獲物を食いちぎる凶暴さ…ワニの魅力を堪能できるワニ映画10選

「映画」を主軸に活動中のフリーライター

春錵かつら

サメ映画が元気だが、実はワニも負けちゃいない。アニマルパニック映画というジャンルにおいて、海の王者がサメならば、陸の王者はワニ! ……というわけで、今回はワニが登場する印象的な映画10選を紹介しようと思う。

ワニってどんな生き物?

パックリ開く大きな口にゴツいウロコ。食物連鎖の頂点ワニ。まずはワニってどんな生き物なのかをざっくりおさらいしてみよう。

ワニは水辺に生息し、平均寿命は30年~80年ほどと、とっても長生き! 体長は平均約1.5m~7mほどで、体の特徴は何といっても武器にもなる強靭なあごだ。社会性が高く声を使ってコミュニケーションが取れるためとても耳がいいのだとか。

種類は現在23種。それらは大きく分けて、「クロコダイル科」「アリゲーター科」「ガビアル科」の3つに分類されることが多い。しかし、ガビアル科に唯一属するインドガビアルは一部の地域にしか生息していないとされているので、映画に登場する大体がクロコダイルかアリゲーターのどちらかと思っていいかもしれない。以下に「クロコダイル科」「アリゲーター科」のざっくりとしたスペックを紹介するので、映画に登場するワニをじっくり観察してみるのも一興だ。

ワニスペック

クロコダイル(科)

口先:比較的先端のとがったV字状

歯:口を閉じた時に下顎の第4歯が外から見える

腹:感熱器官がある

歩き方:腹を地面につけずに歩く

主な種類:イリエワニ、アメリカワニ、ナイルワニ、キューバワニなど

アリゲーター(科)

口先:比較的丸みを帯びたU字状

歯:口を閉じているときに下あごの第4歯が見えない(一部例外あり)

腹:感熱器官がない

歩き方:腹を地面につけて歩く

主な種類:アメリカアリゲーター(ミシシッピワニ)、ヨウスコウアリゲーター(ヨウスコウワニ)、メガネカイマンなど

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性格はアリゲーターの方が比較的穏やかと言われているが、ナメてはいけない。彼らは獲物を捕食する際に「デスロール」と呼ばれる技(?)を繰り出すことがあり、これは水中で獲物をくわえたまま自分の体をグルングルンと回転させ、獲物の肉を食いちぎる行動のこと。ワニ映画好きにはたまらない技のひとつだ。

かなりのハイスペックを誇るワニ。口を閉じる力は抜群でも口を開く力は弱いなんて事実もちょっと愛嬌がある。さて、おさらいも一通り終えたので、まずはライトなワニ映画から紹介して行きます!

◆ワニ度初級編

ペット』(2016)

ニューヨークを舞台に、小型犬マックスをはじめペットたちの人間に知られざる活躍を描いた本作。そこに登場する元は人間に飼われていたものの捨てられた生き物たちが集まってできた「元ペット団」の一員にワニがいる。名前はクロック。「クロコダイル」と『ピーター・パン』(24)に登場する「時計(クロック)ワニ」をかけたであろう名前を持つ彼は適役なんだけれど、のんびり屋のモルモット、ノーマンとのやり取りに思わず笑いが漏れるハズだ。

チェブラーシカ 動物園へ行く』(2015)

ロシアの国民的キャラクター「チェブラーシカ」。大好きなオレンジの箱の中で眠ってしまい、南の国からロシアにたどり着いた不思議な生き物「チェブラーシカ」の最初の友達がワニのゲーナだ。アコーディオンと歌が得意でいつも紳士的なゲーナは、動物園で“ワニ”として働いている。ワニなのに(笑)。本作はそんなゲーナがメインのお話。孤独でインテリなゲーナの魅力を存分に堪能できる短編となっている。

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)

言わずと知れたトレジャーハント・アドベンチャーの第2作目。……とはいえ、時代設定は1作目の1年前、1935年。実質的にはこちらの方が最初の物語になる。物語は言わずもがな。考古学者インディが本作で狙うのは秘石「サンカラストーン」。この冒険を描いた本作のクライマックスに登場するのが谷底のワニたち。吊り橋の下でご馳走にありついて嬉々としているワニの姿を拝むことができる。

◆ワニ度中級編

ハングリー・アタック』(2016)

因縁パニックホラーの本作だが、後半はワニ度が低めになるので中級編に。ワニの卵を盗みに深夜の動物園に侵入したティムら少年3人組。しかしひとりがワニの犠牲になってしまいティムは罪悪感から町を去る。しかし15年ののち再び街に帰り、あの卵から孵ったワニと対決する羽目になる。農機具で成敗される牧歌的ワニ映画と思いきや……まさかの展開が。

THE POOL ザ・プール』(2018)

本作はタイ発の一風変わったシチュエーション・スリラー。イケメンで高収入、ハイスペックな40代男デイは、いつものように仕事を終えプールで優雅にウトウト。……ふと気づくと、深さ6mのプールの水は空っぽ。プールから脱出ができない!!それからも次々とアクシデントが重なるわけだが、そのひとつがワニ乱入だ。プールの底で主人公と格闘するワニを堪能できる。

恐怖のワニ人間』(1959)

ハエ男の恐怖/蝿男の恐怖』(58)のヒットを受け、製作されたSFサスペンス。飛行機事故で瀕死の重傷を負った男がワニの治癒力を応用した治療によって復活する。しかし副作用によりワニ化して行く恐怖を描いている。昭和の特撮ヒーローものに登場するような実験室やワニ男のディティールにほのぼのしつつ、ワニ頭の男の悲哀を感じられるドラマになっている。

◆ワニ度上級編

アリゲーター』(2001)

さあ、いよいよワニ度もMAX、上級編でまず紹介したいのは80年代パニックホラーの代表作のひとつと言っても過言ではない本作。下水道に捨てられたペットのワニ“ラモン”が、成長ホルモンのせいで巨大化し人々を襲い始める。マンホールを突き破るラモン、アスファルトを砕くラモン、パトカーをなぎ倒すラモン、「ワニ無双、イエーイ!!」と叫びたくなる怪作だ。

ブラック・ウォーター』(2007)

オーストラリアで実際に起きた事件をモチーフに製作された本作は、ラストは事実とは多少異なるものの、リアルで真面目なサバイバル・ホラーだ。北オーストラリアにバカンスに訪れた姉妹と姉の恋人が、川釣り体験ツアー中にワニに襲われる。男性には容赦ないクセに女子には甘噛みのワニ。濁った川のどこにワニがいるのかわからない恐怖。ワニの咀嚼音が聞けるのもじわじわ来るポイント。

悪魔の沼』(1976)

『悪魔のいけにえ』(74)で有名な“あの”トビー・フーパーのハリウッド進出1作目で、1930年代にテキサスで起きた「ジョー・ボール事件」を元に脚色を加え製作された本作。訪れた客を次々と殺してはペットのワニに食べさせていたホテルの経営者。彼自身も右足をワニに食われた過去を持っている。お色気シーンが目を引くけど、男の溢れるワニ愛と食いしん坊ワニの姿の方に注目して!! おねがい。

クロール ー凶暴領域ー』(2019)

 

2019年1011日から公開されるのは、アレクサンドル・アジャ監督によるディザスター&アニマルパニック。レベル5の巨大ハリケーンが近づく中、離れて暮らす父の無事を確認しに出かけた大学競泳選手のヘイリー。しかし地上は荒ぶるハリケーン、閉じ込められた地下は浸水、しかも手負いで、逃げ出したワニたちが襲いかかる……。懐かしの生家で「詰んだ」状況に陥ってしまう。

序盤からドカーンと姿を現す潔いワニ、容赦なく食いつかれるヒロインなど、ありがちな展開を気持ちよく裏切っていくのはさすがアジャ監督。痛々しい描写の一方で描かれる父娘の絆。

水辺にプカーっと浮いてるワニを腹側から見上げられる新鮮さ、アリゲーターの“デスロール”も斬新な演出で目にできる。ハリケーンという自然の驚異は人間にとってだけでなくワニにとっても脅威だというのがわかる、良質なワニワニパニックだ。

終わりに

日本では多くの人が動物園でしか馴染みのないワニ。生息地の破壊や乱獲のために現在では多くの種が絶滅の危機に瀕している。

ワニに代表される爬虫類は、その生息環境から細菌感染に対する強力な防御をもつように進化してきた。その免疫力が昨今注目され、医療への活用の研究がめざましい進歩のさなかだ。

今回紹介した作品からも、ワニ映画はペット遺棄や、動物実験、環境破壊など、古くから人類が抱える問題や可能性を示唆する社会的要素を含んでいることがわかる。そんな視点でワニ映画を楽しんでみては? ワニは、「怖い」「可愛い」だけじゃないんだから

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