衝撃が広がったドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』などで鮮烈な印象を残す女優の堀田真由が主演の映画、『プリズン13』が公開となる。監獄実験の被験者となり、看守と囚人に別れた12人の男女が、理性を奪われた極限状態のなか、壮絶なゲームを繰り広げるソリッド・シチュエーション・スリラーだ。
その被験者となる主演の堀田は「この作品は観る人の人生のタイミングによって感想や受け取り方が違うと思う」と主演作をアピール。センセーショナルな題材をどう受け止めたのか話を聞く。
ーー監獄実験という衝撃的な題材ですが、脚本を手にした時の印象は?
台本をいただいた時に、文字で見ただけでも心に感じるものがいくつもありましたが、実際にそれがどう映像化されていくのかということへの楽しみもありました。文字の状態ではつかみきれない挑戦的なこともあるような気がして、どう映画が完成するのか、そちらのほうが気になりました。
ーー女性にはキツそうな題材かと思いましたが、それは大丈夫でしたか?
はい(笑)。わたし自身はテイストが苦手なジャンルではないので、怖いとは思わなったですね。でも、この監獄実験がスタンフォード大学の実験結果ということを、この作品に出ることになってから知り、世の中でこういうことが行われているのかと、真実ってすごく怖いなあと思いました。
ーー完成した映画を観て、いかがでしたか?
この作品は観る人の人生のタイミングによって感想や受け取り方が違うと思うので、本当にいろいろな世代・性別の方々に観てほしいなって思いました。あとは、マリは<ザ・日本人>な感じがするので、海外の方がどう受け取っていただけるかは気になりますね。感想がすごく気になります。
ーー人の極限状態を描くという、テーマについてはいかがでしたか?
看守と囚人に分かれ、人間を極限状態にまで追いつめるような心理学的なテイストの作品は、これまでの日本映画では少なかったような気がしますね。そういう意味で主人公を演じたこと、10台以上のカメラを自分たちでも回すことも含めて、新しい試みだと思いました。撮影現場では臨場感と緊張感をすごく大切にしていたので、それが作品を通して伝わればいいなと思いました。
ーー演じたマリ役については、どのようにアプローチしましたか?
今回のマリについては、いままでと役作りの入り方が逆でした。いつもなら「マリはどうするか?」で考えていたのですが、スタンフォード大学の実験結果が前提としてあったので、「人というのはこう変わるのだ」ということがある前提でマリはどう変わるのかという逆の入口で入りました。
ーーと言いますと?
たとえば彼女には姉ユマがいて、親は作品には出てこない。いつもの作品であれば、親が出てこないということはこういうことだろう、みたいな考え方をしますが、今回はスタンフォード大学という実験結果があるので、「こういう人たちがいた」という結果がまず事実としてある。その実験に参加した人たちにはナルシシズムが多かったらしいのですが、それは彼女とは違うなとか、結果という決まっている材料から考えたという感じです。
ーーそれは面白いですね。俳優という仕事の醍醐味でもありますか?
そうですね。俳優の仕事は終わりがないというか、どこまでも続いていく感じがしています。最初は自分が目標にしているものにたどり着く、そこまでの過程が楽しかったので、お芝居をすることも楽しかったですけれど、自分が掲げたハードルを越えていくという、自分自身への挑戦みたいなものもありましたね。それは大変ですが、楽しみなことでもあります。
ーー今年は出演作も続いていますが、どういう心境でしょうか?
今回の『プリズン13』を含め、6作品が公開になりますが、やらなくてはいけないことがたくさんあるなあと思っています。そして、満足していないことを忘れていない自分に、どこか安心していたりもするんです。すごく周囲の方々に助けてもらっているので、頑張っていこうと思います。
ーー『プリズン13』で、女優としてステップアップしたでしょうか?
そうですね。主人公を演じたことの責任感はありますね。それまでは主人公を支えながら、どう自分の色を出すかを考えていましたが、主人公を演じるとなると作品全体を考え、アンテナを張っていかないといけない。そのための責任感も大きくなり大変なことですが、すごくいい経験でした。(取材・文=鴇田崇/写真=映美)
映画『プリズン13』は2019年8月30日(金)より、シネマート新宿・心斎橋ほかにてロードショー。
出演:堀田真由、中島健、岩井拳士朗 ほか
監督:渡辺謙作
脚本:渡辺謙作
公式サイト:prison13.com
(C)2019「プリズン13」製作委員会
※2022年1月21日時点のVOD配信情報です。