『MANRIKI』齊藤工×永野×金子ノブアキ×SWAY 濃い男たちが放つ蠱惑「こんなすごい俺たちがやったこと、観て、褒めて!」【インタビュー】

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

俳優として充実のキャリアを重ねる斎藤工が、「齊藤工」名義では、真摯にものづくりに取り組んでいる。高橋一生を主演に迎えた監督作『blank13』をはじめ、自身の主演作『家族のレシピ』を手掛けたエリック・クー監督がショー・ランナーを務める、HBOアジア制作の『FOLKLORE(原題)』にも、日本代表の監督として『TATAMI』を引っ提げて参加するなど、活動は国内外に及ぶ。

MANRIKI

そんな齊藤らが2018年から新たに開始したプロジェクトが「チーム万力」だ。齊藤が長年懇意にしている芸人の永野が原作・脚本・プロデュースという立場で入り、清水康彦が監督を務め、実験的ともいえるいくつかの短編を完成させた。初の長編『MANRIKI』では、朋友の金子ノブアキを音楽監督に迎え、さらにアーティストで俳優のSWAYも加わり、2019年11月29日にいよいよ劇場公開される。実に、エネルギーは満タンといった具合だろう。

MANRIKI』は、正体不明のトリッキーな整顔師(斎藤)が主人公。とにかく小顔になりたいと願うモデル(小池樹里杏)が、欲求を叶えるため、ある日、整形外科の門をたたく。執刀する整顔師は、「あなたはすでに美しい」とモデルをうっとりさせながらも、その実、万力で顔を締め上げるという荒っぽい手術を行い……。

切実でグロテスク、コメディ的要素も備えながら社会的。清水監督独特の映像美も折り重なり、五感を大いに刺激する内容となった本作。FILMAGAでは齊藤、永野、金子、SWAYの四者へのインタビューを実施、「チーム万力」の可能性について聞いた。

MANRIKI

――『MANRIKI』は皆さんの才能が結集した一作という印象です。特に、原作・脚本・プロデュース・出演の永野さんの力が大きく感じられたんですが、齊藤さんは以前よりその才能をご存じだったんですか?

齊藤 元々、永野さんとは長い付き合いをさせていただいていて、僕がファンなんです。去年、僕が覆面芸人をやったときにも、ドラマ(※ドラマ25『MASKMEN』)の最終回で永野さんのネタをセンター街でやらせていただいたんです……。「ヘルスの待合室で演技について考える俳優」というネタなんですけど。

全員 (笑)。

齊藤 何かと永野さんの成分というか、養分は果てしないところに届く気がしていたので、永野さんの才能を「形にしたい」という欲は、ずっと持っていました。映画という形が正解なのかはわからないんですけど、自分が関与することで、ある種の責任もいただきながら、花開いたというか。今回そういう意味では、初めてパッケージ化できたのではないかと思います。だから、ラッセン(のネタ)=永野さん、と思っている人たちが可哀想ですね。

永野 可哀想! 逆に、知らなすぎてかわいいくらいだよね!

MANRIKI

――(笑)。金子さんは本作で音楽監督と出演を果たしていますが、永野さんとのなれそめは?

金子 初めて僕が永野さんを目の当たりにしたのは、清水監督の結婚式だったんです。永野さんが来て、ネタをやってくれるっていう。

永野 全然売れていないときなんですけど、はい。

金子 かなり前ですよね。清水くんがずっと「やばい人がいた、見つけちゃった。絶対見て!」と言っていて、「クーマーさん」というネタを見て、「この人……やべえ」って(笑)。

永野 クマさん応援大会! 「なんかギラギラ見ているやついるな」と思ったら金子ノブアキと目が合った気がしたんですよ。

金子 うん、合ってた、合ってた。僕はネタを見て、「やばいな、この人!」って結構くらっちゃって。すげえパンクだし、ゲラゲラ「あっはっは!!」と笑った後に「でもなんか悲しいな……何だろうこれ……」みたいな気持ちに、「何で俺、悲しいんだ!?」となるんですよ。それって、昔の嫌な思い出とかが蘇ってきているんだろうなって。

齊藤 ああ~~。

金子 「ああ、俺あのとき、あの人になめられていたな」とか「屈辱的なこと言われたな」とか。永野さんのネタを見ていると、たぶんみんな自分が一番嫌いな自分を鏡で見せられているような感じなんだよね。それをどうするか問われるのは、あると思うんですよね。ものすごくハードコアパンクであり、人間讃歌でもある、みたいなものをすごく見せられちゃって、感動したんです。付き合っていくごとに、どんどん紐解かれていきました。一番芯を食った表現をしているのは、ネタをやっているときだと思うんですけど、こういう風に映画という形で関われて、本当に楽しかったです。

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――SWAYさんにも同じことをお伺いしてもいいですか?

SWAY はい。僕は皆さんの中で、永野さんに出会って一番日が浅い人間ですけど、こうして『MANRIKI』に関わらせていただいて、永野さんといろいろな場所でご一緒させてもらいました。僕は「DOBERMAN INFINITY」というグループをやっていて、そのライブに永野さんが来てくださったりもしたんです。そうやって現場以外でも関わって発見したことは、永野さんはめちゃめちゃ物知りなんですよ。映画や音楽もすごく詳しいですし、ただただ永野さんが感じていることとかを書くというより、元々膨大な知識がある中で、永野さんという新しいものが出来上がってきているのかな、という感じがすごくしましたね。

MANRIKI

――皆さん、日頃の活動があってこその「チーム万力」だと思いますが、ご自身にとってどのような場所になりますか?

永野 自分にとっては……本当に、かなり大事なものですね。「チーム万力」に関しては、今までの自分の人生が出ちゃっているんですよ。仕事でもありますし、楽しいんですけど、「心を見せました」ということでもあるので。そういうことができた、ラッキーという気持ちがあります。しかも今できることが、うれしいです。

――永野さんは心を見せたんですね。なかなか容易にできることではなさそうです。

永野 はい、見せました!

齊藤 映画を撮ったり、ネタを書いているときも、普段もそうだと思うんですけど、永野さんの心から発しているものに自分を見たという体感をしたので、僕も永野さんの心は「こういうひとつの形状なのかもしれない」と思いました。

永野 なかなかないです。普通こうやって(プロジェクトが)できないじゃないですか。「心です」というのが、こんな大袈裟なことになれるのが幸せです。

MANRIKI

――齊藤さんにとって、「チーム万力」はどういうものですか?

齊藤 もともと、「チーム万力のネーミング自体は、去年このプロジェクトに参加する上で、とっさにつけた名前なんです(笑)。だけど、蓋を開けたら、自分たちのやりたいことが実現できる場所になっていました。今では、いつの間にかSWAYさんも巻き込んでいて………「チーム万力」は怪しい宗教とかですかね。

全員 (笑)。

齊藤 気づいたら信者になっていく、みたいな。

金子 「何で俺、合宿してんだろう」ってね(笑)。俺も、去年の製作発表イベントで「チーム万力」プレゼンツと聞いて、「えっ、“チーム万力”っていうんだ……!?」とそこで知った。「俺も入ってる、やった!」みたいなね(笑)。

――それだけ引力の強いプロジェクトという比喩ですね(笑)。

金子 僕は本当に前からみんなのことを知っているんだけど、第一線で闘っている人たちであり、友達でもあって。こうして声をかけてくれて、リスペクトを持って現場に招き入れてくれることが、すべてです。映画『MANRIKI』は清水監督にとっては初の長編でもあるし、自分のやれる範囲で時間も極限まで使ってベストを尽くすんだ、絶対に応えたい、というのが最初の気持ちでした。だから、また呼んでもらえるように頑張りたいですね。それに、違う作品になってもチーム名は変えずに行きたいですね!

永野 いい!

――SWAYさんも正式にメンバー入りということで。

金子 メンバー入り(笑)。

齊藤 合宿も経験済みで(笑)。

SWAY ……正式とか、あるんだ(笑)。

全員 (笑)。

永野 「ジュニアから……」みたいな、SWAYさんはジュニアだったんですよ。

金子 MANRIKIジュニア(笑)?

SWAY そうなんですよ(笑)。金子さんじゃないですけど、僕も次も呼んでもらえるように頑張ろうっていう意味では、信者のひとりです!

齊藤 所属がね、2カ所になっちゃうね……。

SWAY そうっすね。ドーベルとチーム万力。

金子 俺もRIZEと2カ所(笑)。

SWAY Instagramのプロフィールに「チーム万力」を追加します!

齊藤 うれしいけど、それは大人が止めるよ(笑)。

永野 お詫びの一文が入るね!

MANRIKI

――最後に、劇場公開を心待ちにしている読者に一言いただけますか?

金子 普通、映画の感想って「観た方のご自由で……」となるじゃないですか。永野さんは、さっき(別のインタビューで)「ディスってもいいけど……ぶっ殺すぞ!!」って言ってましたよね(笑)?

全員 (笑)。

永野 そうそう! 映画って最近「それぞれで考えてください、感じてください」と言うじゃないですか。それは嫌だなって思って。俺が思うように感じてほしいですね。

全員 (笑)。

――観客にゆだねないスタイルですか(笑)。

永野 それぞれには感じて欲しくないですね。俺が思うように感じた後、皆さんに褒めてほしいです! 単純に「すごいっすね」と言われたいです(笑)。

齊藤 俺、俺(笑)。

永野 ただただ俺を崇めてほしいです。

齊藤 多くの映画が、そうありすぎましたよね、「思うように感じてください」って。

金子 みんなさ、根幹ではそう思っているはずじゃんって。

SWAY (笑)。

永野 こんなすごい俺たちがやったことを観られるわけだから、観て、褒めてほしいです!!

齊藤 もちろん大勢の方に観ていただきたいんですけど、作品の性質上、どこかトリッキーにというか、探し出せなきゃ出会えない作品になってもいいだろうな、という気持ちもあります。観せたくない感情もあるというか……なんかちょっと、不思議な状態です(笑)。(取材・文=赤山恭子、撮影=iwa)

映画『MANRIKI』は2019年11月29日(金)より、シネマート新宿ほか全国順次公開。

MANRIKI

企画・プロデュース:齊藤工、永野 
原作・脚本:永野 
主演:斎藤工 
出演:永野、金子ノブアキ、SWAY、小池樹里杏/神野三鈴 ほか 
音楽監督:金子ノブアキ 監督・脚本・編集:清水康彦 
制作プロダクション:イースト・ファクトリー 
共同配給:HIGH BROW CINEMA
東映ビデオ 
公式サイト:crush-them-manriki.com
(C)2019 MANRIKI Film Partners

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  • kyokoakayama
    4.3
    ジャンルとか、具体の内容ではなく、初期の園子温監督、熊切監督の作品に出会ったときのような、ぶっぱなされた気持ちを思い起こさせられた。 ひさびさに映画で興奮した。 このプロジェクトが続きますように…
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「MANRIKI」
のレビュー(6件)