オスカー狙い?異例だらけのNetflix映画『ビースト・オブ・ノー・ネーション』

映画好きをこじらせLAへ

MaryK

レア映画満載!劇場未公開でDVDリリースも無しのNetflixスルー映画10 選ではNetflixでしか観ることのできないオリジナル・コンテンツについてご紹介していましたが、10月16日より配信が開始した『ビースト・オブ・ノー・ネーション』もNetflixが製作した長編映画です。

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出典:http://nerdist.com/idris-elba-is-a-warlord-in-new-character-posters-for-beasts-of-no-nation/
しかし、これまでのオリジナル・コンテンツと大きく異なるのが、劇場での公開も行なったということ。しかも、Netflixで配信された同日にです。一体これにはどのような意図があるのでしょう?

そこで今回は、『ビースト・オブ・ノー・ネーション』が他のNetflixオリジナル映画と一線を画するポイントをご紹介していきます。

第72回ベネチア国際映画祭でワールドプレミア

ナイジェリア人作家による同名の小説が原作である今作品。西アフリカの内戦が続く、とある国に暮らす少年のアグーは目の前で父親と兄弟を殺され、一人ジャングルを彷徨っていました。

しかし、NDFと名乗る反乱グループに捕らえられ、少年兵として生きていくことに。死にたくなければ相手を殺さなくてはいけないという過酷な生活を追った衝撃的な内容です。

その内容のすごさはもちろんですが、世間へのお披露目の方法もさすがです。世界中から良作が集まるベネチア国際映画祭でワールドプレミアを行なったのです。

VOD配信会社のNetflixが手がけた作品が歴史のある映画祭でプレミアを迎えるのは異例。映画界のルールすらを壊すことになる今回の上映には、Netflixの未来へ向けた自信を感じることができますね。

監督は今一番注目のキャリー・ジョージ・フクナガ

監督を務めたキャリー・ジョージ・フクナガはその名前から想像できる通り、日系人の父親を持つアメリカ人です。

これまでに監督をした長編映画は『闇の列車、光の旅 』と『ジェーン・エア』の2作が知られていますが、彼の名を一躍有名にさせたきっかけは傑作ドラマシリーズとして語られる『True Detective / 二人の刑事』です。

マシュー・マコノヒーとウディ・ハレルソンの2大映画スターの共演および、ゴールデングローブ賞へのダブルノミネートという快挙を成し遂げました。

通常、ドラマの場合一話ごとに異なる監督が担当をするのですが、8話すべてをフクナガ監督が手がけました。そのため、まるで8時間の長い映画を観ているかのようなクオリティを保つことができ、フクナガ監督自身もエミー賞を受賞しています。

見事新人賞受賞!注目すべき主演の2人

主役のアグーを演じた新星エイブラハム・アッターはベネチア国際映画祭で見事マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)を受賞。撮影地のガーナで1000人以上の候補者の中から選ばれた才能溢れる新人俳優です。

とはいっても、まだ若干15歳。監督に見出された当時、彼はガーナの路上で物売りをする少年でした。西アフリカのシエラレオネ共和国で10年にも及んだシエラレオネ内戦を実際に経験した人物を演技指導のために呼び、エイブラハムに武装技術などを教えたそうです。

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出典;http://netflixlife.com/2015/09/11/will-netflixs-beasts-of-no-nation-be-eligible-for-academy-awards/

一方、アグーを支配する立場の反乱グループの冷血な指揮官を演じたのがイドリス・エルバ。『マンデラ 自由への長い道』ではネルソン・マンデラを熱演しゴールデングローブ賞へノミネートもされました。

『007』シリーズの次期ジェームズ・ボンドを演じるという噂も立っていますが、初黒人俳優によるボンドは実現するのか気になるとことです。

イギリス生まれのイドリスですが、両親は『ビースト・オブ・ノー・ネーション』の舞台となった西アフリカ出身だそうです。彼にとっても、この作品への思い入れは人一倍であることは間違いありません。

アカデミー賞ノミネートにも期待が!

10月16日に世界同時にNetflixにて配信を開始した『ビースト・オブ・ノーネイション』。Netflix上で観ることができるのにも関わらず、なぜ劇場同時公開という道を選んだのでしょうか?

それは、Netflixは今作品をアカデミー賞ノミネートの対象作品にしたいという狙いがあるからです。作品賞はもちろん、主演男優賞や監督賞も期待できるのではないでしょうか。

とは言っても、自宅で見れる作品をわざわざ劇場まで足を運ぶのはほんの一部だけ。このことから、全米の映画館を敵にまわしたことは言うまでもありませんよね。

しかし、もしNetflixの戦略通りこの作品がアカデミー賞にノミネートされることになったら、VOD会社による記念すべき初のノミネート作品となるのです。

クオリティの高いオリジナルドラマシリーズの製作により、TV業界を敵に回したと思ったら、今度は映画業界まで怒らせてしまいました。

自由度の高いNetflixでドラマや映画を作るメリットも多く、魅力を感じる監督が多いのも事実。今後もアダム・サンドラーやブラット・ピットがNetflixオリジナル作品をリリースすることが決定しているので、どれほどの傑作を世に生み出してくれるのかが楽しみですね!

『最新作を見るなら映画館』の認識が崩れてしまう日もそう遠くはありません。

東京国際映画祭でも上映

これからの映画界の常識を覆すきっかけになるかもしれない『ビースト・オブ・ノー・ネーション』。東京国際映画祭でも上映され、来日している監督の舞台挨拶も行われました。

残念ながら映画祭には行けず、大きなスクリーンでの鑑賞はかなわなかったという皆様でも、今すぐNetflixでご覧いただくことができるので、ぜひご自宅でゆっくりお楽しみください!

東京国際映画祭『ビースト・オブ・ノー・ネーション』

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  • RSS
  • kezu
    3.3
    この人たちは争い続けるしかないんだろうか?なぜこんなにも争い続けるんだろうか。 私たちの次の世代にはこんなに苦しむ子供達がいなくなる世の中を求める。
  • Chihiro
    4.0
    Sub Easy
  • 28572
    4.0
    アフリカの内戦事情・少年兵士にスポットライトを当てた映画。非常にドキュメンタリーに近い性質を持っており、役者をひとりも知らない状態で見るときっと本当にあった話だと思い込んでしまうほどだ。 普通の人間が戦争を通過することによって日常が一変する作品というと「フルメタル・ジャケット」などが挙げられるが、今作の主人公は捕虜として反政府軍に捕らえられ、兵士として育てあげられた少年アグー。映画の視野が少年の知識に限定されているので、政治背景や相手の状況などは最小限に収められている。アグーが否応なしに巻き込まれる戦争・ドラッグ、リンチ、レイプ、戦友の死…。自分はなぜこんなことを?という疑問と少年兵から抜け出すことのできない現実の対比が残酷なまでに生々しい。(誰にも伝えることのできない)彼の真実のモノローグとともにカメラは淡々とアグーの成長を追っていく。 イドリス・エルバ演じる反政府軍の指揮官が全編を通して戦争の異様さを助長している。全兵の士気を高めるカリスマ的存在であるものの、言葉たくみにアグーを軍に勧誘し、恐怖を復讐心にすり替えて兵士に仕立て上げる様子はまるでカルト集団のような要素を持つ。また、通過儀礼として呪術や空砲を使い「自分は弾に当たっても死なない」と信じ込ませ「殺す」ことを手柄とする人間に変えていく様子は、近代的な要素を持つ戦争とはかけ離れた空間のようで、それだけに禍々しかった。 これだけの完成度を誇る作品が劇場公開という手段を使わずにお茶の間に届けられるとは凄い時代になったものだと図らずも感じてしまった。戦争の残酷さを真正面から捉えたこの作品は「戦争は繰り返してはいけない」という半ば色あせてしまった道徳心を再び呼び覚ます経験になった。
  • MEGU
    4.0
    目を背けたくなる映画だけど、こういうことは現実に起きた訳で、見るべき作品だと思いました。 勝手に戦争に巻き込まれる子供たちが、ただただ可哀想
  • マクシムス
    4.4
    ストーリーはシンプルで、主人公の心情の描写とかが分かりやすいからこそ、苦しみとか痛みがストレートに伝わってくる。これが現実問題として存在してるって考えるとすごく拒絶したくなるけど、こうやって映画作品を通じて、少しでも関心を持って考えさせられることがこの映画の意義なんかな、って思ったり。
「ビースト・オブ・ノー・ネーション」
のレビュー(578件)