世界に羽ばたく日本の心。賛否両論!注目の『ラスト・ナイツ』をその目で見よ!

映画と音楽は人生の主成分

みやしゅん

『ラスト・ナイツ』は11月14日に公開される、紀里谷和明監督のハリウッドデビュー作です。英国の演技派俳優クライヴ・オーウェンや、オスカー俳優モーガン・フリーマンが起用されていることで話題を呼び、東京国際映画祭でも上映されました。

しかし、作品についての感想は賛否両論…今回はそんな話題作について、作品に込められた監督の想いをたどりながら、鑑賞ポイントをご紹介したいと思います。

注目作『ラスト・ナイツ』とは?

『ラスト・ナイツ』は、最近まで作品の情報自体ほとんど公開されておらず、全貌が謎に包まれていました。特に予告編は、1分半あるにも関わらずほぼBGMと映像のみというもの…公開直前になって登場した最終予告編で、初めてストーリーが見えてきました。

では、『ラスト・ナイツ』とはどのような作品なのでしょうか?

あらすじ

舞台は戦士の時代が終わった、不正がはびこる封建的な帝国時代。ある日、帝国の地方領主であるバルトーク卿のもとに、皇帝に取り入る悪徳大臣からの使者が訪れ、賄賂を要求してくる。

都へとおもむいたバルトーク卿は、大臣からの不正な賄賂を断るだけでなく、刀を向けてしまう。このことで彼は反逆罪に問われ、死罪を告げられる…その方法は愛弟子であるライデンによる斬首という極めて残酷なものだった。ライデンはバルトークに諭され、断腸の思いで主君に刃を向ける…。

1年経ち、気高い騎士たちが立ち上がる時が来る…すべては不正がはびこり堕落した権力への報復のため。何よりも忠誠を誓った主君バルトーク卿のために―。

構想から5年の歳月を費やした渾身の一作

紀里谷監督作品といえば『CASSHERN』『GOEMON』といった、CGで描いた独特の世界観が特徴的です。けれど『ラスト・ナイツ』ではCGだけでなく、大規模なロケやセットが取り入れられており、監督が本来描きたかった世界観が描かれています。

それだけでなく、本作は構想から5年の歳月を費やして製作された、紀里谷監督渾身の一作と言えます。2004年のデビュー作『CASSHERN』から数えると約10年…やっとの思いで、世界へ羽ばたくスタート地点に立ったのです。

世界が生み出すジャポニスム

“ジャポニスム”とは、本来、美術界で使われる用語です。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、日本の美術工芸品が西洋の美術に影響を与えた現象で、西洋の美術家たちが日本美術の特質を創造的に活かしていこうとする姿勢のことを意味します。では、それが『ラスト・ナイツ』とどのように関係してくるのでしょうか?

実は『ラスト・ナイツ』は、2人のカナダ人が「忠臣蔵」に感動して、書いた脚本から生まれた作品なのです。

「忠臣蔵」と言えば日本で古くから継承されてきた浄瑠璃・歌舞伎の演目で、赤穂浪士の仇討ちを描いたもの。つまり『ラスト・ナイツ』のベースには日本の心があるのです。

しかも、本作は総勢17か国から集結したキャストとスタッフによって創られた作品であり、世界から見た“日本”が表現された作品となっています。言い換えれば“ジャポニスム”を感じられる作品なのです。

紀里谷監督が描く“ボーダーレス”な映画の未来

『ラスト・ナイツ』は、紀里谷監督のハリウッドデビュー作ということで公開前から注目されており、先日行われた東京国際映画祭でも上映された話題作です。しかし、日本人監督がハリウッドにデビューしたこと、ハリウッド俳優を演出したことよりも、紀里谷監督には“ある想い”がありました。

“ボーダーレス”な映画の未来

本作の謳い文句といえば“ハリウッドデビュー作”や“大物ハリウッド俳優の起用”です。しかし、そうしたことよりも注目して欲しいのは、総勢17か国から集結したキャストやスッタフによって創られた作品ということです。

監督自身の中では、現場では人種や国籍に関係なくあらゆる人が一堂に会して映画を作る光景が当たり前になる時代が来て欲しい、というある種の祈りがありました。

オリンピックでスポーツが世界の平和を生み出すように映画にもそんな力がある…監督が思い描いている映画の未来はとても壮大なものなのです。世界中の人が1つの作品を創ることが当たり前になる時代、想像するだけでも笑がこぼれてしまうほど素敵だと思いませんか?

『ラスト・ナイツ』で描きたかったものとは?

シネマトゥデイが行った紀里谷監督の独占インタビューでは、監督が本作についてこう語っています。

これはアクション映画ではなくて。 人間ドラマなんです。僕がいちばん描きたかったのは国境や人種を超えた「忠義」です。それが日本では武士道と表現されている、そして英国では騎士道。言葉は違えども、世界中にこの概念は存在しています。

出典:http://www.cinematoday.jp/page/A0004653

 

誰もがぶつかる人生の難問…それは何が正しくて、何が間違っているのか?”ということです。本作では忠義をキーワードに、その答えを導き出す手助けをしてくれます。それは、きっと民族・宗教・国籍などに関わらず、誰もが既に知っていることかもしれません

何かのために死ぬ覚悟、あなたにはありますか?

こんな質問大げさかもしれませんが、現代人は本気で何かをすることが「格好悪い」と言います。正直者が馬鹿をみる…そんな言葉が合うかもしれません。

しかし「そんなことは出来ない」といって諦めるのではなく、決めたことは最後まで何がなんでもやりぬく…死ぬ気でやりぬく、そんな“武士道”を私たちは持つべきではないでしょうか?

『ラスト・ナイツ』は、そんな私たちの心の声を呼び覚ます、今こそ見届けるべき映画だと言えます。賛否両論はありますが、自身の目で“監督の想い”を観て欲しい、そんな作品です。

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  • はなこ
    3.2
    応援したのですが、 呆気なく終わってしまった。 配給元と連携がうまく取れなかったのか 監督自ら全国行脚していた。
  • 滑頭
    3.7
    もーんのすごくハードルを低くして観に行ったのが良かったのか、少なくともその期待は超えてくれました。なんだ、思ってたより全然イイ。 その後の紀里谷監督による話を聞いて、監督自身の好感度も上がったし、作品もぜひ擁護したい、色んな人に観てもらいたいという気持ちにはなったのですが、 心を鬼にして苦言を呈すると、 まずスローモーションの多用。体感では全体の半分くらいスローモーションだったんじゃないかっていうくらいスローモーションが多い。尺引き伸ばしすぎ。スローモーションはここぞ、っていうところで使うから効果的なんだろう。これは効果的でない。 その結果なのかどうなのかは分からないけど、全体的にMVを見せられているような感覚。特に序盤。パッパッと話が進み過ぎて重みがない。本当に、MVっぽい。カメラワークのせいか編集のせいか分からないけど。 それから、アクション映画の割には少ないアクションシーン。アクション映画ならアクションで語るべき。アクションほぼ皆無のドラマパート長すぎ。 冒頭のアクションシーンがあまり有機的に後の物語に絡んでこない。上手くない。 アクション、カット割りすぎ。状況を把握しづらい、見にくい。 伏線の張り方が唐突で不自然。 あとひとつ気になったのは、モーガン・フリーマンが最初に衣を献上したとき、その下に賄賂の金貨がないというのを見せるシーンで、セリフでの説明はなかった。贈り物をしてその下に賄賂を敷き詰めるっていう賄賂の渡し方は時代劇でこそ定番だけど、外国の観客も多いこの映画で、それは世界の観客に伝わるのか?ということ。忠臣蔵から色々改変してるのになぜそこはそのままにしたのか。 とはいえ、いいところもたくさんあったんですよ。特に役者とかロケーションとかによるバキッと決まったビジュアル。これはよく作りこまれていて本当にすごかった。クライヴ・オーウェンはかっこいい。話の本筋はいいんだけど、その周りの細かい演出でそれを際立たせきれていなかったのが惜しいな、っていうような感じでした。 2015/10/29 @試写会
  • ムカデ人間
    3
    紀里谷監督がようやく、奇抜な映像に依存しないまともな作品を撮った。 中身はまんま赤穂浪士なので、ある程度の面白さも担保されている。 何か突出したものがあるわけではないが、過去作のように目も当てられない出来には仕上がっていない。 今まで3点しか取れなかった人間が、50点取れるようになるというのは凄いことだ。 『GOEMON』以降、しばらく映画制作を行なっていなかったが、その間に相当勉強したのだろう。 この作品が作れるのなら、今後の紀里谷監督には期待してもいいかもしれない。
  • 3.6
    ラストナイツ
  • よこやん
    1.2
    ストーリーは置いといて映像が綺麗だった。
ラスト・ナイツ
のレビュー(2153件)