2024年5月14日から25日にかけて、第77回カンヌ国際映画祭が開催中。今年度のカンヌ国際映画祭には、奥山大史監督の『ぼくのお日さま』が出品されるほか、コンペティション部門の審査員の一人として是枝裕和監督が選ばれるなど、日本映画業界にとっても注目度の高いものとなっている。
そんな第77回カンヌ国際映画祭にてFilmarksは特定非営利活動法人 映像産業振興機構(VIPO)の協力を得て、監督週間のディレクターを務めるジュリアン・レジ氏と映画祭に参加している日本映画監督&プロデューサーを招いてのトークセッションを開催。
本記事では座談会形式で行われたトークセッションの様子をレポートする。
Filmarks プレゼンツ “Conversation with Mr.Julien Rejl”参加者

『化け猫あんずちゃん』について
ジュリアン氏:アニメ作品での監督週間の出品は珍しいが、これによって今後の良い展開はあると思いますか?
山下監督:カンヌの監督週間に出品したことで日本でも興味は持ってもらえると思います。
ジュリアン氏:カンヌの監督週間の上映には子供だけを招待する日があるのでアニメ作品は嬉しいです。
小西氏:過去にソフィア・コッポラやグザヴィエ・ドランのような新しい才能が監督週間から出てくることが多いので、話し合った結果出品を目指しました。
小川氏:日本映画会を若い世代にバトンタッチさせたいと思ったこともあり、新しい監督を発見する場所として適当だと思いました。
小西氏:10年ほど前に日本映画が停滞していると言われていて、新しい才能を見つけないといけないということを感じていたので今回の出品は嬉しいです。
『ぼくのお日さま』について
ジュリアン氏:国際映画祭への出品での努力はありましたか?
奥山監督:アジアの映画祭に出品したり、海外セールスの会社に手伝ってもらい、編集にはフランスの方にも入ってもらったりと、日本以外の人にも観てもらえる作品作りを行いました。国際的な感性を求めたのが良かったのかと感じます。
ジュリアン氏:企画の段階から、海外展開を見据えていましたか?
奥山監督:フランスの助成金の獲得に向けてなど、当時は目の前のゴールを追っていたので、今思うと必然的に国際的な作品を作っていたのだと思います。
ジュリアン氏:監督週間ではなく、ある視点の部門出品というのは奥山監督の作品的に正解だったと思います。監督週間はバイオレンスな描写が必要だからね(笑)
山下監督:『化け猫あんずちゃん』にそのような描写はないですけど(笑)
西川監督について
ジュリアン氏:西川監督のことはもちろんよく知っている。2006年に『ゆれる』の監督週間への出品から4本の作品を作られているが、当時の出品の際はどう感じていましたか?
西川監督:長編2本目だったので、がむしゃらに作っていました。ただ、カンヌの監督週間に出品された歴代の出品作、監督達をみて感動した。ここを登竜門にして頑張っていきたいと思ったことを覚えています。『ゆれる』というタイトルだったので、当時日本では「カンヌが揺れた」という宣伝コピーだったのを覚えています(笑)
ジュリアン氏:これからも、もっと揺らしてください(笑)
西川監督:それがきっかけで世界の映画祭で上映して貰えたりと、素晴らしい機会となりました。

ジュリアン・レジ氏への質問
小西氏:今年から追加された観客賞の意図とは?
ジュリアン氏:自分が就任して追加しました。チケットを買えば一般の人が見られるセレクションなので、お客さんが選ぶという能動的な動きを感じてもらいたくて。
西川監督:子供達のみの上映会については、監督週間の作品だけで実施されているのでしょうか?
ジュリアン氏:そうです。150人の子供達に。監督週間の事務局がフランスの学校にコンタクトをとり、子供達に映画祭を体験させるというフランスの方針で行っています。『化け猫あんずちゃん』はとても面白いので子供達に見せるのが楽しみです。
山下監督:子供達も観客賞の投票権が?(笑)
ジュリアン氏:それはないですね(笑)
小川氏:日本の若い才能に期待していることはありますか?
ジュリアン氏:社会的でありその時代を監督の目で日本を切り取ることができる作品を望んでいます。あとはジャンルの映画も好きなので、ホラーや怪談を若い才能に作って欲しい。フランスの映画祭なのでもちろんアニメ作品も期待しています。
記者:昨年から監督週間を日本でも上映していることへの手応えは?
ジュリアン氏:昨年日本で実施した際は、現地で日本の監督や関係者に出会えて良かったです。日本映画が自分にとってもっと身近になりました。また、今年はメインのポスターは北野武さんに書いてもらった絵です。若い頃に北野監督の映画で感動したので、今回彼の絵が監督週間のポスターになったことはとても嬉しいです。


※2024年5月19日時点の情報です。
