『ばあばは、だいじょうぶ』寺田心×ジャッキー・ウー監督に、レイザーラモンRGが迫る!【インタビュー】

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

4月に開催された「島ぜんぶでおーきな祭 第11回沖縄国際映画祭」にてアジアプレミアとなった映画『ばあばは、だいじょうぶ』は、世界を股にかけるジャッキー・ウー監督が、寺田心と組んだヒューマン・ドラマ。認知症になってしまった大好きな“ばあば”の姿を、小学生の孫の視点から描いたベストセラー絵本を同名映画化した。

ばあばは、だいじょうぶ

ちょっと弱虫な小学生の翼(寺田)は、喜寿を迎えたばあば(冨士眞奈美)が大好き。何かくじけそうになると、ばあばに話を聞いてもらうのが日課だった。そんな優しいばあばが同じ質問を何度も繰り返し、得意だった編み物ができなくなり、少しずつ変わっていく。ついには、ある日、靴も履かないで家を出て、行方不明になってしまう。

アジアプレミアでは、本作の「応援芸人」として、お手製の心くんコスプレで登場したレイザーラモンRG。作品にいたく感動したRGが今回はインタビュアーとなり、出演する心くん&ウー監督の両者に取材を敢行! 心くんの筋金入りの俳優魂、ウー監督の並々ならぬ思いがあふれ出る、貴重なトークが展開された。

ばあば、だいじょうぶ

RG 今回は私がインタビュアーです! よろしくお願いします!

寺田ウー監督 よろしくお願いします(笑)。

RG イタリアで開催された「ミラノ国際映画祭」では、心くんが最年少で最優秀主演男優賞、監督は最優秀監督賞というW受賞を成し遂げたそうですが、どんなお気持ちですか?

ウー監督 最初、「最優秀主演男優賞、寺田心」と呼ばれて、ワーッと盛り上がって、「よかったね!」と言っていたら、その後すぐ「最優秀監督賞」で自分が呼ばれました。監督賞はもちろんすごくうれしかったんですが、(心くんの)受賞が、とにかくうれしかった! 「新人俳優賞」ではなく、「最優秀主演男優賞」なので、すごいですよね。みんなが応援してくれて、みんなが拍手してくれたよね? その後、その場の全員が「アニバーサリーになるから写真を撮ってくれ!」って来て。

寺田 すっごくうれしかったです。イタリアに行くのは「映画が上映される」とだけ聞いていたので、すごくびっくりもしました。

ばあば、だいじょうぶ

RG イタリア語とか、全然わからないでしょう?

寺田 わからないです!

RG その中で「Kokoro Terada」は聞こえた?

寺田 あっ……そうじゃなかったです。

RG えっ!?

ウー監督 『Grandmother』とまずタイトルの発表があって、その後に名前ですね。

寺田 “グランドマザー”の英語を知らなくて、わからなかったんです。

RG そうか、そうか! しかし、おめでとうございます!

ばあば、だいじょうぶ

RG 原作のベストセラー絵本「ばあばは、だいじょうぶ」も読みましたか?

寺田 読みました。僕も自分のおばあちゃんのことが大好きなので、読んでいてすごくおばあちゃんのことを考えました……。

ばあば、だいじょうぶ

RG リアルな描写も多かったですしね。

ウー監督 そもそも僕は、自分の中で何か感じられるものしか映画で作ろうと思っていないんです。これまでは小説の映画化が主でしたが、絵本というところからエモーションが湧いてくるのは初めてだったので、自分にびっくりしました。タイトルもそうですけど、30数ページの中で、大の男が大泣きするような部分があったのでね。とにかく、映画化したいと思いましたね。

ばあば、だいじょうぶ

RG 監督が、心くんと「やりたい」と思った瞬間はどこだったんですか?

ウー監督 オーディションで決めました。オーディションのとき、心くんはすごく成長したくて、したくて、うずうずしているように見えたんですね。僕の勝手な気持ちでは、今まで誰も見たことのない心くんを描きたい、というのが一番ありました。撮っている間、僕は彼を子役と思っていませんでした。役者、俳優だと思ったし、俳優としての器が大きかったと感じています。

ばあば、だいじょうぶ

ウー監督 特に絵本には描いていないところの、いじめっこに向かっていくシーンや、ばあばが(認知症により)自分のジャムを全部を食べてしまったとき、「僕のために作ってくれたのに」と自分を主張するシーンなんかは、心くんの次の可能性の一歩になればいいなと思いました。彼は見事に1テイクでやってくれましたし。

RG 1テイク!?

ウー監督 そうです。子役ではないです。俳優です。

RG すごいねえ……。心くんは1テイク、1テイク、役をおろしていたんですか?

寺田 すみません……役を「おろす」って……?

全員 (笑)。

RG 僕が悪かったです(笑)! 「おろす」じゃなくて、「役作り」かな!?

寺田 役作りですか! (ばあば役の)冨士眞奈美さんに会ったときに、「ばあば、って呼んでいいですか?」と聞いたら、「いいわよ」とギュッとしてくださって。それが一番の役作りでした。そのときから、ばあばは、本当のおばあちゃんのようにしてくれました。

ばあば、だいじょうぶ

ばあば、だいじょうぶ

RG 怖い演技もあったよね?

寺田 演技をしていると、ばあばがばあばじゃなくなるんですけど、「カット」がかかると、普通の優しい、優しい、ばあばに戻るんです。「このばあばは、ばあば、だよね?」と思いました。

RG 心くんが騙されるくらい、冨士さんは役に入られていたんですね。

寺田 「すごいなあ」って、本当に思いました。

ウー監督 あんなチャーミングな演技をする人って、いないですね。絵本を読んだときに、祖母と孫とのチャーミングな部分が出ることが一番大事だと思ったんです。もし出ないと、ただのお涙頂戴映画になってしまう。チャーミングさを持っているばあばを探したとき、僕は冨士眞奈美さんしか浮かんできませんでした。認知症のおばあちゃん役だったらいっぱいいるかもしれないけど、そこにチャーミングさがあるかどうかが、一番の決め手でした。

ばあばは、だいじょうぶ

RG 心くんと監督は親子のような関係ですけど、「言い過ぎちゃったな」とか「うまくいかなかったな」というときは、どうしていましたか?

寺田 僕が少し「今のお芝居下手だったかな?」と気になったときがあって……。

ウー監督 ああ、それはね、心くんは法律で20時に終わらないといけないので、大人の俳優より元々テイク数を短く勝負しないといけないんですよ。最後のほうのあるシーンで、僕の中ではOKだけど、本人は「納得できない」ところがあって。

RG えええ~、すごい……。

寺田 わがままですみません……。

ばあば、だいじょうぶ

ウー監督 「大丈夫」と僕が言っても、本人は帰ろうとしない。挙句の果てには、事務所から電話があって、「もう1テイクさせてください」と。結局、もう1テイクしました。外から言われることは初めてだったので、役者は本人の資質ももちろんだけど、ひとりだけではなく、そういう環境があるからこそ育つんだな、としみじみ感じました。

RG 素晴らしいチームだ!!

ばあば、だいじょうぶ

RG 最後の質問です。翼くんは学校でつらい思いもしますが、心くんもつらい思いをしたことがありますか?

寺田 つらい思い? う~~ん……。

RG 「食べすぎた!」とかでもいいよ?

寺田 ごはんが食べきれなくて、でもデザートが食べたいとき……。ごはんとデザートは別腹じゃないですか。ごはんを食べてデザートを食べられなかったとき、少しつらかったです。

ばあば、だいじょうぶ

RG どう乗り越えたの?

寺田 無理でした! 「お願い!」と言ったけど、母が許しません。

ウー監督 そういえば、ミラノ映画祭の帰り、トランジットの空港でアイスクリームのおいしいお店があったんです。僕たちはゲートに向かっていたんですけど、ふと心くんを見ると、目に涙をためていて、「どうしたの?」と聞いたら「アイスクリームが食べたい……」って(笑)。結局、食べたんだっけ?

寺田 はい(笑)。イタリアのアイスクリーム、おいしかったです!!

ばあば、だいじょうぶ

ばあば、だいじょうぶ

RG 沖縄にもおいしいアイスクリーム、あるからね! お母さん、ご褒美でお願いしますね! 今日はありがとうございました!

寺田ウー監督 ありがとうございました。(文=赤山恭子、撮影=林孝典)

映画『ばあばは、だいじょうぶ』は、全国のイオンシネマにて公開中。

ばあばは、だいじょうぶ

出演:冨士眞奈美寺田心 ほか
監督:
ジャッキー・ウー
公式サイト:https://grandmaisokay.com/
(C)2018「ばあばは、だいじょうぶ」製作委員会

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  • kyokoakayama
    -
    こころくん。
  • れら
    4.0
    心ちゃん好きなので。 あと、認知症に関して、大きなダメージを負わない程度にイメトレしておきたい気持ちもあり。 普通に良い映画、かなあ…。 ものすごく悲惨なことは起こらないし、とことん嫌な人も出てこない(←私的には助かる)。 でもそれなりにリアリティは感じられる。 そして希望のある終わり方。 監督の人柄の良さが表れてる気がした。 うーんでも、翼くん(心ちゃん)のお母さん(=お嫁さん)の心情とか、お嫁さんとおばあちゃんの実の娘たちとの関係とか、翼くんの交友関係とかについて、もう少しつっこんで描いて欲しかった気もする。 原作が絵本だから、そこを膨らませるのは難しかったのだと思うけど。
  • しんじ
    3.8
    いい映画だったと思う。 気になった点は、セリフがすべてアフレコで、NHKのアナウンサーのようにハキハキしていたが、きっと耳の悪い御年寄の人にもわかるようにわざとしているのだろう。 主演二人は上手いし、他の名前も知らない役者さんたちも皆、上手かった。 しかし、小津さんの時代からしばらくたつが、相変わらず、年寄りの世話は実の息子の嫁さんがして、実の娘たちは、施設に預けないでとか口出しばかりしていた。 この映画は認知症の初期の話なので、きっとこの後もっと大変になるんだろうなと思った。
  • TTです☆
    -
    重くて重くて。けど、最後明るく終わってよかった☆ あの子は怪獣だな。
「ばあばは、だいじょうぶ」
のレビュー(28件)