映画界のレジェンドが引退!ロバート・レッドフォードのこれだけは観て欲しい映画10選

「映画」を主軸に活動中のフリーライター

春錵かつら

2019年7月12日より公開される主演作『さらば愛しきアウトロー』を最後に俳優業から引退すると語り、多くの映画ファンをビックリ&しんみりさせた名優ロバート・レッドフォード。甘いマスクと寡黙そうな佇まいからハリウッド屈指の美男俳優として多くのファンを虜にした彼も、今年で御年83歳。

そこで一度は観てもらいたい、ロバート・レッドフォードのオススメ出演作10タイトルを独断と偏見でピックアップしました! ホントに観て! 素敵だから!

『明日に向って撃て!』(1969)

舞台は開拓時代も落ち着いた1890年代の西部。実在した荒くれ者の銀行強盗、ブッチ・キャシディ とサンダンス・キッドの夢と逃走を描いた青春西部劇。

レッドフォードのスクリーンデビューは1962年だけれど、まず紹介したいのは彼を一躍スターダムに押し上げたアメリカン・ニューシネマの代表作である本作。

レッドフォードが演じたのは名うてのイケメン早撃ちガンマン、サンダンス・キッド。当初はポール・ニューマンとスティーブ・マックイーンの共演の予定だったものの、マックイーンの代打として当時無名だったレッドフォードが抜擢され、本作で英国アカデミー賞主演男優賞を受賞した。米アカデミー主題歌賞を受賞した「雨にぬれても」の自転車のシーンは時代を映し出す秀逸なシーン。男たちの刹那的な「滅びの美学」にシビれる。

『大いなる勇者』(1972)

1810年~1840年代に、ロッキー山脈で活動した罠猟師・探検家「マウンテンマン」。本作はそんな実在した伝説の「マウンテンマン」レバー・イーティング・ジョンソンをモデルに製作された。1950年代のロッキー山脈を舞台に、山で猟師として生きることを決意したメキシコ戦争の退役軍人ジェレマイア・ジョンソンの孤独な苦闘の日々を描く。

本作でレッドフォードが扮したのは、主人公ジェレマイア。自然の猛威や他部族の襲撃、常に死と隣り合わせの過酷な状況の中、男の心に静かに訪れる変化は観客にも心にも雪解け水のように冷たく凛と沁み込んで来る。環境保護の活動家としても知られる自然大好きレッドフォードの隠れた当たり役。

『スティング』(1973)

『明日に向って撃て!』のジョージ・ロイ・ヒル監督が、主演のポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードと再び組んで大ヒットした傑作コンゲーム・ムービー。1930年代のシカゴ。大物ギャングに仲間を殺された若き詐欺師フッカーが、その恨みを晴らすため、賭博師の助けを借りて一世一代の大バクチを打つ。

言わずもがな、ロバート・レッドフォードの代表作のひとつで、1973年度アカデミー賞では作品賞をはじめ最多7部門を受賞。主題歌を聞けば誰もが耳にしたことがあるはず。レッドフォードが演じたのは主人公の若き詐欺師。彼とポール・ニューマンと二人とも、粋でオシャレでカッコイイ。「これが映画の楽しさだ!」と実感できる爽快エンタテインメント。原題の「THE STING」は「とどめを刺す」の意で、「騙す、ぼったくる」という俗語でもある。

『華麗なるギャツビー』(1974)

ニューヨークの郊外の大豪邸に暮らす謎の青年ギャツビーは、毎夜盛大なパーティーを開催している。そんなギャツビーの隣家に住むニックは、何度かパーティに招待されるうちに彼の秘密を知るようになる。F・スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」を映画化。1920年代のアメリカ社会を、上流階級の若者たちの姿を通して描いたラブ・ストーリーで、これまで何度も映画化されているが最近では2013年にレオナルド・デカプリオ主演のリメイクが記憶に新しい。

本作で、レッドフォードが演じたのは裕福な謎の青年実業家ギャツビー。彼はかつての恋人に再会するために、愛するただ1人の女のためだけに、毎晩パーティーを開いているのだが、この元カノが世間知らずで浅はかなズルイ女。演じたのはミア・ファロー。恋は盲目って言うけれど、「なんでそんな女、好きになっちゃったのよぉ!」とギャツビーを全力で説得したくなるほど一途で純情な男を好演している。窓辺に立っているだけでロマンチック、母性本能刺激するギャツビーを堪能して欲しい。

『大統領の陰謀』(1976)

1972年、ウォーターゲート事件の知られざる真相を暴き、ニクソン大統領を失脚に導いたワシントン・ポスト紙の記者カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードの回顧録を映画化した社会派サスペンスドラマ。

本作でレッドフォードはダスティン・ホフマンと共に正義のために戦うワシントン・ポスト紙の記者を演じた。粘り強い熱血記者に観客の心も暑くなる。今にしてみれば驚くような取材方法や社会概念。それでも報道の自由、そして正義の重要性は今でも同じ。

2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、この事件直前までの出来事を描いているので、続けて観賞するとより楽しめる。

『ブルベイカー』(1980)

自治委員に選出された囚人たちによって運営されているウェイクフィールド刑務所に収監された男・ブルベイカー。その刑務所はリンチに賄賂、過酷すぎる労働など、腐敗しきっっていた。待遇改善を計ろうとする黒人の囚人ディッキーに同調し、ブルベイカーは署内の改革に挑む。

レッドフォードが正義感に燃える男・ブルベイカーを演じた本作。いつ殺されてもおかしくない状況でただひとり正義のために戦う男の姿は胸アツ。どんな状況でも希望は大切で、叶うか分からなくともとりあえずは一歩踏み出すことの大切さを教えてくれる。

『スニーカーズ』(1992)

1969年、コンピュータ・マニアの学生2人が政府機関や大統領の銀行口座に侵入し、その一人コズモは逮捕されてしまう。時は過ぎ、25年後のサンフランシスコ。「スニーカーズ」と呼ばれる集団が、世界を左右する究極のコンピュータ・チップをめぐり、ある組織と対決する。

世界を左右する究極のコンピュータ・チップをめぐって、ハッカー組織と対決するハイテク・エキスパート集団の姿を描くサスペンス・アクション。1992年と聞けばつい最近のような気がするが、まだ一般家庭にパソコンなんてなかなかなかった時代。レッドフォードが演じたのは「スニーカーズ」のボス、ビショップ。共演は今は亡きリヴァー・フェニックスをはじめ、ダン・エイクロイド、デイヴィッド・ストラザーン、シドニー・ポワチエ、ベン・キングスレーなど錚々たる顔ぶれのケイパームービーは軽やかで爽快。おじさまなのに元恋人に振り回されるレッドフォードが愛らしい一作。

『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)

モンタナ州の雄大な自然を舞台に、厳格な父の元で育った3人兄弟の絆と家族の愛が綴られるヒューマン・ドラマ。

本作は、ロバート・レッドフォード監督作品。劇中でもナレーターとして出演しているということでチョイス。レッドフォードが監督を務めた本作は、ブラッド・ピットの出世作として有名だが、まだ青年だったブラッドピットの容貌は若き日のレッドフォードを彷彿とさせ、公開当時びっくりした記憶が。そこにレッドフォードの声でナレーションが入ると、まるでブラッド・ピットが本当にレッドフォードの若き日のように錯覚する。兄弟の共通の趣味であるフライ・フィッシングのシーンが美しくて息を飲む。大自然の中、水を走ってゆくライン(釣り糸)の軌跡。アカデミー賞で撮影賞を獲得したのも頷ける。

『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』(2013)

悠々自適な隠居生活を送る主人公は、自家用ヨットでインド洋を航海中に、ヨットが浮遊物に衝突して浸水。無線の故障に悪天候、極限状態の中で自分の本当の気持ちに気付いた男は、読まれるかどうかもわからない手紙をしたためてゆく。スマトラ海峡3150キロで遭難した1人の男の姿を通して、生きる意味を問いかける作品。

本作はロバート・レッドフォードほぼ1人舞台の海洋サバイバル。台詞や状況説明、バックボーンなどを極力そぎ落としているのにレッドフォードの表情や行動、仕草などからその人物像が浮かび上がってくる秀逸な演出と構成。撮影当時76歳のレッドフォードが諦めずにあの手この手で打開を模索する姿に勇気づけられるはず。

オール・イズ・ロスト 最後の手紙

『さらば愛しきアウトロー』(2018)

2019年7月12日より公開される本作でレッドフォードが演じるのは、実在した伝説の銀行強盗。度重なる銀行強盗と18回の脱獄を繰り返し、誰一人傷つけなかった74歳のフォレスト・タッカーの姿を描く。

本作で「俳優引退」を宣言し、映画界に衝撃を走らせたロバート・レッドフォード。もしこれが本当なら、彼のキャリアは強盗に始まり強盗に終わることになる。彼を追う若き刑事を演じるのはケイシー・アフレック。
強盗とはいいながらも、発砲も暴力もナシという紳士的な犯行スタイルの風変わりな銀行強盗は、セクシーで魅力的。映画ファンが抱くレッドフォードのキャラクター像としっくり来るはずだ。

さらば愛しきアウトロー

◆最後に

ロバート・レッドフォードが出演しているオススメ10タイトルを紹介したが、ロバート・レッドフォード自身は出演せず、監督や製作を務めている作品が何作もある。個人的には彼が監督を務め、父と息子の絆を描いた『クイズ・ショウ(1994)』が大好きだ。

いまや俳優業に留まらず、監督や脚本家、プロデューサーとしても才能を発揮している映画人は多いが、ロバート・レッドフォードは「ハリウッドで初めて“演技”と“製作”の双方で地位を確立した映画人」と言われている。

今回レッドフォードは俳優業を引退と言っているので、まだ監督などで彼が携わる作品に出会える楽しみは残っている。あるいは最近「俳優業を引退と言ったことを後悔している」と彼が口にしたニュースも耳に入ってきたので、もしかしたら……? そんな淡い期待を抱いたまま、彼の新作を待ち続けてみよう。

 

(C)2013 All Is Lost LLC、Photo by Eric Zachanowich. (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

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