あのカルト的名作『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)が、公開20周年を記念してリバイバル上映される。10月18日(金)〜 10/31(木)まで、2週間限定で公開される<ハッピーハロウィン上映>だ。

本作は、突然ゾンビに襲われたロンドンの街で、彼女にフラれたばかりのショーン(サイモン・ペッグ)と親友エド(ニック・フロスト)が大暴れする、サバイバル・コメディ。いま観てもバツグンに面白い本作の魅力を、「『ショーン・オブ・ザ・デッド』を劇場で見るべき10の理由」と題して紹介していこう。
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10の理由 その1:公開から20年の時を経てついに全国上映となった大傑作
2004年の公開当時、『ショーン・オブ・ザ・デッド』はイギリス国内で5週連続トップ10入りを果たすヒット。それとは裏腹に、日本では劇場未公開という憂き目にあってしまった。2019年にTOHOシネマズ日比谷ほかで限定公開されたことはあったものの、2024年の今年になってついに、全77館で全国上映される運びとなったのである(しかも4K!)。
なぜこの大傑作が当時日本でビデオスルーになってしまったのかは謎だが、映画ファンならこの機会を逃す手はない。ぜひスクリーンで、サイモン・ペッグとニック・フロストの活躍を目に焼き付けて欲しい。
10の理由 その2:世界的フィルムメーカー、エドガー・ライトの出世作

『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』(2007年)、『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010年)、『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(2013年)など、今や世界屈指の人気フィルムメーカーとして活躍中のエドガー・ライト。そんな彼の長編第一作にして出世作となったのが、この『ショーン・オブ・ザ・デッド』である。
1974年4月18日生まれの彼は、今年50歳になったばかり。映画監督として、これから脂が乗ってくる時期。最近の『ベイビー・ドライバー』(2017年)や『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021年)では、職人作家としての成熟も感じられた。それだけに、いい意味での若さとヤンチャさがスパークしている『ショーン・オブ・ザ・デッド』は、一際瑞々しい魅力を放っている。
ちなみにエドガー・ライトの次回作は、かつてアーノルド・シュワルツェネッガーが主演したSFアクション『バトルランナー』のリメイクだそうです。
10の理由 その3:スピード感あふれるキレッキレ演出
エドガー・ライトといえば、スピード感あふれるキレッキレ演出。「カーチェイスの『ラ・ラ・ランド』」とも称された『ベイビー・ドライバー』では、天才ドライバー“ベイビー”の運転とBGMが完全シンクロした逃走シーンが観客の度肝を抜いた。
もちろん、『ショーン・オブ・ザ・デッド』にもエドガー・ライトらしさは満載。「職場に私生活は持ち込まない」と豪語するショーンの耳元に「リズから電話だよ」と受話器を持った手がニョキっと出てきたり、恋人にふられたショーンが家の外で立ち尽くす姿を少しずつズームして、踵を返して帰ろうとすると豪雨が降ってきたり。緩急をつけたコメディ演出がとにかく楽しい。
10の理由 その4:サイモン・ペッグとニック・フロスト。最高にイカしたコンビの共演作
サイモン・ペッグとニック・フロスト。1999〜2001年に放送されていたシットコム『SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜』(演出を務めているのはエドガー・ライト!)で、子供の頃からの親友同士を演じていた二人は、実生活でも大の仲良し。『ショーン・オブ・ザ・デッド』をはじめ、数々の作品で共演を果たしている。
『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』(2007年)
『宇宙人ポール』(2011年)
『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(2011年)
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(2013年)
二人が同じ画面に収まると、不思議な化学反応が起きる。観ているだけで愉快な気持ちになれる、最高にイカしたコンビなのだ。
10の理由 その5:とにかく笑える、ひたすら笑える。細かすぎて伝わらないマニアックなギャグも
エドガー・ライトの緩急をつけたコメディ演出。観ているだけで愉快な気持ちになれる、サイモン・ペッグ&ニック・フロストの共演。とにかく笑える、ひたすら笑える作品として、『ショーン・オブ・ザ・デッド』は最高の一本だ。
また本作は、マニアックなギャグがマシンガンのように乱射される映画でもある。例えば、ショーンが買い集めてきた大量のレコードをゾンビめがけて投げるシーン。「『パープル・レイン』はダメだが『バットマン』のサントラは投げていい」みたいな、プリンスをネタにした音楽ギャグがブッコまれている。
縦横無尽に張り巡らされた、「細かすぎて伝わらないマニアックなギャグ」。もちろん細かいディテールは分からずとも、ショーン&エドの丁々発止のやりとりだけで楽しめる作品になっているので、安心して劇場に足を運んで欲しい。
10の理由 その6:ホラー映画愛にあふれたオマージュの数々
マニアなら思わずニヤリとしてしまう、ホラー映画のオマージュがあちらこちらに散りばめられているのも、本作の見どころのひとつ。
例えば、「フルチの店」というレストランの名前はイタリアン・ホラーの巨匠ルチオ・フルチに因んだものだろうし、「ランディス・スーパーマーケット」は『狼男アメリカン』(1981年)やマイケル・ジャクソン『スリラー』(1982年)のPVで知られるジョン・ランディスへの目配せだろう。ショーンの母親の名前は、名作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)のヒロインと同じバーバラだ。
もちろん、過去のホラー映画からの引用はこれだけにはとどまらない。ぜひ劇場で探し出してみてほしい。
10の理由 その7:ジョージ・A・ロメロへのど直球リスペクト
ホラー映画愛にあふれたオマージュという意味では、本作は“ゾンビ映画マエストロ”ジョージ・A・ロメロへのリスペクトが濃厚に刻まれた作品でもある。
そもそも『ショーン・オブ・ザ・デッド』というタイトル自体が、ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』や『ゾンビ』(原題:『Dawn of the Dead』)、に因んだもの。その後「〜・オブ・ザ・デッド」という名前が市民権を獲得し、ジョージ・A・ロメロ以外の監督によってさまざまな作品が作られた(正確には、ロメロ以前にも『〜・オブ・ザ・デッド』という映画は存在していたが、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』以降その知名度が高まった)。
『ゾンビ・オブ・ザ・デッド』、『ミート・オブ・ザ・デッド』、『ウォー・オブ・ザ・デッド』…。その中でも『ショーン・オブ・ザ・デッド』の面白さは一頭地を抜いている。
10の理由 その8:映画を彩る名曲の数々
この映画では、意外な場面で意外な音楽が流れる。その最たるものが、ゾンビたちがパブになだれ込むシーンでかかるクイーンの「Don’t Stop Me Now」だろう。
Don’t stop me now
Yes I’m having a good time
今は邪魔しないでくれ
良いところなんだ
こんな危機的状況で、まさかフレディ・マーキュリーの歌声が響き渡るとは!しかもゾンビを殴りつけるリズムと、音楽のリズムが完全に同期している。このあたりのセンスは、さすがエドガー・ライトだ。
ほかにも、『ゾンビ』にも使われていたハーバート・チャペルの「The Gonk」や、ゾンビ・ネイションの「Kernkraft 400」が流れたりするので、要チェックなり。
10の理由 その9:イギリス人俳優が醸し出す独特のユーモア

リズ役のケイト・アシュフィールド、デービッド役のディラン・モーラン、ダイアン役のルーシー・デイヴィス、母バーバラ役のペネロープ・ウィルトン、父フィリップ役のビル・ナイ。主演のサイモン・ペッグとニック・フロストはもちろん、本作に登場するのはみなイギリス系/アイルランド系の俳優たちだ。
アメリカン・コメディとは一味も二味も違う、ブリティッシュ式ユーモア。ちょっぴり意地悪でひねくれた感性がそこにはある(何せモンティ・パイソンやMr.ビーンを生み出した国なのだ!)。彼らの飄々とした佇まいが、独特のユーモア感覚を生み出している。
10の理由 その10:あらゆるエッセンスがブチ込まれた“大盛り映画”
意外なことに…いや、意外ではないのかもしれないが…『ショーン・オブ・ザ・デッド』には、映画のあらゆるエッセンスがブチ込まれている。
友情(=ショーンとエド)。恋愛(=ショーンとリズ)。笑い(=登場人物たちの愉快な掛け合い)。涙(=仲間の死)。家族(=ショーンと母バーバラ、父フィリップ)。恐怖(=ゾンビ)。並の映画監督だったら、要素が多すぎてしっちゃかめっちゃかになってしまうところを、エドガー・ライトは卓越した手腕でまとめあげている。
本作は間口の広い“大盛り映画”なのだ。
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※2024年10月18日時点での情報です。
