暑い夏にこそぴったり!思わずビールが飲みたくなる映画13本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

ビールが飲みたくなるのは、仕事が終わったときや落ち込んでいるとき。そして、これは定番。ものすごく暑いとき!

映画でもビールを飲むシーンは多く登場するが、ワインやウイスキーに比べていろいろなシーンに合うのは、ビールが日常に溶け込んだ庶民的な飲み物だからであろう。

そこで今回は、ビールのシーンが印象的な映画13本をご紹介しよう。

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』 (2013)

やり残したハシゴ酒

ワールド

アルコール中毒の主人公は4人の友人たちと再会し、学生時代に達成できなかった「一晩に5人で12軒のパブをハシゴ酒」という挑戦にリベンジする。

20年ぶりに故郷に戻ってきたダメな中年男が、社会人として成功している友人たちと一緒に、若かりし頃に果たせなかった夢に再チャレンジ。おやおや、これは「青春時代よ、もう一度」「だから元気を出せ、今の俺」みたいなストーリーなのかと思いきや、奇想天外な展開に驚く。

ビール

ゴールとなるパブの名前が、ワールズ・エンド。彼らはその「世界の果て」を目指して飲む飲む飲む。トイレはNG。さすが学生が思いつくようなゲームだが、今の彼らがそれを成し遂げることに大きな意味があるのだろう。そして彼らは飲みながら逃げるハメになり、逃げながら飲み続けて最終目的地へ。パブ文化も楽しめる酒飲み映画。

幸せの黄色いハンカチ』(1977)

久々のビール

幸せの

北海道を舞台に、出所したばかりの男が旅行中の男女に出会い、妻のいる家に一緒に向かうまでを描いたロードムービー。

ワケありの主人公を乗せて一緒にドライブするのが、武田鉄矢と桃井かおり。恋人同士でもないこのミスマッチな二人が、深刻な高倉健とは対照的に明るくてノーテンキで、他人事に首を突っ込む人情が昭和的。彼らに背中をグイっと押された健さんは、勇気を振り絞って黄色いハンカチを確かめに行く。

出所後に食堂に入った健さんが、注文したビールをテーブルに置いたまま恐る恐る口を近づけ、それから両手でコップを持ち上げて一気飲みするシーンは、彼が長い間刑務所にいたことを物語る。ちなみに健さん、この撮影のために2日くらい絶食したとか。抑えた演技の雄弁さ。ビール、さぞ美味しかっただろうな。

ジャンゴ 繋がれざるもの』(2012)

まぶしいビール泡

ジャンゴ

1858年のアメリカ南部を舞台に、賞金稼ぎの手によって自由の身となった奴隷が、生き別れになってしまった妻を捜す旅に出る。

レオナルド・ディカプリオが醸し出す無邪気な傲慢さと残酷さが、この悪役にピッタリ。特に彼が黒人の頭蓋骨を指しながら、偏見に満ちた骨相学について延々としゃべるシーンは、タランティーノ監督の真骨頂だろう。巧みな話術によるおかしみ。二転三転する騙しあいの緊張感。血肉がこれでもかと飛び散る銃撃戦。

元歯医者である賞金稼ぎが主人公を連れて酒場に入り、自分でビールサーバーから生ビールを注ぐ。アップになるジョッキの泡。それを丁寧に2回こそぎ取るしぐさの無駄のなさよ。その美しさにウットリ。手慣れているのは、彼がドイツ人だから? またそのシーンを繰り返すところが、タランティーノである。ああ、ジョッキで飲みたい。

カイジ 人生逆転ゲーム』(2009)

悪魔的に冷えたビール

カイジ

自堕落な日々を送っていたフリーターが、友人の借金の保証人になったことから多額の負債を背負ってしまい、一夜で大金を手にできる逆転ゲームに挑む。

人生大逆転といっても、それは命がけ。金と命とどっちが大事なのかという話である。鬼のような天海祐希に一喝された彼は、運命を賭けて船に乗り、そこの地下帝国で自分よりもダメな仲間たちを叱咤激励。虫ケラのように扱われる極限状態から、這い上がろうとする。

そんな彼が、久しぶりにビールを手にするシーン。「キンキンに冷えてやがる!」と缶ビールをほおずりする藤原竜也は、リアリティを出すために撮影1ヶ月前から禁酒していたという。つまりそれは、本物のビール。至福のビールを飲みたいのなら、屈辱的な肉体労働の後で。

グラン・トリノ』(2008)

独りぼっちの昼ビール

グランド

フォードの自動車工だった主人公は、愛車グラン・トリノを誇りにデトロイトで隠居暮らしをしているが、ある日愛車を狙って忍び込んできた隣の家の少年を見つける。

息子たちにも嫌われ、悪態をついてばかりの偏屈じいさん。東洋人の住民が増えてきたその町で、彼は何かと人種差別的な発言を口にしながら、いつも国旗を掲げた自宅のポーチで缶ビールを飲んでいる。飲み終えた缶はグシャッと握りつぶして、テーブルの上へ。その本数ときたら!

ビール

そんな風に、昼ビールを飲みながらグラン・トリノを眺めて過ごすだけの日々だった彼に、大きな異変が訪れる。彼は隣に住むモン族との交流を通じて人の温かさを知り、トラブルを解決するために自分がすべきことを成し遂げるのだ。彼が意固地になってしまったのは、朝鮮戦争での罪の記憶。渋い味わいだけでは終わらないクリント・イーストウッド代表作。

ハイネケン ~世界を魅了するビールの魔法~』(2014)

愛されるハイネケン

ハイネケン

レシピや製造方法などにも触れながら、ハイネケンの激動の150年を描いたドキュメンタリー。

オランダのビールであるハイネケン。1863年にヘラルド・A・ハイネケンが創立し、今では世界中で販売され、日本でも飲める飲食店が多い人気ビールだ。そのハイネケンがどのようにして生まれ、どのような経営理念の下で運営されているのか。ハイネケン一族や関係者のインタビューを交えながら、その魅力の秘密を探っていく。

誕生物語のパートを人形アニメで紹介するというユニークな演出。厳しい品質管理と徹底したリサイクル。地球規模で社会貢献をしているという強い自負。ハイネケン氏の誘拐事件についても触れられ、解放後の「拷問を受けた(カールスバーグを飲まされた)」というジョークは、ハイネケンを飲むたびに思い出しそうだ。

ショーシャンクの空に』(1994)

屋上でビール

ショーシャンク

妻とその愛人を殺した罪で刑務所に送られた主人公は、鉱物採集をやりたいと友人の調達係に小さなロックハンマーを注文する。

冤罪で服役することになってしまった彼が、20年もの間どのようにして刑務所暮らしを耐え抜いたのか。彼の経験と知恵と工夫が小さな革命を起こしていく様子は、実にワクワク。お金の知識があることから所長にも一目置かれ、図書室も改革。自分の手で作り出すものだと教えてくれる。

炎天下の屋上でタール塗りの作業をしていた彼らが、主人公の交渉によってビールを支給される。服役中の重労働後に冷たいビール。それは奇跡のような出来事で、そのビールは魂が飛ぶほど美味かったはずだ。そんな至福に酔いしれる仲間を眺める主人公の表情も幸福感に満ちていて、心がキュンとなる名シーンである。

野良犬』(1949)

ねぎらいのビール

野良犬

終戦直後の東京で、若い刑事が実弾の入った拳銃を盗まれてしまい、ベテラン刑事と共に犯人を追い詰めていく。

射撃練習帰りに拳銃をポケットに入れて満員バスに乗った刑事が、それをスリに盗まれるという信じがたいシチュエーションにとまどうものの、汗まみれになって足で稼ぐ情報収集や、弾道検査といったディテールに徹底的にこだわり、その後の映画界に多大な影響を与えた犯罪映画の傑作。野球場での逮捕劇。花畑で殴りあうシーン。戦後間もない東京の世相にも注目だ。

酷暑の夏、しょっちゅう扇いだり汗をふいている登場人物たち。そんな蒸し暑い夏に1日中歩き回り、目をキョロキョロさせて手がかりを探している若い刑事は、いつも張り詰めている。そこでベテラン刑事が彼を自宅に招き、ビールを振舞うのである。当時は高価な飲み物だっただろうに、それを惜しみなくテーブルに並べ、若い刑事としみじみ語り合う静かな時間。縁側という日本の原風景が染みる。

ハリー・ポッターと謎のプリンス』(2008)

魔法の子供ビール

ハリー

ホグワーツの6年生になったハリーたちは、宿敵ヴォルデモートとの最終決戦に備え、彼の弱点や過去を探ろうと情報を集めていく。

大ヒット映画「ハリー・ポッター」シリーズ第6弾。ヴォルデモートの重要な情報を握っているダンブルドア校長の旧友をめぐり、さまざまな記憶の断片がつなぎ合わされていく。幼き日のヴォルデモートに何があったのか。いよいよクライマックスに向かう緊張感と期待感が入り混じる。

原作では「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」で初登場するバタービールは、パブ「三本の箒」の名物で、「泡立った熱い飲み物」とのこと。子供でも飲めるビールだそうで、どんな味がするのか気になるところだ。バタービールを飲んで泡ヒゲを作るハーマイオニーが、キュートでカワイイ。

マザーウォーター』(2010)

かき揚げと瓶ビール

マザー

京都の小さな町で暮らしはじめた3人の女性が、つつましくも豊かに生きている様子を描いた群像ドラマ。

映画『かもめ食堂』『めがね』『プール』に続く人気プロジェクト第4弾。せわしない生活に疲れた女性を癒す効果たっぷりの映画で、水をモチーフにしているだけに、マイナスイオンを浴びているような心地よさである。独特の雰囲気を持つ街で、マイペースな登場人物たちが織り成すほどよい距離感。こんな世界がどこかにあったらいいな。

彼女たちはウィスキーバーやカフェの主人だったり、豆腐を売っていたり。そこへたびたび登場するのが、散歩が趣味のような謎の人物もたいまさこ。独り暮らしの彼女がゴボウを買ってかき揚げを作り、きちんと「いただきます」と言って瓶ビールを飲むシーンが、ひっそりとして豊かな食卓という感じ。幸せそうな表情もいい。

ダンケルク』(2017)

歓待のビール

ダンケルク

第二次世界大戦で、ドイツ軍によってフランスの港町ダンケルクに追い詰められた連合軍兵士を救出した作戦を描く。

約35万人の兵士たちをイギリスまで撤退させるべく、空と海から手を差し伸べた決死の救出劇。中でもイギリスから多くの民間船が動員されたという事実は、1人でも多くの兵士を助け出すのだという強い思いの現れ。無駄死にはさせない。負け戦でも徹底抗戦して玉砕せよという日本とは大違いである。

絶体絶命の極限状態にいる兵士たちも、見えぬ敵からの攻撃に怯えつつも何とかして生き延びようとする。戦わない。逃げるだけ。そしてやっとのことで救出された彼らを待ち受けていたのは、国民から振舞われたビールだった。よくぞ生きてここまで来たね! ビールは平和な日常の象徴だ。

『日本の麦酒歴史(ビールヒストリー)』(2018)

日本を守るビール

北海道開拓使が誕生した明治初期に、ロシアから日本を守るために立ち上がった3人の若者の思いをたどるドキュメンタリー。

北海道でビールが造られるようになったのは、ビールによって北海道を興し、大国ロシアから日本を守るため。そんな知られざる歴史的事実が記された書籍「ぷはっとうまい日本のビール面白ヒストリー」を元に、開拓使麦酒醸造所を造りあげた3人の男のゆかりの地をめぐる。

その三人とは、黒田清隆、村橋久成、中川清兵衛。中でも商家出身の中川清兵衛は、幕末にイギリスへ密航後ドイツに渡り、日本人として初めてビール醸造を習得した重要人物。案内役が、ビールの楽しさを広める活動をしている“ビール注ぎの名人”というのも、ユニークな人選だ。ビール造りに青春を賭けた男たちの熱き闘いに乾杯!

舟を編む』(2013)

緊張のビール

舟を編む

出版社の営業部に勤める主人公は、言葉を独特の視点で説明する才能を買われ、新しい辞書を編纂(へんさん)する部署に行くことになる。

辞書の編纂という知られざる舞台裏を描いて注目された作品。言葉の海に溺れそうになりながらも、類いまれな情熱を持って言葉と格闘する編集部の人々が個性的で、その終わりなき地道な作業に嬉々として取り組んでいる姿が幸せそう。

ものすごい数の言葉を知っているはずの主人公が、好きな女性に気持ちを伝えられないでいるのは、単に性格の問題か、逆に言葉を知りすぎているので選び方に慎重になっているのでは? 物干し場で彼女と一緒にビールを飲むシーンでは、緊張のあまりビールをがぶ飲み。もう両想いなのにね。

ビール・フェスタ 無修正版 〜世界対抗・一気飲み選手権』(2006)

ビールでスポ根

ビール

亡き祖父の故郷ドイツを初めて訪れたアメリカ人兄弟が、ひょんなことからアンダーグラウンドのビール早飲み選手権に参加するが、屈辱的な負け方をしてしまう。

コメディ製作集団が繰り広げるお下劣&おバカコメディ。地下室で秘密裏に行われてきたビール早飲み大会は、リレー式の一気飲みだけでなく、逆さになって飲む「サル飲み」や、飲みながら卓球をするなどビールを使った何でもありのゲーム。しかも、ドイツが誇るビールの祭典オクトーバーフェスの最中に行われているという設定が面白い。

兄弟は仲間を集め、自分たちをコケにしたドイツチームにリベンジを挑もうと猛特訓。ベロベロに酔っ払うわ二日酔いで死にそうになるわで、酒の飲み方がスポ根のよう。ユダヤ人は、闘志に燃えると瞳にダビデの星が輝くのだ。もちろん下品なユーモアは忘れておらず。B級映画のマナーを徹底的に守り通したあっぱれな作品である。

いかがでしたか?

ビールをグラスに注いで飲むのか、瓶のままラッパ飲みするのか。そして、どんな銘柄のビールを飲んでいるのか。

そんなちょっとした演出からでも人物像が伝わってくるのが、映画というもの。

ビールは最高の小道具。

でも、思わずビールが飲みたくなるシーンは、ビール好きには危険かも?

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