『小さな恋のうた』佐野勇斗×森永悠希×眞栄田郷敦×鈴木仁 輝きを放ち、駆け抜けろ、青春【インタビュー】

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

“モンパチ”の愛称で親しまれている3ピースバンド「MONGOL800」が2001年にリリースした楽曲「小さな恋のうた」が2019年、映画として新たな生命を芽吹く。名曲にインスパイアされ、バンドと楽曲の生まれた沖縄の地を舞台に紡ぐ映画『小さな恋のうた』は、高校生バンドのメンバーがそれぞれに葛藤を抱えながら、彼らの想いを届けるために踏み出す物語。出演する佐野勇斗森永悠希、山田杏奈、眞栄田郷敦鈴木仁は半年前から楽器の猛練習を重ね、映画にすべてを捧げた。

小さな恋のうた

日本とアメリカというふたつの国が、フェンスで隔てられながらも存在する沖縄の小さな町で、高校生の真栄城亮多(佐野)らはバンド練習に明け暮れていた。自作の歌を奏でて人気を博す彼らに、東京のレーベルからスカウトがあり、プロデビューが決まる。喜び勇んだメンバーだったが、その日の夜、悲劇が彼らを襲うーー。

およそ1カ月半の間、撮影地の沖縄に行きっぱなしだったという佐野、森永、眞栄田、鈴木。苦楽を共にしたこともあってか、結束力は固く、インタビューでも熱量がほとばしった。今の彼らでなければ出せない輝きが、あふれ出る。

小さな恋のうた

――8年もの期間をかけて企画、完成された物語と聞きました。オファーを受け、台本を読んで、どのように感じましたか?

佐野 ただの仲良しこよしで「バンド、頑張ろうぜ」という映画ではなく、高校生ならではの悩みとか、沖縄ならではのいろいろな問題に、歌やバンドを通して成長して乗り越えていく様が、すごく面白いなと思いました。それに、自分自身にも響いたというか……。今の自分って、すごく幸せなんだなと感じられましたし、こうして普通に生きられていることにありがたみを感じました。大袈裟かもしれないけど、このメンバーで、こうやって楽しく喋っていることって、普通なんだけど、実は奇跡だと思いますし。ありがたさ、感謝は忘れちゃダメだと思いましたね。

小さな恋のうた

森永 そうだね。要素として“音楽”が入っていますので、中途半端な練習で、付け焼き刃でやりたくない、という思いがすごくありました。実際、現実に存在する「MONGOL800」というバンドの楽曲を扱うわけですから、本当に生半可な気持ちではやりたくありませんでした。練習期間もたくさん設けていただいたりして、そんなスタッフさんたちの熱意にも惚れ込みました。

小さな恋のうた

――熱意は、現場にいて感じるものなんですか?

全員 (うなずく)

森永 一瞬たりとも、うちらのやっていることを「逃さないぞ」というカメラワークでしたし。音楽に関しても、本当に妥協がなかったです。例えば、演奏などが「ちょっとダメだな」という場合でも、画がいいと、音源の問題でNGは出せないところが多かったりするんです。けど、それも臆せずに「ここがダメだからもう1回」と、きちんと闘ってくださるスタッフさんたちでした。そこがやっぱり画に出ているし、音にも出ているんです。「妥協しないでくれて、よかった」と、すごく感じましたね。

小さな恋のうた

――演技に関しての見せ場も多い作品で、前半の佐野さんと眞栄田さん(譜久村慎司役)のシーンには、胸を鷲掴みにされました。あの場面でのエピソードはありますか?

眞栄田 佐野さんは、もう……すごかったですね。僕の役は目をつぶっている状態だったので、生で佐野さん(の演技)が見られなかったけれど、すごく見たかったです。声やそのときの雰囲気を感じるだけでも、なりきってやっているのがわかったので。もちろん試写では観られたんですけど、やっぱりあれは生で見たかった……。

小さな恋のうた

佐野 いやいや……! 郷敦にすごく助けられたことも多くて。例えば、ひとりで演じている場面では、ここ(目の前)にカメラがあるんですけど、カメラの奥に(実際に)郷敦がいてくれたりしたんです。本番「用意スタート」というギリギリまでいてくれて、台詞をその場で言ってくれたりして。郷敦がいない状態でも1回やったんですけど、いるのといないのとでは、もう全然違う。それも、監督の演出なんですけど、本当にその気持ちになれるから……(眞栄田に)ありがとう。

小さな恋のうた

森永 ……こうやって話を聞いていると、立ち会いたかったです。本当に。

――森永さんと鈴木さんが、ちょうどいないシーンでしたもんね。

森永 そうですね。試写で観て、あれだけ鬼気迫ったものがあるので、現場で生で見たらもっとすごいんだろうな……と思っていました。

佐野 ありがとう!

森永 「本当にいい表情をしていたなあ」と思いながら、あのときの僕は、みんなのお夜食を作るために……。

佐野 そう。森永くんは料理担当なんだよね(笑)!

森永 後ろ髪を引かれる思いでしたけど、「頑張っているふたりのためにお夜食を作らないと!」と思いながら、ニラ玉スープを仕込んで(笑)。

佐野 いや、本当に! お夜食があるから、そのシーンも頑張ろうと思えたからさ!

眞栄田 帰ったら、おいしいご飯があるから(笑)。

鈴木 俺もそのとき、森永くんの部屋でちょっと手伝ってました(笑)。

森永 そう、ね!

鈴木 一緒にご飯をで作って、食べて、「あのふたり、まだかな~」っていう(笑)。

全員 (笑)。

小さな恋のうた

――すごいほのぼのエピソードですね(笑)。なかなかここまでギュッと仲良くなることも、珍しいんじゃないですか?

佐野 特別ですね。キャストはもちろん仲が良いですし、スタッフさんも含めて、こんなに一体感を持って、愛情を持って作れる作品は、なかなかないので。……ないよね?

鈴木 スタッフさんも「青春だった」と言っていたのが、すごい印象的でした。

眞栄田 本当に、そうですよね。

森永 これだけ密になれるのは、地方ロケの醍醐味かな、という感じでした。お仕事の関係で多少の出入りはありましたけど、基本的にみんな沖縄に泊まっていたので、それが大きかったのかな、というのはあります。

小さな恋のうた

――ちなみに、眞栄田さんは本作でスクリーンデビューを飾りますが、現場でも今日のような堂々とした佇まいだったんでしょうか?

眞栄田 いえいえいえいえ! 顔、ひきつっていたと思います(笑)。

佐野 いや、本当に初めてとは思えないような、現場での居方でした。「僕なんてまだまだだから学ぼう」という学ぶ姿勢とか気持ちが、すごい伝わってきたというか。初めてだと「しょうがないや」と思う人もいるかもしれないけど、郷敦は全然そんなことはなく、きちんと本当に悔しがるので、やっぱりすごいなと思いました。……うん、この子は伸びますよ(笑)。

小さな恋のうた

――今回、それぞれ皆さんが楽器に挑戦していらっしゃいます。個人練習、合同練習、ライブ、いろいろなフェーズがあったかと思いますが、挑戦してみての感想をお聞かせください。

鈴木 僕はベースをいちから始めました。新里大輝を演じる上では、上江洌清作さん(「MONGOL800」ボーカル)に「大輝は一番バンドマンらしい人」と言っていただけたのが印象的で、入るときはその言葉を少し意識しました。個人練習から合同練習になったときは、テンションが上がりましたね……! みんなと合わせることによって、自分の演奏も変わってきましたし、あのときの感覚はまだ覚えていて。やっぱり、みんなと合わせて刺激を受けることによって、そこで成長したのかなと思うんです。楽器が違うからこそ「バンド」という一体感にもつながりましたし、とにかく弾いていて気持ちよかったです!

小さな恋のうた

小さな恋のうた

森永 6年ほど趣味で続けているドラムを担当することになったので、本当に「続けていてよかった」と感じながら、お仕事をさせていただきました。仁くんの言う通り、みんなで合わせたときって個人練習のときとは違って、メンバーに対する想いがだんだんだんだん上がってくるんですよね。バンドは個性もいるけど、協調性がすごく大事な部分だと思うので、一番最初に合わせたとき「この人たちでよかったな」って、すごい安堵したのを覚えています。

小さな恋のうた

眞栄田 めちゃくちゃ楽しかったです。僕、何でもやりたがりというか、新しいスキルを身につけるのがすごい好きなんです。ギターは元々、小さい頃からやってみたいなと思っていたので、すごく良い経験になりました。ギターの練習はずっと楽しかったです。

小さな恋のうた

佐野 楽器ではなく歌の話になってくるんですけど、映画の設定だと「MONGOL800」は存在していなくて、亮多が「小さな恋のうた」の作詞をしているんです。これまで、僕は作詞をしたことがなかったんですけど、撮影期間中には、郷敦が作曲してくれて、僕が作詞するというのを役作りの一貫として、本当にやりました。世には出ていない曲ですが、作ったんです。自分で書いてみることで、気持ち的にも全然違いました。

――佐野さんに関しては、普段「M!LK」で音楽活動もされていますよね。グループとの明確な違い、もしくはこれまでの活動が役立ったことなど、教えていただけますか?

佐野 違いは「佐野勇斗」じゃない、ということですかね。映画でも歌いますが、それは亮多として歌うので、分けたいと思っていました。でも、グループをやっているからこそ、「こうやってやれば、お客さんがノってくれるかな」という感覚は多少身についていたので、そのまま活きたのかなとは思います。……でも、難しかったです! 同じライブでも、ノリも緊張感も全然違うんです。歌だけの表現で伝えることの難しさを、今回で知りました。(取材・文=赤山恭子、撮影=映美)

小さな恋のうた

映画『小さな恋のうた』は、2019年5月24日(金)より全国ロードショー。

小さな恋のうた

出演:佐野勇斗森永悠希、山田杏奈、眞栄田郷敦、鈴木仁 ほか
監督:
橋本光二郎
公式サイト:http://www.chiikoi.com/
ヘアメイク・スタイリスト:望月光、伊藤省吾(sitor)<佐野勇斗>/ISONO、山口美帆<森永悠希>/Misu(ADDICT_CASE)、MASAYA(ADDICT_CASE)<眞栄田敦郷>/牧野裕大(vierge)、田村和之<鈴木仁>
(C)2019「小さな恋のうた」製作委員会

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    正直、なめていた。想像よりとてもよかった。 冒頭から泣かせにきてる。 個人的なお気に入りシーンはライブハウスでバンドメンバーの前に彼が姿を表すシーン。きっと彼らには本当に見えたんだろうな、と思ってしまった。
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