じ、別れた母親が恋しい子供なのである。それにしても、なんという数奇な人生だろう。それがどんなものであれ、特異な才能は身を助けることもあるという事例。捜査官から逃げながらも甘えている彼は、傷を負った動物のよう。なんだかいい話である。

ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ』(1988)

騙しあいで勝負

サギ師

南フランスのリゾート地を舞台に、富豪の有閑マダムを相手に詐欺を働くベテランの詐欺師と、ケチな若い詐欺師の騙しあい合戦を描いたコメディ。

『寝室ものがたり』(64)のリメイク版。マダムたちをメロメロにする紳士風の詐欺師は、自分の縄張りに入ってきたチャラい詐欺師が邪魔になり、ある女性からどちらが早く5万ドルを巻き上げるかという賭けをして、追い出そうとする。

マイケル・ケインv.s.スティーヴ・マーティンというだけで、すでに面白い。女性を騙すという方向性は同じだが、手段の違いが際立つこのキャスティング。ターゲットが意外に手強く、次第にゲームに振り回されて躍起になっていく二人がみどころだ。結末やいかに。

結婚』(2017)

なぜ結婚したい?

結婚

自分が騙した女性と組み、次々と詐欺を繰り返す結婚詐欺師には、実は妻がいた。

ディーン・フジオカが結婚詐欺師という女性の敵に扮し、それまでのイメージを覆した作品といえるが、設定が根っからの女ったらしではないので微妙。哀しき結婚詐欺師ということで、逆に母性本能をくすぐられるかもしれない。

彼が結婚詐欺を働いている理由はともかく、その妻の存在が奇妙なのである。それが穏やかで幸せな結婚生活であればあるほど、彼の人生の薄っぺらさがより浮き彫りにされる。どこから見ても容姿端麗なディーン・フジオカが演じるからこそ、現実味がなくて胡散臭い。

フォーカス』(2015)

その愛は本物?

フォーカス

プロの詐欺師集団を率いるリーダーの男が、半人前の女詐欺師にノウハウを伝授することになるが、やがて二人は恋に落ちてしまう。

なんせ腕のいい詐欺師同士なので、その恋愛ですらウソではないかと疑ってしまうところが詐欺師映画の特徴。詐欺師集団の鮮やかな仕事ぶりときたら、さすがプロのスリが演出しただけのことはある巧妙な手さばきだ。

相手の愛が本物か偽物かを見極めようとしたり、本音を隠して駆け引きをしたり。それは詐欺師でなくてもよくある男と女のラブゲーム。最後に笑うのは誰なのか。散りばめられたタネと仕掛けをご覧あれ。でもこれは、きっとラブロマンス映画。

アメリカン・ハッスル』(2013)

絡み合う騙しあい

アメリカン

1970年代にアメリカを揺るがした収賄スキャンダル事件をモチーフに、おとり捜査に協力する詐欺師たちの姿をスリリングに描く。

冒頭いきなりクリスチャン・ベイルのハゲ頭とブヨブヨのお腹が登場し、その人体改造ぶりに度肝を抜かれているうちに、ストーリーがグイグイと展開。クセのない俳優たちがクセのあるキャラクターを熱演し、それでいてバランスが取れていているのが不思議だ。

詐欺が破綻しそうで破綻せず。でもやっぱり破綻しそうになったりしてハラハラ。おとり捜査ならではの複雑な心理戦に恋愛が絡み、騙した方も騙された方も気の毒なことになるのだが、緊張感に乏しいのはコメディだから。やさぐれた妻をジェニファー・ローレンスが好演。

いかがでしたか?

これらの映画はどれも詐欺師の視点から描かれており、最初から詐欺師の正体や詐欺の内容が分かっているうえで楽しめる作品ばかり。つまり、観客からすると、詐欺師のお手並み拝見といったところだろう。

詐欺は犯罪だが、映画の中では成功するかどうかとハラハラし、ついつい応援してしまうのも、詐欺映画の特徴かもしれない。

人間の心理を巧みに操るという点でも、詐欺映画は人間観察に裏付けられたドラマ。だから詐欺映画は、これからも作られていくに違いない。

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